英語における「2」の重要性
おはようございます。英語の語源が身につくラジオ、heldioのパーソナリティ、 そして英語の歴史を研究しています。堀田隆一です。
7月30日、土曜日です。 7月最後の週末となります。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
もうあっという間に8月になってしまう、そんなタイミングですけれども、 暑さも握り、暑さにやられないように頑張っていきましょう。
それでは本日の話題なんですけれども、昨日に引き続き、 英語における2に注目したいと思います。
英語には2が深く浸透しているということで、昨日の話題の続編となります。 今日もどうぞよろしくお願いいたします。
昨日の放送なんですけれども、424回、英語における二進法的発想。 二進法的っていうのは少し言い過ぎかもしれませんが、要するに二で一組っていう発想ですよね。
これ自体は英語のみならず、世界の言語にも観察される、非常にユニバーサルな特徴だと思うんですね。
人間にとってと言いますか、人間社会にとって、二つで一つという単位ですね。 これあまりに多いですので、言葉上もそれが何らかの形でマークされている、表示されているというのは非常に自然なことだと思うんですよね。
前回、英語であるとか引用祖語の段階からずっと続いている、量数とか総数と呼ばれている、英語で言うとDualというこの数があったと。
つまり単数複数と、また独立して別の第三の数のカテゴリーとして、量数、総数なるものがあったということを紹介したんですけれども、
現在でもPairとかCoupleという形で、2で一組、一つの単位なんだという言い方がいろいろあるということなんですけれども、その他にも2を前提とした表現というのは英語の中にもたくさんあるんですね。
例えば、比較級ってのがそうなんですよ。比較っていうのは、AとBを比べて、A is older than Bみたいな言い方ですよね。
あれというのは、3つ以上だと一応最上級を使って、Aはこの3人以上の中で一番年上なんだという言い方なんですが、比較っていうと基本的に2者が前提なんですね。
それ以上で比較することはあるとはいえ、やはりプロトタイプとしては比較するっていうことは、AとBというのを、この2者を比較するっていうところが基本的な発想なんですね。
そしてこの比較というのは、この人間社会の中で、人間の思考の中で非常に重要な役割を果たすっていうことで、比較では必ず2者が必要。
この2というのが、いろんな形で言語上にも比較級みたいな文法ですよね。文法の中に埋め込まれたりしているっていうことで、つまりERとかMOAっていう比較級の表現ですけれども、
あれそのものが2というものを前提としているって言いますかね。そういうものだと思うんですよ。
最近、この比較級の話につきまして、同僚の井上一平先生とYouTubeチャンネルを作ってるんですけれども、こちらでも比較級について詳しく語っています。
ぜひ見ていただければと思いますが、この比較級っていうのはですから、2を前提としているっていうことで、今回の話につながるっていうことなんですね。
さあ、このERというのは確かに比較級として2を前提とすると、そういうことなんだということがわかるんですが、
引用速報を遡りますと、実はもう1個別の種類の比較級っていうのがあったんですよ。これがERならぬTHERですね。
ただのERではなくてTHも前についているTHER、英語で言うとなんですけれども、これも普通の比較級とはまた違う形での、むしろもっと2を意識させる比較級の形態として、このTHERっていうのがあるんですね。
これあまり指摘されることがないので、多分面白く感じると思います、皆さん。これ英語にたくさんあります。そして全て2者、2つを前提としているときに使われて、こっちじゃない、あっちだよっていうとき、つまりこっちかあっちしかないんですよ。
2者あるっていうことは、これかあれかしかないっていう、オンオフ、デジタルみたいなものなんですけれども、2者のうち1つを選ぶっていうときに、実はこのTHERっていうのがついて回ってるんですよ。いくつか皆さんも絶対に知っている英単語で上がってくるかと思うんですけれども、まずは典型としては、one and the otherっていうときのotherです。
「2」と文法の関係
otherってTHERありますよね。その前にoがついてるだけです。このoっていうのは実はoneです。1つ。つまりoneといった後に、2つを前提としているのであればですよ。2つのものがまず目の前にあるっていうことが前提であれば、oneといった後、その後残るのは絶対にthe otherになるんですよ。つまりoneのTHER、そうじゃないやつ。
2つあるもので、こっちではないやつ、つまりあっちという意味になるんですね。otherの本来の意味は従って別のとか他のというふうに訳されますが、oneに対して、oneにこのTHERをつけて、そっちじゃないやつっていうことであっちっていうのが本来の意味なんですね。
なので、the otherというと、2者が前提としているときの一方ではないやつ、他方というのが本来の意味なんだと思うんですね。これTHERのまさに原理と言いますか、本来の意味が生きてるっていうことで、これ強烈に2というものを前提としているっていうマークなんですよ。
他に皆さん、either A or Bっていうのがありましたよね。あれ当然AとB、どちらかAかBかですかね。AかBかどちらかっていうふうに訳すわけなんですけれども、これ強烈に2というものを前提としてますよね。その中でAかBかということです。
ちなみに、これもっと面白いのは、either A or Bのorってありますよね。これorっていうのは、今でこそこのorっていう形ですけれども、これは実は古い英語ではother、まさにこれotherですよ。これが包まったものがorなんですね。
したがって、このorというのも強烈に2者を意味する、2者を含意するっていうところから発生している。このように考えていいですね。
他にはwhether A or Bっていうのもありますよね。これはいわゆるeitherの疑問詞版です。whがありますから一種の疑問詞です。それにtherというのが付いた形で、これもwhether A or B、AかBかどちらかというか、AでもBでもみたいな役になることもありますけれども、どちらなのというふうに2者の中から選択するという意味合いが濃厚ですよね。
それから、これはtherこそ付きませんが、either A or Bと聞いたらすぐに思い浮かぶのがboth A and Bだと思うんですね。こちらも、このbothっていうのももちろん両方って意味ですから、2ということが関係あります。
それから言い忘れていましたが、eitherの否定形である頭にnを付けたneitherっていうのももちろん2つあって、そのどちらでもないということで強烈に2を意識させるこのような語尾、これがtherなんですね。
昨日の放送も併せて、どれくらい英語の中に2という数、これがいろんな形で埋め込まれているか、あるいは埋め込まれていたかっていうことが分かると思うんです。
今では形式としてはなくなってしまいましたが、名詞や認証代名詞にも2つ、複数でもなく、単数でもなく、2つ組になっているっていうことを表示するdual、両数とか総数っていうものがまず存在したっていうこと。
確かに消えてはしまいましたが、その後も単語によって、例えばpairとかcoupleという形で2つで1組なんだよっていう発想はもちろん今の今まで残っているっていうことが1つですね。
もう1つはあまり意識されませんが比較級のerであるとか、今日紹介した新手のもう1つの種類のある種比較級といって2を強烈に意識している比較級であるtherという、この1群の単語っていうのが現在でも残っていて、
確かに意味を考えると2というものを強烈に意識しているっていうことがわかったかと思います。
いわば文法化していて、語彙としてというよりは文法的な項目として理解されているので、この強烈に2というのを意識すると名詞的に感じたことはないかもしれませんが、考えてみると確かにotherから始まって、
今日紹介したeither、neither、whether、bothなんかもそうですけれども、この辺りがやっぱり2なんですよね、ベースが。
次回の生放送について
ということで、数字とか数字の話をすると私、なかなか話が止まらなくなるんですけれども、1より面白いかなと思っているのが、きのう今日と話した2の話題ということになります。
英語の語源が身につくラジオということで、英語の話ばかりしましたけれども、実際にはこれは本当にユニバーサルだと思いますので、他の何語でも、そして日本語でも、2が深くさまざまな表現の中に埋め込まれているっていうことは、これは極めて自然なことだろうと思います。
今日も最後まで放送を聞いていただきまして、本当にありがとうございました。2に関する話題を厚く語ったわけですけれども、この話題、私自身も好きですので、先ほどのチャプターでも紹介しました、井上一平先生とのYouTubeの中でも、この1、2というのにフィーチャーした、注目した回っていうのがありまして、そちら2回ぐらいあったと思うんですけれどもね、連続して。
その第1回のもののURLを貼り付けておきますので、今日の話に関心を持ちましたら、ぜひそちらの方も視聴していただければと思います。
最後に、明日7月31日日曜日のVoicy生放送のお知らせです。
明日日曜日の午前11時から12時ということなんですけれども、この枠でですね、5月に大衆鑑賞展より出版されました、言語の標準化を考える日中英読普通対象言語史の試み、こういう本を出したんですけれども、その偏者3人、私はその1人なんですけれども、偏者3人で定談を行うことになっています。
第1回定談は7月の9日にこのVoicyで放送しているんですけれども、それに続いて続編ということで、第2回の定談を今度は生放送で行おうということで、明日企画しています。
既にリスナーさんからいただいているような質問であるとか、コメント等も参照しながらのフリートークとなる予定なんですけれども、この英語の標準化であるとか日本語の標準化、これをですね、言語史を対象させながら、様々な言語の歴史を対象させながら対象言語史というアプローチで書いた本なんですね。
複数の著者が集まって書いたという、そういう本なんですけれども、この話題でお届けしたいと思います。
明日ご都合がつく方は11時から12時ですね。ぜひリアルタイムで生放送を聞いていただければと思います。
その生放送はそのまま収録してですね、後にアーカイブとしても公開する予定ですので、都合が合わないという方もですね、後日またそちらのほうを紹介していただければと思います。
明日7月31日日曜日の午前11時から12時ということで、生放送どうぞよろしくお願いいたします。
それでは本日土曜日ですけれども、良い休日をお過ごしください。
堀田隆一がお届けしました。
それではまた明日。