挨拶の無冠詞の多さ
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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ぜひフォローしていただければと思います。またコメントやシェアの方もよろしくお願いします。 今回取り上げる話題は、good morning!
そういえば挨拶のような決まり文句は無冠詞が多いですね。 という話題です。
good morning! っていうのは、もともとは I wish you a good morning! ということなんですね。
私があなたにある一つの良い朝をお祈りします。 というのが文字通りの文句っていうことですよね。
ですが、この I wish you a の部分が省略されて good morning! となるわけです。
そもそもが統合的にだいぶ省略されているんですね。 I wish you が省略されているわけで、さらにもう一歩ですね。
a まで省略するっていうことは、ある意味同じ方向を向いている。 ひたすら省略していくっていう点ではですね、似ているわけです。
他にメリークリスマスっていうのもそうですね。 I wish you a merry christmas! というのが正式なと言いますかね、フルバージョンでの
統合的なセンテンスなわけですけれども、 これはですね、メリークリスマス。もちろん a merry christmas to you のように
a という不定関心の部分を含めるという省略の仕方もありますね。 この場合は to you のように後ろに何かつくとですね、こういうふうに
a merry christmas to you のように関心が残ったりすることもあるので、 挨拶だからといって絶対に関心部分まで省略するという絶対的なルールではないですね。
ですがやはり決まり文句性が高ければ高いほど、 関心部分も切り落とすということですね。省略させるということが多いと思うんですね。
これはまあ、枚挙に留まりませんね。 good morning, good afternoon, good evening というのはもちろんですし、
それから goodbye, good night のような別れの挨拶ですかね。これなんかもそうです。 季節の挨拶っていうのも多いですね。先ほどのメリークリスマスというのももちろんそうなんですけれども、
happy new year, happy birthday のような言い方ですね。 happy anniversary のようなものも関心をつけないということですよね。
そうしますと、決まり文句としてはですね、緊急時の決まり文句っていうのも変なものですが、 例えば help っていうのもそうですし、 fire っていうのもそうですね。
これなんかもですね、 a fire と言っている、暇はないと言いますかね。 当然 a fire なんでしょうけれども、この a っていうのは大抵省略されるということです。
その流れで言いますと、ある種の叫びであるとか、簡単ですね。 簡単のフレーズなんかで言いますと、例えば charming couple と言ったり dirty place と言ってみたり
excellent meal であるとか poor thing, good idea, lovely evening なんていうのも類例と言うこともできますよね。
あまり感極まっているので、感知みたいなものは省略してしまうということですね。 いわゆる簡単句ということですね。
他に例えばですね、疑問文で cigarette と言ったり good flight とか next slide のような言い方では、感知が省略されるといったように、
割と日常的な文脈であるとか決まり文句などでは、このような感知の省略っていうのは非常に普通に起こるんだということを、今ですね、例を挙げてわかったかと思うんですね。
感知というのは、英語学習者にとってかなり難しい文法事項ということで、とても我々も頭を悩ませるわけなんですけれども、
かなり低感知ですね。この使い分けに厳しい言語でありながら、このような決まり文句であるとか、簡単の文句のような時には、
あっさりと省略してしまうというのも一方で英語という言語にあってですね、ますます難しいなと感じる次第です。
さて決まり文句や簡単句というところまで話が及んだわけなんですけれども、よく考えてみると最初に出した good morning であるとか
決まり文句と対格
merry christmas というのはですね、これ実は目的語なんですね、動詞の。つまり対格、目的格であって主格ではないんですね。
省略されて、good morning、merry christmas とだけ見ると、単体で一つの句なので、あたかも主格と言いますかね、そのまま名前なんだというふうに捉えられるかもしれませんが、
もともとは統合的省略ということを述べた通りで、I wish you a good morning だったり、I wish you a merry christmas ということで目的語、対格に置かれているということなんですね。
この挨拶のような決まり文句が対格に置かれることが多いということなんですが、
とすると、先ほど挙げたような簡単句、これもですね、実は主格ではなくて対格っていう可能性はないだろうかっていう気になってくるんですね。
例えば excellent meal なんていう叫びですね、があった時に、it was an excellent meal というこの省略とも考えられますし、
thank you for an excellent meal ということかもしれませんし、you gave me an excellent meal かもしれませんし、格としては何なんだろうということになりますね。
good idea っていうのも同じです。これも that's a good idea のように直感的に思いますが、あるいは you have a good idea と驚いているのかもしれません。
何が省略されているのかっていう問題になってきますね。 そんなところから私が少し関心を抱いているのは、この簡単文であるとか簡単文句ですね。
においては、例えば poor me みたいな言い方ありますよね。かわいそうな私っていう。 これは poor I じゃなくて poor me なんですよね。
この me というのは形状対格と言いますか目的格なんですけれども、これどういうことなんだろうかであるとか、
lucky you のような場合ですね。この you は主格なのか目的格なのか形からはわからないんですが、
poor me, lucky you と比べてみるとですね、なんだか目的格っぽい匂いもするわけですね。
実際ですね、ラテン語なんかではこういう時に対格を用いるんですね。例えば me miserable という叫びですね。
これそのまま言えば me miserable ということで、このラテン語をそのまま英語に移したようなこの me miserable っていう言い方は、実はミルトンが使っていたりするんですね。
このように簡単文に近いものであるとか呼びかけに近いものですね。
ここで使われる単体の名詞なり代名詞っていうのは、実は主語のように見えてですね、デフォルトの格である主格のように見えて、
もしかしたら対格かもしれない、目的格かもしれないと、そのような考え方も出てくるっていうことですね。
さあ、決まり文句がですね、ほとんど無関詞であるというところから出発して、
I wish you a good morning のこの good morning の格は何なのかということですね。
そんなところまで話が及びました。一度この決まり文句、簡単文、そして無関詞、格、この辺りの問題について考えてみてはいかがでしょうか。
それではまた。