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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
speakとspeech
今回の話題は、speak、speech、クとチは姉妹発音、という話題です。
speak、speech、明らかに似たような意味と言いますか、関係する意味を持った関連語だということがわかるかと思うんですね。
唯一の違いは最後のシーンだけです。
speak、動詞話すはspeakで、話し、スピーチ、演説という名詞はspeechとなるわけですね。
スペリングでこそ、動詞の方はspeakですね。
名詞の方はspechという風に異なっていますが、
音だけで考えると最後のク、チというこの対応ですね。
ここだけが異なるということになります。
これはもともと語源的には同じだということなんですね、この2つの語は。
語感は基本的に一緒なんだけれども、もともとクがベースだったものが、似た音であるチュにある環境で化けたということなんですね。
よく聞くと、これは本当に似ているかということになるかもしれませんが、クとチですね。
これは確かに音声学的には非常に近い音なんです。
印象としてはですね、だいぶ違うように聞こえますが、
とりわけですね、クの後にアイの母音を添えてですね、キ。
キと比べた方が分かりやすいと思うんですが、キとチというのは実は似ています。
日本語でも方言によっては、これが混ざってしまうという方言がありますね。
クとチは姉妹発音
キ、チです。
発音上何が違うかというとですね、
下の位置がですね、少し前に出ると、クは、キはチになってしまうんですね。
キ、チ、チ、チ、チ、チ。
キともチとも聞こえる発音というのがありまして、チ、チ、チ、チということですね。
このように少し下の位置がですね、前寄りになると、クとかキの音はすぐチになってしまうということがありまして、
これは口の中の構造ですから、言語を問いません。
日本語でも英語でも人間の口の中であれば、ちょっとした差でですね、ク、キの音がチになってしまうということはあるんですね。
このスピーク、スピーチというのはまさにそれでですね、ちょうど動詞、名詞の関係になっていますが、
名詞の場合には、もともとの動詞のクのシーンがですね、チに化けたものが名詞になっているというパターンが実はいくつかあるんですね。
見てみたいと思いますが、例としてですね、パンを焼く、焼く、ベイクってありますね。
ベイク、ベイクブレードですね。
これ、じゃあこの名詞形はっていうのを考えたことないかもしれませんが、実はバッチという単語があります。
バッチ、BATCHという風に綴りますが、ベイクに対してバッチということですね。
例えば、a batch of bread, a batch of cookies、みたいな言い方があります。
ひと焼きの、ひとつの釜で焼き上がった分のパンということです。
ですから、BATCH OF BREAD, BATCH OF COOKIESというときのバッチというのはですね、その焼く釜のことを指しているということになります。
他にはですね、BREAK、壊すですね。
BREAK THE WINDOWのあのBREAKですが、これはですね、名詞形が実はありまして、BREACHという単語があります。
BREACHという風に綴りまして、BREACHと呼ばせるわけですね。
BREACH OF CONTRACT、契約違反。
この契約とか決まりを破る、壊す、違反するというときの名詞でBREACHという単語があります。
これもBREAK、BREACHという関係です。
それから、STICK、STITCHというのがありますね。
STICKというのは、チクッと刺すということです。
そしてSTITCHというのは、ひと縫い、ひと編みですね。
STITCHですね。
STICK、STITCHというのもこのKU、CHIという関係に相当します。
それからですね、WAKE、WAKE UP、WAKEですね。
起こす、起きている、AWAKE、なんかのあのWAKEですけれども、
これはですね、名詞形がWATCH、WATCHなんですね。
これは腕時計のWATCH、あるいは見るのWATCHなんかと関係しますが、
もともとですね、寝ずの晩のことなんですね。
警備ということです。
寝ずに、つまり起きたまま、夜通し、警備していることですね。
ですからWAKEという動詞と意味的にも当然関係があるわけです。
WATCHということです。
じっくり注意して警備するという意味から、じっくり見るという、
今普通に使われる意味になっているわけですね。
夜景なんていうのはNIGHT WATCHと言いますが、あのWATCHです。
最後の例ですが、これはMAKEなんですね。
これは非常に日常的な単語で、作るという意味で使っていますが、
もともとはですね、適合させる、ふさわしいものに仕立てるという意味なんですね。
そこから仕立てる、作るという意味、つまりFITとかフィッティングという意味が濃厚な単語なんです。
そうするとこの名詞形は句を地に変えてMATCH、MAKEに対してMATCHです。
お似合いのもの、つれ合いという時のMATCH、マッチングのMATCHですね。
だからMAKE、MATCH、これは動詞名詞の関係で、語源としては基本的に同じということです。
句地の関係ということですね。
これまでですね、5つのペアを分けました。
SPEAK、SPEECH、BAKE、BATCH、BREAK、BLEACH、STICK、STITCH、WAKE、WATCH、MAKE、MATCHですね。
面白いことに、このペア、両方を使ったですね、表現というのはいくつかあって、
例えば、HE BAKED A FRESH BATCH OF ROLLS。
なんていうのは、BAKE A BATCHという言い方ですよね。
それから、とてもお似合いの2人、ペアだという時に、
A MATCH MADE IN HEAVEN。
天国で作られたMATCH、ペアだという音ですね。
A MATCH MADE IN HEAVEN。
少し古風な表現ですが、このようなMATCH MADE MAKEですけどね、両方を使った表現なんかもあります。
今回見た例はいずれもですね、動詞、名詞というパターンにはまるものが多かったんですが、
必ずしもそれだけではなくてですね、他にもいくつか例があります。
例えばですね、SEEKという単語がありますね。
これ動詞で探し求める。
これに瀬戸寺Bが付いただけなんですが、これBSEEKではなくこのBESEECHになるんですね。
やはり探願する、お願いする、求めるということで意味は似ています。
完全に語源が同じ語だということがわかります。
それから教会を意味するCHURCH、標準語ではCHURCHとCHUの音が2回出ますけれども、
イングランドの北部とかスコットランドに行くとですね、
これがCHUの部分がKU、Kの音に変わってKUKU、なんて言います。
CHURCHに対してKUKU。
このような方言感の差に対応する場合もあります。
このように一見するとですね、日本語で考えるとKUとCHI、そんなに似てないなと思うかもしれませんが、
実は音声学的に似ていて、実際にそれを証明するですね、ペアがいくつもあるんだということです。
ではまた。