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#98  オースティン『説得』フった元婚約者が成功者になって帰ってきた!大人のセカンドチャンス
2026-06-25 13:17

#98  オースティン『説得』フった元婚約者が成功者になって帰ってきた!大人のセカンドチャンス

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今回ご紹介するのは、ジェーン・オースティン最後の完成作『説得(Persuasion)』です。

 

若い男女の恋の始まりを描く『高慢と偏見』とは少し違い、この物語の主人公は27歳のアン・エリオット。

8年前、周囲の反対に押し切られ、愛する男性との婚約を解消してしまった彼女は、その決断を今も心のどこかで後悔しています。

そしてある日、かつての婚約者ウェントワースが再び彼女の前に現れます。

しかも彼は、財産のない若い海軍士官ではなく、戦争で成功を収め、財産と名声を手にした海軍士官として帰ってきたのです。

一方、アンの実家は経済的な苦境に陥り、かつてとは立場が逆転していました。

忘れられない過去の恋。
言えなかった本音。
傷ついたプライド。
そして、もう一度訪れた人生最後のチャンス。

オースティン作品の中でも特に大人の読者の心を打つ『説得』の魅力を、物語の背景や名場面とともにご紹介します。

さらに後半では、多くの読者を魅了してきた「文学史上もっとも有名なラブレターのひとつ」とも称される名場面についてもお話しします。

後悔したことがある人ほど胸に響く、オースティン晩年の名作。
ぜひ最後までお楽しみください。

 

 

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英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマが大好きな私が、ドラマや映画のおすすめ、ロケ地の秘密、当時の暗気まで深掘りでご紹介しています。
物語の背景を知ると、作品がもっと楽しくなります。今日ご紹介するのは、ジェーン・オースティンの小説、『説得』バースエイジョンです。
この物語は彼女が41歳で、亡くなる直前に書き上げたもので、他の物語とは一味も二味も違います。
ところで突然ですが、皆さんには忘れられない過去の恋ってありますか?
今日ご紹介する物語のテーマは、ズバリ大人のセカンドチャンスです。
これまで、この番組でもご紹介してきたオースティンの他の作品は、若い男女のキラキラした初恋物語みたいなものだったと思うんですが、今回の物語はちょっと違います。
8年前に周囲の反対に負けて、泣く泣く自分から振ってしまった元彼と、ある日最悪に気まずい再会を果たす、という大人のほろ苦いラブストーリーです。
結論から言ってしまうと、この物語は最後、ものすごく美しいハッピーエンドを迎えます。
でも、お互いに未練とプライドを抱えた大人の二人が、8年の空白をどうやって埋めて、どう歩み寄っていくのか、そのプロセスがね、私がこの物語のとても大好きなところなんです。
さて今日は、この説得の物語の魅力に迫りたいと思います。
では、まずは物語のあらすじからご紹介します。
主人公のアン・エリオットは、27歳。
当時のイギリスでは、19歳から22、3歳ごろが結婚の適齢期だったので、ちょっと生き遅れと言われてしまう年齢です。
アンの実家は、17世紀から続く純男爵家、貴族ではありませんが、世襲の称号を持つ優秀ある上流階級です。
ところが、父親と姉は身分と見た目が何より大事な人。
控えめで資料深いアンは、家族の中ではまるで空気のような存在です。
そんな彼女には、誰にも言えない過去がありました。
8年前、19歳だったアンは、若い海軍士官ウェントワースと恋に落ちて、婚約まで交わしていました。
ところが、彼には財産がありません。将来どうなるのかわからない男なんてやめなさいと、家族や後継人からそう言われて、アンは説得され、婚約を解消してしまいます。
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でも、彼女はその決断を一日たりとも忘れられませんでした。
もし、あの時別の選択をしていたら、そんな思いを胸の奥にしまい込みながら、8年もの歳月を過ごしてきたんです。
そして、それから8年の年月が流れました。
なんと、あの元婚約者ウェントワースが再びアンの前に現れるんです。
しかも彼は、かつての財産のない若い海軍士官ではなく、戦争で成功を収めて、財産と名声を手にしたウェントワース大佐として帰ってきたんです。
一方、アンの家は父親の浪費がたたって、先祖代々の屋敷を貸し出さなければならないほど、経済的に苦しくなっていました。
8年前とはまるで逆の立場になった2人。
さあ、ここからの再会シーンが息が詰まるほど気まずいんですね。
ウェントワース大佐は、8年前の出来事を忘れていません。
アンに対しては、ちょっと怒っていて、どこかよそよそしくて、以前の親しさは借りも形もありません。
その一方で、周囲の若い女性たちとは楽しそうに話していて、急速に親しくなっていきます。
その様子を見つめるアンは、もちろん嫉妬もあるんですが、自分から婚約を発起しました。
まあ、だから、今さら何を言う資格があるだろう。
そう思うと、ただ黙って見ていることしかできません。
2人はお互い心のどこかで忘れられない相手なのに、傷ついた恰好とプライドが邪魔をして本音を口にできない。
このじれったい大人の再会ロマンスが、説得の最大の魅力なんです。
さあ、ここまで聞いていると、お互いそんな状態なのに、一体どうやって再び結ばれるのって思いますよね。
実はここから、いろいろなことが波のように押し寄せて、2人の距離を強制的に縮めていくんです。
そのプロセスが本当によくできていて、面白いんです。
まず、最初の波が立場の逆転がもたらした、あまりにも皮肉な再会です。
先ほどアンの実家は経済的に苦しくなっているとお話ししましたが、
ついに父は資質をまかないなくなって、先祖代々受け継いできた美しい親しみを貸し出すことになります。
そしてその借り手として現れたのが、なんとウェントワース大佐の姉夫婦でした。
かつて財産がないという理由で、アンとの結婚を反対されたカレンの家族に、
今度は自分たちの家を貸し出すことになったという、なんとも運命のいたずらのような話ですよね。
つまり、アンの実家の経済的厳しさが、ウェントワース一家を再び家に招き入れるようなことになっちゃったんです。
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こうして二人は、もう二度と会うことはないと思っていた相手と再び向き合うことになるんです。
こうして最悪の再会を果たした二人ですが、お互いに傷ついた過去とプライドがあるので、そう簡単に距離は縮められません。
そこで物語は、二人の嫉妬心に火をつける第二の波、恋のライバルと誤解へと突入します。
ウェントワース大佐はアンに対してどこか寄せ寄せしいままで、一方で周囲の若い女性たちと楽しそうに過ごして、特にルイーザという女性と親しくなっていきます。
その様子を見ているアンの気持ちは穏やかではありません。
そしてある時、アンを絶望させるニュースが飛び込んできます。
ルイーザが婚約したらしい。
アンは胸を締めつけられます。
彼はもう本当に自分の手の届かないところへ行ってしまうのかもしれない。
ところが、これが大きな誤解だったんです。
ルイーザの相手はウェントワース大佐ではなくて別の男性でした。
つまり大佐はまだ独身です。
そしてその頃にはウェントワース自身もアンの変わらない優しさや落ち着いた強さに、やはり自分はアンを愛していると気づきます。
こうして物語は華やかな保養地バースへと移ります。
すると今度はアンの前に若く洗練された紳士、親戚のウィリアム・エリオット氏が現れます。
彼がアンに特別な関心を示し始めると、今度はウェントワースの心が大きく揺れ始めます。
もしかしたらアンを失うかもしれない。
8年前に失った彼女を今度こそ本当に別の男性に奪われてしまうかもしれない。
そんな焦りの中で物語はいよいよクライマックスへ向かっていきます。
次は第三の波、全てをひっくり返す一通の手紙。
舞台は高級保養地バースのあるホテルでのことです。
そこでアンは海軍士官と男と女、どちらの愛がより一途かという議論を始めるんです。
男性は言います。
本を読めば女がいかに心変わりしやすいかいくらでも例が出てくるよと。
これに対して普段は控えめなアンが珍しくはっきり反論します。
そんな証拠は認められない。だって本を書いてきたのはずっと男性たちなのだから。
鋭いですよね。
そしてアンはさらに自分の胸の奥にしまい込んできた思いを語ります。
男性には仕事があって社会があって気を紛らわす手段があります。
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でも女性は違う。限られた世界の中で暮らしながら一度愛した人への思いを抱え続けるしかない。
だから女性は誰よりも長く愛し続けることができるのだと。
8年間ウェントワースを忘れられなかったアンだからこそ語れる言葉だったんです。
そして実はこの時同じ部屋のすぐ後ろの机でウェントワース大佐が手紙を書いていました。
忙しそうにペンを握って会話など気にしていないように見えたんですが、
ところが彼はアンの言葉を一言も漏らさずずっと聞いていたんです。
8年間自分だけが過去を引きずっていたのだと思っていた。
でもアンもまた同じように彼は忘れられずにいたんだ。
そう気づいた瞬間大佐はもう黙っていられなくなります。
急いでペンを取ってアンへの手紙を書き始めるんです。
このウェントワース大佐の手紙はイギリスの文学史上有名なラブレターの一つと言われています。
もうね本当にすごく素敵なんです。
大佐はこう書き始めます。
もう黙っていられません。
私はあなたの言葉を聞いて魂を突き刺されたような思いです。
私は半分は苦しみ半分は希望を抱いています。
そして彼は自分の思いが一度も消えなかったことを告白します。
8年前に別れてからもアンを忘れたことはなかった。
どれほど傷ついてもどれほど時間が過ぎても心の中心にはずっと彼女はいたのだと。
プライドも意地も捨てて自分の気持ちをありのままに綴った手紙でした。
さあこの手紙を受け取ったアンはどうするんでしょうか。
8年間すれ違い続けていた2人の物語はいよいよ最後の瞬間を迎えます。
さて今日はジェーン・オースティンの説得をご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
この物語、オースティンは読者に気づかれないように
2人がハッピーエンドにつながるたくさんの手がかりを美しく散りばめていました。
今日ご紹介したのはその一部です。
ぜひ小説やドラマにもなっているのでそのプロセスを見ていただきたいです。
そして最後にちょっと面白い裏話をご紹介します。
実は今日ご紹介した説得、ジェーン・オースティンの死後間もなくして出版された遺作です。
出版されるときは前回ご紹介した彼女の初期の作品の
ノーサン・ガービーと2冊セットで読み出されたんですね。
そのときにジェーンのお兄さんのヘンギーが伝記的な序文を書いたんですが
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そこで初めてジェーン・オースティンという本名が書かれたんです。
実はそれ以前の小説は全て匿名で出版されていたからですね。
彼女は生涯の最後に完成した作品で
ようやく世界はジェーン・オースティンという偉大な作家の名前を知ることになりました。
若い声のときめきを描いた初期作品とはちょっと違って
後悔や時間のもみを知った大人たちの物語です。
だからこそ私はこの説得にオースティンが最後にたどり着いた境地のようなものを感じてしまいます。
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そして番組への感想や取り上げてほしい作品などもありましたらお便りのお待ちしています。
次回はこれからの新しい試みについてお話ししたいと思います。
どうぞお楽しみに。
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