はじめに:なぜ-ingは現在分詞と動名詞で同じ形なのか?
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜの著者の堀田隆一です。
来る6月10日、NHK出版新書、英語史で解く英文法の謎、なぜ三単元のSをつけるのかが発売されます。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
英語の語源がミニツクラジオヘルディオ、英語史をお茶の間におもっとうに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。本日は2026年6月5日金曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
いよいよなぜ三単元の発売まであと5日というタイミングとなりました。本日の話題はこのなぜ三単元からの話題なんですね。
先日ヘルディオ機器の皆さんにもご協力いただきまして、なぜ三単元で取り上げる24の疑問についてどの疑問が最も気になるか、もやもやしていたかということでですね、総選挙と称しまして皆さんに3票まで入れていただくというそんな選挙を行いましたね。
その結果もすでに発表をしておりますが、第1位がなぜ三単元のSをつけるのかだったんですよね。これ単独1位で38%、もうダントツの1位でした。そして第2位がですね、なぜ現在分子と同名詞は同じingで表されるのかという話題で、これ単独に21%の得票率だったんですね。
それから第3位はなぜ時条件を表す福祉説では未来のことも現在形で表すのかと、アルファベット最後の文字Zのミステリー、これが19%の得票率で同率第3位となったわけなんですが、皆さんにこのアンケート投票にご協力いただいたことでですね、上位に入ったものについてはなぜ三単元の発売前にですね、
先出し解説ということでお話しますと、こう約束してですね、皆さんに投票をいただいたということもありまして、
今日はここからですね、話題をお届けしたいと思うんですね。第1位に輝いた、なぜ三単元のSをつけるのかにつきましては、これはもうすでに第1章、第5章がですね、NHK出版のデジタルマガジンから公開されているということもありますし、私今、X、旧ツイッター上でですね、カウントダウン企画をやってるんですが、
これでですね、30日間連続でおそらく三単元のSだけで持たせられそうなので、そちらを見ていただければと思うんですね。かなり深掘りもしましたし、幅を広げたと言いますか、三単元のSからこんな話題にも展開できるんですよという広がりもお示ししておりますので、今回はですね、単独第2位だった、なぜ現在分子と同名詞は同じINGで表されるのか。
これは本書の第1章、第9節で取り上げられる話題なんですね。
今日はこれをですね、発売前に口頭でということになりますが、解説したいと思います。
もちろん詳しくはですね、例などもついておりますので、本が発売されてからじっくりお読みいただければと思うんですが、なるべくですね、その本書の議論をベースにしつつ、声でのわかりやすさというメリットを生かしながら、この話題を今日は取り上げたいと思います。
ということで、本日の話題は、なぜ現在分子と同名詞は同じINGで表されるのか。発売目前、なぜ三単元よりです。どうぞよろしくお願いいたします。
現在分詞と動名詞の役割と混乱
こちら、INGという語尾で現在分子の役割も同名詞の役割も果たすことができる。この現代英語の不思議、謎について知りたいという声が、今回の投票で第2位、非常に多かったので、この話題取り上げたいと思うんですけれども。
皆さん、ING、この語尾でですね、思い浮かぶ文法用語と言いますかね、文法項目、何がありますかね。タイトルですでに現在分子と同名詞というのを出してしまっているわけなんですが、他に関係するものとしては、進行形がありますね。現在進行形、過去進行形のあれですね。
BたすINGという風にならう、これ一つ項目がありますよね。それから、分子構文になるものもありますね。これも現在分子構文の場合ですね、INGをつけるということで、このあたりですね、いろいろと関連する文法用語もあることからわかる通り、役割が多岐にわたっているんですね。
英文法の本、参考書などでも、異なるセクションにですね、一つ一つ解説があるっていうのが普通なんではないかと。とにかく多岐なんですね。様々な用法がこのINGに込められているということなんですね。
基本的には動詞があって、そのお尻にINGがついたときっていうことですね。まずですね、現在分子としてのINGから言ってみたいと思うんですが、これはまず進行形の文っていうのがありますね。
例えば、I am swimming nowのように、私は今泳いでいます。今〜していますということですね。これが現在進行形ということで、BたすING。ここでINGが出てくるわけですね。現在分子の活用法の一つです。
現在分子には他にもですね、形容詞として使われる、そういう働きがあるんですね。例えば、asleeping dog、寝ている犬のような言い方ですね。本来はsleepという動詞なんですが、これにINGをつけることで形容詞になるということですね。
もう一つは、やや高度な文法項目として、これを習得する際にですね、つまづいたという方も多いんではないでしょうか。分子構文として、分子構文には過去分子の分子構文と現在分子の分子構文がありますが、ここでは現在分子構文ですね。INGがつく。
例えば、seeing the police officer, they ran away。警官を見て、彼らは逃げたという風に、seeing the police officerというのが、全体としては、when they saw the police officerのような接続詞で書かれるような説に相当するということですね。
これは、全体としては時を表す、つまりthey ran away、彼らが逃げた時を表す副詞ということなので、ある意味、動詞を副詞化する働きと言っていいと思うんですね。つまり、a sleepingdogの時は形容詞化する働きだったし、分子構文では今度は副詞化する働きにもなっているということです。
この3つが現在分子の役割なんですが、もう1個、動名詞というのがあるわけですね。これがこの名の通り、動詞を名詞にするということなんですよ。
I like runningという、runningとかですね、watching movies isfunのような典型的な例文が思い浮かぶと思うんですが、これはrun、watchという単体では動詞であるものをingをつけることで、名詞にするということなんですね。
つまり、これまでの役割をまとめると、現在分子とか動名詞という言葉は使わないでおくと、動詞にingをつけることで、形容詞化もできるし、副詞化もできるし、名詞化もできるというとんでもない多義、多用法を持っているのがingなんですね。
さらに、be動詞と結びつくと進行形にもなるということもあって、これはですね、なかなか混乱の極み。形としてはingで揃っているということなんですが、揃っていたとしても中身がこれほど多用だとですね、実際の英文で表れたときに、どの使い方なんですかというふうに混乱する、こういう経験を持った方も多いんではないかと思うんですね。
動名詞の起源と発展
なんでこんなふうになっているのかということなんです。これを歴史的に探ろうというのが、金冠なぜ三短言の第一章第9節の狙いなんですね。
先に応枠を述べておきますと、歴史的な観点からの回答ですね。述べておきますと、現在文詞のingと同名詞のingは、起源は全く別物でしたというのが答えになります。形も違っていたんですね。つまりingではなかったんですが、それが歴史の流れとともに、時代の流れとともに、
一つのingという形に修練してしまったというのが事実なんです。つまり形も機能も異なっていたものが合わさってしまった、形として一致してしまったために、元の機能は両サイドからですね、受け継いでるんですよ。
なのでこれほど多義だっていう、まずこれが大きな流れとしてあることを抑えて、この後聞いていただければと思います。では一つ一つ行きたいと思うんですね。同名詞と呼ばれるものと現在文詞、この現在文詞にもいくつかの用法といいますか、使い道があるということは述べた通りなんですが、大きく分けると同名詞サイドと現在文詞サイド。
この二つの流れがあるというふうに理解してください。では同名詞サイドから行ってみますね。動詞があってそれを名詞化したいという要求、これはどの時代もありまして、古英語でもですね、単語によってつまり動詞によって名詞化の仕方っていうのは異なっていたんですね。
いくつかの動詞の作り方があったんですが、それは個々の動詞によってどの語尾をつければ名詞になるかっていうのは決まっていたという意味では、汎用的に動詞を名詞化する働き、つまり今の現在の同名詞に相当するようなものは基本的になかったということなんです。
特定の動詞にですね、ingあるいはungという母音がちょっと異なっていたんですが、この2つ、ingとungという語尾がありまして、これはある特定の動詞について名詞を作るという働きは確かにあったんです。
ただ、こうした動詞ですね、例えば例を挙げますと、現代のmeetingに相当するものなんですが、meitanという動詞がありました。出会う、会うですね。これにingをつけてmeetingとしたのが、これが会合、集会という意味であったんですね。今のmeetとmeetingの関係にちょうどパラレルですね。
他にはですね、例えばlearn、学ぶという単語ですがlearnianというのが、小英語での動詞の形だったんですね。これにungをつけてlearningとしたのが、これが現在の学び、学問、つまりlearnに対してlearningといったのと同じようなパラレルなわけなんですが、あったんですね。
ただ、これはmeitanだからこそingをつけたんであって、そしてlearnianだからこそungをつけたんであって、他の動詞に一般的につけられる語尾ではなかったんです。なので、あくまで出来上がった名詞というのは、純然たる名詞、動詞から派生されたということは、語源的には確かにそうなんですが、名詞から、動詞から生産的に派生したという感じではないんですね。
その証拠にing、ungは一般的にどの動詞についていいわけではないからですね、決まっていたということです。
動詞から名詞を作る方法、いろんな語尾が小英語にはあって、個々の動詞ごとにどれをつけるか決まっていたわけなんですが、その中からですね、このingあるいはung系列のものですね、これが中英語記にかけて一歩抜きんでて、一般化の兆しを示したんですね。
なぜ他ではなく、このing、ungが一歩抜け出したのかというのは、これはですね、深く英語史研究しなければいけませんね。
しかもingとung、2種類あったのに、最終的にingが勝って、今の同名詞語尾となっているわけなんで、なぜungが負けたのか、これもですね、英語史上の重要な問題ですが、そこはちょっと入り込みすぎることになりますので、しかもはっきり分かっていないことも多いんですね。
なので、全体としてingが汎用的に名詞化する語尾として成長してきた、一種、文法化してきたという言い方をするんですけれども、grammaticalizationですね、文法化してきたということがあります。
こうして結局ですね、どの動詞にでもつける汎用的な名詞メーカーというんですかね、動詞から即席に名詞を作ることができるという、そういう役割を発達させてきたということなんですね。これが中英語記です。
さあ、同名詞サイドは大雑把に言ってこのような歴史をたどって今に至るということなんですね。
現在分詞の起源と「-ende」から「-ing」への変化
次、現在文詞サイドなんですが、これがですね、ちょっと厄介なんですね。
現在文詞というのは、本来的には動詞から形容詞を作る、動詞をベースにしつつ、それに相当する状態を表したりする、性質を表す形容詞を作るというのが本来の役割で、これはインドヨーロッパ祖国から語尾自体は見られるんですけれども、なんとですね、小英語を段階ではこれingという語尾は使ってなかったんですね。
むしろですね、endeという、つまり縁でという形を使っていました。
動詞の語尾にこのendeをつけると、現在文詞になったんですね。
つまり、動詞を形容詞化するような働きです。
例えば、先ほどのめいたん、出会うという動詞の場合ですね、めいてんでという形、それから学ぶを意味するレオルニアンの場合にはレオルネンデのように現在文詞形を作ったんですね。
小英語のこのende語尾、現在文詞のende語尾なんですが、非常に古い起源を持っていますので、近隣の言語を見ても対応するものがありまして、
例えば、ラテン語、フランス語などで、お尻にentとかantが付いている形容詞、たくさんあると思うんですね。
例えば、differに対してdifferentってありますよね。それからplease、喜ばせるという動詞に対してpleasant、快適なってありますよね。
これ、本来動詞のものにentとか、あと母音が少し変わってantみたいに付けると、これ形容詞になりますよね。
動詞がベースで、それにこの現在文詞に相当する語尾を付けることによって形容詞化しているっていうことなんですよ。
今ではもう順前たる形容詞とみなしていますよね。different、pleasantですが、よくよく語源を調べるとdiffer、pleaseという動詞に基づくってことがわかるんですね。
これはラテン系、フランス系ではこのent、antっていうtになるんですが、小英語の場合にはこのtがdに化けたぐらいでですね、大体似てるわけです。
endeというのが現在文詞語尾だったわけですね。
なのでingとはだいぶ異なる語尾だったので、動名詞としてはですね、中英語期くらいにだいたいing固定というふうに形はなっていったんですが、
それと現在文詞は混ざるはずが本来なかったんです。ところがところがです。現在文詞のende語尾なんですが、
これはですね、中英語期にさまざまな方言が出現するわけなんですが、イングランドの北部方言ではちょっと生ってandになります。
つまりendeがandという文になるんですね。そして中部方言はendeというデフォルトの形と言いますか、基本のendeという形が残るんですけれども、
南部方言に行きますと今度はinでになるんです。つまり北から順にand、ende、indeというような方言分布になります。
現在文詞の語尾のことですね。そして南部方言の、ロンドンが基盤となっているのは基本的に南部方言だったんですね。
そこにいろんな方言の影響が重なってロンドン英語ができ、そこから標準英語ができるっていうのが英語史の流れなんですけれども、
この現在文詞語尾に関しては南部ベースのinでというのがロンドンではよく使われていたわけですね。
そして最終的にですね、この系列が後に標準英語へと発展していくことになるんですが、
このand、ende、indeのこの母音部分に関してはinでに定まっていくという流れはですね、あったんですが、
ただingとindeっていう違い、ingとindeですから、これまただいぶ異なるんですね。
マージして一緒になってしまうということは普通に考えたらないぐらいに異なる語尾なんですね。
iの部分ですね、母音の部分は確かに一緒になってしまったとはいえですね、
子音の部分、語末でちゃんと分かれていたので、マージするということには本来ならなかったはずなんです。
ただこれが起こってしまったっていうのが英語史の不運、不幸ということなんですね。
現在分詞と動名詞の「-ing」への収斂
なぜマージしてしまったのかというのはこれについても諸説あるんですが、
一番分かりやすい音声的な説を挙げますと、ingのgの部分ですね。
これ語末に必ず現れる、なので語尾っていう言い方をするわけなんですが、
ingのgがですね、早い会話帯、交互帯では落ちてしまうことも多い。
現在でもingのことをinで止めて、あるいはアポストロフィーだけ残してっていうのはよく見かける表記だと思うんですけれども、
あんな感じでgの音が落ちてしまうということはある。
一方inで側も、これもやはり語尾ですから、語尾は弱まりやすいということで、
eで表記されていた母音部分が消え、そして今度はdで表される子音部分も弱まるっていうことがあって、
こうなると結局同名詞のingと現在分詞のinではですね、
弱い発音あるいは会話帯の早い発音で語尾が聞こえなくなる場合には、
両方ともinみたいな形に合一してしまうっていうことが起こったんですね。
そうすると逆に言うとですね、inという語尾を見たときに復元しようと、元の形を復元しようというときに、
これは元はingなんだっけ、あるいはinde、あっちなんだっけというふうに分からなくなるという状況が生じるわけですよね。
正しく復元できなくなる。
このような混乱の中から、2つの本来は異なる語尾、ingとinde、つまり同名詞と現在分詞の語尾がないまぜになって、
お互いに交代したり、あるいはinに収まっちゃったり、
最後はですね、いろいろな競合があったんですけれども、ingという形で両者がマージした状態で標準英語に流れ込んでいったということなんですよね。
これはですから音の不幸という説ですけれどもね。
こうして動詞を名詞化する役割である同名詞と、動詞を形容詞化する役割。
さらにそこから発展して、分詞構文だったり、あるいは進行形だったりするということなんですが、
大元は現在分詞であるもの、2つの全く異なる系列がingという語尾のもとに合一してしまうということが起こった。
本来全く異なった2つの系列が語尾が弱まって形が似てきたという小さな事実をきっかけとしてですね、
合一してしまうというこの英語詞のダイナミズム、結果的にはなかなか不幸なことだったと思うんですね。
統合説と今後の展望
我々英語学習者にとっては同じ形なのにいろいろな機能がある。
これは実際の英文の中でどの用例なのか、どの用法なのかというのを判断するのが難しくなる。
という点では学習上なかなか不幸なことが起こったなということなんですが、歴史的に起こった一つの事実なんですね。
同名詞と現在分詞、これがマージすることになってしまったというのは、今回音の弱化、それによって同じ語尾に修練してしまったという、
主に発音に関する説をご紹介しましたが、もう一つですね、この発音説とは別にと言いますか、
この発音説プラスアルファということで、統合的な説というのがあるんですね。
これについては、ぜひ本書の中でお読みいただければと思います。
具体的に言いますと、名詞を作る、動詞から名詞を作る同名詞の働きと、現在分詞の中でもとりわけB動詞と組んで進行形を作るという、
現在進行形ですね。これが絡み合うところにマージする機運が生じたのではないかという、音に関する説に追加してよく議論される説がありまして、
これについてはですね、本書第1章第9節のこの問題を扱うところでですね、しっかりと議論、ご紹介しております。
そちらをお楽しみいただければと思います。ですので2つある説のうち、1つ目の説をここでですね、お話ししたということになりますね。
2つ目はですね、もっとダイナミックで面白いんですが、これ語り出すとやはりもう1回、2回はかかるんではないかということでですね、ぜひ本書の方でご確認いただければと思います。
英語詞の醍醐味が詰まった問題なんです。ちっちゃな音の若干という問題から、第2の説となります。統合論が関わる、つまり大きな、もうちょっとマクロな視点からの説があって、このミクロとマクロがですね、いろいろな形で競合し合う、これが英語詞のダイナミズムだと思うんですよね。
発売まであと5日ありますので、皆さんもですね、統合説なるものがどのような議論なのか、いろいろ想像を膨らませていただければと思います。
まとめと書籍の告知
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
先日のなぜ3単元24の疑問、総選挙で独立して単独の第2位を取ったこの話題、なぜ現在分子と同名詞は同じingで表されるのかについて先出し解説ということで、フルではありませんでしたけどね、お話しいたしました。
ぜひ続きはなぜ3単元の本自体でお読みいただければと思います。
まだこちらなぜ3単元ご予約いただいていない方はですね、ぜひアマゾンから予約注文をお願いいたします。
アマゾンの予約注文で得点がつきます。
一節分の書き下ろし原稿ですね。これはしっかりと構成・講閲した本、さながらのものです。
こちらをですね、事前に予約注文された方に、本書発売後になりますがプレゼントを差し上げております。
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それでは今日も皆さんにとって良い一日になりますように、英語詞研究者のホッタリオイチがお届けしました。また明日!