女性の単語の由来
英語に関する素朴な疑問。 今回は、なぜ女性を意味する woman は複数形で women となるのですか、という質問です。
確かに、男性の場合 man に対して men っていうのはわかりますね。 ですが、女性になりますと woman に対して woman とならずに women なるんですね。
we men ですらありません。 よく日本語で men's wear の隣に、カタカナで women's って書いてある時がありますが、あれは日本式の英語で、英語での発音は women というふうになりまして、第一音節第二音節ともに e の発音です。
women となるんですね。非常に変な発音のように思われます。 これはなぜなんだろうかということです。
これは英語史的に説明すると非常に面白い問題です。 古英語では、この単語と女性を意味する単語っていうのは、複合語で weave man だったんですね。
これが包まって、実は現代の単語になっているんですが、その前半要素の weave っていうのが、これが現代の wife に当たります。
当時の意味は妻というよりは女性という意味で、それに man この場合は男というより人ですね。
合わせてつまり女である人、女性という意味で weave man って呼んでたわけです。
とするとですよ weave man ですから、最初から we があったってことになります。 古英語はすでに最初から we を持っていたんですね。
ということは、現代英語の今問題になっている複数形の women この we っていう音、これ全く説明を要しないことになります。
つまり古英語から何も変わってないわけです。we です。 むしろ説明が必要なのは、単数形の woman がなぜ w っていう音になっているか。
こっちの方がよっぽど問題ってことになります。 ではなぜなのか。
women の話になってしまいましたが、これはですね、w って発音ですね。この w の発音は、は、う、い、う、う、え、うの u ですよね。
weave man だったわけなんですけれども、この w 音っていうのは、うに口の構え方が近いですね。
音声学的な考察
うに近いです。ですから現在の woman もそうなんですが、例えば狼を表す wolf
とか、毛糸をウォーといった時に、ウール、ウーマン、ウルフではなく、あくまで和行のウですよね。
この w の音っていうのは、非常に口をすぼめて突き出したようなこのウの音なので、近くの母音をウに誘うんですね。
だから weave man の we も、次第にこの w の癖の強い、この口を突き出したような発音につられて、ウになってきます。
weave man が、やがて wolf man、women、women になったということです。
特にこれは後ろに来る単数形の man ですよね。が、このあとかう、おというのは、音声学的には後ろ寄りの母音ということで共通の性格を持つので、
一つの単語の中で同じ後ろ寄りの母音が集まるということで相性が良い。なので woman となったわけです。
一方複数形のものは weave man ですから、weはそのまま残ったんですが、この w に影響されて、ウにならなかったのかといいますと、後ろがこれが men なんですね。
men です。man ではなく men になります。複数形なので。そうすると a の音っていうのと、この weave man の i の音っていうのは、今度は前寄りの母音ということで、実は相性が良いんです。
同じ単語の中で同じ系列のものが現れるっていうのは、大変都合が良いということですね。
なのでこれは w の影響にも関わらず、ウとならず、ウィのままよく残ったということです。
women に対して woman ということです。これ英語誌の教訓ですが、women の方が明らかに変な感じがするわけですね。例外的な感じがするんですが、実は歴史を振り返ってみると
women の w の方がよっぽど普通で、women の w の方を説明しなければいけないということになります。
ちなみにスペリングについては、同じ単語の単数複数に違いないので、形ぐらいは合わせておこうということで、単数形の音に合わせた w o の方で合わさっているということです。
以上です。