2025-09-13 14:05

heldio #420. 小銭は価値がないものの象徴

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #語彙論
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サマリー

6ペンスが小銭や価値のないものの象徴として考察されています。さまざまな文化における数字の意味や語源の変遷が紹介され、英語における古い表現の使用例も示されています。小銭が価値のないものの象徴として、多くの言語で使用される表現が存在します。このエピソードでは、英語における小銭の価値の低さについて具体的な例が挙げられ説明されています。

6ペンスの象徴
おはようございます。英語の語源が身につくラジオ、heldioのパーソナリティ、 そして英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。
7月25日、月曜日です。新しい1週間が始まりました。 7月も実質的に最終週となりますね。
夏休みの時期でもありますが、皆さんはこの夏休み、どのような予定でしょうか。 さて、本日の話題なんですけれども、
昨日の放送、419回の放送ですね。 23のことを3&20という言い方があるという、この問題について、英語史的な観点からお話ししたんですけれども、
そちらにコメントをいただきました。それを受けまして、今日も数絡みのお話をしたいと思います。 小銭は価値がないものの象徴、です。
昨日の放送と関連して、リスナーのマリーさんよりコメントをいただきました。 読み上げさせていただきます。
オンラインで実行している講座の課題文章の中に、 セックスペンスを、
わずかのね、つまらないこと、という意味として訳すケースが出てきました。 この講座の課題文章は少し古い文が多いのですが、この表現は今の時代でも、また英国以外でも使われているでしょうか。
今思いつかないのですが、このように特定の数字単位で抽象的な意味を持たせるものは他にもあるでしょうか。
今なら、ミリオネア、ビリオネア、ミリオンダーラはある意味、こういう例でしょうか。 ご英語的観点からの情報があればお聞きしたいです。
ということで、ご質問ありがとうございました。 これ非常に面白い問題で、特定の数字ですよね。
ことすらその数字じゃなくても良いのに、ある数字を持ってきて、これを小さいもの、数として小さいものの象徴代表として使ったり、逆に大きいものの象徴代表として使ったりということは、これ様々な言語にあると思うんですね。
数字の話題、数詞ですかね。ニューメラルという風に英語では言いますけれども、この数詞、数を表す言葉っていうのは、おそらくほとんどの言語で様々な意味の発展であるとか、面白いことが多いんですよ。
なので、英語詞関連でも、英語の数詞の話を始めると、相当多くのネタが出てくるんですね。 実際、このヘルディオでも、ヘログでも、かなり多く扱ってきています。数字の話、あるいは数詞の話ということですね。
数字がいろいろと面白い話が多いっていうのは、なぜなのかというふうに考えてみると、まず日常的で頻度が高いですよね。なので、これくらい日常的だと、いろいろな発展可能性があるといいますか、基本的、基礎的ですので、そこから様々な用法であるとか、形式、形態もそうですね。発展しがいがあるっていう、そういう大元なんですね。源なんですね。
それから、文化的な意味合いを塞れやすいっていうことがあると思うんですね。
例えば、縁起のいい数っていうのは、英語ではラッキーセブンという通り、7なんですよね。一方、日本語の場合、8というのが縁起がいい。漢字の形が末広がりだからというようなこともよく言われますけれども、8というのが尊ばれますよね。
縁起がいいし、多い、大きいというようなイメージも喚起されます。
中国などでは、引用語行節の影響で、9っていうのが、むしろラッキーな数として捉えられていますよね。
このように、各文化において、ある特定の数字に付されている文化的価値みたいなものってあるんですね。
それ、背景に何らかの信仰があったり、思想があったり、あるいは単に語呂がいいというような理由もあったりするわけですよね。
例えば、unlucky numberとして、日本語では4と9ということで、4と9っていうのが挙げられますが、これはたまたま日本語という言語において、4と9っていうのが別の不吉な単語を想起させるという、ある種のたまたま。
これは語呂と言ってもいいと思うんですけどね。
さまざまな発展のさせ方があったり、文化的な意味合いを付されたりしやすいっていうことで、数字っていうのは面白いんだろうと思うんですね。
さて、マリーさんからいただいたコメントによりますと、6ペンス、6ペンスということなんですけれども、確かにこれは高額ではない、本当に小銭っていう感じですよね。
古くは6ペンス銀貨という1枚の銀貨があって、6ペンス相当の価値を持っていたっていうことで、1語に綴って6ペンスというふうに、スペースを置かずに1語で綴って6ペンスという言い方をするわけなんですが、これが価値のないものの象徴として使われている例に出くわしたっていうことなんですね。
数字の文化的意味
私、この話を伺って初めてだったんで調べてみたんですね。Oxford English Dictionaryの中で調べてみますと、この6ペンスの価値という意味では載っているんですが、それが転じてわずかな値打ちであるとかつまらないこと、ものというふうに使われると、明示的に説明している項目というのは、
このOEDの中でも実は見つからなかったんですよ。なので、おかしいなと思いつつ、古い形の英語ですね、と言っても近代英語あたりなんですけれども、そのコーパスを検索してみたんですね。手持ちのものなんですけれども、そうしたら例はたくさん出てきまして、そして明らかにマリーさんのおっしゃるように、つまらないものとかわずかの値というような意味で使われている例が、
そこそこ出てきたんですね。主に18世紀、19世紀という、近代の中でも現代に近い方の例なんですけれども、かなりありました。例えば、something is not worth 6 penceのような言い方ですね。あるいは、it matters not 6 penceのような言い方です。つまり、6ペンスほどの値打ちもないというような言い方で、否定文で使われるんですね。
notと合わさって、6ペンスすらもない、ほとんど価値のないっていう意味で使われるっていうことなんですね。ただ、現在の英語では、ほとんどと言いますか、あまり使われないと言っていいと思うんですね。そもそも6ペンス銀貨というものがなくなってしまいました。
それから、もしその銀貨そのものがなくなったとしても、語法上確立していれば、フレーズとして定着していれば、そのまま現代に残るっていうことも十分にあり得たんですけれども、調べてみた結果ですね。使い方としては、少なくとも、現代定着しているであるとか、よく使われるという形跡はないんですね。
少なくとも18世紀、19世紀にはそこそこ使われていたという、これは確認できたんですけれども、完全に定着して生き残る、現代まで生き残るということにはどうやら至らなかったと、そういう表現のようです。
なぜ6なのかということに関しては、たまたまなのかなとか、ごろなのかなとか、いろいろ考えてみたんですけれども、視点を変えて他の数、今回の場合は効果、ペンス、ペニー、これに限って調べますと、実は6以外にも、というか6より小さい数で、この表現ですね、似たような表現というのが、かなり古くから使われているということがわかったんですね。
一番わかりやすいのが、a pennyですよね。1ペニーということで、not worth a pennyという言い方です。1ペニーすらの価値もないという言い方で使われていますし、2ですね、2pence、これ1語にやはりなってですね、発音も短くなって、たぺんすなんて発音されるんですが、これもあります。
それから、3pence、これも1語で、そして発音も短くなって、trepence、trepenceっていうのがあるんですが、このたぺんす、trepenceっていうのも、やはり文脈によってはですね、わずかの値、つまらないことということで、否定のnotと共に用いられるという表現がある。
さらに、a pennyの半分ですね、半ペニーということで、half penny、これ発音上ですね、短くなって、hey pennyなんて言いますけれども、これでも同じような言い方がありますね。小銭として価値がないものの象徴ということです。
さらに、4分の1ペニーにあたる、これ現在はなくなってしまった、やはり効果の単位なんですけれども、farthingっていうのがありますね。これもnot farthingっていうことで、全く何々ないという言い方です。つまり、6どころかですね、4分の1ペニーから始まって、2分の1ペニー、1ペニー、2pence、3pence、そして飛んで6penceあたりまで、
全体としてですね、価値がないものの象徴として使われてきたっていう例があるということなんですね。今でも、not farthingであるとか、not a pennyという言い方は使われているようです。
6よりはもっと安いので、価値が少ないっていうね。なので、今回たまたまコメントに取り上げていただいた6penceっていうのは、価値がない小銭の中では、実は一番価値があるというような感じなのかもしれません。
日本語でもですね、1円の価値もないっていうことを言いますし、さらにビタ1も負けないよという言い方もあったりしますので、やはり小額のコインですね、小銭というのは価値がないものの象徴として選ばれやすいということなんではないかと思います。
放送の概要と次回の予告
今日も最後まで放送を聞いていただきまして、本当にありがとうございます。
昨日の放送へのコメントを取り上げまして、今日は小銭は価値がないものの象徴というお話をしました。おそらく英語だけでなく日本語、そして多くの言語でこのような似たような現象があるんではないかと思いますね。
さて、このチャンネル、英語の語源がミニスクラジオヘルディオでは、リスナーの皆さんからのご意見、ご感想、ご質問をお待ちしております。
チャンネルで取り上げてほしいトピックなどもお寄せください。
Voicyのコメント機能あるいはチャンネルプロフィールにリンクを貼っています。専用フォームを通じて投稿いただければと思います。
最後に、Voicyの生放送のお知らせをいたします。
今度の日曜日なんですけれども、7月31日日曜日の午前11時から12時に生放送をお届けします。
話題は、5月に大週刊書店から出版されました新刊書、言語の標準化を考える日中英読普通対象言語史の試み。
この本をめぐってですね、偏者である3人がフリートークで対談いたします。
実は第1回の対談は、これは生放送ではなかったんですけれども、7月9日にこのVoicyで配信しています。
それを受けまして第2弾ということで、今度の日曜日なんですが、今度は生放送ということですね。
同じメンバー3人が集まって、この本について。
とりわけですね、この2つの大きなテーマといいますか、言葉の標準化という問題、それから対象言語史というアプローチですね。
この2つのテーマといいますか、キーワードをめぐって自由におしゃべりをしていきたいと思っています。
ぜひお付き合いいただければと思います。
同時に生放送は録音しておきまして、後日アーカイブという形でVoicyに載せることはいたしますので、もちろんそちらで聞いていただいても結構です。
そしてこの生放送企画と関連しまして、この生放送の話題に関するコメントであるとか、ご意見、ご質問のようなものも事前にでも、または放送のリアルタイム中にでも受け付けたいと思いますので、
このチャプターに貼り付けていますURLから、そのフォームと情報に飛んでいただければと思います。
では新しい1週間、元気にやっていきましょう。
堀田隆一がお届けしました。ではまた明日。
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