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2026-03-15 06:38

【令和8年度改定】障害者施設等入院基本料における廃用症候群の評価が変わる|3つの入院料が対象

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令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料等における廃用症候群の患者の評価が見直されます。この見直しは、障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院する廃用症候群の患者の状態が、療養病棟に入院する患者と類似しているという実態調査の結果を踏まえたものです。本記事では、この見直しの背景、具体的な改定内容、対象となる入院料と除外される患者について解説します。

今回の改定では、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、主傷病名が廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に変更されます。ただし、廃用症候群を発症する以前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は、この見直しの対象外です。この変更により、該当する廃用症候群の患者の診療報酬は、療養病棟に準じた評価に切り替わります。

見直しの背景:廃用症候群の患者状態は療養病棟と類似

障害者施設等入院基本料を算定する病棟では、廃用症候群の患者が多く入院しています。令和6年度の実態調査によると、障害者施設等入院基本料の10対1入院基本料では廃用症候群の患者が5.0%を占め、13対1・15対1入院基本料では11.8%を占めていました。これらの患者は「肢体不自由」として対象患者に含まれている割合が高い状況です。

こうした廃用症候群の患者の状態は、療養病棟に入院する患者と類似していることが明らかになっています。認知症の有無、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)、医療的な状態のいずれにおいても、障害者施設等入院基本料と療養病棟入院料で類似した分布を示しました。一方で、レセプト請求点数は障害者施設等入院基本料の方が高い状況でした。

患者の状態が類似しているにもかかわらず、請求点数に差がある背景には、障害者施設等入院基本料の算定構造の違いがあります。障害者施設等入院基本料は「個別の病態変動が大きく、その変動に対し高額な薬剤や高度な処置が必要となるような患者」を対象としており、投薬・注射・処置等が原則出来高で算定されます。これに対し、療養病棟入院基本料は医療区分とADL区分に応じた包括評価です。同じような状態の患者であっても、入院する病棟によって評価体系が異なることが、慢性期入院料の役割分担の観点から課題とされていました。

これまでの経緯:段階的に進められてきた評価の見直し

今回の廃用症候群に関する見直しは、障害者施設等入院基本料における累次の改定の流れを引き継ぐものです。療養病棟と障害者施設等入院基本料の双方に多く入院している患者については、過去の改定で段階的に療養病棟に準じた評価体系への見直しが行われてきました。

平成28年度改定では、重度の意識障害者(脳卒中の後遺症の患者に限る)のうち、医療区分1または2に相当する患者について、療養病棟入院基本料の評価体系を踏まえた評価が導入されました。続く令和4年度改定では、重度の意識障害を有さない脳卒中の患者についても、同様に療養病棟入院料の評価体系を踏まえた評価が導入されています。さらに令和6年度改定では、透析を実施する慢性腎臓病患者について、療養病棟入院基本料に準じた評価体系とする見直しが行われました。

令和8年度改定における廃用症候群の見直しは、こうした段階的な見直しの延長線上に位置づけられます。脳卒中の後遺症、脳卒中、慢性腎臓病に続き、廃用症候群が療養病棟に準じた評価の対象に加わることになります。

改定の具体的な内容:廃用症候群の患者を療養病棟に準じた評価に

今回の改定では、障害者施設等入院基本料の注13の算定要件が変更されます。現行の注13は、脳卒中または脳卒中の後遺症の患者を対象としていました。改定後は、この対象に廃用症候群の患者が追加されます。

具体的には、注13の対象患者が「脳卒中又は脳卒中の後遺症の患者」から「脳卒中、脳卒中の後遺症又は廃用症候群の患者」に拡大されます。この対象患者のうち、医療区分2または医療区分1に相当する患者については、通常の障害者施設等入院基本料ではなく、療養病棟に準じた点数で算定することになります。

改定後の除外要件も拡充されています。現行では、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等が除外対象でした。改定後は、これらに加えて「脳卒中又は廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)であった患者」が除外対象として明記されます。つまり、もともと重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者が廃用症候群を発症した場合は、引き続き従来どおりの障害者施設等入院基本料(出来高)で算定できます。

対象となる3つの入院料

この見直しは、障害者施設等入院基本料だけでなく、特殊疾患入院医療管理料と特殊疾患病棟入院料にも適用されます。3つの入院料に共通して、主傷病名が廃用症候群の患者について療養病棟に準じた評価が導入されます。

障害者施設等入院基本料は、個別の病態変動が大きく高額な薬剤や高度な処置が必要となる患者を対象とする入院料です。重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等が7割以上を占めることが施設基準となっています。特殊疾患入院医療管理料と特殊疾患病棟入院料は、処置内容や病態の変動はそれほど大きくないものの、医療の必要性が高い患者を対象としています。

3つの入院料に共通する除外要件として、廃用症候群を発症する以前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は対象外となります。この除外要件が設けられた背景には、実態調査のデータがあります。廃用症候群の患者のうち、身体障害者障害程度等級表の1級・2級に該当する患者は、療養病棟の患者と比べてより頻回な看護提供を必要とする割合が高いことが示されていました。このため、もともと重度の障害がある患者については、従来の評価体系を維持することが適切と判断されたのです。

まとめ

令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に見直されます。この見直しは、廃用症候群の患者の状態が療養病棟と類似しているにもかかわらず請求点数に差があるという実態を踏まえたものです。ただし、廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は除外されます。対象となる医療機関では、廃用症候群の患者の入院管理体制と算定方法の見直しが必要になります。



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サマリー

今回の診療報酬改定では、廃用症候群の患者に対する評価が見直されます。これまで障害者施設等入院基本料を算定する病棟の廃用症候群患者は、療養病棟の患者と状態が類似しているにもかかわらず医療費が高くなるという矛盾がありました。この改定は、データに基づき、状態が安定した廃用症候群の患者を療養病棟に準じた包括評価に移行させつつ、廃用症候群発症前から重度の肢体不自由であった患者は除外することで、医療資源の適正な再配分を目指します。

医療費の「定食」と「アラカルト」の矛盾
あのリスナーのあなたにちょっと想像してみてほしいんですけど、今すごくお腹が空いていて、目の前に全く同じ内容のハンバーグ定食があるとしますよね?
はい、ハンバーグ定食ですか?
ええ。で、一つは近所の食堂で出される、いわゆる普通の定額の定食メニューなんです。
なるほど。
でも、もう一つは、高級レストランでハンバーグ、ご飯、お味噌汁をそれぞれ単品、つまりアラカルトで頼んだものだとします。
ああ、なるほど。
これ、食べているものは全く同じなのに、お会計の時に払う金額が全然違うってなったら、おかしいと思いませんか?
まあ、腑に落ちないですよね。中身が同じなら払うお金も同じであるべきだって、普通は誰もが考えるはずですから。
ですよね。でも実はこれ、今の日本の医療制度で実際に起きていることなんですよ。
医療費計算の二つのシステム
ええ、そうなんですよね。
今回の深掘りでは、令和8年度の診療報酬改定に関する資料を読み解いていくんですが、まさにその矛盾について書かれていて、
はい。
医療費の計算って、大きく分けて2つのシステムがありますよね。先ほどのレストランの例で言うなら、処置をした分だけ加算されるアラカルト注文と、状態に応じて定額となる定食メニューのような。
えっと、医療の世界ではですね、そのアラカルトを出来高払い、定食を包括評価と呼んでいるんです。
出来高払いと包括評価ですね。
はい。本来アラカルト方式っていうのは病状が不安定で、次にどんな高度な処置とか薬が必要になるか予測できない、そういう重症患者さんのためのシステムなんですよ。
ああ、なるほど。じゃあ定食方式の方は?
一方の定食方式は、状態が比較的安定していて、毎日決まったケアが継続的に必要な慢性期の患者さん向けに作られているものなんです。
ということは、それぞれ想定している患者さんの目的が違うわけですね。
廃用症候群患者の現状と課題
そういうことです。
でも今回の調査データを見ていてすごく驚いたのが、肺腰症候群の患者さんたちについてなんですけど。
はい。肺腰症候群ですね。
そもそもこの肺腰症候群って、ずっと寝たきりだったりして、体が弱ってしまった状態のことですよね。
ええ、その通りです。病気とか怪我による長期の入院で、動かない期間が続くことで筋力とか身体機能、さらには認知機能まで低下してしまう状態のことですね。
ですよね。データによると、障害者施設などのアラカルトで計算される病棟にいる肺腰症候群の患者さんと、療養病棟っていう定食で計算されるベッドにいる患者さんって、認知症の有無とか寝たきりの度合いがそっくりなんですよ。
ええ、データ上は非常に酷使していますね。
なのに、アラカルトの病棟にいる方が請求される医療費が高くなっているんです。なぜ、状態が安定しているはずの彼らが不安定な人向けの高額な病棟にいるんでしょうか。
矛盾の背景:歴史的経緯とベッド割り振り
ああ、そこが過去の制度のすごく複雑なところでして。
複雑ですか。
はい。障害者施設等の病棟って、本来は重度の障害や神経難病の方を受け入れる場所なんですが、一部の患者さんが、状態は安定しているんだけれども、過去の枠組みの中でその病棟に留まっているという実態があったんです。
ああ、なるほど。
結果として、同じような状態なのに、いるベッドの看板が違うだけで、医療費が変わるという、そういうねじ家が生じていたんですね。
つまり、歴史的なベッドの割り振りの結果なんですね。じゃあ、今回の改定で国は、その定食メニューの料金に統一しようとしているということですか。
段階的な評価見直しの流れ
ええ、方向性としてはそうです。ただですね、これは国が突然ポンと始めたことではないんですよ。
あ、違うんですか。
はい。平成28年、脳卒中患者さんの評価見直しから始まっていて、最近だと、透析を行う慢性腎臓病の患者さんなど、少しずつ、状態が安定しているなら定額制の病棟に合わせようという、ドミノ倒しみたいな動きが続いてきたんです。
えー、過去からの段階的な流れなんですね。
ええ、今回の肺腰症候群の見直しも、その慢性起入量の役割分担を見直すという、大きな流れの次の一手なんですよ。
コストカットではない:除外要件とセーフティーネット
うーん、なるほど。でもちょっと待ってください。
はい、何でしょう。
それって、聞こえはいいですけど、要するに国が医療費のコストカットをしたいだけじゃないですか。
あー、一律の切り捨てじゃないかと。
ええ、同じ状態なら安い方に合わせようみたいな。もし、もともと重い麻痺なんかがあって、本当に頻繁なケアが必要な人がいたら、その人たちまで一律で予算を削られてしまうんでしょうか。
そこ非常にお見鋭い視点ですね。まさにそこが今回のポイントでして。
と、言いますと?
実は単なる一律のコストカットにはなっていないんです。データに基づいた除外要件というセーフティーネットがしっかりと用意されているんですよ。
つまり、例外として守られる人たちがいるってことですか?
はい。肺腰症候群になる以前から10度の死体不自由があった患者さんは、今回の見直しの対象から外れる仕組みになっています。
あー、そうなんですね。
ええ。調査データを見ると、もともと10度の障害がある方には、やはり頻快な看護の提供が必要であることがはっきりと証明されているからです。
なるほど。データに基づいて、本当に手厚いケア、つまりアラカルトの仕組みが必要な人をちゃんと見極めているんですね。必要なところにはきちんと医療資源を残していると。
その通りです。客観的なデータを使って、本来の目的に沿った形で、医療資源の再配分をより正確に行おうとしているわけです。
医療の持続可能性と未来
これって、聞いてくださっているあなたにとっても、決して他人事ではないですよね?
ええ。間違いなく社会全体の課題です。
私たちが将来病気になった時、限られた医療費というお財布をどうやりくりして、本当に必要な人を守っていくのか。これはまさにサステナビリティに直結するお話ですね。
そうですね。高齢化が限界まで進む中で、こうしたデータに基づいた制度の適正化というのは、今後私たちがどのような医療インフラを維持できるかを左右する本当に重要なプロセスになります。
本当にそうですね。こうやってデータ分析が進むと、医療の世界にはまだまだ私たちが知らない隠れたコストの不一致が眠っている気がします。
ええ。確実にまだまだあるでしょうね。
もしかしたら将来、リスナーのあなどの最適な入院先と医療費のバランスを、人間の意思ではなくてAIが完全に計算して決定する、そんな未来が来るのかもしれないですね。
それは十分にあり得る話だと思いますよ。
高級レストランのアラカルトか、それとも食堂の定食か、その線引きの裏側には緻密なデータのドラマがあることをぜひ皆さん覚えておいてください。
06:38

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