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2026-03-21 06:11

【令和8年度改定】短期滞在手術等基本料の4つの見直しポイントを解説

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令和8年度診療報酬改定では、手術の外来移行を促す観点から、短期滞在手術等基本料が大幅に見直されます。今回の改定は、基本料1の評価適正化にとどまらず、基本料3の対象手術追加やDPC対象病院への算定拡大、さらには外来実施率の高い手術に対する新たな加算の創設を含む、包括的な改定です。

今回の見直しは、大きく4つのポイントに整理できます。第1に、基本料1の点数が引き下げられ、包括評価の実態に合った水準に適正化されます。第2に、基本料3の対象手術が追加され、既存の手術も実態を踏まえた点数に見直されます。第3に、DPC対象病院でも基本料3を算定する仕組みに変更されます。第4に、外来実施率が特に高い手術について、入院と外来の点数差を縮小する評価の見直しが行われるとともに、医学的に入院が必要な患者に限定した「入院手術対応加算」が新設されます。

改定の背景|手術の外来移行と算定方式の統一

今回の見直しの背景には、短期滞在手術の外来移行が十分に進んでいない現状と、算定方式が医療機関の類型によって分かれている問題があります。

短期滞在手術等基本料は、医療の質の向上と効率化を図るために設けられた仕組みです。日帰り手術を対象とする基本料1と、4泊5日までの入院手術を対象とする基本料3の2種類があります。基本料1は術前・術後の管理や一部の検査を包括的に評価し、基本料3は入院基本料や検査、手術、麻酔などを含む幅広い診療行為を包括しています。

これらの対象手術のうち、水晶体再建術と内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術は、特に算定回数が多い手術です。水晶体再建術(眼内レンズ挿入・その他)は総数165,699件のうち外来実施率が65.1%、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)は総数164,217件のうち外来実施率が79.1%に達しています。しかし、入院外実施率が0%の病院も一定数存在し、医療機関ごとのばらつきが大きい状況です。

この入院実施の理由として、「原則、外来で実施している」と回答した医療機関では、「臨床上、入院での周術期管理を行う必要性が高いため」が最多でした。具体的には、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術では出血リスクの高い症例(抗血栓薬内服中、病変数が多い等)が、水晶体再建術では全身麻酔を要する症例(認知症により安静保持が困難等)が挙げられています。

さらに、白内障の水晶体再建術については、OECD諸国の多くが90%以上を外来で実施しているのに対し、日本の外来実施割合は54%にとどまっています。都道府県別でも32%から90%まで大きな格差があり、外来移行の余地が指摘されています。

算定方式の面では、入院で短期滞在手術を実施した場合、DPC対象病院のDPC算定病床ではDPC算定、DPC対象病院以外の病院では基本料3、有床診療所では出来高算定と、医療機関の類型によって算定方法が複数に分かれていました。同じ手術に対して異なる算定方式が適用される状況は、公平性の観点から課題となっていました。

ポイント1|基本料1の評価適正化

短期滞在手術等基本料1は、包括評価の実態に合わせて点数が引き下げられます。

基本料1は、日帰り手術の術前・術後管理と一部の検査を包括的に評価する仕組みです。令和4年度の改定で全身麻酔を伴わない手術における麻酔科医の配置要件が緩和されて以降、特に診療所での算定回数が顕著に増加しました。病院の算定回数は令和3年の約4,000件から令和6年の約15,000件へ、診療所は約6,000件から約124,000件へと急増しています。

しかし、基本料1を算定する場合と算定しない場合の手術実施月の総請求点数の差は、基本料1の点数とほぼ同程度でした。たとえば、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の場合、基本料1を算定した場合の総請求点数は8,592点、算定しない場合は7,350点で、その差は1,242点です。基本料1の点数1,359点と同程度であり、包括評価による効率化の効果は限定的であったことが明らかになりました。

こうした実態を踏まえ、「イ 主として入院で実施されている手術を行った場合」の区分は1点増(2,947点→2,948点、および2,718点→2,719点)にとどまる一方、「ロ イ以外の場合」の区分は大幅に引き下げられます。麻酔を伴う手術の場合は1,588点から795点へ、それ以外は1,359点から680点へ、いずれもほぼ半額に引き下げられます。

ポイント2|基本料3の対象手術追加と点数見直し

短期滞在手術等基本料3は、在院日数や医療資源投入量が一定範囲に収斂している手術が新たに対象に追加されます。

新規追加された手術の例として、K048骨内異物除去術の「11 中手骨」(15,207点)、K872-3子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術等の「2 組織切除回収システム利用によるもの」(16,876点)などがあります。これらはいずれも、在院日数が短く、医療資源の投入量が安定している手術です。

既存の対象手術についても、実態を踏まえた点数の見直しが行われます。手術ごとに個別に評価が見直され、引き上げと引き下げの両方があります。引き上げの例として、K007-2経皮的放射線治療用金属マーカー留置術は30,882点から32,768点に、K282水晶体再建術(眼内レンズ挿入・その他・片側)は17,457点から18,001点に引き上げられます。一方、引き下げの例として、K890-3腹腔鏡下卵管形成術は100,243点から95,723点に、K046骨折観血的手術(手舟状骨)は36,240点から35,216点に引き下げられます。

ポイント3|DPC対象病院でも基本料3を算定

短期滞在手術等基本料3は、DPC対象病院においても算定する仕組みに改められます。

従来、基本料3の算定は「DPC対象病院又は診療所ではないこと」が施設基準とされていました。そのため、DPC対象病院のDPC算定病床では、同じ手術であってもDPCの包括評価で算定し、DPC対象病院以外の病院では基本料3で算定するという、異なる算定方式が併存していました。

今回の改定では、この施設基準が「病院であること」に変更されます。DPC対象病院であっても、入院した日から起算して5日以内に対象手術等を行う場合は、基本料3を算定することになります。この変更により、同じ短期滞在手術に対して、病院の類型にかかわらず統一された評価が適用されます。

なお、診療所については引き続き基本料3の算定対象外です。有床診療所で短期滞在手術を入院で実施する場合は、従来どおり出来高で算定します。

ポイント4|外来実施率が高い手術の評価見直しと入院手術対応加算の新設

基本料3の対象手術のうち、外来での実施率が特に高い手術について、2つの施策が講じられます。第1に、これらの手術の基本料3の点数が見直され、入院で実施した場合と外来で実施した場合の点数差が縮小されます。第2に、これらの手術を外来で一定程度実施している医療機関が、医学的に入院が必要な患者に対して入院で実施した場合の「入院手術対応加算」が新設されます。

この加算は、外来での手術に係る実績を一定程度有している病院を対象とする施設基準が設けられます。対象となる手術は、基本料3の対象手術のうち外来実施率が高い手術です。たとえば、K282水晶体再建術(眼内レンズ挿入・その他・片側)には548点、K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)には366点が加算されます。

対象手術は幅広く、眼科手術(涙管チューブ挿入術273点、眼瞼内反症手術206点、眼瞼下垂症手術347点、翼状片手術265点、治療的角膜切除術477点、緑内障手術1,043点など)、血管系手術(経皮的シャント拡張術・血栓除去術767~802点、下肢静脈瘤血管内焼灼術552点、下肢静脈瘤血管内塞栓術645点など)、消化器系手術(痔核手術298点、肛門ポリープ切除術316点など)、整形外科手術(手軟部腫瘍摘出術462点、ガングリオン摘出術411点、手根管開放手術568点など)と多岐にわたります。

この加算の趣旨は、外来で実施可能な手術の外来移行を促しつつ、臨床上入院での周術期管理が必要な患者には適切な評価を確保することにあります。前述のとおり、出血リスクの高い症例や全身麻酔を要する症例など、医学的に入院が必要なケースは一定数存在します。加算の算定には外来手術の実績要件が設けられるため、外来移行に取り組む医療機関が、真に入院を要する患者に対して適切な医療を提供した場合に評価される仕組みです。

まとめ

令和8年度改定における短期滞在手術等基本料の見直しは、4つのポイントで構成されます。第1に、基本料1の「ロ イ以外の場合」の点数がほぼ半額に引き下げられ、包括評価の実態に合わせた適正化が図られます。第2に、基本料3の対象手術が拡大され、既存手術の点数も実態を反映した水準に見直されます。第3に、DPC対象病院でも基本料3を算定する仕組みに統一され、算定方式の公平性が確保されます。第4に、外来実施率の高い手術の基本料3点数が見直されて入院と外来の点数差が縮小されるとともに、入院手術対応加算が新設され、外来移行を促しながら、医学的に入院が必要な患者への適切な評価が確保されます。今回の改定は、手術の外来移行を加速させるとともに、入院での実施が必要な患者への対応を両立させる内容となっています。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定における短期滞在手術等基本料の見直しについて解説されています。OECD諸国と比較して日本の日帰り手術実施率が低い現状を背景に、非効率を是正するため、日帰り手術の基本料1が適正化されました。また、DPC対象病院でも基本料3が算定可能となり、医学的に入院が必要な患者には「入院手術対応加算」が新設され、効率化と安全性の両立が図られています。

導入:非効率な医療会計の課題
日帰りのバスツアーを予約したのに、旅行会社の料金システムのバグか何かで、なぜか一泊分のホテル代まで強制的に払わされる。そんな理不尽な話があったら普通、怒りますよね。
いやー、消費者としては到底納得できないシステムですよね。
ですよね。実はつい最近まで、日本の医療費、特に手術の裏側では、これに近いバグが起きていたんです。
そうなんですよね。
ということで、あなたのためにカスタマイズされた今回の深掘りへようこそ。今日紐解く資料は、令和8年度開庭の短期滞在手術等基本料の4つの見直しポイントについてです。
はい。
今回のミッションは、日本の医療システムで急激に進む手術の日帰り化の全貌と、それが将来あなたが受ける医療にどう直結するのかを徹底的に解明することです。
日本の現状:低い日帰り手術実施率
まず大前提として、世界基準と比較すると日本の現状はかなり得意なんですよ。
得意と言いますと。
資料にある白内障手術のデータを見るとですね、OECD諸国の多くでは90%以上が日帰りで行われているんです。
90%以上ですか。
はい。でも日本はたったの54%で、地域によってはなんと32%にとどまっているんです。
半分近くの人がまだ入院しているってことですよね。
そういうことになります。
海外では日帰りが当たり前なのに、なんで日本はここまで遅れているんでしょうか。
あの日本特有のベッド通信工というか、手厚い入院設備を持つ病院が多いこととか、これまでの医療費の仕組みが入院を前提に作られていたのが大きな要因ですね。
あーなるほど。
基本料1の評価適正化の背景
ただ今回国はこの非効率を正すために、ついにメスを入れました。
どう変わったんですか。
日帰り手術を評価する基本量1の点数を、麻酔なしの場合で1359点から680点へとほぼ半減させたんです。
え、ちょっと待ってください。被害性手術を増やしたいなら、逆に点数、つまり病院への報酬を高くする目的じゃないですか。
そう思いますよね。
はい。半額にするなんて、完全に矛盾してませんかね。
素晴らしい視点です。一見矛盾しているように見えるんですが、ここで包括評価という仕組みの裏側を知る必要があるんです。
包括評価ですか。ざっくり言うとセット料金みたいなものですよね。
ええ、まさにその通りです。本来、日帰り手術の基本量は、検査や薬代などを全部ひっくるめたお得なセット料金にして、全体の医療費を抑えるためのものでした。
はいはい。
ところが、データを見てみるとですね、この基本量を算定した診療所からの総請求額は、算定しなかった場合とほとんど変わっていなかったんです。
え、ということは、患者とか国にとっては全然お得なセットになっていなかったと。
そういうことです。
診療所側が、通常のコストを下げないまま、効率化という名目のボーナス点数をただ上乗せして請求していた板桁だったんですね。
まさにそれです。割引のない抱き合わせ販売みたいなものですよね。
うわあ、それはひどい。
効率化を生んでいないのに、コストだけがかさむ。このバグを修正するために、実態に合わせて点数をガツンと適正化したわけです。
なるほど。ただのボーナスになっていた精度を修正したわけですね。
基本料3の算定方法統一とDPC病院への適用
ええ。
でも、システム全体が日帰りばかりを強く推奨するようになると、今度は別の問題が起きませんか。
と言いますと。
持病がある患者さんまで点数が低いからって理由で無理やり日帰りさせられたら危険ですよね。
ああ、その懸念に対するセーフティーネットこそが今回の改定のもう一つの目玉なんです。
ほう。
まず、これまで病院の規模によってバラバラだった基本量産という別の入院ルールの算定方法を統一しました。
それはどういうことですか。
これまでDPC対象病院と呼ばれるような、入院費を1日定額で計算する大きな病院では別のルールが適用されていたんですが、これを共通化してスッキリさせたんです。
大きな病院も小さな病院も同じ基準で評価されるようになったのは良いですね。
入院手術対応加算の新設:効率化と安全性の両立
でも、リスクの高い患者さんへの具体的な配慮はどうなっているんですか。
そこで新たに創設されたのが、入院手術対応加算という仕組みです。
入院手術対応加算。
はい。
生徒側もどうしても入院が必要な患者さんがいることはちゃんと理解していますから。
資料にあった、抗血栓薬を飲んでいて出血リスクが高い大腸ポリープの切除とか。
ええ。
あとは、認知症があって安静にするのが難しく、全身麻酔が必要な白内障手術とかのケースですよね。
その通りです。
そういった医学的に本当に入院が必要なケースには手厚く点数が加算される仕組みです。
例えば白内障なら548点が加算されます。
おお、しっかり加算されるんですね。
ただですね、ここからが非常に面白いところなんですが、この加算をもらうにはある厳しい条件があるんです。
厳しい条件?どんな条件ですか?
その病院が普段から日帰り手術をしっかりこなしているという実績が必要なんですよ。
ああ、なるほど。うちが面倒だから全部入院させますみたいな病院は評価されないわけですね。
そうなんです。
基本は日帰りで効率化を進めつつ、本当に必要な患者には手厚く対応する。
その両立ができている病院だけが生き残る仕組みなんですね。
ええ、これは医療の質を保ちながら持続可能なシステムを作っていくための非常に合理的なステップと言えますね。
まとめと将来への問いかけ
いや、病院の難解な会計ルールの話かと思いきや、あなたが将来受ける医療の効率化と安全性を両立させるためのかなり重要なアップデートだったというわけですね。
本当にそうですね。私たちの生活に直結する話です。
ということで今回の深掘りはこのあたりで。最後にあなたに一つの問いを残したいと思います。
はい。
こうして医療の裏側のルールがより効率的で合理的なものへと変化していく中で、今後数年のうちにあなたが今入院して当然と思い込んでいる他のどんな医療サービスが当たり前のように日帰りへと姿を変えていくのでしょうか。
うーん、気になりますね。
次に病院へ行くときにでもぜひご自身で想像してみてください。
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