00:00
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ、英語史ブログの管理者、 そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
9月10日土曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 週末ということで、ゆっくり過ごされている方もいるかと思います。
私はですね、9月に入りまして、いよいよ大学も新学期に近づいてくるということで、 なかなか慌ただしいことになってきております。
来週はですね、大学院入試がありまして、そして再来週は、昨日の放送でちらっとお話したんですけれども、 ゼミ合宿というものが控えていまして、どこに泊まりに行くわけでもないんですけれどもね、
普通に大学のキャンパス、教室で行うんですが、このVoicyでも生放送という形で、生配信という形で、そのゼミ合宿の一環としてですね、対談を行ったりするということで、それに向けての準備で学生と一緒に進めているところなんですね。
EN語尾の基本概念
なかなか慌ただしい時期なんですけれども、今回の英語の語源が身につくラジオヘルディオ、平常通りにですね、行きたいと思いますが、今日の話題は、within golden earthen、ENを持つ材質形容詞です。
どうぞよろしくお願いいたします。
英語にはEN語尾がつくものって結構多いんですね。例えばすぐに思い浮かぶのは、過去分詞の語尾としてっていうことですね。
write, wrote, written, drive, drove, driven、みたいなEDではなくてENで終わる過去分詞っていうのがありますよね。
それから過去分詞ではなくとも、最初から動詞の原型としてENがついているっていうものがあると思うんですね。
fasten, listen, brighten、などたくさんあると思うんですね。
これは動詞をつくる語尾としてのENっていうことなんですね。
他にはですね、あまり目立たないかもしれませんが、小さいものを指す言葉ということで、ししょうじというのがあるんですが、これもENをとることがありますね。
例えばmadeに対してmaiden、両方とも乙女、少女ということなんですけれども、ENがつくとちっちゃい、かわいらしいっていう雰囲気になったりするんですね。
実は語源的にはchickenとかのENなんかもそうですし、catに対するkittenのあのENっていうのもそうなんですね。
小さなものを指すというこういうししょうじとしてのENもあります。
他にはですね、もっと目立たないというか、標準英語ではこれしか残ってないんではないかというものがありまして、小英語では使われたんですが、ENが女性語尾であるっていうことですね。
現在残っているのはfox、これキツネなんですけれども、いわゆるメスギツネですね。これはvixenと言います。
これはfoxにENをつけたというのが起源なんですね。後に母音や子音が変わってしまったりしますが、このENの部分がこれが女性語尾ということなんですね。
このようにENっていろいろな使い方と言いますか、語源もそれぞれ違うんですけれどもね、さまざまな用法があったりするんですが、今日取り上げるのはその中で材質形容詞と呼んでよいのかなと思うんですけれども、ある材質素材ですね、その名詞にENをつけることでその素材でできたという意味になる、そういうENを紹介したいと思います。
歴史と他の例
冒頭でも挙げましたが、まずwoodenっていうのがありますね。木材に対してwooden、木材の木でできたということですね。それからgold、金に対してgoldenというのはお馴染みですね。それからearth、土です。そして土製の土でできたっていうのはearthenという風にENをつけるという、こういうタイプですね。
他には例えばwool、羊毛ですね。そしてwoollenという羊毛でできたという単語がありますし、それからですね、材質というよりは素材っていうか食材って感じなんですがwheat、小麦に対してwheaten、小麦でできたという、こういう単語があるわけですね。
あまり使われなかったり数も多くはないわけなんですが、こういう風にあります。古くはもっとあったけれども、今では使われなくなったあるいはほとんど使われなくなったというものも含めると結構ありまして、例えばですね、今も大きな辞書なんか引くと載っていたりするんですけれども、ちょっと古めかしくて文語的かなと思いますが、例えばglassen、ガラスでできたですね。それからauken、オークの木でできたっていうことですね。
それからsilken、これ絹でできたってことですね。それからsilvern、これなかなか面白いと思うんですが、silverと書いてnだけをつけるんですけれどもね、人生のっていうことです。それからtinen、これはtinですから鈴、ブリキっていうことですよね。
完全になくなってしまいましたけれども、あったら便利なのにというものは、例えばですね、stonenなんていうのは石でできたなんていうのは多少使えるんではないかと思うんですが、なくなってしまっています。古英語ではあったんですけれどもね。それからfitenという小麦っていうのがありましたけれども、関連してflower、小麦粉ですね。これの小麦粉でできたという意味でflowerenですね。
こんな単語が本来だったら現在まで生き残ってよかったはずなのに、中英語でなんと1例のみ使われていることが確認されています。このようにいろんなものに実はついて、素材、材質を表す形容詞を作っていたんではないかと思われるんですが、現代まで残ったものはひと握りというそういうことになるわけですね。
このen語尾っていうのは一体何ものなのか。冒頭に様々なen語尾があるという言い方をしましたが、今回扱っているこの材質形容詞を作るenというのはですね、ラテン語でいうところのinusという語尾、あるいはギリシア語のinos、さらにサンスクリット語のinaという形ですね。これとも同じ起源を有するっていう意味で、
非常に古い、引用語全体から見てもですね、古い設備辞なわけです。これが英語にもしっかりと伝わってきているっていうことなんですね。
小英語にもいくつかあったということは先に述べた通りなんですが、ただ小英語にたくさんあったというよりは、割と近代になってからいろんなものに突き始めたという、そういう設備辞でもあるんですよ。語尾でもあるんですね。そこはなかなか面白いところだなと思っているんですけれども。
この形容詞はですね、ないならないでも実はいけてしまうんですね。そのまま名詞の元の形があるわけですが、これをそのまま形容詞的に使うっていうこともよく行われていて、例えば木箱っていうのにwooden boxと言えますけれども、一方でwood boxと言って済ませることもあると。つまりwoodenとしなくてもですね、木の箱という意味になり得るわけですし。
さらには、家のつけてはいけない組み合わせだってあると思うんですよね。例えば金貨を表すのにgold coinっていうことでgolden coinではないわけですよね。
さらに、絹、silkはsilkenというのがあるとはいえ、絹の靴下っていうのにsilk stockingsというふうに特にsilkenは使わないわけですよね。
いわば名詞をそのまま形容詞風に使うっていうものと、enをつけてきっちりと形容詞にして使うというものが並び立ってしまったということによって、常にどっちでもいいならまだいいんですけれども、どちらかを選ぶというような表現も出てきたので、なかなか面倒なことにはなりましたよね。
金、goldに関して言いますと、ただですね、元々の原理ですね、金という素材、これからできているという意味ではgold coinなんていうことが多いんですが、goldenになると、これは金でできたというよりは少し比喩的な意味になりまして、例えばgolden opportunity、絶好の機会とかですね、golden week。
これ実は和製語なんですけどね、golden weekのように、金そのものの素材でできたというよりは比喩的な意味合いで使われるものが多いということなんですね。
ですので、enが付く方は全体として文語的というか古風と言いますかね、少し堅苦しい雰囲気であるとか、比喩的な意味に使われるということで、やはりですね、名詞をそのまま形容詞風に使うのとは、ちょっと趣が違うという、そんな一般論は言えそうな気はするんですけれども、
通常形とenが付いた形容詞形ですね。これが並び立ってしまったというのが、なかなか使い分けが難しくなってしまったわけなんですね。こういうことは英語ではよくあると思います。
goldとgoldenに焦点を当てましたので、もう一つ金に関わる単語を紹介しておきたいと思います。これはですね、やはりgoldが元になっているんですが、guilt。guilt。これがありますね。
gilt。金箔をかぶせたとか、金メッキをしたというような形容詞ですね。これはguilt。最後の部分、d。これが金メッキをするとか、金箔をかぶせるという動詞なんですが、これの過去分詞形としてguiltですね。tで終わるものがありまして、これ過去分詞形ですから、形容詞になるわけですよ。
本来はgoldと同じ語源なんですが、このgoldのoという母音ですね。これがi-mutationあるいはi-umulautと呼ばれる音の変化によって、この単語ではeに近い音になっちゃうんですね。これでguilt。guiltという形です。
この単語はguilt picture frameであるとか、guilt letteringのような表現で使われますね。金の額縁とか金のレタリングという時には、このguiltという表現がふさわしいようです。なかなか使い分け難しいですね。
guiltとgiltの紹介
今回は材質形容詞のen語尾についてお話ししました。エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
イボイシーのコメント機能を通じてお寄せください。チャンネルをフォローしていただきますと、更新通知が届くようになりますので、ぜひフォローをよろしくお願いいたします。また、面白かった、ためになったなどと感じましたら、ぜひいいねもお願いいたします。
最後にイボイシー生放送のお知らせです。今回の冒頭チャプターでもお話ししまして、それから昨日の放送ですね。466回でじっくりお話ししたんですけれども、再来週2日にわたって2回生放送をお届けします。
1つ目は9月20日の火曜日、午後2時45分から1時間ということで、立命館大学の岡本博紀先生をお呼びしまして、2人で対談します。話題は英語バナキュラ談義ということでですね、自由に1時間おしゃべりしたいと思っています。
それから、その翌日なんですけれども、9月21日水曜日、午後4時から1時間という枠で、熊本学園大学の矢泉博先生と私とでですね、イボイシーの生放送で英語に関する素朴な疑問1000本ノックをお届けしたいと思います。
このヘルディオでは1000本ノックと称して、皆さんから寄せられた質問にどんどん答えていくという試みをやっているんですけれども、今度はですね、矢泉先生と2人で1時間という時間枠がありますので、いつもより多く答えられるのではないかというふうに期待しています。
それぞれの対談企画、生放送なんですけれども、事前にですね、素朴な疑問を寄せていただいたり、あるいは英語バナキュラ、バナキュラって何というところから始まってもいいと思うんですけれども、質問、ご意見等ですね、いただければと思います。
このチャプターにその投稿用のフォームですね、絵のリンクを貼っておきますので、そちらから当日までの間、自由にコメント等を寄せていただければと思います。
それでは土曜日、皆さんにとって良い1日となりますように、ほったりうちがお届けしました。また明日。