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2026-02-20 10:58

【朗読】失敗園/太宰治【ちゃうラジ】

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植物からしたら、人間はとても自由なもの。


ちゃうすといぬづか、2人で1つの作品を朗読するシリーズ。

太宰治「失敗園」

【青空文庫】

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サマリー

太宰治の「失敗園」を朗読した回。家庭菜園でうまく育たなかった植物たちが、それぞれの不満や悩みを語る様子を描いている。トウモロコシやトマト、くるみの苗、ねむの苗、にんじん、大根、綿の苗、へちま、ばら、ねぎなどが登場し、人間への皮肉や自身の成長への願いをユーモラスに表現している。

オープニングと作品紹介
みなさんどうも、ちゃうすです。
今回はですね、ちゃうすといぬづかさんのスケジュールがとことん合わなくて、新しいものを収録することができなくてですね。
こういう時のために、実は撮っていた朗読作品が1本ありまして、そちらを今回放送しようと思います。
作品は、太宰治の失敗園っていう話で、家庭菜園でうまく育たなかった植物たちの不平不満を語っている作品になっております。
ちゃうラジといえば外収録ということで、こちらもまだ寒くなる前に川辺で撮った音声になります。
なんかでも風の音とか入ってて、逆にリアルに庭の風景みたいのが伝わるんじゃないかなってポジティブに考えて、特に大きく編集をせずに流したいと思います。
楽しんでいただければ嬉しいです。ではどうぞ。
失敗園:植物たちの声
失敗園、太宰治。我が牢屋には6坪ほどの庭があるのだ。
具材はここに秩序もなく何やらかやらいっぱい植えたが、一見するに全て失敗の様子である。
それら恥ずかしきみなりの植物たちが小声でささやき、私はそれを速記する。
その声が事実聞こえるのである。必ずしも、普通人ルナール氏の真似でもないのだ。
では。
トウモロコシとトマト。こんなに竹ばかり大きくなって、私はどんなに恥ずかしいことか。
そろそろ身をつけなければならないのだけれども、お腹に力がないから生きむことができないの。
みんなは足だと思うでしょ?破れかぶれだわ。トマトさん、ちょっと寄りかからせてね。
何だ何だ。竹じゃないか。
本気でおっしゃるの?
気にしちゃいけねえ。お前さんは夏痩せなんだよ。生きなものだ。
ここの主人の話によれば、お前さんは馬匠にも似ているそうだ。お気に入りらしいぜ。
歯ばかり伸びるものだから、私をやゆなさっているのよ。ここの主人はいい加減よ。
私、ここの奥さんに気の毒なの。それや真剣に私の世話をしてくださるのだけれども、私は背丈ばかり伸びて一向に太らないのだもの。
トマトさんだけはどうやら身を結んだようね。
ふん、どうやらねえ。もっとも俺は下品な育ちだから、ほっておかれても身を結ぶのさ。軽蔑したまうな。
これでも奥さんのお気に入りなんだからね。この身は俺の力こぶさ。
見たまえ、うんっと力むと、ほら、むくむく身が膨らむ。
もう少し力むと、この身があからんでくるのだよ。
ああ、少し髪が乱れた。散髪したいな。
くるみの苗
僕は孤独なんだ。大器晩成の自信があるんだ。早く毛虫に這いのぼられるほどの身分になりたい。
どれ、きょうも香米の瞑想にふけるか。僕がどんなに高貴な生まれであるか、誰も知らない。
ネムの苗
くるみの苗は何を言っているのかしら。不平かなんだわ、きっと。不良少年かもしれない。
今に私が花咲けば、定めしいやらしいことを言ってくるに沿いない。
用心しましょう。あれ、私のお尻をくすぐっているのは誰?
隣の苗だわ。本当に本当に苗のくせに、根だけは一人前に張っているのね。
香米な瞑想だなんてとんでもないやつさ。知らんふりしてやりましょう。
どれ、こう葉をたたんで眠ったふりをしていましょう。
今はたった二枚しか葉がないけれども、五年たったら美しい花が咲くのよ。
にんじん
どうにもこうにも話にならねえ。ごみじゃねえ。こう見えたってにんじんの芽だ。
一か月前から一分も伸びねえ。このまんまであった。
永遠に私はこうだろう。みっともなくていけねえ。
誰か、わしを抜いてくれないか。やけくそだよ。
アッハッハッハッ、バカ笑いが出ちゃった。
大根
地盤がいけないのですね。石ころだらけで私はこの白い足を伸ばすことができません。なんだか煙くじゃらの足になりました。
ごぼうのふりをしていましょう。私は素直にあきらめているの。綿の苗。
私は今はこんなに小さくてもやがて一枚の座布団になるんですって。本当かしら。なんだか実長したくてしようがないの。軽蔑しないでね。
へちま
えっと、こう行ってこう絡むのか。なんてブサイクな棚なんだ。絡みつくのに大骨折さ。
でも、この棚を作るときに、ここの主人とサイ君とは夫婦喧嘩をしたんだからね。
サイ君にせがまれたらしく、ばかな主人はもっともらしい顔をしてこの棚を作ったのだが、いや、どうにも不器用なのでサイ君が笑い出したら、主人の汗だくで怒って曰くさ。
それではお前がやりなさい。へちまの棚なんて贅沢品だ。生活の様式を拡大するのは僕は嫌なんだ。僕たちはそんな身分じゃない。と、妙に凶ざめなことを言い出したので、サイ君も態度を改め、
それは承知しております。でも、へちまの棚くらいはあってもいいと思います。こんな貧乏な家にでもへちまの棚ができるのだというのは、なんだか奇跡みたいで素晴らしいことだと思います。
私の家にでもへちまの棚ができるなんて嘘みたいで、私はうれしくてなりません。と、あわれなことを主張したので、主人はまたしぶしぶこの棚の製作を継続しやがった。
どうもここの主人は少しサイ君に甘いようだて。どれどれ、親切を無にするのも心苦しい。えっと、こう言って、こう絡みつけっていうわけか。ああ、実に不細工な棚である。絡みつかせないようにできている。意味ないよ。僕は不幸せなへちまかもしれぬ。
バラとネギ
ここの庭ではやはり私が女王だわ。今はこんなに体が汚れて葉の艶もなくなっちゃったけれど、これでも先日までは次々と続けて十輪以上の花が咲いたものだわ。
ご近所のおばさんたちが、おおきれいと言ってほめると、ここの主人が必ずぬっと部屋から出てきて、おばさんたちにだらしなくぺこぺこおじぎするので、私はとても恥ずかしかったわ。
頭が悪いんじゃないかしら。主人はとても私を大事にしてくれるのだけれど、いつも間違った手入ればかりするのよ。私がのどが渇いてしおれかけたときには、ただうろうろして奥さんをひどく叱るばかりで何もできないの。
挙句の果てには私の大事な新芽を気が狂ったみたいにちょんちょん積み切ってしまって、うむ、これでどうやらなんて真顔で言ってすましているのよ。私は苦笑したわ。頭が悪いのだから仕方がないのね。
あのとき新芽をあんなに切られなかったら、私は確かに二重は避けたのだわ。もうだめ、あんまり命限り咲いたものだから早く追い込んじゃった。私は早く死にたい。おや?あなたは誰?
わが輩をせめて竜のひげとでも呼んでくれたまえ。
ネギじゃないの。
見破られたか。めんぼくない。
何を言ってるの?ずいぶん細いネギね。
めんぼくない。血のりを得ないのじゃ。ようがようなら、いや、敗軍の章、愚痴は申さぬ。わが輩はこう寝るぞ。
花の咲かぬやぐるま草。
是正滅法、聖者必衰。いっそ化けて出ようかしら。
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