石鹸との思い出
こんばんは、ひとりごとの時間です。今日は石鹸のことについて少し話そうと思います。
さて、今日は大晦日ですね。もう大掃除は終わりましたでしょうか?
家の中を片付けたり、棚を拭いたり、いろいろあると思うんですけど、僕は先日スマホの中を少し整頓していました。
写真を消したり、使ってないアプリを消したりしているうちに、電子マネーの画面をいくつか開いてしまって。
電子マネーって、いろんなものがもうあちこちにあるじゃないですか。
QRのものもあれば、交通系なんてのもあって、コンビニ専用みたいなのもある。
気づくと、あの財布よりスマホの中の方がややこしくなってたりするんですよね。
メインで使っているものは一応あるんですけど、その場限りの仕様でチャージしたものがちょろちょろと残るんですよね。
ほとんどは100円以下みたいな金額で。
でも電子マネーって現金と一緒にして払えないことが多いから、 波数だけがそのまま静かに増え続けるんですよ。
この前、あのそういう半端な残高をまとめられるサービスを見かけて、
えーって思って、そんなことできるんだなぁなんて眺めていたら、 なぜかふと小学生の頃を思い出したんですよ。
僕の通っていた小学校には、 業務員のおじさんがいまして、
先生でも保護者の方でもなく、 でもあの完全な他人という感じでもなくて、
教室の外側にいて、校舎のどこかをいつも静かに支えてくれてた人だったなと、 そんな風に覚えているんです。
業務員さんと話をする機会はほとんどなかったんですけど、 僕たちは気づかないところで何かをしてくれている、そういう存在でした。
それである時、クラスで掃除係を決めることになったんですけど、 僕は一人鳥小屋の掃除係になりました。
正直に言うと一番なりたくなかった係で、 というのも僕は昔から鳥が苦手だったんですよね。
それで掃除の時間になって、鳥小屋の前で立ち尽くしていたんですけど、 通りかかった業務員のおじさんが足を止めて、
鳥は苦手かと話しかけてきたんです。 僕がうなずくと、業務員さんは鳥小屋の前の花壇を指差して、
そこに落ちている小石や落ち葉を拾う仕事を僕にくれました。 鳥小屋の掃除は自分がやるからとそれだけ言って、
それから毎日僕は花壇の小石を拾い、 業務員さんが鳥小屋を掃除する。
特別な言葉を交わすわけでもなく、ただそういう時間が続きました。 冬のある日、いつものように行くと鳥小屋に業務員さんの姿はなくって、
入り口には立ち入り禁止の紙が貼ってありました。 多分どうしても来られない用事があって、僕が鳥小屋に入らなくて済むように、
そうしてくれたんじゃないかなと、今でも勝手にそう思っています。 業務員室を覗くと、業務員さんは水道の前にいて、
小さくなった石鹸のかけらを集めては、一つ一つ手でなじませながら、 押し付けるように合体させていました。
声をかけると、「おう。」と短く返事をして、 もう使えなくなった石鹸も、こうやってまとめればまだ使えるんだと教えてくれたんですよ。
僕たちが使う手洗い場の石鹸は、ちゃんと新しいものに変えられていて、 でも業務員室の流し台や手洗い場には、合体した石鹸が赤い網に入れられて吊るしてありました。
誰に見せるわけでもない場所で、ちゃんと最後まで使い切っている感じが妙に印象に残っています。
その日は過段の石拾いはせずに、 業務員さんの隣に座って、僕も石鹸をペタペタくっつけていまして、
固形石鹸の変化
不格好なんだけど妙に手に馴染む石鹸になるんですよね。 やがてあの冬休みになって、休みが明けると僕は音楽室の掃除係に変わっていて、
業務員のおじさんと顔を合わせることもほとんどなくなったんですよね。 少しして後も新しい業務員さんが来られて、
前の業務員さんは別の学校へ行ったのだと聞きました。 今思うと何か大切な時間を少し分けてもらっていたような気がします。
それではここで一曲。12月。
少し厚手の靴音を
響かせて角を曲がればパン屋のいい匂い すれ違う知らない誰かの営釈に
ふと心が軽くなって笑い出す 空気はずっと冷たいけれど
日差しはこんなに柔らかいんだ ポケットの中で指を踊らせて歩くよ
このだやかな街を 優しい12月の
そういえば最近固形石鹸って あんまり見かけなくなりましたよね。
家の中を見回してもだいたい白とか透明のボトルに入ったものばかりで 指で押せば泡がちゃんと出てきて便利で清潔で
それでもふと昔の洗面所にあった固形石鹸のことを思い出すことがあるんですよね。
水を含んで少しだけ柔らかくなった角の丸みとか 持ち上げた時のひんやりとした感じとか
固形石鹸って言葉にしてみると 僕の頭に真っ先に思い浮かぶのはレモン石鹸なんですけど
学校の水道とかちょっと古い病院の洗面所とか 黄色いレモンの形をした石鹸がみかんの袋みたいな赤い網に入れられて蛇口にぶら下がっていて
網越しに手をこすると冷たさと一緒に泡が立ち上って あれは家の匂いじゃなくて外の世界の匂いだったような気がします
少し緊張する場所の匂いというか 公共の匂いというか
もう一つ思い出すのは牛乳石鹸です 四角い箱で赤箱と青箱
僕の印象は牛乳石鹸といえばもっぱら青箱です だけど先日何気なく見かけたアンケートで
日本全国では赤箱派が圧倒的に多いって知って 少し意外に思ったんですよね
それでエリア別ってところの自分の住んでいる地域を見てみたんですけど 青箱派の方が多数だったんですよ
調べてみたら赤箱の方が先に生まれて さっぱりした洗い上がりを好む人のために青箱が後から作られたんだそうです
子供の頃から当たり前に使ってきた青い箱は 僕の暮らしの中での当たり前だったんだなぁと思いました
住む場所が違えば当たり前の色も違う そのことがなんだか少し面白いなと思いました
最近だとあのショッピングモールの中に 石鹸だけを並べたお店よく見かけたりします
外国のものだったり香りの強いものだったり 形も色もいろいろで見ているだけで少し遠くへ行った気分になれます
きっともうただ手を洗うための道具ではないんだなと思いました かつては暮らしのすぐそばにあって特別なものでも何でもなかった固形石鹸
今は日常から少し離れて 贈り物や自分への小さなご褒美として別の場所に腰を下ろしている
そんな風に思えるんですよね 洗面所の片隅にあったあの静かな存在をたまに無償に恋しくなることがあります
今日は石鹸のことについて話しました それでは良いお年を
また次回