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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、Japanese の-ese って何?
というものです。
この-ese と綴られる語尾ですね。
これは、いくつかの国の名前について、国民名であるとか、国語名であるとか、あるいはその国の形容詞ですね。
これを表すということで、Japanese, Chinese, Portuguese
このような単語があるわけなんですけれども、
この語尾がついてですね、なかなか多義です。いろんな意味を表しますね。
Japanese を例にとりますと、もちろん、日本のって意味もありますし、日本人のという意味もあれば、日本語のという基本的な意味もありますね。
それから名詞としては、日本人、それから日本語という意味があるわけですね。
日本人とする場合には、単複動形でですね、One Japanese, Two Japanese というふうに、S がつかないという変わった特徴がありますし、
The Japanese というとですね、ましゅうごう名詞として、日本国民全体、つまり The Japanese People の意味になりますね。
一方、無関詞で Japanese とか Japanese People とすると、これ、日本人一般という意味になるんですね。
なかなか使い方、簡単そうで難しいというのは、この Japanese です。
この Ease っていうのはですね、言語名を表すことを出発点としてですね、固有名詞について非難や軽蔑を込めて、その人の使う特殊な言葉遣い、文体というような意味も出てきますね。
例えば、ジョンソニーズ、これ、ジョンソン博士のことですが、ジョンソン博士流の文体ということで、ジョンソニーズといったりしますね。
それから、ジャーナリーズなんてのもあります。これは、新聞雑誌の文体ということで、一般名詞、ジャーナルについてますね。
それから、オフィシャリーズ、干潮用語といったふうに、若干の非難、軽蔑を込めて、言葉遣いを表すですね。
そういう使い方もあったりします。
さあ、このE.F.E.Easeという語尾なんですが、これ、語源を探ってみたいと思うんですね。
これは、大元はですね、ラテン語で、形容詞を作る設備字、ensis、E.N.S.I.Sと書く、エンシスに遡るんです。
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何々に属するとか、何々に由来するというですね、一般的で汎用的な設備字だったんですね。
これはラテン語の話ではあるんですけれども、例えば、学名ですね。
生物の名前なんかにつく学名にはよく現れてですね、例えば、ネアンデルタール人いますよね。
これは人類、人間の一種なわけですが、学名ではホモサピエンス・ネアンデルター・レンシスと言いますね。
このネアンデルター・レンシスの語尾に現れます。
ENSISということですね。
それから、最も古い使徒とされるサヘラントロプス・チャデンシスですね。
これなんかもチャデンシスというふうにENSISが含まれているということですね。
地名などの固有名詞と相性がいい語尾ということがわかりますね。
さて、このENSISなんですが、ラテン語からですね、ロマンス書法が発生していく際にですね、少し形を変えながら受け継がれていきました。
例えば、フランス語に受け継がれた場合ですね。
古いフランス語ではEISという形で、Nが消えた形ですね。
これで伝わったわけです。
さらにこれが現代フランス語ではOISと綴られる語尾、あるいはAISとして綴られるものに継承されています。
例えば、フランスという国名にこれが付くと、フランスワですね、とかフランセイ。
これフランス語という意味になりますが、実はこれなんですね。
そしてこの古いフランス語のEISと綴られた語尾ですね。
これが中英語記に英語に取り込まれた。
それがESEということになります。
若干発音であるとか通り字であるとかはフランス語の形からも若干変化していますが、こういった形ですね。
EASEという語尾として英語の中に入り定着したということなんですね。
ちなみにですね、ラテン語のENSISからイタリア語に継承される際にはですね、エーゼという発音になりますね。
これ日本語でですね、例えばシロガネの住人のことをシロガネーゼなんて言ったりしますが、こんなところで日本にも入ってきてるってことなんですね。
隠してラテン語でネアンデルターレンシスですね、英語でジャパニーズですね。
それからフランス語でフランス人の名前フランソワ、フランソワ一世とかフランソワですね。
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そしてシロガネーゼ、これ日本語ですが、ここに至るまでですね、全て設備字は同一の起源を持つということですね。
ネアンデルターレンシス、ジャパニーズ、フランソワ、シロガネーゼということになります。
ジャパニーズ、チャイニーズ、ポルチュギーズのように国ですね、国について国民名を表すというものはですね、そんなに多くないですね。
ただ、町の名前というところまで範囲を広げるとですね、他にいくつか出てきますね。
例えば、ミラニーズ、ヴィエニーズ、ペキニーズ、キャントニーズのような形で、イングランドから見てですね、外国の町につくということで、イングランドの町の名前につくということはどうも例としてはないようなんですね。
ということで、ジャパニーズのイーズって何に対する答えは、ラテン語のエンシスという形容詞をつくる語尾ということでした。それではまた。