2025-06-22 13:06

heldio #337. 1604年,史上初の英英辞書

#英語史 #英語教育 #英語学習 #辞書史 #辞書学 #初期近代英語 #ラテン語
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サマリー

このポッドキャストのエピソードでは、1604年に出版されたロバート・コードリーの英英辞書「A Table Alphabetical」について語ります。辞書の歴史において、初めての英語辞書としての意義や、当時の文化的背景、ラテン語の流入に伴う人々の苦労について探ります。

英英辞書の誕生
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、英語史上最初の英英辞書は
ロバート・コードリーのA Table Alphabetical 1604年という話題です。
今からざっと400年ほど前となりますが、英語史上最初の英語辞書ですね。 AA辞書です。英単語を英語で解説する、定義付けるというようなAA辞書ですね。
これが最初に出版されることになります。1604年。 そして編者はロバート・コードリーという村の生殖者なんですね。
この人がタイトルとしてはA Table Alphabeticalということで、アルファベット順に単語が並んだ一覧表というほどのことですね。
みなさんこの1604年という年代を聞いてですね、古いなぁと思うか、あるいは新しいなぁと、意外と新しいんだなと思うかもしれないんですけれども、私はですね、1500年以上ある英語の歴史の中でですね、これほど遅かったんだというような印象を実は持っているんですね。
現在私たちは英語を学習するのに、いろんな形の辞書を使うと思うんですけれどもね、A話辞書が多いかもしれませんが、一方でAA辞書もよく聞くようにというような形でですね、英語教育なんかで習うということも多いんですね。
この英語辞書というのはいわゆるAAですけれども、様々な種類のものがあってですね、例えばOxford Advanced Learner's Dictionaryであるとか、Longman Dictionary of Contemporary Englishであるとか、それからアメリカ系ですとWebsterの辞書なんていうのもありますね。
そしてこの番組でもたびたび出てくるんですが、Oxford English Dictionaryという極めて専門的な学術目的で使うっていうようなAA辞書、大型のものもあります。
さまざまに出ていてですね、何年にいっぺん改訂されたり、新しいものが出たりということで比較的身近な存在なんですけれども、このAA辞書の走りがですね、この1604年というタイミングなんですね、比較的新しいかなと思ってるんですね。
時代背景としましては、ちょうどエリザベス1世が亡くなってチューダー朝が途絶えた。そして次にスチュワート朝が始まるっていうのがちょうど1603年なんですね。
すでにスコットランドの王という立場にあったジェームズ6世がそのままイングランドの王にもなってですね、ジェームズ・スチュワートです。こうしてスチュワート朝が始まるというようなタイミングです。
そして文化史的に言えばですね、これエリザベス朝の絶頂王期の直後といいますかね、シェイクスビアもまだ活動していました。
そして1607年にはですね、アメリカへの最初の植民が行われる、いわゆるジェームズタウンがですね、建設されるという時代でもありましたし、1611年にはキング・ジェームズ・バイブルと呼ばれるですね、禁定訳聖書、英語で訳された聖書の決定版というものが出た1611年というのもありますね。
その後、この世紀はですね、いわゆる革命の世紀、ピューリタン革命、名誉革命というふうに国内もですね、大荒れという時期に入っているんですが、その17世紀の最初のタイミングということですね、これ1604年、こんな時代背景だったわけなんですが、じゃあなぜこの時期なのかということですね。
このタイミングを考えるにあたってですね、まず大きく辞書というものは、2種類に分かれるということです。
1つはモノリンガル辞書です。いわゆるAA辞書であるとか、日本語で言う国語辞典ですね。つまり日本語の単語を日本語で説明する、英語の単語を英語で説明するという、これがモノリンガル辞書ですね。
一方でバイリンガル辞書というのが、これが例えば英和辞書であるとか、来英辞書、普通英辞書というようなもんですね。他の言語、通常外国語ですね。外国語の単語がそのままではわからないから、自分の言語で定義付けてくれる、教えてくれるというような趣旨ですね。
そしてこのモノリンガル辞書とバイリンガル辞書ということは、当然用途、使い道が違うので、考えてみればわかるんですが、これ意外なことかもしれません。
普通どんな言語でも、バイリンガル辞書が最初に出るんですよ。これ外国語ですから、わからないわけですよね。だから自分の言語での説明が欲しいというのは、極めて普通のことで、自分の言語の単語というのは、確かに難しい単語はありますけれども、基本的には使えているので、その細かな定義を知りたいという目的でもちろん作られるんですが、
それは実はかなり言語に対する意識が高まった後の話なんですね。大体の言語文化では、このバイリンガル辞書というものが先に出ます。
ですから英語でも、このロバート・コードリーのAA辞書が1604年、これが英語史上初だという言い方をしましたが、モノリンガル辞書としては最初ということで、バイリンガル辞書はもっと古く、古英語の時代から普通にあるわけです。
特にラテン語の単語を、古英語でとか、中英語で説明するというような類の辞書であるとか、単語集みたいなものですね。これは昔から当たり前のようにあるんです。つまり辞書といって、まず普通に思い浮かべるのはバイリンガル辞書であるということなんですね。
辞書の役割と必要性
そして、来英辞書であるとか、普通英辞書というものは、すでにこの1604年の前にいくらでも出てきたということなんですね。それがモノリンガル辞書、AA辞書をここに飛躍するには、結構な時間といいますかね、意識が育つ必要があるんです。
というのは、自分の言葉、なんとなくわかるものに、いちいち自分の言語の解説、定義を与えるというようなモノリンガル辞書の発想というのは、ずっと言語意識が高まった後に始めて出てくるものだからなんですね。
なので、先に比較的このモノリンガル辞書、英語でも新しいんだな、1604年が初というのは新しい名だなと私には思えたんですけれども、そもそもの辞書史の流れを考えると、これは当然のことなんですね、遅れるというのは。
まず、バイリンガル辞書が出る。その後に意識が高まった後で、次元語を次元語で定義するという、いわゆるモノリンガル辞書が出てくるという順番になるわけです。
さて、では本題です。なぜこの時期に1604年というような時代背景、タイミングで、ロバート・コードリーという人が、Table Alphabeticalという初の英辞書を編纂するに至ったかということなんですけれども、この直前の時代、エリザベス朝の時代ですね、この時代はですね、大量のラテン語が英語に入り込んだという、
そんな時代背景があるんですね。これは英国ルネサンスの絶頂期です。ルネサンスというのは古典語ですね。西洋において古典語というのは基本的にラテン語であるとか、ギリシア語というようなことを指すんですが、こうした言語からの釈用語を大量に取り入れた。
比較的短い数十年という間で1万語というラテン語が入ったと言われますので、相当の密度といいますか速度で英語の中にラテン語が入り込んだということなんですね。そして多くの人にとってこれはですね、ほぼ外国語なわけですね。英語に入ったといってもですね、ラテン語を知っている知識人はですね、
ちょうど我々が英語を知っていて英単語を日本語の中に大量に混ぜて話す日本語みたいな思い浮かべることができると思うんですけれども、そんな状況なんですね。
当時知識人が、ラテン語を知っている知識人が、ラテン語をそのまま英語に持ってきて使うということで、庶民にとっては、ちんぷんかんぷんということも多かったと思うんですね。ただ何回か使われているということで、英語に徐々に同化していくということです。
なので、いつラテン単語が英単語になったのかっていうのは、かなり微妙な問題を含みますけれども、そこそこ使われるようになったらですね、起源としてはラテン語のものなんだけれども、英語に同化する、英語風に発音するというような形で、一応のところ英単語という括りになるわけですね。
ですが、多くの人はこれを理解できないということで、この解説書が必要になるわけです。今でいうとちょうどカタカナ語の解説書が必要なのと同じようにですね、当時16世紀後半の一般庶民に対して、ラテン語から入ってきた釈用語、一応英単語にもなっているわけなんですが、この英単語を英語で、わかりやすい英単語で説明してあげようという趣旨です。
したがって、バイリンガル辞書とモノリンガル辞書の橋渡しと言いますかね、1.5リンガル辞書ぐらいの役割ではあるんですね。
完全なるモノリンガル辞書というよりは、見出しに立っているのはだいたいラテン語由来の単語なわけです。そういう意味では、ラ英辞書に近いじゃないかっていう突っ込みも成り立ち得るぐらいに、見出し語にはほとんどラテン語由来のものが並んでいるわけですよね。
それに対して比較的わかりやすい英単語とか、すでに定着しているようなフランス語とかラテン語単語も含みますけれども、そういった単語を使って定義するという趣旨なんですね。
このロバートコードリーがこの辞書を作るに至った背景というのは、その直前の時代に大量のラテン語単語が英語に流れ込んできて、人々がある意味困っていた。
それに対して手を差し伸べようという趣旨で、編集されたということになります。
なのでこのタイミングということになるわけですね。
一般には英語辞書、このロバートコードリーのTable Alphabeticalが最初のAA辞書ということになっていますが、この種のものはもう少し遡って、16世紀後半あたりに、リチャード・マルカスターであるとか、エドマンド・クートという人が単語集みたいなものを作っているんですね。
どこからが単語集で、どこからが辞書と呼び寄る形態なのかという微妙な問題があったりして、その見方によればコードリーではなくて、例えば最初のAA辞書はマルカスターのものだとか、クートのものだという言い方だって可能といえば可能かもしれません。
このあたりは微妙な問題なんですけれども、一般的に広く言われているのはこの1604年、きっちりとした本の形態で辞書と歌ったものですね。これが最初とされているわけです。それではまた。
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