たぬきの総大将の物語
こんばんは、ひとりごとの時間です。 今日は、たぬきの総大将の話をしようと思います。
年が明けて2日目、前から気になっていた 山口麗人というやしろへ行ってみたんですけど、
山へのあの集落にあって、車を降りると音がすっと少なくなるような場所でした。
人の気配もほとんどなくて、遠くで風が木を揺らす音だけが聞こえていまして、
ここには犬神陽具というたぬきが祀られていまして、 八百屋たぬき物語の中心にいた存在だと伝えられているんです。
スタジオジブリの映画、平成たぬき合戦ポンポコにも、 イオの長老たぬきとしてその名が登場します。
それでですね、あのやしろについて手を合わせていたら、 綿雪がハラハラと降り始めまして、
強い雪ではなくて、空気の中に混じっていたものがゆっくり落ちてくるような白い雪で、 しばらくそのまま立って見ていました。
入口のそばにあの盾札がありまして、 八百屋たぬきの話がまとめて書かれているんですよ。
それによると、犬神陽具は一度この付近の洞窟に封じられたものの、 その後、里の人たちにも許されて、仲良く一緒に暮らすようになって、
最終的にはこの場所に祀られることになったそうです。 閉じ込められたままで終わらずに、人と折り合いをつけて生きていく。
その結末を知って気持ちが少しだけ温かくなりました。 八百屋たぬき物語の終わりなんですけど、
平成たぬき合戦ポンポコが描いていた、 狸と人間の共生というテーマとも、なんとなく重なっている気がします。
境内には、たぬきの石像だとか、たぬきの焼き物だとかがたくさん並んでまして、 お堂の祭銭箱の横には、誰かが備えていったのであろう綺麗な包みの貸し箱も置いてあったりしました。
かつては、八百八匹ものたぬきを率いていた、たぬきの総大将が、 今では地域の人たちから、こうして静かに大切にされている、
その感じがなんだかとても良かったんですよね。 山口麗人は、今もなお大切に守られ続けている、そんな場所なんだなぁと思いました。
おたぬき様の伝説
それではここで一曲。 綿雪のワルツ。
そういえば、少し離れた場所の話になるんですけれど、
以前、東京に住んでいた頃に、上野当勝宮という場所を訪れたことがあります。 徳川家康公を祀るあの神社なんですけど、
その境内の片隅に、おたぬき様が祀られている場所があるそうで、 栄誉大権元という名前がついていて、
盾札には四国八百八たぬきの総帥と記されているんだとか。 ただ正直に言うと、その時の自分はおたぬき様のことを全く意識していませんでして、
そこにそういう存在がいることも知らず、 記憶にもほとんど残ってないんですよね。
おたぬき様のことを知ったのはずーっと後になってからなんです。 伊予の国でかつて八百八匹を率いたとされる、たぬきの総大将。
その名前が遠く離れた江戸の地にも残っているかもしれない。 それが犬神業部そのものなのか、
あるいは系譜を引く存在なのかは、僕にはよくわからないんですけど。 ただ大名や旗元でさえも震え上がらせたと伝えられる強大な力が、
今は他を抜く強運の神様として静かに祀られている。 その変わり方には少し不思議な感じがします。
人に恐れられ、距離を置かれていた存在が、 時間をかけて手を合わせられる存在になっていく。
どこかの山口麗人で見た風景と、 緩やかに繋がっているような気はしました。
今日はあのたぬきの総大将について話しました。 それではまた次回。