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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書録や日々の学びを音声配信しています。
今日は、山内マリコさんの【あのこは貴族】という小説について話してみようと思います。
東京生まれの箱入り娘、花子は、結婚をあせってお見合いを重ね、ついにハンサムな弁護士、青木光一郎と出会う。
一方、地方生まれの上京組、三木は、猛勉強の末に慶応大学に入るも近欠で中退。現在はIT企業に勤めながら、草田園の光一郎との関係に悩み中。
境遇の全く違う二人が、やがて同じ男をきっかけに巡り合い。上流階級を舞台に荒沢女子たちの葛藤と開放を描く傑作長編ということで。
山内真理子さんの本はですね、私はパリ行ったことないのを読んだことがありまして、すごくね、爽やかで心温まるシスターフッドの物語だったなという印象があります。
なので、あの子は貴族のあらすじを読んでて。
箱入り、東京生まれ箱入り娘vs地方生まれ上京組の戦いなのかなみたいな、そういう構図の女のドロドロ、一人の男を巡る戦い、マウンティング、そんなことが書かれてるんだとしたら、ちょっと最後まで読めないかもしれないという不安がありましたが。
さすが山内真理子さんでしたね。そんな不安は急に終わったというか、そういった点ではいい意味で、すごく裏切られた小説でしたね。
本当に今回もまた爽やかな終わり方で、ハッピー、ハッピーエンドかな。私はハッピーエンドだと思いましたが、シスターフッドの物語ですごくね、安心しました。
とはいえ途中まではね、結構本当、途中でやめちゃおうかなっていうぐらいでしたね。
第1章、第2章、第3章で終わりとありまして、第1章は東京、とりわけその中心のとある階層ということで、
東京生まれ東京育ち、渋谷の小島で生まれ育った上流階級の3人姉妹の末っ子、花子を中心に話されますね。
花子がいかにその箱入り娘で、本当にお嬢さん。
ポワーンとしてて、穏やかでおっとりしてて、世間のことをよく知らない、狂騒みたいなものに
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まみれた経験を一度もしていない花子と、その家族のお話が最初語られていて、
花子の家はですね、お正月から帝国ホテルで家族一度を介して、お世知、介籍を味わっていただいて、その帝国ホテル
内にある写真館で家族写真を撮るという、そんなあの、
なんというか素敵な、素敵な、素敵なのかな、素敵なご家族で大事に大事に育てられた花子のお話があるんですね。
で、とはいえ花子はですね、女子大を出てたのかな。
その同期はほとんどが結婚をしていて、自分はアラサーなのに、まだ結婚もしてない、付き合ってた人をこのお正月の家族の
会合に紹介しようと思ってたら、その直前で振られてしまうっていうね。 そんな中、すごく焦っててですね、
両親の紹介だったり、友人の紹介で、いろんな人と出会い始めて、結婚に焦り出すという話の中、
青木幸一郎に出会うというね。 青木幸一郎っていうのは、花子は渋谷の小棟の上流階級のでなんですけど、
青木幸一郎はそれをさらに上回る、元家族の一族の
後取りというかですね。 なので、
神谷町に屋敷が、その屋敷内に一族の各ベッドがね、建てられているというね。
で、幸一郎は弁護士ですね。 スマートなんですよ。見た目もシュッとしてるし。
で、花子は幸一郎のスマートなエスコートで、 あれよあれよという間にプロポーズも受けてしまって。
で、
でも私このままこの人と結婚していいのかしら、みたいな不安が、
少しずつ花子の中で広がっていくというようなお話で、 その不安って何かというと、幸一郎も本当にお坊ちゃまで、
慶応大附属の幼稚者からずっとエスカレーター式に慶応大を卒業して、で、弁護士資格を取ったような人なので、
なんというかあの、 そういうお金持ちの友達の中で育ったような人なので、
さらに世間を知らないんですよね。で、それが自分たちの普通だと思っている。 で、お金持ち
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であるがゆえの、なんか独特の白情さみたいな、軽白さみたいなものも、 花子にはどんどんこう見えるようになってきてしまって、
で、さらに青木幸一郎の青木家っていうのは、 祖母が課長としてまだ存在感を示していて、
孫の幸一郎の嫁になるような人、 黙ってあの行進状を使って調べ上げるというような、まあそういうことが
常識であるとされている一族、さすがに上流階級の花子もですね、 びっくりしてしまって、このまま私この一族に馴染めるのかしら。
長男の嫁としてやっていけるのかしら、みたいな。 で、仕事だったり付き合いでね、家庭を変えりみるような幸一郎ではないので、
結婚してすぐもう花子は一人きりになってしまうんですね。 そんな孤独の中、
私これで良かったんだっけ?みたいに思う花子。 一方第2章で語られるのは外部、ある地方都市と女子の運命ということで、
ここで地方育ち状況組の美希の話が始まるんですね。 美希は実は幸一郎の慶応大の同級生なんですよ。
ただ美希は途中でその実家が慶応大の学費だとか、 美希のその下宿題だとか生活費を払えなくなったので、
途中から自分でこう夜のバイトをして席立てようとする美希なんですが、 やっぱりそこはうまくいかず、どんどんその夜のお仕事の割合の方が大きくなってしまって、
大学へ通わなくなってしまうと。 そんな美希なんですね。 ただこの美希は田舎で
割と寂れた漁業を中心とした町で、
神道のように扱われて、小さい時から頭が良かった。 一生懸命勉強して慶応大に入った。
内部生という幸一郎たちですよね。 エスカレーター敷で幼稚舎から上がってくるような人たちが眩しくて眩しくて、
そんな人たちと田舎から出てきた外部生の我々みたいな、 そんなギャップにも
カルチャーショックを受けながら
大学に通ってたんですけど、途中で諦めてしまうという挫折をね。 そんな挫折を味わう美希なんですけど、大学をもう辞めて、
夜のクラブで働いていた時に、 かつての大学の同級生であった幸一郎と再会をして、
私はお客さんに心理学のノートを貸したことあるかもと言ったのがきっかけで、 二人の関係が始まっていくんですね。
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とはいえちゃんと付き合うというよりか、お互いがお互いを利用し合うというか、 寂しさを埋め合う、時間を埋め合うような関係性だったと。
幸一郎はですね、そんな美希との関係を切らずに花子にプロポーズをしていたと。 そのことが分かってからの第三章、開講というタイトルで、女同士の義理結婚連鎖というものが始まっていって、
この幸一郎を巡る美希と花子の関係性。
どうしても埋められない孤独を抱える花子。 不安でいっぱいなんだけど幸一郎と腹を割って話せない。
美希のことについても問い出すこともできない。 一方美希は腐れ縁でね、絶対自分はこの人と結婚するなんてことはないだろう幸一郎との関係を切れずにいるという。
途中でその夜のクラブを辞めて、お客さんが経営していたIT企業に美希は勤めてその仕事をしてたりするんですけれども、
そういった中でこの先自分がどうやって生きていくのかみたいなを考えているところの美希で、この2人が開講するというところからがこの小説めちゃくちゃ面白くてですね。
山内真理子さんらしさがすごく出てて、なんか素敵な物語だなぁと最後の3章はそんな風に思いながら読みました。
でね、この物語は私的にはハッピーエンドで終わっているなぁと思っていて、
あの、よくあるケースかもしれないなぁと思うんですよ。その、地方状況組ってどうしても東京生まれなどか、あの、一般の人からすると常理階級の人たちに対する嫉妬、妬み、ソネミーみたいなルサンチマを抱えながら何とかこうやりくりしている。
よくあるケースだと思うんですよね。 そんなことから生まれるのって結構ドロドロの物語が多いんじゃないかなと思っていて、
あとはその、なんていうか、 優柔不断な男性に対して女性がこうトトーを組んで社会的制裁を加えるみたいなお話も最近はよく漫画とかドラマでよく目にするようになったなぁと思うんですけど、
私はそういうドロドロだとか、あの社会的制裁を加えてスカッとする物語みたいなものがすごく苦手で、これがそうだったらどうしようと思いながら読んだんですけど、まあそうじゃない物語で良かったな。
なので、この読んでいくうちにですね、どうしても自分と比べてしまう、比べながら読んでしまうっていうのがあって、
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まず花子の書かれた第一章に関しては、もう全部何言ってんだこの人みたいな。 花子自身にも全く共感できないし、家族も家族でね、結構気持ち悪いこと言ってんなぁみたいに思う。
花子が小さい時に祖父がね、花子に対して、おじいちゃんが花子のお嫁さん、あのお婿さんを見つけてあげるからねとかって言って、ありがとうおじいちゃまみたいに言う、そういった光景がほほえましい光景として家族の中で受け入れられてるっていうね。
私からすると割と気持ち悪いなって思いますよね。
あとは、じゃあかといってその地方上京組の幹にめちゃくちゃ共感するかというとそうではなくて、この人も地方出身っていうところでは自分と同じではあるけれども、
あの神道と言われてね、で頑張って慶応入れたその実力もすごいし、途中で禁欠になったとはいえ、それを認めてくれる家族というか、応援してくれる家族があって、
ただその父親からは、女が勉強して大学なんか行ってどうすんだみたいな、お前の学費を出すために俺たちが我慢しないといけないのかみたいなことを言われるっていう。
それもそれで私としてはすごくカルチャーショックだったし、そんな中その自分の学費のために夜のクラブでバイトをするみき、
で、コミュニケーション能力もすごく長けてたし、見た目の美しさもあってのし上がっていく。
で、うまくそのIT企業に転職をするっていう、それもなんか私からするとかなり縁通りというか、あんまりなんかわかるわかるというよりかは、うわぁすごいなこの人っていう感じだったんですよね。
だから読んでいて思ったのは、どこで生まれたかとか、元々生まれながらにして何を持っているかとか、その後生きていく中でのどんなラッキーがその人の人生を救ったかみたいなことって比べ始めたらもうキリがないんですよね。
で、比べ始めたらキリがないし、どうにかなるものではないなと思ったりするんですけど、その一方で強烈にこう、なんていうか、バルサンチマンを感じるわけですよね。
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で、私もこっちに上級してきたときは、本当にその少ないお給料の中で、家賃を払って、食費を払って、高熱費払って、手元に残るのってほとんどない。
で、疲れて帰ってきても誰もご飯を作ってくれないし、洗濯してくれるわけでもないし、なんか疲れてお風呂で寝ちゃってても起こしてくれる人はいないみたいな状況の中で、同期は東京に家があってそこから通ってるみたいな。
で、そういうふうに思いながら頑張った日々があったなぁと思って、バルサンチマン感じながらも、それをバネにしてやってきた自分もいるので、完全に自分の人生を否定するものでもないなと思う。
そういうね複雑な、自分の見ないようにしてきたこれまでの悔しい思いとか、見たくない感情、ドロドロした感情の部分っていうものに向き合わざるを得なかった小説だったなぁと思って。
そういった、なんか苦しさというか、昔の自分と出会い直すみたいな、そんな経験をしながら読んだ本だったなぁと思います。
で、今その40歳になってそれを乗り越えられているかというと、完全にそうとは言い切れなくて、やっぱりあのどうしてもこの人にはかなわない。
かなうはずなんだけど、なぜかこの人の方が優遇されているっていう、目の上の炭鉱物的な存在はあって、この人になんとか勝ちたいという思いが自分を突き動かしているなと感じることはやっぱり認めたくないけどあるんですよね。
すごく嫌だなぁと思うんですけど、やっぱりある。そんなことまでやっぱりね、目を向けざるを得ないような構成の小説だったなぁと思います。
私はその20歳ぐらいで上京してきた時に、すごく自分がなんか不利な立場っていうんですかね、持たないし、もともと何もないところからこう、自分で全部やっていかないといけないみたいな状況の中で、
ブリジット・ジョーンズの日記みたいなものを支えにして頑張ってきたタイプなので、なんかね、ほんとよくやったよね、私みたいにも思いましたね。
これ読む人にとっていろんな、その立場とか経験から見方が変わる小説だったなぁと思って、ほんとね、自分はどうだったか、で今どうかっていうのが語りたくなる本なんじゃないかなと思います。
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で、いろいろ思ったような小説じゃなくて、いい意味で裏切られたなぁと思う小説で、すごくね、驚きがあって、読んでいて楽しかったんですけれども、もう一個ね、私はいい意味で騙されたなぁと思うのが、
このあの子は貴族、私は文庫版で読んだんですけれども、本の想定はですね、大きな麦わら帽子をかぶった女性で、どことなくヒンがあって、麦わら帽子には黒いシルクのリボンが結びつけられていて、
で、その女性は胸元がざっくり開いた、すごく上品そうな黒いワンピースのような服を着ている。どう見てもあの子は貴族、このイラストの女性が貴族なんだろうなと。この物語で言うとそれは、最初に出てくる花子なんだろうなと、最初は思ってたんですけど、そうじゃなかったんですね。
あの子は貴族のあの子っていうのは、おそらく郷一郎を指していて、郷一郎こそがこの小説の中で出てくる貴族なんですよ。
で、花子も郷一郎と出会うまでは、自分がそういう恵まれた環境にあるということを、そこまで意識することなく生きてきたんですけど、郷一郎と出会っていろんなことを経験して比較したりする中で、
もっと広い世界の中での自分の立ち位置というか、自分を相対化するっていうことが初めてできたんですよね。
そこで自分の生き方を自分の意思で変えていくっていう行動を取った。そういう意味でいくと、あの子は貴族、あの子は郷一郎であって、その郷一郎はいい印象を読者に与えるような形では描かれてないんですけれども、
それによって周りの人の、女性の人生が変わっていく、そのきっかけになるような人だったというふうには書かれているので、そういった優しさ、
構成の仕方みたいなところは、山内真理子さんならではなのかなというふうにも思いました。
すごくね、本当に、なんというか、力を受け取る、
世の中悪いことばっかりじゃないかもしれないって思うようなシスター・フッドの小説だったので、
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皆さんに読んでもらって、自分はどういう視点で、どういう角度からこういうふうに思ったみたいな話が聞けたら楽しいんじゃないかなと思うような小説でした。
ということで今日はね、長く話してしまいましたね。やっぱり自分の触れたくないような過去だったり、内面に触れるような小説っていうのは、どうしても
語る言葉が増えてしまうなぁと思ったりします。ということで今日は、山内真理子さんのあの子は貴族という本について話してみました。
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あ、最後になりますけど、実はこの小説、あの子は貴族はですね、スタイフの友達に紹介いただいた本だったんですよね。
やっと読めまして、本当にあの素敵な本を紹介いただいてありがとうございます。最後になりましたが、お礼をお伝えできればなと思います。
ということで、今日も聞いていただいてありがとうございました。ではでは。