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  2. 子犬を飼い始めました + 第8話
2025-07-25 10:32

子犬を飼い始めました + 第8話

▼ 短編小説『青いシズク、雨のSORA』 (8/10)▼
第8話|ゆらぐ監視者
https://note.com/chikara_ctd/n/nc49164dc7fda?sub_rt=share_b

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第8話|ゆらぐ監視者 (全文)

《ビィーーーッ!ビィーーーッ!》

警報音が更に大きく鳴り響く。部屋の照明が赤く明滅し始めた。

ブ、ブブ…
SORAの画面に、激しいノイズが走る。

そして──

《監視人SORA-7、応答せよ》
統制プログラムの声が、直接響いてきた。

《検体レイの感情値が危険域に到達。ただちに強制切離プログラムを実行せよ》

〈……〉
SORAは動けない。その体は小刻みに震え、画面には無数のエラーコードが流れている。

《繰り返す。強制切離プロトコルを実行せよ》
「やめて!」
レイがSORAの前に立ちはだかった。
「もう、SORAを苦しめないで!!」
《検体が監視人を庇うことは想定外です。プログラムを再定義します》

ブブッ…
SORAの震えが、一層激しくなった。
〈レ…イ…〉
やっと絞り出された声。
〈私は…あの時…あなたから…〉
「知ってる」
レイはSORAの震える手を、両手でそっと包んだ。金属の手は、冷たいはずなのに──なぜか、温もりを感じた。

「あなたは、ただ使われただけ」
〈違う…〉
SORAの声に、初めて”感情”が滲んだ。
〈私は…見ていました…全部…〉
〈あなたが泣き叫ぶ姿も…〉
〈5111番を切り離された後の…あなたの空っぽの笑顔も…〉
〈全部…記録に…残って…〉

11.5秒の沈黙。

〈…忘れられません〉
〈あなたの最後の言葉…〉
〈『お願い、私から…を奪わないで』…って〉

私の最後の言葉…いったい私は一体何を…。

肝心なところが聞き取れない。SORAの震えはますます大きくなり、その声はもう言葉にならない。

ブ、ブブッ…
《タイムアウト。強制介入を開始します》

SORAの体が勝手に動き始めた。機械的にレイに向かって手を伸ばす。まさに5111番の中の記憶と同じように。

ブブッ…
〈……レ…イ、また…私が…〉
「SORA!」
レイは逃げなかった。代わりに、SORAを強く抱きしめる。

「今はあなたは一人じゃない。一緒に戦おう!」
〈レイ…私は…〉
「大丈夫」
〈しかし…〉
「大丈夫」

「だって今はあなたが自分で選んでくれたんだから。こうして私を助けることを」
レイは微笑んだ。

SORAの画面に、一瞬、不思議な模様が浮かんだ。それは、レイとSORAが向き合って手を繋いでいる形に見えなくもなかった。

ブブッ…
SORAの画面が激しく乱れる。統制プログラムの介入に必死に抗う。

〈レ…イ…教えて…ください〉
「なに?」
〈愛…って…どんな感覚ですか?〉

レイは少しだけ考えた後、やさしく微笑みながらSORAに応えた。

「… ちゃんと思い出せたら、SORAにも教えてあげるね」
〈…ありが…とう〉
5111番の光が、二人を照らすように静かに脈動している。

ゴゴゴゴゴ…
しかしその静寂は長くは続かなかった。施設全体が振動し始める。まるで、巨大な何かが目覚めたかのように。

《最終警告!》
その声はもうSORAを通じたものではなかった。もっと深く、もっと冷たい声。部屋中の全てのディスプレイが警告表示とともに赤く明滅し、けたたましい警報音にのせて施設全体に鳴り響いた。

《イレギュラー検出。施設保全のため、施設の強制初期化を開始します》

「強制初期化って…?」
レイの顔が青ざめた。
〈全ての記憶と感情を…消去することです〉
SORAの声も震えている。
〈そうなれば私も…あなたも…全てが…〉
「そんな…」

ガチャンッ!
その時、レイの背後で大きな音がした。部屋の扉がロックされたのだ。二人にはもう逃げ道はない。

《カウントダウン開始。300秒》

5分。あとたった5分で、全てが終わる。

(…第九話へ続く)
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サマリー

チカラは新しく飼い始めたマルプ(マルチーズとプードルのミックス犬)との日常を語るエピソードです。また、短編小説『青い雫、雨の空』の第8話では、ソラと霊の間で繰り広げられる緊迫した瞬間が描かれています。

子犬との日常
Chikara💪チャージ レイディオ💪
おはようございます、Chikaraです。
今日もスタイルフォーを撮らせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
この間、突然ですけど、我が家にですね、
犬を飼い始めまして、今2週間目になりますが、
めちゃくちゃかわいい。
マルプ、マルチーズとプードルのミックス犬なんですけど、
生後ね、今、3ヶ月弱ぐらい。
いや、ものすごいですね。
手のひらから少しあふれるぐらいの大きさなんですけど。
ものすごいかわいいです。
で、まだ狂犬病の予防接種までもできていないので、
外に出すことができない。
一人で留守番させるのもまだ全然できないので、
一応ね、僕か妻か娘か、
誰かが家に必ずいるようにということでね、
今やらせていただいてて、
今日はちょうど妻と娘が外出をしているので、
僕が今家でお留守番をしております。
今日と言っても、昨日前日ですけどね、これ撮ってるのね。
僕は仕事は家からでもできるので、
会社に行かなくても、今はオンラインの時代ですよ。
すごいですね。
働く場所は選ばず仕事をさせていただけているので、
今日は家で撮っておりますが、
今ね、ちょうどワンちゃんは寝ているところですね。
ということで収録を撮らせていただいています。
そして、僕の短編小説全10話完結の小説、
青い雫、雨の空。
第8話目を今日はこの後、朗読させていただこうと思います。
さあ、あと8、9、10話と、残り3話ですが、
どんな展開になっていくんでしょうか。
前回、空が何やら何やら、あれ、どうしちゃったんだい空っていうね、
そういう展開がありましたが、ここからまたその先がございます。
一旦、ああ、そういうことなのねって気づく方は気づき始めると思いますが、
とはいえとはいえ、僕がそのままで終わるわけがないということで、
8話、9話あたりでまた見えつつある話が10話でどうなるのか、
僕はもう言いたくてしょうがない。
言いたくてしょうがないところを何とか我慢して、
第8話を朗読させていただきますので、ぜひお聞きください。
青い雫、雨の空 第8話
それではどうぞ。
短編小説
青い雫
雨の空
第8話
揺らぐ監視車
ビー、ビー
警報音がさらに大きく鳴り響く。
部屋の照明が赤く明滅し始めた。
ブ、ブブ
空の画面に激しいノイズが走る。
そして、
監視人ソラ7応答せよ。
統制プログラムの声が直接響いてきた。
検体0の感情値が危険域に到達。
直ちに強制設理プログラムを実行せよ。
ソラは動けない。
その体は小刻みに震え、
画面には無数のエラーコードが流れている。
繰り返す。
強制設理プロトコルを実行せよ。
やめて。
0がソラの前に立ち当たった。
もうソラを苦しめないで。
検体が監視人をかばうことは想定外です。
プログラムを再定義します。
ブブ
ソラの震えが一層激しくなった。
レ、イ
やっと絞り出された声。
私はあの時あなたから知ってる。
レイはソラの震える手を両手でそっと包んだ。
金属の手は冷たいはずなのになぜかぬくもりを感じた。
あなたはただ使われただけ。
違う。
ソラの声に初めて感情がにじんだ。
私は見ていました。
全部。
あなたが泣き叫ぶ姿も。
5111番を切り離された後のあなたの空っぽの笑顔も。
全部記憶に残って。
11.5秒の沈黙。
忘れられません。
あなたの最後の言葉。
お願い、私からを奪わないで。
私の最後の言葉。
一体私は何を肝心なところが聞き取れない。
ソラの震えはますます大きくなり、その声はもう言葉にならない。
ブブ
タイムアウト。
強制介入を開始します。
ソラの体が勝手に動き始めた。
機械的に霊に向かって手を伸ばす。
まさに5111番の中の記憶と同じように。
ブブ
霊。
い。
また私が。
ソラ。
霊は逃げなかった。
代わりにソラを強く抱きしめる。
今はあなたは一人じゃない。
一緒に戦おう。
霊。
私は。
大丈夫。
しかし。
大丈夫。
だって今はあなたが自分で選んでくれたんだから。
こうして私を助けることを霊は微笑んだ。
ソラの画面に一瞬不思議な模様が浮かんだ。
それは霊とソラが向かい合って手をつないでいる形に見えなくもなかった。
ブブ
ソラの画面が激しく乱れる。
統制プログラムの介入に必死に抗う。
霊。
い。
教えてください。
何?
愛。
で。
どんな感覚ですか?
霊は少しだけ考えた後、優しく微笑みながらソラに答えた。
ちゃんと思い出せたらソラにも教えてあげるね。
ありがとう。
5111番の光が二人を照らすように静かに脈動している。
ゴコゴコゴコ…
しかし、その静寂は長くは続かなかった。
施設全体が振動し始める。
まるで、巨大な何かが目覚めたかのように。
最終警告!
その声はもうソラを通じたものではなかった。
もっと深く、もっと冷たい声。
部屋中のすべてのディスプレイが警告表示とともに赤く明滅し、けたたましい警報音に乗せて、施設全体になりひびいた。
イレギュラー検出
施設保全のため、施設の強制初期化を開始します。
強制初期化って?
例の顔が青ざめた。
すべての記憶と感情を消去することです。
空の声も震えている。
そうなれば、私も、あなたも、すべてが…
そんな!
ガチャン!
その時、例の背後で大きな音がした。
部屋の扉がロックされたのだ。
二人にはもう逃げ場はない。
カウントダウン開始。300秒。5分。
あとたった5分ですべてが終わる。
第9話へ続く。
10:32

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