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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
車輪の語源探求
今回取り上げる話題は、wheel ー 車輪がコロコロ、です。
wheel を意味する単語ですけれども、語源をたどるとですね、なんとこの擬音語ですね、コロコロに遡るんです。
びっくりの話ですね。コロコロと赤ちゃん用語で言ってたものが、そのまま独立して単語になってしまうというようなことなんですね。
今回は、この語源の話に焦点を当てたいと思います。
英語をはじめとする、ヨーロッパの主な言語ですね。
フランス語、スペイン語、イタリア語、ラテン語、それからドイツ語、北欧書語、ギリシャ語、たくさんありますけれども、これらはですね、すべて広い意味では姉妹言語であるということなんですね。
紀元前3000年とか4000年というレベルでは、一つのインドヨーロッパ祖語と呼ばれている言語ですね。
大元の言語に遡るわけです。そこから派生して生まれてきたのが、今の多くのヨーロッパの言語ということになります。
これはインドヨーロッパ祖語、漢字で書いてインオウですね。インオウ祖語なんて言ったりしますけれども、クエロスという単語があったとされます。
クエロスですね。これどういう意味かというと円丸って意味なんですね。
このまま少し音は変わりましたが、だいたいですね、このクエロという部分のクエという部分とエルの音ですね。
この辺りがしっかりですね、受け継がれたのがギリシャ語でですね。
例えばキュクロスとかキュクロンというと、これ丸ということなんですね。あるいは丸く回るというような意味で、これに由来するのがサイクラウンのサイクルの部分ですね。
もちろんサイクル自体も車輪ですから、この同じギリシャ語のキュクロスに由来しますし、さらには大元のインオウ祖語のクエロスに遡るということですね。
ですからサイクル、サイクラウン、それから2つという意味のセット字をつけてBですね。これがバイセコになるわけですね。まさに二輪車ということです。
他にはキュクロプス、ギリシャ神話に現れる一つ目の巨人ですね。これキュクル、丸ですね。
オプスというのは目です。大きいまん丸の目玉が一つだけあるというようなことですね。
それからエンサイクロピーディア、百科事典のこと、エンサイクロ、サイクロが入ってますね。
これはもともと日本語でも百学連観とこれを訳したことがあるわけなんですが、百の学問が和を作るように合わさっているというイメージなわけですね。
これは百科事典と今は言うようになっていますが、エンサイクロピーディアということです。
こんなふうにサイクラウンという丸、車輪ぐらいの意味でよく使うわけですね。
これがまずギリシャ語を経由して英語に入ってきたようないくつかの単語を今挙げました。
問題は英単語としての車輪、wheelですよね。だいぶ違うように見えます。
このキュクロスなりサイクルなりですね。
違うように見えるんですが、大元を改めて思い起こしますと、これクエロスという形ですね。
クエロス、これが引用速での形だったわけです。
これをですね、2回最初のシーンの部分、クッという部分を繰り返す。
そうするとクエクエロス、クエクエロスとなると。
2回繰り返すあたりがその日本語の、擬音語のコロコロの発想とちょっと近いですよね。
やはり転がっているもの、丸くて転がっているものを表現するのに擬音語でですね、
引用速の人々も2回、最初のシーンのみですが繰り返してクエクエロスのような擬音語、
言葉遊びの一種ですけれども、作ったということはこれ想像に難くないですね。
こうしてクエクエロスというような表現がですね、いわゆるシャリンを意味する単語として採用されたということなわけですね。
ちなみにシャリンというものはですね、人類の大発明なわけなんですけれども、
この紀元前3000年とか4000年というレベルで存在していた引用速語に似合ったということは驚くべきことですね。
場合によってはこのシャリンを発明したのがまさに引用速語の話だったとも言われているわけですね。
他にこの引用速語にはシャリンそのものではなくて、その部品ですね。
腰着とか首着、長え、それからシャリン付きの乗り物なんという対応語もですね、
共にあったということがわかりますので、基本的に引用速語のこの話者がですね、
発明し、そしてその発明の驚きをですね、遊び心満載でコロコロクルクルみたいに表現したのが、
いわゆるクエクエロスだったのではないかと考えられるわけですね。
さあ、このクウって音ですね。
音の変化とグリムの法則
KW、現代の英語のスペリングだったら、例えばQUとか書きたくなるようなクウって音ですね。
クイックとかクイーンっていう時のクウって音なんですが、
これはですね、実は英語史では有名なグリムの法則というですね、音の変化を綺麗に表している代表例の一つでもあるんですね。
クウっていう音が、例えば先ほどのギリシャ語であるとか、その他の言語にはそのままクウ、クの音で継承されたんですけれども、
英語が属するゲルマン系の言語ですね。
ゲルマン語派です。
ゲルマン語派においてはですね、この元々の引用速語のクウって音が、フウ、HWのような音に変わってきます。
HWですね。
それがつまりクエロスだったものが、フエロス、フエロスみたいになるわけですね。
やがてこのフの部分は弱いのでなくなって、Wだけになります。
それが現在のウィールっていうことですね。
確かにスペリングでは、英語のスペリングではWHとありまして、
アメリカの発音ではそれをスペリングに近くですね、このフの音が聞こえて、フィールなんていう場合もあるんですが、
基本的にはウィール、ちょうどウィウィルを短縮したウィールと全く同じ発音で実現されるわけですね。
なので、ちょっと元々のクエロからだいぶ離れてしまったように感じますが、これはグリムの法則という音の変化できれいに説明できます。
クエルの部分がHWですね。
そしてHが消えて、Wの音に英語では対応するっていうことになります。
クエロスという2回繰り返すのが大元でしたから、本当はこのHとかWも2回出るはずなんですが、Hは弱いので結局英語では消えていってしまったんですね。
なので最初のWだけが残るという形で生き残ったんですが、クエロスのLはちゃんとそのまま6000年の時を経てですね、現代の英語のウィールという最終シーンにしっかり残っているっていうことです。
強引に日本語に例えますと、日本語の擬音語はコロコロということで、まさに回転する車輪にふさわしい、少なくとも日本語語化者にはふさわしく感じる擬音語ですよね。
これが長い時を経て音の変化によってコロコロのこのクの部分がH音になってしまってホロホロと。
しかもこのHが消えてですね、母音だけになってオロオロになってしまったというようなこんなイメージなんですね。
もし回転している車輪がオロオロだとどうも雰囲気が合わないという感じがするんですけれども、雰囲気が合おうが合うまいが音の変化っていうのは起こるときは起こっちゃうんですね。
なので元々はクエクエロスだったものが今は全くその音の感覚っていうのが全くというかほぼですねLは残ってますが大方なくなってしまって単にウィールと言っている。
そんな具合なんですね。音の変化というのは非常に面白くてグリムの法則という用語を出しましたけれども、かなり規則的に働くものなんですね。
なので逆にこの規則がしっかりしているからこそ大元の引用総合が復元できるという話です。
それではまた。