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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応技術大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回扱う話題は、meat。肉を意味するmeatの昔の意味は、実は食べ物、全般を指したという話題です。
さて、音声でmeatと聞くとですね、英語には実は肉だけでなく、3つ異なる単語が存在します。
1つは肉ですね。meatというつづりです。
もう1つは、皆さん知っていると思いますが、meetとつづる、出会うという意味ですね。
もう1つ、これはあまり知られていないと思いますが、meatと発音するんですが、これは罰を与えるという意味で使います。
meat outのような動詞句で使うことが多いですが、
meat、耳で聞いてもですね、これ3つの異なる単語に対応するということですね。
英語にはこのような動音異義語というのがたくさん存在しますが、meatもそんな例となりますね。
今回扱うのは、肉を意味するmeatのこのmeatということになります。
さて、現代英語では当然これ肉、食肉ということで受け取られていますが、
実は古くは、そして近代に至るまで、実はこれ食べ物一般を意味したんですね。
食物の中でも肉というのは非常に重要な食べ物なわけではありますが、あくまで一部に過ぎませんよね。
もともと広く一般的に食べ物を指したものが、その一部に過ぎない肉を表すものに、ある意味、意味が特化した、特殊化したという事例になります。
もともとは、食べ物、食物という非常に広い意味を表したんですね。
このもともとの意味というのは、いろんなところに実はですね、痕跡を残しています。
ただmeatと聞くと、肉以外に思い浮かばないかもしれませんが、複合語を見てみるとですね、源氏、もともとの意味が意外と残っているんですね。
例えばですね、sweet meatという複合語があります。
これそのまま聞くとですね、甘い肉という感じになりますが、sweet meatという複合語で、これはですね、砂糖菓子の意味です。
大抵、砂糖菓子に肉なんて入っているわけはないので、甘いお菓子、食べ物というぐらいの意味でmeatを使っています。
sweet meatですね。
他にはgreen meatという表現がありますね。
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これ、青い肉、緑の肉ということですが、これ野菜の意味なんですね。青物という事です。
ある意味では矛盾するような感じに聞こえますが、meatを肉と取ってしまうと矛盾するんですが、
もともとの意味である食べ物という意味がここに残っているんだと思えば非常に分かりやすいですね。
これに対してred meatというと赤身の肉ということで、これはまさしく食肉、動物の肉ということになります。
他にはですね、mince meatというのがありますね。
これ、クリスマスに西洋でよく食べられるmince pieというパイがありますよね。
あれ、いわゆる甘いお菓子のパイです。
中に肉が入っているわけでは決してありません。
どちらかというと、普通、ナッツとか野菜ですね。
これが切り刻んで入っているということなので、決して肉ではないということです。
そのようにこの具、詰め物のことをmince meatというわけですが、
これもあくまで詰め物の具、食べ物という意味で、決して肉を指すわけではないんですね。
このように複合語にですね、原義である食べ物、一般の意味が割とよく残っています。
他にもいくつかですね、やや古風なものが多いですが、原義が残っているイディオムの例を挙げてみますね。
before meat, after meatという言い方があります。
これ、肉の後にとか前にというと意味が分かりません。
これ、食前食後にという意味です。
before meat, after meatですね。
このmeatはつまり食べ物から転じて一般に食事ぐらいの意味である。
それからですね、重要なことわざが一つあります。
one man's meat is another man's poison.
one man's meat is another man's poison.
これ、ある人のmeatは別の人にとって毒だ、ポイズンであるという言い方で、
こうの薬はオツの毒なんて言いますね。
人の好みは様々だということなんですが、
これ、ポイズンというのは摂取してはいけないもの。
それに対してmeatというのは摂取して良いもの、摂取すると良いものということで、
これ、食事、食べ物の意味なんですね。
決して肉ではありません。
ポイズンに対するのはあくまで食べ物一般という意味です。
one man's meat is another man's poisonのこのmeatというのは食べ物という原義が残っていることになります。
他に、sit down to meat。
これ、食卓に着くというぐらいの意味で、
やはりこのmeatも別に肉ではなくて、食事、食べ物という意味になります。
それからもう一つですね、meat and drinkという言い方があります。
これ、食べ物と飲み物ということですよね。
これ決して肉と飲み物、これ次第が悪いです。
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そうでなく、meat and drinkといった場合のこのmeatはあくまで原義である食べ物です。
だから飲食物ということになります。
これを使ったイディオムとしてはmeat and drink to somebody
誰々にとって何よりの楽しみ、つまり飲食物であるような楽しみであり、得意なものであるというような表現で使います。
例えばですね、例文を挙げますと、
のような文ですね。
彼にとって、もうお得意なものだというような表現ですね。
meat and drink toというような表現です。
さあ、この今回取り上げたmeatのように、
昔は非常に広い意味だった食べ物一般ですね。
広い意味だったものが、その一部に過ぎない食肉、動物の肉ですね。
それだけを示すようになってしまったという意味の特殊化と呼ばれる例なんですが、
これは非常に多く英単語には起こっています。
いくつか紹介してみますと、
例えばですね、
これエロチックということなので、文字通りエロい、性愛のやらしいという意味になるわけなんですが、
これもともとはですね、このいやらしいというイメージではなくて、
一般に愛、つまりラブの形容詞だったんですね。
愛のということだったのが、その愛の中でも、
というわけで性愛に特化した形で、エロチックという形容詞になっていった。
これもmeatと同じように意味の特殊化の例ということになります。
もう一つの代表例はですね、
deerです。
これ今鹿という意味ですよね。
ですが、あと本来はですね、これは動物一般を指したんです。
つまり狼もdeerだったということになります。
ですがその中の、動物の中の一種に過ぎない鹿がですね、
鹿という意味に特化していて、今に至るということですね。
このような意味の特殊化というのが呼ばれます。
最後に動物つながりでもう一つ言っておきますと、
houndというのがありますね。
これ今猟犬という意味です。
猟をするある種の犬です。
特定の犬種を指してhoundというわけですが、
これは古い時代には実は一般的に犬を表したんですね。
今でいうドッグに相当するような広い意味を表したものが、
意味が特化してしまったということになります。
このような英語の単語にはたくさん意味が特化したもの、
意味が変化してきたというものがありますが、
今回はその代表選手であるmeatについてお話ししました。
それではまた。