英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマが大好きな私が、ドラマや映画のおすすめ、ロケ地の秘密、当時の暮らしまで深掘りしてご紹介しています。
物語の背景を知ると、作品がもっと楽しくなります。
今日ご紹介するのは、2008年の映画、『ブーリン家の姉妹』です。
エリザベス1世の産みの親、アン・ブーリンとその妹、メアリー・ブーリン、2人が英国王ヘンリー8世をめぐって対立しながら、王宮の陰謀と権力闘争に巻き込まれていくという、かなり壮絶でハラハラしたストーリーです。
ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが演じる姉妹も豪華で、見どころたっぷりな映画なんですが、
実は歴史的な事実とも違うところもあって、脚色もかなりされているんですね。
それも映画が面白くなっている理由でもあるんですが、今回は映画の魅力と実際の歴史も合わせてご紹介します。
ぜひ最後まで聞いてくださいね。
舞台は16世紀、絶対王政のイングランド。
王の一声で、人の運命がひとも絶やすく変わってしまう時代です。
その中心にいるのが劇場王方で気まぐれ、でもどこか哀れな王様。
そう、彼は6人の王妃をとっかえひっかえしたことでも、とても有名な変理発生です。
この映画が描くのは、そんな絶対的な権力の下で、女性たちの運命がどれほど簡単に翻弄されていったのかという物語です。
そしてここが面白いところなんですが、
この映画では王妃の座を勝ち取った悪女として語られがちなアンブーリンではなくて、
あまり知られていない妹メアリーの視点から全てが語られていきます。
彼女は権力に惹かれていく姉アンの行く末をただ見つめていました。
この映画を見ていて何度も問いかけられるのが、王に選ばれることは本当に幸せなのかというテーマです。
自分の父とおじさんによって、ある日突然王の愛人に抜擢されたのが妹メアリーです。
国王に気に入られて、愛されたように見えたのも束の間で、すぐにその立場は姉アンへと奪われてしまいます。
アンは自分の意思を持って王に近づいて、王妃の座を目指していくのですが、
でも王の長愛というのは女性にとっても決して守られた立場ではありません。
王の気まぐれ、宮廷の噂、家族の思惑、どれも自分ではどうにもできません。
アンもメアリーもその渦の中で選ばれて捨てられて傷ついて壊れていきます。
美しい衣装や華やかな舞踏会の陰で、王に愛されることは女性にとって呪いにもなる、
そんな苦い真実がこの映画には描かれています。
結局アンはその激しい野心ゆえにヘンリーの愛を失って不義の疑いをかけられて、処刑台に立たされます。
メアリーの方はアンの産んだエリザベスを連れて王妃を離れて、田舎で静かな自分の人生を取り戻していくのです。
2人はどうやって王の心を射止め、どうしてその愛を失ったのか。
姉アンはなぜ王妃になり、そしてなぜ処刑台に立たされたのか、その答えは映画の中にあります。
ぜひ答えを確かめてみてください。
この映画の主演は本当に豪華なキャスト陣で締めています。
アンブーリンを演じるのはナタリー・ポートマンです。
知性と野心を秘めた複雑なアンの姿を時に冷酷に、時に脆く美しく演じています。
一方、妹のメアリーを演じたのがスカーレット・ヨハンソンです。
世間を知らないまま王の愛人として選ばれて、次第に心を擦り減らしていく姿に、見ていてちょっとかわいそうだなという、こちらもとても胸が締め付けられます。
その二人を振り回すイングランド王、ヘンリー・ハッセを演じるのがエリック・バナ。
理不尽なまでの力を握る王様で、彼の一言で女性たちの愛も名誉も命さえも変わってしまう時代でした。
アンとメアリーの両親を演じたのがマーク・ライランスとクリスティン・スコート・トーマス。
二人の抑えた演技の中に野心や戸惑いが滲み出る、とても素晴らしい演技でした。
さらにベネディクト・カンバーバッチとエディ・レッドメインがメアリーの夫役で登場します。
二人はそれぞれ違うタイミングで、彼女の人生に深く関わる男性を演じています。
さてここで、映画ブーリン家の姉妹の見どころを3つに絞ってご紹介します。
その前に少しだけ、この映画の原作はフィリッパ・グレゴリーの小説です。
事実を元にしつつ、妹メアリーの視点から描かれたフィクションなんですね。
映画の姉妹の対比という構成も、この原作本がベースになっています。
見どころその1、姉と妹の演技バトル。
この映画に引き付けられるのは、アンとメアリーの鏡のような存在としての描き方にあります。
控えめで愛される妹のメアリー、そして頂点を目指して計算と駆け引きを重ねる姉のアン。
例えば最初にヘンリーが目をつけていたのは実はアンの方だったんですね。
でも彼女の強気すぎる態度に振り回されて、王は怪我までしてしまいます。
その時にふと目に入ったのが優しく従順に振る舞うメアリーです。
夫を立てて控えめに接する姿にヘンリーは思わず心を動かされるんですね。
でもこの時点でどちらを選んだらよかったのかというヘンリーの運命が決まっていたかのようです。
見どころその2、衣装が語る2人の運命。豪華な衣装も見どころです。
衣装デザインを手掛けたのがアカデミー賞常連のサンディ・パウェル、
恋に落ちたシェイクスピアとかキャロルなどを手掛けたデザイナーです。
アンとメアリーの衣装は物語の中でも変化していきます。
グリーンのシンプルなドレスから、それがやがてベルベットや金紙をあしらった重厚なスタイルに、
その変化が王妃への野心とか彼女自身が支配されていく姿を静かに語っています。
一方、メアリーは柔らかな素材の淡い色調のドレスが中心です。
ベージュとか水色とかリネンとか、彼女の優しさとか受け身な立場が衣装にも出ているようですね。
そして姉妹でお揃いの服を着ているシーンもあって、それもとても印象的でした。
見どころその3、光と陰で見せる宮廷世界。
ロケ地にはイギリス南部の歴史ある城間や修道院が使われています。
撮影では、ろうそくや自然光を意識したライティングが徹底されていて、
そのために陰影のあるシーンでは、人物の表情がまるで絵画のように浮かび上がるんですね。
薄暗い室内での緊張感とか静けさとか不安、
そのすべてが光と影のコントラストで本当に描かれています。
このロケ地については次回の放送で詳しくご紹介したいと思います。
最後は映画と全然違うブーリン家の本当の話。
映画ブーリン家の姉妹では、ブーリン家は本当に王に娘を差し出す恐ろしい家族みたいに描かれていますよね。
でも実際はもっと複雑でちょっと切ないんです。
まず姉妹の順番、本当は姉がメアリー、妹がアンブーリンだと言われています。
でも映画では逆に描かれていて、これは物語上アンを主導権を握る姉として描きたかったからですね。
メアリーは先に王の愛人になりますが、アンが注目されるまでには実際に4年の空白があります。
そんなにすぐに乗り換えたわけじゃないんですね。
そしてお父さんのトマスブーリン。
映画では娘を利用する冷酷な父親っていう感じで描かれていましたが、
でも実際のトマスは外交官としてキャリアを積んで娘たちに語学や礼儀をしっかり教えて、
アンをオーストリア宮廷へ、メアリーをフランスへ送り出した教育熱心なお父さんでもありました。
王に娘を差し出したかどうかも証拠はないみたいです。
むしろアンは最初王の愛人になるのを断ったという記録まであるそうです。
じゃあなぜトマスは悪者にされたのか。
娘アンと息子ジョージが処刑された時沈黙していたからですね、その態度が見捨てた後が冷たいと思われたんですね。
でも絶対王政の時代に親が国王に逆らえるはずもなく、
そして彼にはまだメアリーと孫たちもいたので、沈黙は保身ではなくて家を守るためだったのかもしれません。
その後トマスはどうなったのかというと、2人の子を亡くして心を閉ざしたまま、わずか3年後に亡くなってしまいます。
宮廷には出ていたんですが、その心はきっとボロボロだったはずです。
ブーリン家は王に取り入った恐ろしい家族ではなくて、時代の力に巻き込まれた野心と悲しみの家族だったのかもしれません。
この映画のドラマ性と実際の人間模様を両方知ることで、あの姉妹の物語がもっと奥深くなると思います。
さて今日は2008年の映画ブーリン家の姉妹をご紹介しました。いかがでしたか?
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またコメントで感想をお寄せいただけると本当に嬉しいです。
こんなドラマも取り上げてほしいというリクエストも大歓迎です。
そして次回はこのブーリン家の姉妹のロケ地についてじっくりと語っていきます。
歴史ドラマファンにはたまらない美しい場所ばかりですので、どうぞお楽しみに。