まずご紹介するのは、バイオレットとイゾベルの関係です。
この2人、最初は敵同士のようでした。
でもシリーズを通してみると、実は一番深く通じ合う関係だったのかもしれません。
一言で言うならば、正反対なのに心の底では似ていた2人。
旧時代の誇りのバイオレットと新時代の良識、イゾベル。
立場も考え方も違うけれど、だからこそお互いに気になる存在だったんだと思います。
バイオレットはグランサム仙台白鷺未亡人で、典型的なイギリスの階級社会の人です。
誇り高くて、時に手厳しいけれど、どこか憎めない人でしたよね。
そして思わずメモしたくなるような名言も多い人です。
イゾベル・クローリーはマッシュのお母さんで、自立した市民階級の未亡人です。
事前活動や医療に本当に熱心で、貴族社会のあり方にもちょっと疑問を持ち続けていた人です。
本当に正反対。でも実はどちらも自分の信じる正義を貫く強さを持っていましたね。
だからぶつかり合いでも互いに認めるようになっていた、そんな2人だったと思います。
では、この2人の印象的な場面を、いくつか振り返っていきたいと思います。
2人の出会いはちょっと怖かったですよね。
白尺家をダウントーンを息子や孫たちを守りたいバイオレットと、外からいきなり登場した、もしかしたら自分たちの家も財産も全て奪う男の母親のイゾベルという2人なので、
いがみ合って当然だったかもしれないです。
そこに2人は共に強い信念や言葉、行動力を持っている人たちだったので、本当に火花がバチバチとしていました。
それを見ている周りがヒヤヒヤとしている状態でしたね。
でも私がとても意外だったのは、イゾベルはそういうのに全然物応じしない人で、そんな母親をマッシュはもうやめろよとか言わずに、母親はこういう人だからなという感じで微笑んで見守っている感じでしたね。
この親子の信頼関係は本当に羨ましいなと思いました。
イゾベルとバイオレットは病院の運営やバラの品評会などでも、とにかく意見が食い違って議論を繰り広げていた人ですよね。
でもどんどんとそこに友情らしきものが芽生えてきます。そこがちょっと感動的でした。
2人の印象的な場面というのは本当にいっぱいあるんですが、私が何度も見たい場面はやっぱりお互いの恋について支え合うところですね。
バイオレットの恋の覚え入れ話は本当に彼女がただの貴族でないことを知る本当に名シーンでした。
2人登場したんですが、1人は駆け落ち寸前まで行ったロシアのクラーリン公爵です。
彼は後のエピソードでも登場するんですが、彼のためにすべてをバイオレットは賭けようとしていたという本当に情熱的なものでした。
もう1人は映画の中で明かされたフランスの貴族。
短い時間の出会いだったのに南フランスのビラを遺産として受け取るようなことになっていましたよね。
その思い出話を聞いてじっと寄り添って支えていたのがイゾベルでした。
そしてイゾベルの方はバイオレットとバイオレットの若い時の情熱的な恋というのとは違って
人生の晩年に訪れたお互いを尊重し合う深い信頼と理解のマートン卿との関係でした。
2人をくっつけようとしていたバイオレットだったんですが
イゾベルとマートン卿に結婚話が出てくると少し反対していましたよね。
その理由が友達が離れていってしまうのではないかという不安から来るものでした。
もうそれが意外や意外であのバイオレットの口からそんな言葉が出てくるとはって思ったんですが
もうこの時には2人はなくてはならない存在になっていたんだろうなと思います。
バイオレットに負けずイゾベルもとてもモテる人でした。
確かお医者様のクラークソン先生も彼女のことが好きだったはずです。
そんな2人だからバイオレットは最後にお別れ感謝を伝えていました。
心の奥で繋がっていたそれが伝わる場面なので見返すためにほろっと来てしまうシーンでした。
2人は価値観が全く違うように見えるかもしれませんが
でも強い信念を消してもらえないところ、他人のために起こることができる
そんな内側に熱いものを持っている部分なんかは本当によく似ているんですよね。
愛する人を守りたいという思いや、ユーモや知性を忘れない姿勢も
やり方が違っても2人とも自分の正しさを貫いて生きています。
だからこそぶつかりながらもお互いに認め合って
いつしかなくてはならない存在になっていたそんなバイオレットとイゾベルでした。
次はマシューとトムです。2人は外から来た男たちです。
それぞれ違う道からダウントに寄ってきて
中から白鷺家を支える存在になっていた人です。
マシュー・クローリー、彼は庶民から白鷺家の後継者になります。
職業は弁護士で、最初は貴族社会に戸惑うんですが、徐々に家を支える存在になっていきます。
メアリーとの恋はドラマの中で階級や価値観を超える象徴としても描かれていましたよね。
トム・ブランソン、アイルランド出身の運転手で、政治には強い関心があって
労働者の立場から貴族社会に疑問を投げかけていました。
痺ると恋に落ちて、やがて疑問を投げかけていた白鷺家の一員になります。
マシューとは違って、家に入ってからも部外者感を抱え続けて悩みます。
マシューは白鷺家に合わせようと努力した人、トムは家の中からでも自分らしさを貫こうとした人ですね。
どちらもまっすぐだけど、そのまっすぐさの向きが少し違うんですよね。
二人の印象的な場面を見ていきたいと思います。
マシューは突然白鷺家の財産相続人候補に登場してしまって
白鷺家やその使用人たちからも冷たい目で見られる存在になってしまいます。
私が思うマシューは芯がしっかりしているのに竹のようにしなやかな人です。
家族の暮らしとか伝統とかを理解しようと努力していました。
でもそれががむしゃらではなくて自然にですね、それが一番感じられたのはモーズリーとの関わりです。
服を着たり、そんなのに撤退なんていらない、使用人なんていらない、
そういうことをするのは大の大人のする仕事じゃないって、
使用人の仕事を最初ちょっと馬鹿にしていたんですよね。
でも白鷺から彼らの仕事を、生活を自分たちが守っているんだっていう、
富と権力を持つ自分たちの義務なんだっていうことを聞いて態度を変えました。
白鷺の仕事を理解しようとしてコートを羽織らせてカフスをつけてもらって、
汚れが落ちた袖口のことによくやったって褒めていましたね。
本当にとても印象的な場面でした。
マシューは自分の意見もきちんと言うんですが、
言い方とか態度が柔らかいからなのか、あまり反感を持たれなかったのだと思います。
白鷺もすぐにマシューのことを気に入っていましたし、
結構早いうちに彼を認めていましたよね。
それはアンナとトムも同じでした。
メアリーとマシューの結婚式の前日、
ちょっと二人にいざこざがあって、結婚を迷っている二人を、
ちゃんと導いたのがこの二人でした。
マシュー様は素敵な男性です。
バスのように次から次へと現れません。
二人は運命の相手だ。一緒になるべきです。
リュウンに引き裂かれてきたが、もう手放さないで。
だってあなたはお嬢様以外の人とは幸せになれない。
このアンナとトムの二人の言葉が決め手でした。
二人をよくわかっている人たちのセリフでしたよね。
愛するシビルのために、娘のためにかなり苦労して、
ダウントン生活の場にしようと努力していたこと、
シビルの名前を残すために娘の名前をシビンにしたこと、
一度アメリカへ旅立ったトムですが、結局ダウントンに戻って、
メアリーを支える存在として決心してダウントンに戻ってきました。
シビルは突然後取りとして迎えられた戸惑いの中で、
誠実にこの家を守る責任と向き合ったトムは、
運転手という立場から愛する人のために家族になることを選んで、
何度も心を揺らしながら自分の居場所を築いていった人です。
方法は違っても、どちらもダウントンを未来へつなげていった人だったように思います。
3組目はモーズリーとバクスターです。
2人は控えめだけど、見る人が見れば一番泣ける2人ではないですか。
モーズリーは最初マシュを支えていた人ですね。
でもマシュが突然亡くなって職を失います。
一時は道路工事の現場で働いたりもして、さすがにその時は辛そうでしたね。
ダウントンで便利使いさせられたりするのですが、その後は正式に小雇われました。
ちょっと不器用で真面目でおっちょこちょいで、でもとっても誠実な人。
愛される憎まれない人柄です。
教師としての才能も発揮して、使用人から先生になった人でしたね。
そして映画の中では、脚本家としての道も開けた、本当に才能豊かな人だったんだなということが分かりました。
バクスターは彼女はトーマスの推薦で甲羅の次女になった人なんですが、
過去に犯罪歴があり、後ろめたさを抱えていて、いつもトーマスに見張られていました。
優しくて冷静で頭のいい人。
トーマスに利用されていても、それに屈せず内面はとっても強い人なんだと思います。
2人はお互いに支え合っていくうちに好きになっていきます。
それではちょっと2人の印象的なエピソードを見ていきましょう。
モーズリーは若く見せようとして髪の毛を染めたりします。
これはバクスターをすでに好きになっているから、よく見せようとしてたんでしょうね。
そしてバクスターに、自分はいくつに見えるなんてちょっとどうだっていう感じで聞くんですが、
52歳と聞かれて言葉に詰まります。
この時モーズリー51歳でした。
本当に何でもない場面のような気がするんですが、
バクスターはありのままのモーズリーのことを好きになってくれてたんですよね。
バクスターは以前勤めていたお屋敷で宝石を盗んだ罪で刑務所にいたという過去があります。
それを隠してダウントにやってきたんですが、
トーマスはそれをバラすぞという脅しに使ってベイツの秘密を探れとか命令してたんです。
モーズリーはそのバクスターの秘密は何かわからないけれども、密告されるよりマシだろう。
奥様に正直に話した方がいいとアドバイスします。
そこでやっとバクスターは決心。
許しを得られれば今後は堂々と働ける。
もしクビになってしまっても少なくとももう嘘はつかなくてもいいっていうのがモーズリーの言いたいことでしたね。
本当に正直な真っ直ぐな人です。
バクスターはモーズリーには今自分の秘密を話したくない。
それは軽蔑されるからだと言うんですが、
でもモーズリーの方はそれは決してない。
いつも君の味方だから。
モーズリーもバクスターのありのままを好きになっていましたね。
バクスターは本当にとてもうれしかったなと思います。
他にもバクスターはモーズリーが教師になるという夢を
あなたならできると言い続けて背中を押していました。
さらに忘れられないのはベイツのアリバイ調査ですね。
2人で何ゲームものパブを訪ね歩いて
ベイツの目撃情報を根気よく集めていく姿には本当に胸を打たれました。
目的者を見つけたのは2人にしかできなかったことだと思います。
モーズリーとバクスターらしさが感じられる本当に感動したエピソードでした。
この2人は大きな夢を語るタイプではありません。
でもその背中からは静かな誠実さと優しさがいつも滲んでましたよね。
モーズリーは役に立ちたいと思い続けた人で、
バクスターは信じてほしいと願い続けた人。
お互いにとっておきのタイミングで差し出す励ましの言葉。
時に勇気を出して一歩踏み出す姿をもう一歩がちゃんと見てくれているっていう
本当に派手な恋でもドラマチックな関係でもないけれど
こんな2人いいなぁと思わせてくれるそんな穏やかで温かな絆でした。
さて今日はダウントアビーの魅力的な登場人物の第2弾をお届けしました。
いかがでしたか。
第1弾は実はもう1年近く前の配信になります。
概要欄にリンクを貼っていますのでよかったらそちらも聞いてくださいね。
ただ当時はまだポッドキャストを始めたばかりで今よりもずっと棒読みです。
でもそれもまた私の成長の記録として恥ずかしいけれどもちょっと嬉しかったりもします。
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こんなドラマも取り上げてほしいなどのリクエストもお待ちしています。
次回は2008年の映画ブーリン家の姉妹をご紹介します。
ヘンリー8世の結婚とよつり問題に翻弄されたブーリン家の姉妹アント・メアリーの運命を描いた映画です。
主演はナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの豪華キャストです。
お楽しみに。