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令和8年度改定 身体的拘束最小化の3つの見直しを解説
2026-06-09 05:56

令和8年度改定 身体的拘束最小化の3つの見直しを解説

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令和6年度診療報酬改定では、身体的拘束の最小化に向けた取組が入院料の通則に規定されました。この規定により、医療機関は緊急やむを得ない場合を除いて身体的拘束を行わない方針と、組織的に拘束を最小化する体制の整備を求められています。しかし、その後の調査では、施設間で身体的拘束の実施状況に大きな差が残ることが明らかになりました。本記事は、この差を埋めるために行われる令和8年度改定の見直しを、3つのポイントに整理して解説します。

令和8年度改定は、3つの見直しで身体的拘束の最小化を更に推進します。第1の見直しは、組織風土や実績の要件を加えた通則基準の充実です。第2の見直しは、体制の基準を満たす施設の減算を40点から20点へ軽減する見直しです。第3の見直しは、1日40点を算定できる「身体的拘束最小化推進体制加算」の新設です。

1.通則基準の充実 ― 取組の「質」を3つの追加で高める

通則基準の充実は、取組の質を高めるための3つの追加で構成されます。1つ目は組織風土に関する追加です。2つ目は研修内容に関する追加です。3つ目は実績要件の追加です。以下、それぞれを順に説明します。

組織風土の醸成は、基準に新たに明記された考え方です。改定後の基準は、患者の尊厳の保持と療養環境の質の確保という観点を冒頭に掲げます。この観点のもとで、医療機関は緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束を行わない方針を徹底します。さらに、こうした方針を組織全体に根づかせる組織風土の醸成にも努めることが求められます。

研修内容の充実は、職員の意識を高めるための追加です。改定後の研修では、含むことが望ましい内容として2つの項目が新たに示されました。1つは身体的拘束の代替手段に関する内容です。もう1つは患者の尊厳の保持の重要性に関する内容です。あわせて、拘束を最小化する指針には、鎮静を目的とした薬物の適正使用などの内容を必ず盛り込むことになりました(従来は「盛り込むことが望ましい」)。

実績要件の追加は、取組の成果を確認するための新しい基準です。この要件は、2つの選択肢のいずれかを満たすことを求めます。1つ目の選択肢は、身体的拘束の実施割合を医療機関内で1割5分(15%)以下に抑えることです。2つ目の選択肢は、拘束の原則廃止に向けて、3つの取組すべてを継続することです。3つの取組とは、3か月に1回以上の委員会の開催、拘束病棟での解除・代替策の検討(巡回または都度の多職種検討)、年2回以上の研修です。

実績要件には、施設の準備期間を見込んだ経過措置が用意されています。令和8年3月31日時点で届出を行っている病棟は、令和9年5月31日まで猶予されます。この期間は、指針への記載と実績の要件を満たしているものとして扱われます。

2.減算の見直し ― 体制を整えた施設は20点へ軽減

減算の見直しは、体制づくりに努める施設の負担を和らげる仕組みです。従来は、身体的拘束最小化の基準を満たせない施設に対し、入院料から1日40点を一律に減算していました。改定後は、この40点減算を原則としつつ、体制の基準を満たす施設には20点減算という軽い扱いを設けます。

20点減算の対象は、体制は整えたが実績の基準には届かない施設です。改定後の基準は、体制に関する基準と実績等に関する基準の2階建てに分かれます。このうち体制の基準だけを満たす施設は、40点ではなく20点の減算ですみます。一方、体制の基準すら満たせない施設は、これまでどおり40点の減算となります。

3.新加算の創設 ― 質の高い取組を1日40点で評価

身体的拘束最小化推進体制加算は、特に質の高い取組を評価する新しい加算です。この加算は、1日につき40点を算定できます。算定できる病棟は、療養病棟入院基本料をはじめとする6つの入院料・管理料を算定する病棟に限られます。算定には、体制・実績・情報公開という3種類の施設基準を満たす必要があります。

対象となる病棟は、6つの入院料・管理料に対応します。具体的には、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料です。これら以外の入院料を算定する病棟は、本加算の対象に含まれません。

施設基準は、3つの柱で組み立てられています。第1の柱は、拘束の最小化に資する十分な体制の整備です。第2の柱は、当該病棟における十分な実績の確保です。第3の柱は、取組内容の情報公開です。具体的には、病院全体としての取組・原則として拘束を行わない方針・拘束の実施状況の3点を、院内の見やすい場所に掲示し、あわせて原則としてウェブサイトにも掲載します。

まとめ ― 患者の尊厳を守るケアを後押しする改定

令和8年度改定は、3つの見直しで身体的拘束の最小化を更に推進します。通則の基準は、組織風土と実績の要件を加えて充実します。減算は、体制の基準を満たす施設で40点から20点へ軽減されます。そして、質の高い取組には「身体的拘束最小化推進体制加算」として1日40点が新たに評価されます。これらの見直しは、患者の尊厳を守るケアを後押しするものといえます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、身体的拘束の最小化に向けた3つの見直しが解説されています。この改定は、施設間の拘束実施状況の格差を是正し、単なるマニュアルではなく組織風土そのものを変革することを目指しています。通則基準の充実、体制基準を満たす施設への減算軽減、そして質の高い取り組みへの新たな加算創設を通じて、患者の尊厳を守るケアを社会全体で推進する内容となっています。

導入と身体的拘束の背景
あのー、医療行為って、なんか高額的な正確さを期待しちゃいますよね。骨折したらレントゲン取って、ここ折れてるからギプスで物理的に固定しましょうみたいな、白黒はっきりしてる安心感というか。
えー、そうですね。目に見える絶対的な安全ですね。 まあ、医療の場では私たち自身も無意識にそれを求めてしまいますから。
そうなんです。でも患者の尊厳っていう領域に足を踏み入れた途端に、その明確なレントゲン写真が急にぼやけ始めるんですよね。
確かに非常にデリケートな問題になってきますね。
ということで今回は、リスナーのあなたやご家族が将来直面するかもしれない、ある医療現場のルール改定について深掘りしていきます。ミッションは、令和8年度診療報酬改定における身体的拘束最小化の3つの見直しを解読することです。
はい。身体拘束って聞くとちょっとショッキングかもしれませんが、背景を知ることがとても重要ですね。
そうなんですよ。そもそも病院側だって好きで患者さんをベッドに縛り付けているわけじゃないですよね。
もちろんです。あの、夜勤で看護師1人が何十人もの患者さんを見なきゃいけないような慢性的な人手不足が根底にあるんですよね。
まあ、現実的に目が届かない時間帯もありますよね。
ええ。もし認知症の患者さんが夜中に1人で歩き回って転倒して骨折でもしたら、病院はご家族から責任を貯められない。だから事故を防ぐための苦肉の策として拘束が行われてきたという現実があります。
なるほど。現場の恐怖心とか訴訟リスクが絡んでるわけですね。でもちょっと待ってください。そもそも令和6年度のルールで、やむを得ない場合を除いて拘束しないっていう方針がすでに出されてましたよね。なんでまた改定するんですか?
令和6年度改定の課題と令和8年度改定の目的
それがですね、理念としては立派だったんですが、結果的に何をやむを得ないとするかの判断が現場に丸投げされちゃったんですよ。
ああ、なるほど。基準が曖昧だったと。
そうなんです。その結果、ある病院では必死に工夫して全く拘束しないのに、別の病院では当たり前のように拘束が続くっていう、施設間で巨大な格差が残ってしまったんですね。
いやー、それは問題ですね。つまり今回の改定は単なるマニュアル作りから組織のDNAというか、風土そのものを変えるフェーズに入ったってことですか?
第1の見直し:通則基準の充実と実績要件
まさにその通りです。だから第一の見直しとして、通則基準がすごく充実しました。尊厳補助の徹底はもちろん、高速の代替手段とか鎮静薬の適正使用に関する研修の義務化が盛り込まれたんです。
うーん、でもちょっと意地悪な見方をすると、理念を掲げたり研修をやったりするだけで、あの忙しい現場が本当に変わるんですか?
おっしゃる通りです。だからこそ、今回は新しく実績要件っていう結果を出すための具体的なハードルが設定されたんです。
実績要件ですか?具体的には?
二つなんですが、一つは高速の割合を全体の15%以下に抑えるっていう実数のクリアです。
15%以下、数字でバシッと決めてきたわけですね。
もう一つが、それが難しくても、委員会とか多職種の巡回検討、そして研修の3つを継続して実施すること、このどちらかが求められます。
ちなみに、令和9年の5末までは準備の猶予期間になっていますよ。
なるほど、逃げ道を塞いできましたね。
第2・第3の見直し:減算軽減と新加算の創設
でも、高いハードルを設定するだけじゃなくて、原画の苦労とか努力をシステムとしてどう評価して支援するんですか?
そこで効いてくるのが第2、第3の見直しです。今回は病院のお財布、つまり診療報酬に直接メスを入れているんです。
お金が絡んでくるんですね。
はい。これまで基準を満たさない病院には、患者1人につき1日40点のペナルティ、つまり減算が課されていました。
でも今回、体制を整えれば、実績が足りなくてもペナルティを1日20点に軽減する救済措置ができたんです。
半分に減らしてくれると。でも1日40点とか20点って、数字だけ聞くとあんまり大したことなさそうに聞こえちゃうんですけど。
いやいや、診療報酬って1点が10円換算なんですよ。だから40点なら400円。
それが患者さん全員、毎日1年365日となれば、病棟全体で数百万円から数千万円単位の経営的なインパクトになります。
えぇ、数千万円。それは経営人も絶対無視できないですね。
そうなんです。さらに療養病棟など6種の入院料に限定されますが、体制や実績を満たして、
かつ院内掲示やウェブサイトで実施状況を情報公開した施設には、
身体的拘束最小化推進体制加算として1日40点がプラスされるご褒美も創設されました。
なるほど。ペナルティを緩める救済措置と情報公開を伴うトップクラスの努力へのご褒美。
この飴と鞭の両輪で医療業界全体の底上げを狙ってるんですね。
まとめと問いかけ
ええ。すべての見直しは、結局のところ患者の尊厳を守るケアを社会全体で後押しするためのものなんです。
まさに仕組みで現場を動かすってことですね。さて最後にリスナーのあなたにちょっと考えてみてほしいことがあります。
今後、病院のウェブサイトで身体的拘束の実施状況が公開されるようになれば、選ぶ側の意識も変わりますよね。
そうなんです。もし明日、あなたの大切な人が入院することになったら、
転倒などを防ぐ絶対的な安全を優先してベッドに縛り付けてでも守ってくれる病院と、
リスクがあっても自由と尊厳を守る方針の病院、あなたならどちらを優先する病院を選びますか?
正解のない問いですが、ぜひ一度ご自身に問いかけてみてください。
05:56

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