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おはようございます。英語の歴史を研究しています 慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった 英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回の話題は、
Kachruによる ENL, ESL, EFL モデルというものです。
普段と少々思い向きが違いますけれども、これはですね、現代の英語、 世界的に通用する言語として、世界語というふうに言われていますけれども、
もともとの英語の生みの国であるイギリス、 そしてそこからアメリカですね。
そして17、8、9、そして20世紀にかけてですね、 どんどんと英語が世界に広まってきたという歴史を遂げているわけなんですけれども、
それで世界語と言われるわけなんですけれども、 あまりに広がって、そして各地でですね、様々な新しい英語が生まれているということですね。
本来のつまり、A、Bの標準的な英語とは違って、 各地で独自の英語が生まれているということから、様々な英語、これはワールドイングリッシーズと言いますね。
これはこのラジオでも色々な形で触れてきた話題なんですね。 ワールドイングリッシーズと複数形で様々な英語が世界中で話されているという状況がありますね。
これをどうやって整理しようかということがですね、 一つ重要な課題となっているんですね。
21世紀の英語を巡る課題となっているんですけれども、 様々な考え方、区分の仕方というのがあります。
ですけれども、その大元となっているのがですね、 このブラッジ・カチュールという英語研究者によるですね、
3つに区分するモデルですね。 これはENL、ESL、EFL、この3つに世界の英語を区分するモデルというのがベースにあります。
これはですね、最初に提案されてからですね、 だいぶ長い時間が経っていますけれども、そして色々な批判もあります。
しかし、これからのですね、英語のモデルを考える上でも、 やはり基盤になっているということは間違いなくて、
ここからのバージョンアップということでですね、 様々な英語のモデルが今も考えられているという状況です。
なので、今日はですね、この基盤となっている英語を3つに区分するモデルですね。 これについてざっと紹介したいと思うんですね。
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さあ、この3区分のモデルということなんですが、 ブラッジ・カチュールという英語学者がですね、
1980年代ですから、今から言うとですね、 まざっともう40年近くになるんですかね。
30数年から40年近く前にもなるということで、 だいぶ古いと言えば古い考え方なんですが、
あまりに分かりやすくて、あまりにスパッと切れ味が鋭いので、 その後もですね、非常によく言及されるモデルとして、
このENL、ESL、EFL、この英語を、 世界の英語を3区分するモデルということが、よく参照されるんですね。
まずですね、このENLというのが、English as a Native Languageということで、 いわゆる母語としての英語。
母語としての英語を話す国、地域ということで、 もちろん我々の典型として浮かぶのがA、Bですよね。
まずイギリスとアメリカというのが思い浮かびますね。 ただですね、他にもENLの地域っていうのは、
English as a Native Languageの地域っていうのは、 世界に今30以上ありまして、A、Bの他に、
すぐ上がるのとしてはカナダって言われますね。 オーストラリア、ニュージーランド、それからアイルランドっていうのがありますが、
他にもですね、世界の様々な地域、 カリブ海の島なんかもそうなんですけれども、
英語をネイティブで話している地域っていうのは、 ことの他多くあります。
これがENL地域とか、ENL諸国という言い方で言及される、 いわゆるネイティブ国ですね。
それに対してESLっていうのがありますね。 これはEnglish as a Second Languageの省略です。
ESL。この場合の実はセカンドっていうのは、 第二言語、つまり母語があって、母語は既に持っていて、
その次に学ぶ言語という意味での セカンドっていうのはちょっと違いまして、
例えば、この放送を聞いている多くの 日本語母語話者もですね、
まず日本語を自然に習得しますよね。 その後で教育において英語を学ぶ、
つまり第二言語が二つ目に学ぶ言語が英語っていう ケースが非常に多いと思うんですけれども、
そういう意味でのセカンドラングイッチとは ちょっと違うんですね。
確かに順番としてはセカンドなので、 これもセカンドラングイッチと言えるわけなんですが、
いわゆるESL、English as a Second Language っていう時のセカンドの意味はですね、
世界の中の特定の地域において、 まず自分の母語を覚えますね。
これは習得するわけなんですが、自然にですね。 その後、その国の中で公的に、社会的に、
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第二の非常に重要な言語と 指定されている場合のことを指します。
例えばですね、典型的にはイギリスとかアメリカの 旧植民地だった地域ですね、世界の。
例えばインドであるとか、ナイジェリアであるとか、 これ典型なんですけれども、
この地域ではもちろん、 地域の土着の言語ってのがあります。
それを生まれて学ぶのが、 その地域の土着の言語なんですが、
その次にですね、歴史的な事情で、 インドとかナイジェリアっていうのは、
イギリスの植民地であって、 そしてイギリスの影響家にあって、
英語が教育の言語とか公的な言語として 学ぶことを強く、いわば推奨されているといいますかね、
義務付けられていると言っても いいかもしれませんけれども、
早い段階で教育機関において、 つまり公的な機関において学ぶことを
期待されているということですね。 そしてこれを習得しないと、
そのような国では、まともな社会生活を 営むということが難しいというぐらいに、
英語が第二言語として根付いている。 つまり国として第二言語として
設けられているという意味での セカンドラングウィッジです。
このような国では英語ができないとですね、 社会生活上非常に影響があるとですね。
日本でも確かにある意味第二言語として 英語を学ぶわけなんですけれども、
はっきり言って英語を全くできなくても 日本で生活することは全く可能なわけです。
そういう意味では国として公的に 第二言語の地位にあるわけではない。
あくまで重要な国際語として英語を学ぶことを 推奨するというぐらいの位置づけですよね。
このような日本のような国での英語の呼び方は あくまでセカンドラングウィッジではなくてですね、
フォーリンラングウィッジと言います。 なので3つ目のEFLです。
つまりEnglish as a Foreign Language。 実質的に順番としては2番目かもしれませんけれども、
そういう意味でのセカンドということではなくて、 あくまで国の中で学ばないなら学ばないで、
ちゃんと生活はできるわけですよ。 日本の場合ですね。
ただ国際語として国際的にコミュニケーションを取りたい場合には、 これを勉強しましょうねということで入ってきている、
いわゆるフォーリンラングウィッジということですね。 ということで英語への接し方として、
例えば英米に生まれればこれは英語というのは ネイティブラングウィッジですからENLということになります。
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そしてインドやナイジェリアに生まれれば、 自分の言語母語は持っているけれども、
社会の中で早めにこの英語というものを習得することを かなり強く強制されると言いますかね。
社会的に期待される度合いが非常に強いのが、 これがESL、English as a Second Languageの国地域ということになります。
そしてあくまで日本であるとか中国であるとか韓国、 アジアがだいたいそうですね。
だから実はヨーロッパもそうですね。 ヨーロッパもあくまで英語というのは外国語として、
つまり国際語として勉強すると便利だという位置づけですので、EFLの地域です。
English as a Foreign Language。
このように英語を見る3つの見方、ENL、ESL、EFL、 この3つの区分を確立したのがカーツルということになります。
それではまた。