色が温度のサインだというのはすごくわかりやすいです。でもここで一つ疑問が浮かぶんですが。
なんでしょうか?
同じ星なのに、どうして3000度の星と数万度の星に分かれるんでしょうか?何がその違いを生んでいるんですか?
ああ、それがまさに星の運命を決定づける最も重要な要素なんですよ。
ほう。
答えは驚くほどシンプルで、星が生まれた時の質量、つまり重さです。
重さですか?
ええ。この最初の体重が、その星の温度、一生の長さ、そして最後の死に様まで、すべてを決定してしまうんです。
生まれた瞬間の体重で人生のシナリオが全部決まるなんて、なんだか残酷というか身も蓋もないですね。
まあ、人間からするとそう感じるかもしれませんね。
でも、どうして重さが温度に直結するんですか?
星が光り輝くためのエネルギー源について考えてみましょう。
星の内部の中心ではですね、巨大な重力によって物質がギュッと押しつぶされてるんです。
はい。
そこで、水素を燃料にして莫大なエネルギーを生み出す核融合反応が起きています。
言ってみれば、巨大な水素爆弾が連続して爆発しているような状態ですね。
なるほど。
なので、質量が大きくて重い星ほど、自分の巨大な重力で中心部分をより強く猛烈に押しつぶすことになるんですよ。
圧力が強くなるから、反応も激しくなるということですか?
その通りです。
重力で強く押しつぶされれば押しつぶされるほど、核融合反応が猛烈な勢いで進んで、信じられないほどの熱を生み出します。
ああ、だから重い星は数万トの超高温になって、青色く輝くわけですね。
ええ、そういう仕組みです。
えーっと、ちょっと待ってください。
ということは、巨大で重い星って、燃料の水素自体はたくさん持っているはずですよね?
はい、たくさん持っています。
でも反応が激しいなら、燃え尽きるのも早いってことですか?
そうなんですよ。
例えるなら、燃料タンクは巨大だけど、燃費が最悪な大型のSUV車が、アクセル全開で猛スピードでガソリンを消費しながら爆走しているような状態ですかね?
まさにその見事な例えの通りです。
重い星は超高温で青白く華やかに輝きますが、ものすごい勢いで燃料を浪費するので、あっという間に一生を終えてしまうんです。
あっという間ってどれくらいですか?
まあ、寿命は数百万年程度ですね。宇宙のスケールで見ればほんの一瞬の命です。
数千年で一瞬なんですね。
ということは、逆に体重の軽い小さな星は、小型のエコカーが少しのガソリンでゆっくりゆっくり長く走るようなものですか?
ええ、まさにエコカーです。
太陽より軽い小さな星は、自分の重力が弱いので、中心を押しつぶす力も弱くて、核融合反応が非常に穏やかに進みます。
反応が穏やかってことは温度も低いと。
その通りです。そのため、低温で赤く光るんですが、燃料を少しずつしか使わないので、数千億年という途方もない期間を生き延びるんです。
数千億年、宇宙が誕生してからまだ13億年ですよね。
そうなんです。だから、宇宙の最初期に生まれた軽い星たちは、今もなお現役でゆっくり燃え続けているんですよ。
重い星は華やかだけど太く短く生きて、軽い星は地味だけど細く長く生きる。ものすごく人間臭くて面白いですね。
ええ、本当にそうですね。
さて、この途方もない時間を理解するのは大人でも難しいんですが、ここで資料の中にある東京学芸大学の論文を取り上げさせてください。
はい、立体教材の論文ですね。
ええ、この論文を読んでハッとしたんですが、大学生ですら、星に寿命があることや、最後にブラックホールになるという事実を知らない人が多いそうなんです。
まあ、無理もありません。教科書の平面的な図解やテキストだけで、何十億年という時間や何千万倍という大きさの変化を直感的に把握するのは至難の技ですからね。
そこで研究者たちは、すごくアナログで画期的な解決策を考案しました。ミリカナアイテムを使って星の一生を可視化する立体模型の教材を作ったんですよね。
ええ、面白いアプローチですよね。
これ、手作りの温かみがあってすごくいいんですよ。
透明なアクリル棒に色や大きさの違う発泡スチロールの玉が上から下へ串刺しになっていて、下に行くほど時間が進んで漏いていく様子を表しているんです。
そして、それが左から右へ、星の質量ごとに4つの列に巻かれているんですよね。
時間軸と質量軸を物理的な空間に配置したわけですね。最初はどのように表現されているんですか?
一番上は原子星という段階で、宇宙に漂うガスや塵が集まって、星の赤ちゃんが生まれるところです。
そこから少し下に下がると、主系列星という大人になって安定して輝く時期になります。
今の私たちの太陽も、まさにこの安定した中年期にいますね。
はい。模型では直径3センチの黄色い発泡スチロールの玉で表現されています。
星の生涯の中で最も長く安定した時期ですね。
しかし、やがて中心の燃料である水素が付き始めると、星は次の老年期、つまり赤いお巨星という段階へと移行するんです。
ここがこの模型の視覚的に一番びっくりするところなんですが、3センチの黄色い玉の下にはですね、急に巨大な直径10センチの赤いフェルト玉がくっついているんです。
劇的に大きくなっていますね。
つまり、星が老いると劇的に膨れ上がって赤くなる。
えっと、でもちょっと待ってください。さっきの話だと燃料が尽きてきたんですよね?
はい、そうです。
普通に考えたら風船の空気が抜けるみたいにしぼんでいくのが自然じゃないですか?
どうして逆に膨張するんですか?
ああ、いいところに気がつきましたね。そこが宇宙の物理の面白いところなんですよ。
実は、星の中心にある芯の部分はご推測の通り沈むんです。
やっぱり沈むんじゃないですか?
ええ、燃料が切れて熱を生み出せなくなるので、自分の重力に負けてギュッと沈むんですが、芯が極端に縮むことで逆にものすごい摩擦や圧力が生まれるんです。
ほう。
すると、芯の温度が跳ね上がって、その強烈な熱が芯の周りに残っていた外側のガスを炙るんですよ。
なるほど。
その結果、爆発的な勢いで外側へ外側へと押し広げてしまうんです。
まるで巨大な熱気球のように、外層だけが猛烈に膨張していくんですね。
なるほど。中心が縮んで発熱するから、その熱で外側が膨れ上がるんですね。
じゃあ、温度が下がって赤くなるのはなぜですか?
それはですね、単純に星の表面積が何千倍にも広がるからです。
限られた熱が広大な表面に分散してしまうため、表面の温度が下がって赤く見えるようになるんです。
ああ、すべての謎が繋がりました。内部のアンバランスがこの巨大な赤い姿を作っていたんですね。
ええ、そういうことです。
さて、老年期を迎えて大きく膨れ上がった星は、いよいよ壮絶な死であるフィナーレを迎えます。
ここで先ほどの質量の出番ですね。
はい。重さによって全く違う4つの結末が用意されています。
まず、エコカーである太陽より軽い星はどうなりますか?
太陽より小さい星は、ひたすら小さな黄色や赤の玉が下まで長く続いています。
静かに非常に長い時間をかけて徐々に冷えていきまして、派手な爆発もせずに暗い星、黒色惑星となって宇宙に溶け込んでいきます。
静かな祭旗ですね。
では次、私たちの太陽と同じくらいの重さの星はどうなりますか?
太陽程度の星は、赤色巨星として限界まで大きく膨れ上がった後、自分の外側のガスを宇宙空間にふわっと手放すように放出するんです。
ふわーっと?
ええ、これを惑星情勢雲と呼びます。
そしてガスが散ってしまった後中心には、地球くらいの大きさの非常に小さくて高密度な芯丈が残るんです。これが白色惑星です。
模型ではアクリル棒の先にポツンとつけられた1センチの小さな玉として表現されていました。
10センチの巨大な赤い玉が、最後は1センチの小さな芯になってしまうんですね。
そうですね。
なんだか切ないです。
でも、ここからは絶対に静かには終わらない気がしますよ。
あの燃費の悪い猛烈なSUV星たち、つまり太陽の8倍から30倍という重い星の祭旗はどうなるんですか?
ええ、ここからが劇的です。
質量が大きい星は、静かにガスを放出するなんて上品な終わり方はしません。
やはり。
中心の芯が限界まで重力で潰された反動で、大爆発を起こして骨っ端みじんになるんです。これが有名な超芯性爆発です。
超芯性爆発、模型では透明なカプセルの中に赤い豆電球とキラキラした干渉剤を入れて光り輝く爆発の瞬間を見事に表現していました。
まさに宇宙の花火ですよね。
爆発した後は何も残らないんですか?
いえ、爆発の後に中性子星という芯が残ります。これ、想像を絶する密度なんですよ。
どれくらいですか?
もし中性子星の物質をティースプーン一杯分だけすくい取って地球の重りに乗せたら、なんとエベレスト山全体と同じ重さになります。
ちょっと待って、ティースプーン一杯がエベレスト山、どれだけぎゅうぎゅうに押しつぶされてるんですか?重力恐ろしすぎます。
ふふ、それでもまだ上があるんですよ。最後4つ目。太陽の30倍以上という超巨大な星の結末です。
ゴクリ?
ここで非常に興味深いのはですね、この超巨大な星も超新星爆発を起こすんですが、残された芯の重力があまりにも強すぎるため、エベレストどころか自分自身の重みで無限に一点に向かって潰れ続けてしまうんです。
無限に潰れ続ける?
ええ。最終的には、宇宙で一番早い光でさえもその重力から逃げ出すことができなくなります。
それってもしかしてあの…
そうです。これがブラックホールの正体なんです。
なるほど。ブラックホールって、なんか映画やアニメに出てくる得体の知れない宇宙の掃除機みたいなものだと思っている人も多いかもしれませんが。
ええ、よくそういうふうに描かれますよね。
実は本当に実在する超巨大な星が燃え尽きて限界まで潰れた死骸の姿だったんですね。
その通りです。
ちなみに模型では透明なカプセルの中に黒い針金を渦巻き状に入れて表現されていて、吸い込まれる絶望感があってすごくわかりやすかったです。
学生たちがブラックホールとは何かを直感的に理解するには、単なる点ではなくて、星の進化の極限の終着点として視覚化するのが最も効果的ですよね。