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2025-10-16 08:13

医療機関の身体的拘束を最小化する取組:令和6年度診療報酬改定の効果と課題

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令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会は、医療機関における身体的拘束の実態を明らかにしました。高齢患者の増加に伴い、身体的拘束の実施率は施設によって大きな差があります。患者の尊厳を守る観点から、身体的拘束を最小化する組織的な取組が求められています。

分科会の調査結果によると、身体的拘束の実施率は急性期から慢性期まで幅広く、特に認知症患者において実施率が高いことが判明しました。令和6年度診療報酬改定では認知症ケア加算の見直しが行われ、身体的拘束を実施した日の算定割合は28.1%に減少しています。身体的拘束を最小化するための指針は9割の医療機関で策定されているものの、管理者から職員への方針発信や代替方策の検討といった具体的な取組は5割から7割程度にとどまっています。身体的拘束を減らすには、経営者や管理者のリーダーシップによる組織一丸となった取組が必要です。

身体的拘束の実施状況と実施理由

身体的拘束の実施状況は病棟の種類によって異なり、実施理由も多様です。急性期から慢性期までの多くの入院料で、身体的拘束の実施率は0%から10%未満の施設が最も多い状況です。一方、回復期リハビリテーション病棟では実施率20%以上の施設が約3割、療養病棟と障害者施設等入院基本料では約4割を占めています。

身体的拘束の実施理由として、治療室と療養病棟では「ライン・チューブ類の自己抜去防止」が5割を超えています。地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、障害者施設では「転倒・転落防止」が5割を超えています。身体的拘束が行われている患者のうち、「常時:手指・四肢・体幹抑制」の割合は、治療室、地域包括医療病棟、療養病棟で約4割に達しています。

身体的拘束の実施期間について、調査基準日から過去7日間において身体的拘束を実施した日数が「7日間」である割合を見ると、地域包括ケア病棟で70.7%、回復期リハビリテーション病棟で78.8%、療養病棟で89.3%、障害者施設等で86.7%となっています。この数値は、これらの病棟では身体的拘束が継続的に実施されている実態を示しています。

認知症患者と身体的拘束の関係

認知症患者における身体的拘束の実施率は、認知症のない患者と比較して顕著に高い状況です。患者の状態別の身体的拘束の実施状況では、「認知症あり」「BPSDあり」「せん妄あり」の患者において実施率が高くなっています。要支援よりも要介護の患者で実施率が高く、認知症高齢者の日常生活自立度が低いほど実施率が高い傾向があります。

いずれの入院料においても、「認知症あり」の場合は身体的拘束の実施率が高い結果となっています。「認知症なし」の場合における身体的拘束の実施率は、治療室で26.2%、療養病棟で11.7%、障害者施設等で25.1%ですが、それ以外の病棟では10%以下です。認知症の有無が身体的拘束の実施に大きく影響していることが明らかになっています。

認知症患者の適切な医療を評価する目的で、平成28年度診療報酬改定において認知症ケア加算が新設されました。令和6年度診療報酬改定では、身体的拘束を実施しなかった日と実施した日の点数についてそれぞれ見直しが行われています。「身体的拘束を実施した日」として算定した割合は、令和6年では28.1%と減少に転じています。特に認知症ケア加算1では、令和5年の29.8%から令和6年の25.8%へと4%減少しており、診療報酬改定の効果が表れています。

身体的拘束を最小化する組織的取組

身体的拘束を最小化するには、指針の策定と体制整備が重要です。令和6年11月1日時点において、身体的拘束を最小化するための指針を策定している医療機関は90.9%、身体的拘束の実施・解除基準を策定している医療機関は90.1%となっています。令和6年度診療報酬改定では、入院料の施設基準に身体的拘束を最小化する体制整備が規定されています。

身体的拘束廃止に向けた方針として、「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き(令和6年3月)」では、特に管理者等の責任者が「身体的拘束を原則しない」という決意を持つことが示されています。責任者は職員をバックアップする方針を徹底し、組織一丸となって考えを共有して取り組む必要があります。身体的拘束を必要としない環境の整備、患者本人や家族との対話や意思確認、やむを得ず身体的拘束を行った場合でも常に代替手段を検討することが求められています。

身体的拘束を予防・最小化するための具体的な取組として、「院長・看護師長が、身体的拘束を最小化する方針を自らの言葉で職員に伝え、発信している」医療機関は53.4%です。「身体的拘束が行われるたびに、代替方策がないかどうか複数人数で検討する仕組みがある」医療機関は71.0%となっています。身体的拘束最小化の指針の中に薬物の適正使用についての内容を定めている施設は40.9%です。職員向けのデータの可視化に取り組んでいる施設は47.2%ですが、対外的に公表している施設は10.7%にとどまっています。

令和6年度診療報酬改定において、DPC/PDPSの機能評価係数Ⅱにおける新たな評価として、医療の質に係るデータの提出や病院情報等の公開を評価するようになりました。この指標の1つとして身体的拘束の実施率が含まれており、医療機関の取組を促進する仕組みが整備されています。

分科会での議論と今後の方向性

分科会では、身体的拘束を最小化する取組の推進について活発な議論が行われました。委員からは、入院患者として高齢者が増えている中で、転倒防止のために行動を制限することは本末転倒であるとの意見が出されています。医療機関内で転倒しても大事に至らないような環境整備等を行うとともに、不要な医療処置は行わない、早期に慣れた環境に戻るなどの対応が進むように社会全体での議論を醸成していくべきとの指摘があります。

身体的拘束を最小化する取組は、患者の尊厳を守る観点からも重要であり、取組を推進する工夫が必要です。経営者や管理者のリーダーシップをはじめとして組織一丸となっての取組が求められています。指針の策定は進められている一方で、患者に医療処置を説明する掲示物の導入、緩衝マットの活用、管理者から職員への発信等の取組は比較的実施が少ないことが調査結果からも明らかになっています。

委員からは、身体的拘束を最小化する取組への努力は必要だが、転倒・転落のリスクは生じるとの指摘もあります。離床センサーマットの活用や段差の解消等は必要ですが、家族の理解も重要となります。病院にいたら転倒しないと思われるのは異なるため、風土を醸成する必要があります。組織が一丸となって取り組むことも重要であり、そのような取組が表に出やすい評価を工夫する必要があるとの意見が出されています。

認知症ケア加算について、令和5年から令和6年にかけて身体的拘束の実施割合が減少していますが、令和6年度診療報酬改定による減算の見直しによって身体的拘束が減少しているのだとすれば、もう少し評価を厳格化することもあり得るのではないかとの意見もあります。ICTやAIの活用で拘束を減らすことを評価するようなプラスの評価も重要であり、取組をインセンティブとして活用するのがよいのではないかとの提案もなされています。

まとめ

入院・外来医療等の調査・評価分科会の調査結果から、医療機関における身体的拘束の実施状況と課題が明らかになりました。身体的拘束の実施率は施設によって大きな差があり、特に認知症患者において実施率が高い状況です。令和6年度診療報酬改定による認知症ケア加算の見直しは一定の効果を示していますが、身体的拘束を最小化する具体的な取組は道半ばです。経営者や管理者のリーダーシップのもと、組織一丸となって患者の尊厳を守る医療を実現することが求められています。



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サマリー

日本の医療機関における身体的拘束の現状と、令和6年度の診療報酬改定について考察されています。対応策として、身体的拘束の実施率や認知症ケアの影響が検討され、組織文化や社会的意識の重要性が浮き彫りになっています。

身体的拘束の実態
こんにちは、ザ・ディープダイブです。 さて、今回はですね、日本の医療機関における身体的拘束
非常に重く、そしてデリケートなこのテーマについて、深く掘り下げていきたいと思います。 高齢化が進む中で、どうしても避けては通れない問題と言いますか、患者さんの安全と、そして尊厳、このバランスをどう取るか、本当に難しい問題ですよね。
手元にあるのは、入院外来医療等の調査評価文化会の最新の報告書です。 この資料のもとに、身体的拘束のリアルな現状、それから最近の診療報酬改定、これがどう影響しているのか、そして現場が直面している課題、
これらを紐解いていきたいと思います。 きっとあなた自身の考えを整理する上での何かヒントが見つかるんじゃないかなと思います。
まずですね、驚くのはこの身体的拘束の実施率、これが施設によって本当にバラバラだということなんです。
旧世紀から満世紀までいろいろあるわけですが、特に回復期リハビリテーション病棟、これだと約3割、それから療養病棟に至っては約4割の施設で実施率が20%を超えていると、
これかなり高い筋だと感じますね。 そうですね、実施率もさることながら、特に注目すべきは拘束の期間なんですね。
資料を見ると、療養病棟では約9割、そして回復期リハビリ病棟でも8割近くで7日間連続という、そういう拘束が行われている実態が報告されているんです。
7日間連続ですか?
ええ、これはもう一時的な安全確保というレベルを超えて、ある種状態化してしまっている可能性すら示唆していて、非常に重いデータだと受け止めています。
7日間、それは想像以上に長いですね。 理由としては、治療室とか療養病棟では、ラインチューブ類の自己抜去防止が多いと。
地域包括ケアとか回復期リハでは、転倒転落防止が半数以上ということですが、この長期化というのはまた別の問題を考えさせられますね。
そしてこの問題と非常に深く関わっているのが、やはり認知症の存在です。
この資料を見てみますと、認知症あり、それからBPSDあり、これは認知症に伴う興奮とか徘徊といった行動心理症状のことですね。
さらに専門あり、これらの患者さんで高速の実施率が一印高くなっているという傾向が見られます。
例えば療養病棟のデータですと、認知症なしの患者さんの実施率が11.7%なんですね。
これに対して認知症ありだと明らかにぐっと高くなるんです。
これは単に認知症のケアが難しいという側面だけではなくて、現状では有効な代替手段というのが乏しくて、
結果として高速という手段に頼らざるを得ないという現場の苦悩を反映しているとも言えるかもしれませんね。
なるほど。認知症ケアのあり方そのものが直接的に関わってくる問題なわけですね。
診療報酬改定の影響
一方で少し変化の兆しというか動きもあると伺いましたが、
令和6年度の診療報酬改定で認知症ケア加算が見直された影響が出ているということですね。
そうなんです。身体的拘束を実施しなかった日をより評価する形に改定されたわけです。
その結果として、身体的拘束を実施した日として加算を算定した割合、
これが令和5年の約3割から令和6年には28.1%へとわずかではありますが減少しています。
特に認知症ケア加算1の方では4%減となっていて、一定の方向性は示されたのかなとは思いますね。
なるほど。この数字、わずかといえ減少していると。現場の感覚としてはこれはどうなんでしょう。やはり大きな変化とまでは。
まだ大きな変化とまでは言えないかもしれませんね。ただ重要な一歩であることは間違いないと思います。
しかし、課題はやはり根深い。というのもですね、身体的拘束を減らすための指針、これ自体は実は9割以上の医療機関で策定はされているんですよ。
策定はされていると。
ただそれが、じゃあ現場で本当に徹底されているか実践されているかというと少し疑問符がつく状況でして、
例えばですね、院長先生や看護師長さんが最小化の方針をちゃんと自分の言葉で職員に伝えているかというと、これが約半数、53.4%にとどまっている。
半数ですか。
それから拘束が行われるたびに、じゃあ大対策を複数人でちゃんと検討する、そういう仕組みがあるかというと、これも約7割、71.0%なんですね。
やはりトップの明確なコミットメントと、組織全体で具体的な大対策を考え続ける、そういう文化、これが不可欠なんですが、まだ道仲間という状況が見えてきます。
なるほど。方針があるだけではダメで、それをどう実践のレベルに落とし込んでいくか、そこが鍵ということですね。
まさにおっしゃる通りです。ただ、少し期待できる動きとしては、令和6年度改定で、DPC、DPS、つまり診断群分類に基づく包括評価制度ですね。
ここの評価項目の中に、身体的拘束の実施率が入ったんです。これは病院の経営評価にも関わってくる可能性がある話なので、組織的な取り組みを後押しする力には、もしかしたらなるかもしれないなと見ています。
文会での議論もかなり白熱しているようですね。転倒防止のために行動を制限するというのは、そもそも目的を見誤っていませんか?とか、あるいは転倒しても大事に至らないような、そういう環境を整える方が先んぜつじゃないか?といった意見も出ているとか。
そうした理想を追求する意見がある一方で、やはり現場の現実を踏まえた声も非常に強いです。拘束を減らす努力はもちろん必要だ。だがリスクはゼロにはならない。そこをご家族にも理解していただくことや、あるいは病院に対して過度な安全神話のような期待を社会全体で変えていく必要があるんじゃないかという指摘ですね。
今後の課題と方向性
センサーですとか環境整備ももちろん重要なんですけど、それだけではなかなか解決しない複雑さがここにはありますね。
本当にそうですね。
今後の方向性としてはですね、認知症ケア加算の評価をさらに厳しくして拘束削減を促していくべきだという意見もあれば、逆にICTとかAIとかそういった新しい技術を活用して拘束を減らす努力をした施設をもっとインセンティブで積極的に評価してはどうかというような提案も出ています。
なるほど。アメとムチというか両方からのアプローチですね。
どうすれば現場の努力が報われて、そして患者さんの尊厳を守るケアというのが推進されるのか、まさに制度設計の知恵が問われている局面かなと思います。
今回の資料を通して見てきますと、やはりこの身体的拘束の問題というのは単に個々の現場の努力だけで解決できるものではなくて、制度、それから組織の文化、さらには社会全体の意識、これらが複雑に絡み合った課題だということがよくわかりますね。
診療報酬の改定というのはその一つのきっかけ一助にはなるんでしょうけれども、本当に真の意味で患者さんの尊厳を守るケアを実現していくためには、私たち一人一人がですね、安全とそして自由というこの2つの価値を具体的にどう両立させていくべきなのか、このある種根源的な問いと向き合っていく必要があるのかもしれません。
この問いをぜひあなた自身の考察のきっかけとして持ち帰っていただけたらなと思います。
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