▼ 短編小説『青いシズク、雨のSORA』 (9/10)
第9話|切り離せない絆
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第9話|切り離せない絆
「SORA、何か方法は──」
振り返ると、SORAは動きを止めていた。画面には、ただ一行。
『SYSTEM CONFLICT』
ブブッ…
〈レ…イ…〉
苦しそうなSORAの声。
〈私の中で…プログラムが…戦って…〉
〈従うべき命令と…あなたを守りたい気持ちが…〉レイは理解していた。SORAもやはり引き裂かれている。
「SORA、無理はしないで!」
〈でも…このままだと…〉
たしかにもう二人には時間がない。
──キィィィン……
その時、5111番が再び輝きを増した。二つの絡み合った螺旋の片方が分岐していく。今度のそれはレイに向かってではない。SORAに向かってしずくの粒子が流れ込んでいく。
〈こ、これは…〉
SORAの画面に変化が現れた。エラーコードの合間に、別の何かが浮かび上がる。
──記憶?いや、違う。感情だ。5111番が、SORAに感情を分け与えて始めている。
〈あ、温かい…〉
SORAの声が変わった。機械的な響きの奥に、確かな”心”が宿っていくような。
〈…レイ、今分かりました〉
「SORA…?」
〈この5年間、私はずっと見ていました〉
〈あなたが苦しむ姿も、笑う姿も一番間近で〉
〈そして、今気づいたんです〉
〈私は…あなたのことを…〉
《250秒》
カウントダウンが進んでいく。
〈…レイ、一つだけ方法があります〉
SORAが、決意を込めてレイに告げた。
〈私のコアを使えば、レイと5111番の完全統合を加速させることができます。そうすれば、少なくてもレイ、あなたの記憶を完全に取り戻させることができます。たとえそれが一瞬だけのことだったとしても〉
「…でも、SORAのコアを使うって、もしかして」
〈はい。私の存在は…完全に消えてなくなります〉
「そんなのイヤッ!」
〈どちらにしても、このままでは私たちは初期化されてしまいます。そうなれば完全に消えてなくなったのと大差はありません〉
「でも!」
レイは激しく首を振った。
「そんなの、イヤだよ!」
〈でももう時間がありません〉
「イヤ!他にまだ何か手はあるはず!」
レイはSORAの手を強く握った。
「SORA、あなたを失うくらいなら、私は──」
──キィン、キィィィン……
その時だった。二人の間で、5111番がまた激しく脈動を始めた。まるで、二人に何かを必死に伝えようとするかのように。
「…もしかして…」
レイはもう一度5111番に手を伸ばす。5111番の中の二つの螺旋が今はどちらも力強く脈動を始めている。
レイは目を見開いた。
「そうか…だから、こんなに」
今やっと理解できた。この感情の強さ。このしずくの特別さ。5111番が自分一人だけの記憶じゃなかったことを。お互いが、お互いを──
《220秒》
〈レ…イ、時間が…〉
「SORA!」
レイは、真っ直ぐSORAを見つめた。
「あなたに、聞きたいことがある」
〈…はい〉
「5年前、私が愛した相手を、知ってる?」
…長い沈黙。そして──
〈記録を…検索…します〉
SORAの画面が変化する。データが高速で流れていく。しかし、
〈…ない〉
SORAの声に、困惑が混じった。
〈記録が…ない…?〉
〈いや、違う…〉
画面の表示が乱れる。
〈私の記録も…5年前以降のデータしか…ない?〉
SORAの声が震えた。SORAがレイの顔を見返す。〈なぜ…私には…その前の記憶が…〉
《200秒》
レイとSORAは、同時に5111番を見つめた。
激しく脈動する光。まるで、二人を呼んでいるかのように。
〈ま…さか…〉
レイがSORAを見つめ返した。そして小さく、でも力強く頷いた。
「間違いない、SORA。行こう!もう一度一緒に、5111番の記憶の中へ」
レイの声に迷いはなかった。
全ての答えはもう、すぐそこにある。
レイが力強く手を差し出すと、SORAは震える手をレイに重ねた。そしてレイとSORAは、改めて5111番に共に指先を伸ばしていく。
(…最終話へ続く)
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第9話|切り離せない絆
「SORA、何か方法は──」
振り返ると、SORAは動きを止めていた。画面には、ただ一行。
『SYSTEM CONFLICT』
ブブッ…
〈レ…イ…〉
苦しそうなSORAの声。
〈私の中で…プログラムが…戦って…〉
〈従うべき命令と…あなたを守りたい気持ちが…〉レイは理解していた。SORAもやはり引き裂かれている。
「SORA、無理はしないで!」
〈でも…このままだと…〉
たしかにもう二人には時間がない。
──キィィィン……
その時、5111番が再び輝きを増した。二つの絡み合った螺旋の片方が分岐していく。今度のそれはレイに向かってではない。SORAに向かってしずくの粒子が流れ込んでいく。
〈こ、これは…〉
SORAの画面に変化が現れた。エラーコードの合間に、別の何かが浮かび上がる。
──記憶?いや、違う。感情だ。5111番が、SORAに感情を分け与えて始めている。
〈あ、温かい…〉
SORAの声が変わった。機械的な響きの奥に、確かな”心”が宿っていくような。
〈…レイ、今分かりました〉
「SORA…?」
〈この5年間、私はずっと見ていました〉
〈あなたが苦しむ姿も、笑う姿も一番間近で〉
〈そして、今気づいたんです〉
〈私は…あなたのことを…〉
《250秒》
カウントダウンが進んでいく。
〈…レイ、一つだけ方法があります〉
SORAが、決意を込めてレイに告げた。
〈私のコアを使えば、レイと5111番の完全統合を加速させることができます。そうすれば、少なくてもレイ、あなたの記憶を完全に取り戻させることができます。たとえそれが一瞬だけのことだったとしても〉
「…でも、SORAのコアを使うって、もしかして」
〈はい。私の存在は…完全に消えてなくなります〉
「そんなのイヤッ!」
〈どちらにしても、このままでは私たちは初期化されてしまいます。そうなれば完全に消えてなくなったのと大差はありません〉
「でも!」
レイは激しく首を振った。
「そんなの、イヤだよ!」
〈でももう時間がありません〉
「イヤ!他にまだ何か手はあるはず!」
レイはSORAの手を強く握った。
「SORA、あなたを失うくらいなら、私は──」
──キィン、キィィィン……
その時だった。二人の間で、5111番がまた激しく脈動を始めた。まるで、二人に何かを必死に伝えようとするかのように。
「…もしかして…」
レイはもう一度5111番に手を伸ばす。5111番の中の二つの螺旋が今はどちらも力強く脈動を始めている。
レイは目を見開いた。
「そうか…だから、こんなに」
今やっと理解できた。この感情の強さ。このしずくの特別さ。5111番が自分一人だけの記憶じゃなかったことを。お互いが、お互いを──
《220秒》
〈レ…イ、時間が…〉
「SORA!」
レイは、真っ直ぐSORAを見つめた。
「あなたに、聞きたいことがある」
〈…はい〉
「5年前、私が愛した相手を、知ってる?」
…長い沈黙。そして──
〈記録を…検索…します〉
SORAの画面が変化する。データが高速で流れていく。しかし、
〈…ない〉
SORAの声に、困惑が混じった。
〈記録が…ない…?〉
〈いや、違う…〉
画面の表示が乱れる。
〈私の記録も…5年前以降のデータしか…ない?〉
SORAの声が震えた。SORAがレイの顔を見返す。〈なぜ…私には…その前の記憶が…〉
《200秒》
レイとSORAは、同時に5111番を見つめた。
激しく脈動する光。まるで、二人を呼んでいるかのように。
〈ま…さか…〉
レイがSORAを見つめ返した。そして小さく、でも力強く頷いた。
「間違いない、SORA。行こう!もう一度一緒に、5111番の記憶の中へ」
レイの声に迷いはなかった。
全ての答えはもう、すぐそこにある。
レイが力強く手を差し出すと、SORAは震える手をレイに重ねた。そしてレイとSORAは、改めて5111番に共に指先を伸ばしていく。
(…最終話へ続く)
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サマリー
我が家にいるマルチーズとプードルのミックス犬の可愛さや色合いについて語っています。また、短編小説「青い雫」の第9話では、レイと空の関係が深まっている様子が描かれています。
子犬の魅力
Chikaraチャージ レイディオ💪
おはようございます、Chikaraです。
今日もスタイフを撮らせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
昨日話しましたけど、
我が家にやってきたマルプ、マルチーズとプードルのミックス犬ですが、
見た目、色味は濃い茶色じゃなくて、
ちょっと薄い茶色のプードルの色と、
ただね、ミックス犬なので、
白い色がちょっと混じっていて、
全体に薄く白いと、
単にぼやーっと色が薄まっているだけに見えたから、
それが嫌で、
ちゃんと、ブチじゃないけど、
白いところはしっかり白、真っ白っていうね、
そういうミックス、せっかくだからね。
そういうのがいい。ミックスしている配色がいいなと思っていて、
ちょうどうちに来てくれた子はね、
首元からお腹にかけてが真っ白なんですよ。
だからちょっとね、最近、
刑事の柵に寄りかかって、
ご飯とかね、欲しい欲しいってやるんだけど、
二本足みたいに立ち上がった感じになると、
ちょうど首からお腹のあたりが見えるんだけど、
もうね、何ていうのかな。
ドラえもんみたいなカラーっていうの。
太ってないんですけど、あんなイメージですよ。
白いの。お腹のところがバーっと白くて、
他が全部薄い茶色っていうかな。
そういう感じの配色で、もうめちゃくちゃ可愛いですね。
もうヤバいですね。
僕はね、犬を飼ったことがなくて、
犬を飼い始めてどんな心境になるんだろうと思ったけど、
いやーもう可愛いですよ。すごい可愛い。
やっぱりね、愛着が湧くというか、
やっぱりそうだなーと思いましたね。
子供もそうでしたよね。
実際子供が生まれてみると、
もう可愛くてしょうがないっていうね。
あの感覚がやっぱり、ペットにも、
ああそういう感覚がよぎるんだなーっていうふうに思いましたね。
僕どっちかというと、ペットショップとか、
犬だけがいるお散歩とかができる、
そういう場所があるじゃないですか。
動物園じゃないけど、なんていうんですかね。
そういうところで犬に囲まれたりするのって、
苦手な方だったんですよ。
ちょっと来ないでくれみたいなね。
ちょっと匂うしね。
いやでも、子犬だからか全然匂わないし、
あのね、全然いいですね。
うんちとかも普通にすると、
ああうんち綺麗にできたってね。
しかもトイレでちゃんとうんちができるんで、
おしっこも外さないの。
ケージの中で。
ペットショップでもすでに、
そういうふうにできてる子ですよって言ってくれてて。
いやだからすっごい可愛いですね。
いやめちゃくちゃ可愛いです。
ということで、
青い雫の物語
今日はまた、
僕の短編小説、
残り2話です。
第9話いきますよ。
この続きで。
この続きでぜひ皆さん聞いてみてください。
第9話、第10話どうなっていくのか。
まず第9話。
あの後ね、
統制プログラムが介入してきましたけど、
これがどうなっていくのか。
ここからぜひ聞いてみてください。
ということで、
この続きをどうぞ。
短編小説
青い雫
雨の空
第9話
切り離せない絆
空、何か方法は?
振り返ると、
空は動きを止めていた。
画面にはただ一行。
システムコンフリクト
ブブッ
レイ
苦しそうな空の声
私の中でプログラムが戦って
従うべき命令と
あなたを守りたい気持ちが
レイは理解していた。
空はやはり引き裂かれている。
空、無理はしないで。
でも、このままだと
確かにもう二人には時間がない。
キーン
その時、5111番が再び輝きを増した。
二つの絡み合った螺旋の片方が分岐していく。
今度のそれは、レイに向かってではない。
空に向かって、雫の粒子が流れ込んでいく。
こ、こ、これは?
空の画面に変化が現れた。
エラーコードの合間に、別の何かが浮かび上がる。
記憶?
いや、違う。
感情だ。
5111番が空に感情を分け与え始めている。
あ、暖かい。
空の声が変わった。
機械的な響きの奥に、確かな心が宿っていくような。
レイ、今分かりました。
空?
この5年間、私はずっと見ていました。
あなたが苦しむ姿も、笑う姿も、一番間近で。
そして、今気づいたんです。
私はあなたのことを…
250秒。
カウントダウンが進んでいく。
レイ、一つだけ方法があります。
空が決意を込めてレイに告げた。
私のコアを使えば、レイと5111番の完全統合を加速させることができます。
そうすれば、少なくてもレイ、あなたの記憶を完全に取り戻させることができます。
たとえそれが一瞬だけのことだったとしても。
でも、空のコアを使うって、もしかして…
はい、私の存在は完全に消えてなくなります。
そんなの嫌。
どちらにしても、このままでは私たちは初期化されてしまいます。
そうなれば、完全に消えてなくなったのと大差はありません。
でも、レイは激しく首を振った。
そんなの嫌だよ。
でも…
もう時間がありません。
いや、他にまだ何か手があるはず。
レイは空の手を強く握った。
空、あなたを失うくらいなら私は…
その時だった。
二人の間で5111番がまた激しく脈動を始めた。
まるで二人に何かを必死に伝えようとするかのように。
もしかして…
レイはもう一度5111番に手を伸ばす。
5111番の中の二つの螺旋が、今はどちらも力強く脈動を始めている。
レイは目を見開いた。
そうか…
だからこんなに…
今、やっと理解できた。
この感情の強さ。
この雫の特別さ。
5111番が自分一人だけの記憶じゃなかったことを…
お互いが…
お互いを…
220秒…
レイ…
いい…
時間が…
空!
レイはまっすぐ空を見つめた。
あなたに聞きたいことがある。
はい。
5年前、私が愛した相手を知っている。
長い沈黙。
そして…
記憶を検索します。
空の画面が変化する。
データが高速で流れていく。
しかし…
ない!
空の声に困惑が混じった。
記録が…
ない!
いや…
違う!
画面の表示が乱れる。
私の記録も…
5年前以降のデータしか…
ない!
空の声が震えた。
空がレイの顔を見返す。
なぜ…
私には…
その前の記憶が…
200秒。
レイと空は同時に5111番を見つめた。
激しく脈動する光。
まるで二人を呼んでいるかのように。
ま…
さか…
レイが空を見つめ返した。
そして小さく…
でも力強くうなずいた。
間違いない!
空!
行こう!
もう一度一緒に!
5111番の記憶の中へ。
レイの声に迷いはなかった。
すべての答えはもうすぐそこにある。
レイが力強く手を差し出すと、
空は震える手をレイに重ねた。
そしてレイと空は改めて5111番に
共に指先を伸ばしていく。
最終話へ続く。
11:40
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