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2024-07-27 10:00

heldio#7. なぜ one と書いてオネではなくてワンなの?


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。 慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった 英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、なぜ one と書いてオネではなくてワンなの、
という話題です。 これは非常に素朴な疑問ですね。
普通、思いつかないようなぐらい素朴だと思います。 というのは、物心ついた時には、つまり英語を学ぶ前からですね、
one というツーリーを見て、これは one なんだよと、なんとなくそのぐらいまで知っているかと思うんですね。
なので、これを特に one と分解せずに、この3つの文字が並んだセットで one と読むというふうに認識している。
ちょうど漢字のようにですね、この3つが集まると one と読むんだ、一の意味なんだというふうに理解しているかと思うんですね。
ですが、改めてですね、英語をある程度学んでから、 アルファベットというのは本来表音文字である、音を表すものなのに、
なぜこのツーリー、字で one と読むのかということを考えると、 これ実は素朴な疑問というより結構高度な疑問になってくるんですよね。
こういう発問というのが、英語史的には非常に面白い問題になってくるんですね。
今回はこの問題について考えたいと思います。
one と書いて one ということなんですが、この one という響き、発音だけ考えると、もう一つ英語にはこの発音に対応する単語があります。
これは win-one-one の勝ったですね。勝つを意味する win の過去形、過去分詞形の one というのがありますね。
これは w-o-n ということで、ここには w があるので one と読むというのはそこそこ納得できるわけですよね。
ですが、それよりも頻度の高い 1 という数字の 1 ですよね。これには w という文字はないわけです。
それなのに one と w があるかのように読むというのは、これは英単語広しといえども、あまりないんじゃないでしょうかね。
つまり w の文字が通訳の中にないのにもかかわらず、発音としてはこの w 音が現れる。
one ですね。これはあんまりないんではないかと思うんですね。なので、ますます謎ということになります。
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さあ、この問題に英語詞的に迫っていきたいと思うんですけれども、この Voicy でのですね、このチャンネルを始めるにあたって、
初回にですね、なぜ a pen なのに a napple なのという不定関詞の話題を扱いました。
そこでも実は触れたことなんですけれども、実はこの通詞の one ですね。これも不定関詞のあ、あんも同一の語源に遡るんですね。
1000年ぐらい前の古英語と呼ばれる時代にはですね、すべてあーんという、あーんですね。
これが通詞でもあり、今の不定関詞のあんに相当するものでもあったという意味で、語源としては一つだったんです。
これがある意味でですね、後の歴史で3つに分かれたということになります。
数の1であることを強調する場合、つまり2でも3でもなくて1だよっていう時には強調して、あーんというものが後に1になりました。
それに対して1であることを強く述べるというよりは、単にあるものが存在するという意味で、1という意味は限りなく弱くなって、ゼロに対して存在という意味を表すですね、不定関詞が現れました。
これが弱まった発音のあんになるわけですね。
さらにこれが詩音で始まる名詞の前においては n が消えてあとなるんでした。
つまりわんもあんもあもですね、すべて同じ元々の単語に由来する3つに分かれた単語ということになります。
所詮意味であるとか発音の強さの問題で、わんあんあの3つに分かれたぐらいの話なんですね。すべて同じということになります。
じゃあこの中で一番意味の強い、つまり1という意味を積極的に表そうとするわんっていうのはどうできたかということを考えてみたいと思うんですね。
もともと小英語ではあーんでした。あーんですね。
このあーんという単語が弱まってあんあになっていくんですが、強いままのバージョンですね、あーんというのは後の時代にも受け継がれました。
小英語の次の時代、1100年から1500年ぐらいの時期の中英語、ミドルイングリッシュと呼ばれる時代には様々な発音、つづり字が存在しました。
この強い1を意味する、積極的な1を意味するあーんは少し発音があるいはつづり字が変わっていろんな表れ方をしたんですね。
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その中にはもともとのあーんというのを受け継いだものもありますし、母音が少し変わっておーんというのもあったんですね。
これ割と普及した形です。おーんという形です。
このおーんという形ですね、ONと綴られたりONと綴られたりONEと綴られたりいろいろあったんですけれども、これがおーんですね。
その他ですね、イギリスでもいろんな方言がありまして、西部の方言、ウェルズに近い方のですね、中西部であるとか南西部の方言では非常に生った発音というんですかね。
このおーんではなくて、これを強調するあまり、後頭にWOが挿入されたウォーンという発音が現れたんです。
一種の鉛と思ってください。方言形です。ウォーンですね。確かにインパクトはあります。非常に1だよという強調する雰囲気が伝わる発音だと思うんですね。ウォーンです。
このウォーンという発音が元になって、これが単語に介してですね、WONとなります。そして後にはこのオの発音がオという発音になって、ワンになっていくんですね。現代の標準英語のワンに繋がる形です。
さあ、これは西部のかたいなかの発音として始まったわけなんですけれども、ひょんなことでですね、これがロンドンの標準英語の中に取り込まれます。たまにこういうことあるんですね。
地方の発音がなぜかですね、ロンドンの標準英語の発音の中に取り込まれて、現代まで残っているという例があります。このたまにある例の一つが、この非常に重要な単語である1を意味するこの単語に関して起こってしまったということなんですね。
本来であればアーンだったはずです。あるいはそれが中英語期に変化したオーンぐらいだったと思うんですね。ところが西部の発音であるウォーン、ワン、ワンというこの発音が取り込まれてしまった、標準英語に取り込まれてしまったということになります。
つまり非常に生った発音が現代の標準英語の中に取り込まれた結果、このワンという発音になっているんですね。一方、つづり字に関してはまた話は違います。つづり字はつづり字で別の発展を遂げていまして、いわゆる小英語のアーンが中英語でオーンになったその時の発音を表すつづり字によく対応していることになります。
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つまりONEという形ですね。このようにある意味では不幸なことに、現代の標準英語につながる形は発音に関しては西部方言から取られた。一方でつづりに関しては比較的多くの方言で使われていた一般的な形が取られた。
そして現代の観点から改めてマッチングしてみたら完全にミスマッチだった。ONEなのに発音はワン。発音はワンなのにつづり字はONE。このような不幸なミスマッチングというのは実は非常に英語の歴史において多く起こってきています。
それがとてつもなく重要な単語、数詞の第一番目の単語であるONEについて起こってしまったというのはある意味では歴史の不幸と言えるかもしれません。関連する話題はまた別の機会に述べたいと思います。
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