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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ月曜日を意味する Monday はムーンデイではなくてマンデイなの、という疑問です。
日本語でも、この最初の曜日は月曜日、月にちなんだ名前になっていますね。
英語でも想像できる通り、このムーンに関係したマンデイというのが月曜日を意味する単語になっています。
明らかに天体の月であるムーンということと、この曜日の最初の日マンデイのマンの部分は関係があるだろうということは想像がつくわけですよね。
ですが素直にムーンデイではなくてマンデイという発音になっています。
つづり字でも月は M O O N なわけですが、この月曜日は M O N O O が一個だけに省略されているような形ですよね。
で、D A Y ということですので、発音上もつづり字上もちょっと短くなっているという感じがするわけですよね。
これは何なんだろうか、なんでなんだろうかということを今回はお話したいと思います。
1000年ぐらい前の英語ですね。これ古英語と言っています。Old English 古い英語ですね。
この時代には月曜日のことはもうなんだいと言ってたんですね。もうなんだい。
このもうなっていう部分がいわゆるムーンですよね。
1ヶ月という期間を表す単語はもうなずというふうにTHをつけて言っていました。
明らかに語源的に関係がある天体の月と期限の月というのは関係がある単語だってわかりますが、月曜日のことはもうなんだいって言ってたんですね。
これ日常的な用語の割には結構な長い単語なんです。3音節あります。しかももうなんだいですから最初の音節はもうなん。
もう音というふうに長い長母音があります。全体としてまろびしたような3音節の長い単語ということになります。
このような一種の複合語でもあるわけなんですが、日常的な単語でもありますよね。
そうするとあまり長いと発音がめんどくさいということになりますね。よく使う単語であればあるほど短く発音したいという欲求が生じます。
そこで小英語の次の中英語の時代には様々な発音があったんですけれども、第2音節目が脱落して全体として3音節だったもうなんだいが2音節のもうんだいに短縮されるということが起こります。
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これによって少し発音が楽になるわけですね。もうんだいとなります。
その後、おーという発音がうーとなるという変化が近代にかけて起こりまして、これがもんだいだったものがむんだいとなります。
その後ですね、これでも長いと言わんばかりに、第1音節に長母音むんだい、うーがありますので、これでも長いと言わんばかりにですね、ここが短縮して短母音になります。
つまりむんだい、むんだいですね。
そしてこのむんだいになったものがまた別の変化なんですけれども、うーという音がおーという別の母音に徐々に変わっていきます。
これによって現代語につながるマンデイという発音が完成したということになりますね。
したがって小英語からの流れをもう一度たどりますと、もうなんだい、そして次にもーんだい、次にむーんだい、そしてむんだい、最後にマンデイという形で、
少しずつ音を変えたり、主に短くなるという方向で変化してきまして、現代では比較的短くて、しかも単母音で始まるマンデイという発音になったということなんですね。
ムーンにレイがついたという複合語なんですが、複合語ということは当たり前なんですが長くなりがちですよね。
全体として長くなりがちなので、それを構成する部分部分は少しでも短くしたい、単母音化したいという形で変化するということは非常によくあるんですね。
例えば他の例を述べますと、ホーリデイなんていうのがそうですね。
これは休日っていう意味で使っていますが、語源を考えるとわかる通り、ホーリデイ。
祝うべき神聖な日ということですよね。ホーリデイです。
そのままホーリデイであれば、ホーリのホー、第一音節は二重音を持っているわけなんですが、合わせてホーリデイというと長くなってしまう。
なので少しでも若干でも短くしたいという思いから、二重母音ではなく単母音を使って、複合語としてはホーリデイ、ホーリデイ、決してホーリデイと言わずにホーリデイというふうに若干ですが短くしていますね。
これなんかと同じ話題です。
他にはですね、実は非常に身近なところで似たようなムーン、マンデイの関係が見られるもう一つの単語があります。
これはですね、ドゥーです。
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助動詞のあのドゥーなんですけれども、これ三単元のSをつけるとドゥーズではなくダズになりますよね。
同じように過去分詞のN、NEをつけると、これドゥーンではなくダンになりますよね。
つまりドゥーに対してダズダンという発音になるんですね。
これはちょうどムーンに対してマンデイとなるのと同じです。
ウーに対してアッとなるということです。
ダズダンの場合は複合語というわけではありませんが、ちょろっとSがついたりNがついたりするだけなんですが、これでも十分長いとよく使われる単語なので、ちょっとでも長くなると鬱陶しいということですね。
短い母音に変化して、単体ではドゥーなんですが、そこに語尾をつけるとダズダンというふうに短い母音に分けるということですね。
なのでムーン、マンデイの関係がちょうど同じようにですね、ドゥー、ダズダンの関係にも当てはまるということになります。
さて、ムーンあるいはマンデイの第一音節の母音が短くなるということについてお話してきましたが、実はですね、このマンデイについては第二音節、語末のデイの部分についても一言二言話しておくべきことがあります。
おそらく多くの皆さんはマンデイというふうに、つまりデイ、一日を表す単体としての単語のデイと同じような発音で発音しているのではないかと思うんですね。
ところが辞書を見てみるとですね、基本的標準的な発音はマンディとなっているんです。
マンディ、チューズディ、ウェンズディ、つまりディです。デイとフルで発音していなくて、短くマンディという発音が上がっていると思うんですね。
標準的なものとして上がっていると思います。ただ実際のところはですね、両方の発音が使われているようです。
つまりマンデイというときとマンディというときがある。チューズデイ、チューズディ、両方があるということですね。
単体で発音されるときはフルで、それに対して複合、やはりですね、組み合わさった複合語の中ではマンディというふうに発音されることが多いようですね。
例えばですね、文末であるとか、単体で発音されるときはマンデイとフルに発音します。
一種のこれも複合語ですよね。複合語になるとやはり短い発音が好まれるというのは、今日の話題であるムーンがマンデイになってくるのと同じような発音でですね、考えることができるかと思います。
このようによく使われる単語にはですね、強い発音マンデイという発音とマンディモーニングのようにマンディ、弱い発音というのが共存するということは意外に英語の中ではこのペアをなすものというのはたくさんあります。ではまた。