00:03
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應基塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、dinner と supper の語源、です。
dinner と言えば、夕食ということです。
supper も夕食だったり夜食だったり、そんな役が当てがわられることが多いのですが、まずこの2つ、どういう違いがあるかということです。
dinner というのは、夕食に当たることが多いのですが、基本的には、1日の中で最も主要な食事、主たる食事ということです。
いわゆる生産ということですが、英米では一般には夕食を dinner とすることが多いのですが、地方では中食、お昼を一番主要な食事とするような地方もあったりします。
その場合、そのお昼の生産が dinner ということになるわけです。
さらに日曜日であるとか、祭日なんかですと、中食が dinner になるということも多いです。
その場合、夜は軽く済ませるということで、そういう場合に supper、あるいは、がっつり食べた後に、本当に夜食という意味で軽く食べる、これが supper ということなんですね。
ですので、和訳では dinner も supper も両方夕食と訳すことになることが多いというのは事実ですが、実際には時間帯で区切られた区別というよりは、主たる食事かそうでないかという意味で区切られるわけです。
そういう2つの単語ということになります。
さあ、語源の方なんですけれども、 dinner これはですね、もともとラテン語の単語に遡ると考えられています。
ラテン語では非常に長くてですね、 this 言え言うなあれ。
this という接頭字たす言え言うなあれという動詞ですね。
これがくっついたものとされています。
この this っていうのは、接頭字、これ除去を表す、何々を取り除くというようなですね。
これは他に色々な英単語でもあると思うんですけれども、this という接頭字に、そして言え言うぬす、これがラテン語で空っぽのを意味する単語なんですね。
空っぽの、つまり空っぽである状態を除去するということで、お腹を満たすというような、そういう作りだとされていますね。
つまり、空腹を溶くであるとか、断食を溶くというような発想。
03:04
これがですね、食事をするということになったって言うんですね。
これ面白いことにですね、今回ディナーやサッパーを扱っているわけですが、朝食のことを英語でも breakfast と言いますね。
これ文字通りに言いますと break fast なんですね。
fast っていうのは fasting いわゆる断食です。
断食を破るっていうのが朝食だっていうわけなんですね。
これあまりにラテン語の発想と英語の発想に似てるんで、おそらく英語の breakfast っていうのはラテン語であるとか、ヨーロッパの言語のこの発想ですね。
これからの翻訳釈用である。つまり意味を取って要素だけ英語の breakfast で置き換えたんだということが言われています。
さあ、ラテン語のこの this yeu nare ということですが、これで断食を解く、食事をするってことなんですが、面白いことにこれは英語の breakfast が朝食であるのに対して、
ラテン語の this yeu nare は必ずとも朝食とは限らない。朝食であってもいいのかもしれませんが、昼食とか夕食まで含み込むご食事、一般ということになったんですね。
実際ですね、この this yeu nare というラテン語の形が、その娘言語であるフランス語に伝わったときですね。
dejeuner という形になりまして、これは現在でもフランス語を dejeuner と言えば、昼食朝食、つまり朝昼の食事というふうに、広く朝から昼に食べる食事のことを指すんですね。
さらにこの dejeuner が昼食朝食だったわけですが、これがずっと包まってですね、 dine という形になります。これが実は dinner なんです。
こっちは今度は夕食という意味になったということです。
つまりフランス語の dine というのと dejeuner というのは、今でこそそれぞれ夕食と昼食朝食という意味に分かれていますが、
大元は同じラテン語の this yeu nare ということなんですね。つまり二重語ということになります。
さあこのフランス語の夕食を意味する dine これこそが diner と綴られたわけで、これがそのまま入ってきて、英語に入ってきて dinner 夕食。
実際には主たる食事ですね。夕食になることが多いですが、主たる食事という意味になったということなんです。
この diner と書いて、フランス語では dine というふうに今読みますね。最後の r は読まれないからです、フランス語では。
ところが英語にこのまま入ってきてですね、英語の場合は語末の r というのはちゃんと読まれますので dinner というふうになるということです。
実はこの r、フランス語で読まれないといった r とその前の e も合わせてですね、er という語尾は実はフランス語で不停止語尾なんです。
06:07
つまり文の中で主語に対する形として動詞が使われる場合にはこの er というのが現れないんですね。
あくまで不停止として見出しの形として現れるときに er ということなんで、通常はこうした語尾を取り除いた上で英語に釈用されるんですね。
diner ではなくしたがって din とか dine あたりで英語に入ってくるはずなんですよ、本来は。
実際これも入ってきてましてこれ dining っていうんですね。これ食事するって意味です。
ダイニングキッチンのダインです。これもあるんですがこの dinner に関してはですね、そのまま er という本来不停止の語尾が付いた形でそのまま英語に入ってきて、
今度はこの dinner が英語では動詞として特に不停止に限定せずですね、動詞として使われるようになったっていう妙な形の単語なんですね。
英語では後に diner と n が重なってするようになったわけなんですけれども、単語の作りとしてはフランス語の不停止形がそのまま入ってきたと、そういう形になります。
さて次に supper の方なんですが、これもですね実は er が見えますよね。
その dinner と同じようにこれはフランス語の不停止語尾、er が付いたまんま英語に入ってきたっていうものなんです。
じゃあこれを取り除いた sup の部分は何かっていうと、これ英語でも sup としても入ってきていまして、これスープをすするってことですね。
すする、sup です。で実際スープっていうのも同じ語源です。
すするものってことです。他に s でですね、が付いて、こうすするとか吸うとか、そんな意味はあって、例えば suck とかですね、これ吸うってことですよね。
そこから seep、しみ出る、sip、すする、sop、したす、soak、やっぱりしたすということで、液体が染み入るとか、それを液体を吸い込むとか、そんな意味の単語が s で始まるものが多いんですが、それですね、引用総語からつながっている語彙ということになります。
フランス語ではですね、このスープを食べるのが、フランスの農夫の間では、これがまあ夕食、夜食、ちょっとした軽食だったわけで、これのまあ動詞形ですね、これが souper という形になり、これがそのまんま er という不定詞語尾がついたまんま英語に入ってきて supper、これでまあ夕食という意味になったということなんですね。
このようにですね、dinner とか supper の er っていうのは、もともとはフランス語の不定詞語尾で、本来取り除いてから英語に入ってくるべきはずなんですが、そのまんま er が残ったまま入ってきた単語っていうのはですね、実はこれ以外にもいくつかあります。
09:17
例えばですね、融合するという意味の merge というのがありますが、これが名詞形として merger というふうに er で終わりますね。不定詞っていうのは、まあもともと名詞用法っていうのがあります。これは英語でもフランス語でも一緒です。
ですから、フランス語のですね、不定詞用法がそのまま名詞としてですね、英語に取り込まれたっていう例になるわけです。merger とかですね、それから misnomer、誤った呼び方ってことですね。それから remainder、残り物、これなどは動詞も名詞もありますが、引き渡す、開け渡すって意味になりますね。
それではまた。