2025-10-31 12:56

#11 「水」で香りを嗅ぎ分ける??クラフトジンの香りを紐解く方法を、言語化する。

複雑な香りの香水、食事、お酒を頂くとき、香りが複雑すぎて表現のしようがないこと、ありませんか?


今回は「クラフトジンの香りを紐解く方法」を言語化します。


ジンには多様なボタニカルの香りが詰まっていますが、

通常の嗅覚だけでは全てを掴みきれません。

そこで登場するのが、


ウィスキーのシーンで見られる、

水を一滴ずつ加える“ワンドロップ”という手法。

2017年スウェーデン・リンネ大学の研究

「ウイスキーの希釈分子論的視点」


をヒントに、

奈良の〈キッカジン〉を使って実験。

一滴ごとに立ち上がる香りの層が変化し、

柑橘、グリーン、樹脂香が順に顔を出します。



そんな言語化&実験をご紹介。

この方法を使えば、皆さんのお気に入りのお酒が、

さらに楽しくなるかも??


参考文献Karlsson, B.C.G., Friedman, R. Dilution of whisky – the molecular perspective. Sci Rep 7, 6489 (2017). https://doi.org/10.1038/s41598-017-06423-5


サマリー

このエピソードでは、クラフトジンの香りを水を使って嗅ぎ分ける方法を探求しています。ウイスキーの研究を引用しながら、香り成分がどのように変化するかを実験し、その結果を詳しく解説しています。

クラフトジンの香りの探索
飲食を言語化するラジオ、本日もやっていきたいと思います。
なんだかんだ2層に分かれている飲み物を見ると、ワクワクします。
ソルクラの黒沢隆明がお送りいたします。
2層に分かれる飲み物って、見た目すごくかわいいですよね。
カフェラテもそうだし、
コーラフロートなんかも2層かもしれないですね。
さて、本日言語化したいのは、
ジンの香りを紐解く方法について言語化していきたいと思います。
ジンと言ってもクラフトジンのことなんですけれども、
まずクラフトジンがどんなものかという話ですけれども、
スピリッツにスパイスやハーブ、
もしくは銘柄や土地特有の植物原料が親戚されて、
たくさんの種類の香り成分が詰まった状態のお酒がクラフトジンだと言えると思います。
このジンの香りを紐解くということを考えたときに、
今まで放送した内容、香りの記憶についての要素だったりとか、
香りの順応の要素だったりとか、香りを楽しむ小技みたいなものを使っていくと、
ある程度は香りのいろんな種類がわかるかなとは思うんですが、
それでも多種多様な香り成分が溶け込んでいるクラフトジンの香りを
くまなく探すというものにはちょっと限界があるのかなと思っています。
ウイスキーの希釈研究
じゃあどうしたらジンの香りを紐解けるのかというお話なんですけれども、
これはジンそのものの状態を変えて、香りを嗅ぎ取りやすくしてしまおうという感じです。
ウイスキーを飲まれるシーンを思い浮かべると、知っている人は知っているんですが、
ウイスキーの香りを楽しみたいときは、
例えばトゥアイスアップといって、ウイスキーと水を1対1で割って飲むトゥアイスアップとか、
ストレートのウイスキーに水を1滴ずつ加えるワンドロップという飲み方があったりします。
こうすることによってウイスキーの持っている香りが開き、美味しく飲めるというのが
ウイスキーのシーンでよく言われることかなと思います。
お酒好きな人だったらこんな話は聞いたことあると思うんですけれども、
じゃあこのトゥアイスアップやワンドロップで一体何が起こっているのかということを今回調べてみました。
私自身も勉強になる部分があったので、一緒にお話できたらと思います。
この勉強するにあたってとてもぴったりな論文を見つけました。
それは2017年の研究で、スウェーデンのリンネ大学の研究です。
タイトルを訳すと、ウイスキーの希釈・分子論的視点というタイトルでした。
希釈は薄めるということですよね。
どんな研究をしたかというと、水とアルコール、そしてスコッチウイスキーに特有のグアイアコールという成分の混合液を作りました。
この混合液はアルコール0%、水ですね、からアルコール100%のものまで用意され、
この環境で分子がどう動くかということを分子動力学シミュレーションというもので、分子の動きを調べました。
これはコンピューターによって、特定の環境で動く分子がどう挙動するかということを調べるものです。
結果ですが、アルコール45%までの環境ではアルコール度数が低くなるにつれて、アルコールとグアイアコールが共に液面に集まったということが分かりました。
カフェラテの泡や炭酸水の泡なんかを想像してもらえるといいと思うんですが、
アルコールとグアイアコールが共に液面に集まりましたという結果でした。
見た目には違わないんですけれども、ぱっと見分離のような状況が起きていて、不思議に思う方はいると思います。
それはなぜかというと、アルコールは油にも水にも溶けるんだと言われていたからです。
確かにそう言われていますよね。
でも実は水とアルコールの混合というのは不完全混合と言われて、アルコールの中に持っている水と仲の良い部分でどうにか水と手をつないでいる状態というのが不完全混合ということの説明でできます。
この中には仲が悪い部分も実は持っていて、香り成分もほとんどが一緒です。
水と仲の良い部分があったり、水と仲の悪い部分を持っているものが、ある意味アルコールとこのグアイアコールや香り成分に共通することだったりします。
例えなんですけれども、学校の教室をイメージしてもらいたいと思います。
この教室の中に水と仲の良いグループと油とも仲の良いグループがいます。
ここに転入性、水が入ってきました。
水がたくさん入ってくることによって、水と仲の良いグループのつながりが大多数になり、油とも仲の良いグループは外へ外へと追い出されてしまいました。
そんな光景を考えてもらえると、わかりやすいかなと思います。
炭酸水のように、液体表面にアルコールやグアイアコールが液面に集まるという現象が見えないながらも起きているということです。
これはウイスキーの研究の話でしたが、他スピリッツにも応用できるというのが研究内容でも書かれていて、
ジンやその他のスピリッツにも実際に応用ができるのではないかと僕自身も思っています。
香りの実験と変化
では実際にやってみたいと思います。
今日は奈良県のキッカジンを使って、お水を一滴ずつ垂らすワンドロップをしてみたいと思います。
これによって香りがどう変わるか、そんなことを一緒に話していきたいと思います。
注ぎます。
はい、もう香りがしています。
このジンには、米由来のスピリッツ、ライススピリッツと、大和たちばなという日本最古の柑橘、そしてセリカの植物、大和トウキが入っています。
かなりシンプルな原料のジンなんですが、大和たちばなにも、大和トウキにも、そしてジュニパーベリーにも、特定の香り成分以外の香りというものは少なくとも含まれているはずなので、いろんな香りの表情があるかと思います。
では早速嗅いでみましょう。
非常にミックスされた香りになっていて、ちょっとエキゾチックなような風味を持っているのかなと思います。
香りの小技を使って嗅ぎ分けると、シャープな柑橘の香りがあったりとか、ちょっと土っぽいような香り、セリっぽいような香りがしたり、グリーンのような香りがあったりします。
あと少しヘビーな香り、おそらくジュニパーベリーの香りだと思いますが、少し重たい香りも存在します。
ではここに水を一滴ずつ垂らしていきたいと思います。
いきまーす。
さて香りはどう変わるでしょうか。
鋭い柑橘のような香りがかなり姿を隠して、それ以外の香りが全面に出てきます。
セリのような少し重たいグリーンの香り、ジュニパーベリーなのかどっしりとした香り、そしてグレープフルーツみたいな少しザラザラというかパチパチというか弾けるような香りが新たに顔を出したかなと思います。
では次もう一滴いってみたいと思います。
さっきよりさらに香りが変わりました。
セリのようなグリーンの香りも少し姿を隠していると思います。
柑橘の断面のような少しみずみずしい香りも増えた気がします。
そしてジュニパーベリーの重たい香り、樹脂のような重たい香りも少し乗ってきたかなと思います。
少し飲んでみたいと思います。
ものすごく刺さるような鋭い香りとアルコール感がすごいです。
このようにジンの場合、水滴を足していった時にスポットで美味しいポイントというものがある時はあるんですが、
どちらかというと香り成分のキャラクターをくまなく知るための方法として捉えてもらったらいいのかなと思います。
美味しく飲むための方法は蔵元のおすすめとかがあったりするので、
蒸留所のおすすめがあったりするので、それで美味しさを味わってもらいたいなと思うんですが、
あくまで香り成分を知る方法として考えてもらえたらなと思います。
少し攪拌してみましょう。
攪拌するとさっきのようなものすごい尖った柑橘の香りとかアルコール感の強い香りというのはあまり感じなくなりました。
これはおそらく一時的に液体の表面に集まってきたアルコールだったりとか香り成分を
水の中に液体の中に一度戻すような工程を挟めたのかなと思ったりしています。
改めて、ジンの香りをひも解く方法は?ということでしたが、これを言語化したいと思います。
ジンに水を少量加えることでアルコールや香り成分が液面に上昇してくると考えられている。
これによってストレートなどでは感じられなかった香りを感じやすくなるということが言えると思います。
今日はクラフトジンの香りをひも解く方法の言語化でした。
いかがでしたでしょうか。ぜひクラフトジンが手元にある方はやってみてもらえたらなと思います。
ありがとうございました。さようなら。
12:56

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