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2025-02-01 10:00

heldio #196. 伝統traditionと反逆treasonは2重語!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #2重語 #ラテン語 #フランス語
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、伝統traditionと反逆treasonは2重語、という驚きの話題です。
この番組では、語源の話題として、2重語、ダブレットというふうに英語では言いますが、
起源を同じくする単語なんですが、途中で、少し意味であるとか、発音、語形がずれてしまったために、少し変わっているんですけれども、
実はこの2つの分かれた単語が、大元をたどると1つの語源だった。
こういう2語が1つの言語、英語に共存しているというケースが結構あるんですね。
これを2重語と言っているんですけれども、この伝統を意味するよく知られた単語、traditionと反逆、裏切りを意味するtreason。
これだいぶ違うように見えますが、実は全く同じラテン語の語形に遡る2つの語、2重語ということなんですね。
意味的にもどう関係するのかと思うかもしれませんが、この謎解きをしていきたいと思います。
大元はラテン語にあります。
トラーデレ、トラーデレという単語ですね。
これは動詞なんですけれども、トラーというのが、throughということです。
何々を通り抜けてということですね。
デレというのが、これがgive、与えるという意味なんです。
言ってみれば、give throughみたいな意味なんですね。
これトラーデレという動詞がありました。
ラテン語ですね。
この派生名詞がトラディティオであるとか、トラディティオーネという形なんですね。
名詞語尾がついた形です。
これで、明け渡すという感じですね。
give throughですから、次の世代に引き継ぐ、明け渡すという感じなんですね。
ここから、後頭で伝えられてきた規則であるとか、言い伝えであるとか、そして伝統ということですね。
これがtraditionということなんですね。
このラテン語のトラディティオーとか、トラディティオーネムという、最後にnがついた形ですね。
これが直接14世紀ぐらいに英語に入ってきた。
これが英語の発音ではtraditionということになるわけですね。
伝えられてきたものということから伝統ということですね。
一方、このトラーデレというラテン語の動詞、あるいはその名詞形であるトラディティオーとか、トラディティオーネムという形ですね。
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これはそのまま、ラテン語の娘言語であるフランス語にも伝わります。
この伝わる際にですね、少し語形が崩れると言いますかね。
ラテン語からフランス語になる際には、語中のシーンなんかがですね、少し弱化する、弱まって、全体として短くなる傾向がありますね。
それが結果的にですね、トラディティオーネムがtreasonという形になるんですね。
現代のフランス語で言うところのtwice onという形なんですが、この古い形ですね、古フランス語。
古いフランス語の形が1200年ぐらいにですね、英語に入ってきた。
その時の形が今のtreasonという英単語にとして取り入れられるものなんですね。
なのでtraditionっていうのは14世紀にラテン語から直接英語に取り込まれたと。
一方treasonの方ですね、反逆。これを意味するtreasonの方は1200年ぐらいにラテン語からフランス語を経て、フランス語経由で英語に入ってきたという。
経路が少し異なるためにですね、語形がだいぶ変わってしまったということなんですね。
じゃあこのtreason、これが何で反逆の意味になるのかということなんですけれども。
もともとのラテン語のtradereの原義は引き継ぐ、明け渡すってことでしたよね。
引き継ぐということになると伝統となっていくんですが、この明け渡すっていうことですね。
これは人を売り渡す、別の人に売り渡すっていうところから裏切りって意味が出るんですね。
これだいぶ伝統と裏切り違うように見えて接点があったわけです。
まさにtradere、give through、誰々に引き継ぐ明け渡すといったところが起点となって、結果的にはだいぶ違う意味になっちゃったっていうことなんですね。
実はこのtradition、英単語のtraditionも15世紀末から17世紀ぐらいまではまさにtreasonの意味、つまり人を売り渡して裏切る、裏切りの意味をちゃんと持ってたっていうことなんですね。
その後ですね、traditionとtreasonは基本的に形もだいぶ違うですし、2つの異なる語と認識されて今に至るわけなんですが、
大元をたどると実は1つの語源という、いわゆる典型的なダブレットになるっていうことなんですね。
このようなケース、traditionとtreasonのようなケースって結構あるんですね。
ラテン語から直接入ってきたもの、どちらかというと長い形態ですね。
それに対してフランス語経由して入ってきたものは、ラテン語からフランス語になる際にちょっと形が崩れたり短くなってますので、
少し短い形ですね。
フランス語経由して入ってきたもの、これが大元はラテン語に遡るんだけれども経路が違っていったためにですね、
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少し意味が変わって形も変わって、英語に2つ共存してるっていう例が結構あるんですよ。
典型的に今回のtraditionとtreasonっていうのはなかなかいい例で、
ラテン語ではtraditionっていうふうにTionのtという部分ですね。
英語の発音はtionってなっちゃいますが、綴り字で考えるとわかるようにtになっているところが、
フランス語経由するとですね、発音がシーンあたりが変わってtreasonっていうようにsになってるんですよ。
tに対してsっていう関係、これ結構ありまして、いくつか似たようなですね、
25、これ挙げてみたいと思うんですが、1つはration, reasonというやつですね。
rationっていうのはrationっていうことで、これ割り当てとか配給ですね。
配給のこと、割り当てのことをrationと言いますね。
これはラテン語から入ってきたことになりますね。
一方、これがreasonとなると理由ですね。理性とかreason、普通に使うreasonっていうことになります。
これはどういう接点かというと、語源的にはrateとかratioっていう比率に関係するんですね。
道理とか理屈とか、思考、推論、計算といったような、理屈っぽい意味が出てくるんですね。
それで割り当て、割り当てられた量ということであるとか、一方はですね、理由、理性という意味になっていくわけです。
ratio、比率も含めて35と言っていいと思うんですね。
他にはですね、potion、poisonという関係もあります。
これもtionに対してsonというラテン語とフランスの関係で、これもともとpotionっていうのは飲み薬ですね。
で、poisonっていうのは飲み薬の中でも悪い飲み薬というか、いわゆる毒ですよね。
ということで語源的には関係あるわけです。
語形的にも意味的にもまあまあ似てると言いますか、関係はあるなということですね。
他にlectionに対してlessonというのも実はそうです。
これはもともとラテン語の読むという単語にさかのぼるのでlectionというと専門用語ですが、聖書の一節のことでlectionですね。
一方lessonというとこれは読み習う一家、lessonということになりますね。
最後に似たようなものとしてですね、sessionとseasonというのも挙げておきたいと思うんですね。
これsessionというとある期間ですよね、ある物語が起こる期間ということ。
そしてseasonというのはもちろん1年を分割した季節という意味で使いますね。
よく考えてみれば確かにsession、season、時間とか期間つながりで似てるなと。
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sessionは直接ラテン語から、そしてseasonはフランス語した形でですね。
フランス語ではsaisonというふうに言いますが、これは英語に入ってきてseasonと発音されるようになるわけです。
このように代表例としてtraditionとtreasonというものを挙げましたが、少し長いラテン語ですね。
これが直接英語に入ったものと、そのラテン語系がフランス語を経て少し短くなった形で、
しかもシーンが少し変わってですね、treasonとして入ってきたもの。
これは大元は一緒で、意味も本当は一緒だった。
ところが経路が違うので形が少しずれたり、意味も少しずれたり。
少しじゃなかったですね、これ伝統と裏切りだいぶ違うですが、
もともと同じ語源だった、つまりダブレットだったということになります。
それではまた。
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