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2024-12-25 10:00

heldio #158. up と down、上か下か?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #副詞 #意味変化
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、upとdown、上か下かというお題です。
これは、upといえば上に決まっていると、downといえば下に決まっている。
決まっているというのは、現代語の話なんですけれども、これが語源を紐解くと、よくわからない話になってくるんです。
なので聞かない方がいいのかもしれませんが、upが上、downが下というのは、これは自明ではないんですね。
これどういう話かというと、語源を遡ってみたいと思うんですね。
まずupという、上にという意味ですね。
これは前置詞であり、しかも副詞でもあるという単語で、頻度の高い、よく使われる単語なわけですけれども、
これは英語からあるんですね。upと読みましたが、ちゃんとあるんです。
英語の祖先であるゲルマン祖語にもupという形がありまして、
しかもゲルマン語の仲間の言語ですね。
例えば今のオランダ語のopとか、ドイツ語では少し発音が変わりますがaufと言いますね。
コーノルド語なんかでもupと言っていますが、ゲルマン語に全部あるんですね。
英語にもあるということです。
さらに遡ったインドヨーロッパ祖語にもupという形があって、ほぼ変わらずにあるわけなんですが、
原義、大元の意味はどうも上へということは間違いないんですが、下から上へという意味なんですね。
これ言うまでもなく上へということは、下から上へということは当然前提とされているわけなんですが、
この下から上へという原義を基本と置くことで、その後の発展、いろんな言語での発展がわかりやすくなるんです。
下からの起点ですよね、スタートラインということですね。
上へというのはゴールです。つまり終点、起点と終点ですね。下から上へということで。
これのどっちが取られるかということで意味が反転しちゃうんですよね。
英語の場合、下から上へというのは上へというゴールの起点ではなく終点の方を焦点化することによって上ということになりますね。
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他のゲルマン祖語でも同じことだったんですが、ところがラテン語ではですね、
インドヨーロッパ祖語に遡る下から上への方で、下にという、下からですかね、これが焦点化されちゃうんですよ。
つまり下の意味になっちゃうんですね。
これがどういうふうに発展するかというと、ラテン語のSUBで表される、英語にも入ってきます、サブってやつです。
これ下ってことですよね。サブウェイっていうのは地下道ですから、下ってことですよね。
ギリシャ語では、ラテン語のSがだいたいギリシャ語ではHになるというのは別の放送でお話した通りなんですが、
ヒュポっていうのがあるんですね。
このヒュポというのは下って意味です。下ですね。
これが英語に入ってきて、例えばhypothesisなんかのhypoっていうのがそうで、これはもともと下に置くってことなんです。
仮説ってことですね。
ラテン語で言うとサポジション、仮説、仮定ってことなんですが、これもサブにポジションってことなんで、実は下に置くってことなんですね。
仮にとりあえず置いておくぐらいの仮説。これ下って意味です。ヒュポですね。
ところが、ラテン語で言うとSUBですね。英語で言うサブですが、これは下になったと言いましたが、
これと事実上同じ語源でSUPERってのもあります。SUBからSUPERとちょっと長くなるだけなんですが、
これはSUPERっていうのは当然英語にも入ってきてSUPERです。これ上ってことですよね。
ギリシャ語で言うとヒュポっていうのが下でしたが、これもちょっと文字入るとヒュペルとなります。
これ英語風に言うとHYPERです。HYPERっていうのはSUPERと一緒で上ってことです。
つまり、もともと下から上へといったときに、単語の発展によって下の意味に焦点化がなされる場合と、
上に焦点化がなされる場合とで、ある意味、半義語になっちゃうわけですよね。
ですが、これ同一の語源ということなんです。英語とかゲルマン語の場合、とにかくこの語源の単語は、
UPとして上にというふうに、焦点ですかね。ゴールの焦点が焦点化されたことによって、
上へということで決着がつき、現代に至っています。
ですが、他の語派ですかね、ラテン語とかギリシャ語ではSUBEとかヒュポっていうふうに、
同じ語源なんですけれども、下という意味で意味を発展させたというところで、よくわからなくなってくるということなんですね。
英語のUPに注目すると、そういうことです。
ゲルマン語では基本的に下から上へのこの上へというところが取られて、上の方に向く意味になったわけですね。
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では、半義語、英語での半義語はもちろんDOWNということで、これが下に下へということなんですが、
これはどういう語源かというと、これだいぶ異なります。
だいぶ違うところから来ていまして、これは小英語のオフドゥーネという二語からなる、ある種の熟語ですよね。
これから来たというふうに考えられています。
オフドゥーネってことです。
この小英語のオフドゥーネは、それぞれどういう意味かというと、
オフっていうのは実はオブです。
何々のっていうことですね。
あるいは、OFのオブだけじゃなく、OFFオフですね。
まさに何から離れてっていう、あれもまた同語源なんですね。
小英語でこれオフと呼んでいましたが、
もともとの意味は何からっていうふうに、今でいうとFROMに近いような意味だったんですね、オフは。
そしてその後にくるドゥーネ。
これは何かというとですね、丘って意味なんです。
ドゥーン。
これ実は現代でもドゥーン。
D-U-N-Eと書いてドゥーン。
これ丘って意味があります。
特に砂丘ですかね。
サンドゥーンというと砂丘。
砂の丘っていうふうに使われます。
そうするとこれは、from the hill。
丘からってことなんです。
丘ってのは高いところですから、つまり高いところから低いところへっていうことですね。
つまり上から下へってことです。
またupみたいな語源になってきますね。
じゃあこのオフドゥーン。
ドゥーン自体を取れば丘ですから高いところ。
だけどオフがついてます。
つまりfromの意味の前置がついてますので、高いところからになります。
そうすると結果的にゴールは低いところへ、下にってことなんで、
そちらに焦点かされると、これ下にの意味になりますね。
英語ではどうもこの路線を辿ったっていうことなんですね。
ドゥーン自体は高いところにある丘なんですが、
オフがつくことで、つまりfromに相当する前置がつくことで、
全体が混乱を起こすと言いますかね。
むしろ半義語である下にっていう意味になってしまったっていうことなんですね。
このオフドゥーネの、このオフの部分が弱まってですね、発音上。
オドゥーネ、オドゥーネぐらいになりますね、まず。
Fが消えちゃうと。
で、オドゥーネとなったところで、
うが最初の音説が消えちゃうんです。
さらに弱まって、つまり消えちゃって、最終的にはドゥーンという、
つまり丘を表した単語がそのまま丘からという意味になり、
つまり丘から下へ、低いところへっていうことで、
下に低いところへという意味になっちゃったという、
とんでもない語源をどうやら持つんですね。
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この前置であり副詞であるdownっていうのは、
このドゥーネに由来するんではないかというふうに言われています。
ちなみにですね、このドゥーンっていうのは、
先、丘という意味で現代は残っていると言いましたが、
実はこのdownと全く同じ形で名詞もあります。
これやっぱり丘、給料地って意味なんですね。
イングランド南部には給料地がありまして、
ちょうど東京で言う多摩給料みたいに言うように、
North Downs、South Downsなんて呼ばれる給料地帯が広がっています。
これNorth Downs、South Downsと呼ばれています。
ダウンズですね。つまり丘が連なっている地域ということで、
こんなところにも残っているということです。
ということで、植え足したかわからなくなる話でした。
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