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2023-12-21 18:24

読書ラジオ『赤と青とエスキース』青山美智子

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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、青山美智子さんの『赤と青とエスキース』という本について話してみようと思います。
メルボルンの若手画家が描いた一枚のエスキース。日本へ渡って三十数年、その絵画は二人の間に奇跡を紡いでいく。
二度読み必死、仕掛けに満ちた傑作連作短編。2021年の本屋大賞第2位。
青山美智子さんは、お探し物は図書室までで有名だと思いますが、そんな青山さんの勝負作ということで。
一枚のエスキースをめぐる五つの愛の物語。彼らの思いがつながる時、驚くべき真実が現れる。
この本を読み終わった時、最初に思い浮かんだ人をどうか大切にしてください。ということで。
いや浮かびましたね私も。というかね最後の方かな。これはブロローグがあって、1章2章3章4章エピローグなんですけど、4章あたりからずっとある人のことが頭にあって、その人のことを思いながら読んだ本でしたね。
エスキースっていうのはですね、下書きのようなもの。スケッチではなく下絵でもなく下書きのようなものですね。
本番と同じようなキャンバスに向かってどういう絵を描くか試行錯誤してみるというような、本番を想定した下絵下書き。
そんなことなのかな。だから完成ではないんですよね。エスキースっていうのはね。
ただこの小説に出てくるエスキースっていうのは、エスキースの状態で最高なので、それ以上手を加えることをやめた絵なんですよね。
なんか、それもなんか素敵ですよね。勢いで描いたエスキース。未完成なんだけど、もうこれ以上手を加える余地がない。この状態で完璧なんだっていう絵なんですよね。
それはどこかですね、この小説に出てくるある二人の何か関係性を示しているようでいて、本当にね、なんか意味ありげな表現だなと思います。
03:05
赤と青とエスキースなんですけど、このエスキースは赤い絵の具と青い絵の具で描かれているんですね。
だから本当は赤と青のエスキースだと思うんですけれども、赤と青とエスキースなので、ここもとっても意味ありげだと思います。
読み進めていくうちに、あ、確かにこれは赤と青とエスキースだなぁなんて、分かっていくと思います。
そんなところも、この本の楽しみの一つですね。
とにかくですね、先日ライブをした時にある方がおっしゃってましたが、連作短編の女王青山美智子さんなので、本当に巧妙な仕掛けがあって、どんどん短編同士がつながっていくんですよね。
で、でもそれに気づかないんですよ、途中までね。
で、ある時を境にそれが全部つながっていくみたいな、まるで壮大なドミノ男子を見ているかのような、すごい読書体験でしたね。
さっき、このエスキースはエスキースだけど完璧なんだ、完成なんだ。
もうこの状態で何一つ手を加えるものではない、みたいに言いましたけど、この小説こそ本当に完璧だと思いますね。
こんなにシンプルにわかりやすくて、わかりやすいお話で言葉で書かれたのに、こんなに奥深くてミステリアスで、すごい奇跡を生む小説が書けるっていうことがすごいなと思うんですよね。
一つ一つはすごくシンプルなパーツなんですよ。
なんだけど、それが青山みちこさんの手によって、こうやって構成された時に、すさまじい物語になるっていうのが本当にすごくて、ただただ感動。
青山みちこさんに感覚しました。
こんなに絶賛したことは私はないかもしれない。
本当にね、中学生とか高校生の教科書に載せてほしいと思いますね。
この一冊読むことで、文学っていうものがこんなに素敵なんだっていう素晴らしい体験ができるんじゃないかなと思います。
聞いている方にとっては、どんなお話ですかっていうところだと思うんですけど、説明すると、まずプロローグから始まって、プロローグにはこんな風に書いてあります。
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壁にかかった一枚の絵の前に私は立つ。その絵は多くを語り出す。
私だけにわかる言葉で、私は愛しいその姿と向き合い微笑みかける。
ああ、いい絵だ。
この壁にかかった一枚の絵っていうのはおそらく、この赤と青とエスキース。
エスキースなんだろうなと思うんですよね。
ただ、このプロローグを語っているのが誰の言葉なのかっていうのはわからない。
これはね、やっぱりすごく謎めいた始まり方だなと思います。
そして第一章、金魚とカワセミ。
これは恋人への愛がテーマになって書かれた章になります。
で、出てくるのは、メルボルンに留学しているレイと、現地でレイと出会うブー。
レイが女性でブーが男性なんですけれども、その二人のお話になります。
どちらも日本人で、レイとブーっていうのは相性ですね。
で、二人は付き合うことになるんですけれども、その恋人のブーから絵のモデルをやってくれないかと頼まれて、レイはある画家の絵のモデルをします。
それがエスキースになるんですけれども、そのエスキースが描かれていくその瞬間、あることが起きるんですね。
そこからこの物語が始まっていて、エスキースが生まれた瞬間、まさにそれが第一章に描かれているんですよね。
で、レイをモデルにこのエスキースを描いた画家は、ジャック・ジャクソンという名前の画家で、無名ですごく貧乏で、それでも絵が描くのが好きだということで描いている画家です。
ジャック・ジャクソンっていうのは、水彩画を描く人なんですよね。
なんですけれども、このエスキースを描く時に使ったのが、その時ジャックが手にしたのがペインティングナイフですね。
ペインティングナイフっていうのは油絵の時に使う道具みたいなんですよね。
ただ、ジャック・ジャクソンはなぜかこのペインティングナイフを取り出して、赤と青の絵の具を使ってレイのエスキースを描いていく。
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そして生まれた絵がどんなものなのかっていうのが、この一章ですね。
レイとブーのそれぞれの恋人への愛が描かれていて、タイトルになっている金魚とカワセミ。金魚はレイのことでカワセミはブーのことになります。
これがどういう意味を持つのかっていうのは、この本を読むとわかるんですよね。
そして続いて第2章は推しへの愛ということで、東京タワーとアーツセンターっていうタイトルで出てくるんですけれども、
ここで赤と青で描かれたエスキースは最高の額縁と巡り合います。
額縁を作る職人がジャック・ジャクソンのファンで、このエスキースの額を作ってほしいという依頼を受けて最高の額縁を作る。
それはまさに額と絵の最高のマリアージュであり、それ自体は縁なんだというようなことが書いてあってですね、それも素敵だなぁと思いましたね。
額縁職人という人がいるんだなぁということと、どんな風に絵と向き合いながら額縁を作っていくのかみたいなことが書いてあってですね、
その絵の素晴らしさだったり、それをさらにぴったりの額を作るっていう人の気持ちが入ると、こんな素晴らしい出会い、縁になるんだっていうのがわかります。
続いて、弟子絵の愛ということで、トマトジュースとバタフライピーっていうタイトルなんですけれども、ここで出てくるのは漫画家ですね。
漫画家はこのエスキースが飾られている喫茶店で、ある取材を受けるんですけれども、師匠と弟子ですよね。
そこで師匠から弟子への愛っていうものが語られるんですけれど、そこで描かれているのは、作品を生み出す人の気持ちみたいなのがすごく表現されているんですよ。
エスキースを描いたジャック・ジャクソンは、作品を作る時の気持ちっていうのを、この1章から3章までの間に、どういう気持ちでこのエスキースを描いたっていうのは一切出てこないんですけど、
そうじゃなくて、全然違う漫画家が作品への思いっていうのを語った時に、もしかしたら物を生み出すっていうことは、こういう心境なのかもしれないっていうふうに思いました。
ジャック・ジャクソンも同じような気持ちでこのエスキースを描いたのかもしれない。
ジャック・ジャクソンの代わりにここで出てくる漫画家が作品への思いっていうのを語ったのかなと、そんなふうに思います。
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そしてエスキースは、レイとブーの1章から生まれて、最高の巡り合いをして、最高の楽部地に収められ、そして素晴らしい瞬間に立ち会う。
そして第4章、赤鬼と青鬼ということで、これは元カレーの愛になります。
ここでなぜかエスキースが出てこなくなってしまうんですよね。
ちょろっと出てきたりするんですけれども、ここで語られているその元カレーの愛にはエスキースは絡んでこないわけです。
どうなったのかなーなんて思っているうちに、最後の方でそういうことだったんだという場面があって、最後エピローグですね。
で、これはハテナハテナハテナへの愛って書いてあって、これは誰が何に対する愛を語っているのかっていうところは読んでみてのお楽しみになるかなと思います。
とにかく2人のお互いを思いやり、自分のやりたいことをやる人生と、2人で生きていく人生、それをどうどちらも大切にしていくのか、
時には割合をつけながら一緒に歳を重ねていくのか、そういうライフですよね、が描かれている。
ライフとその愛ですよね、が描かれている本だと思いますし、それこそがエスキースが生まれて、最古の学部地と巡り合い、
いろんな場面に立ち会っていくっていうエスキースのライフサイクルでもあるんだなというふうに思って、
なんか本当に壮大な物語で、でもこんなに爽快感があって読みやすい青山みちこさんっていうのは、めっちゃ優しいけどめっちゃ頭いい人なんだろうなと思いました。
いろいろ考えて行き着いた表現がそれっていうのがガクッてなっちゃいますけど。
私がね、もう一つすごいなぁと思ったのは、金魚とカワセミからずっと赤と青という色がどの章にも出てくるんですよね。
それはこのエスキースがずっと出てくるからなんですけれども、第4章でエスキースは出てこない、でタイトルになっているのは赤鬼と青鬼なんです。
でももう一つ出てくるのがですね、白い猫っていうのが出てくるんですよね。
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で、白い猫っていうのが何を表現しているのかなとちょっと深読みをしすぎなのかもしれないんですけれども、考えてみると、
この赤鬼と青鬼に出てくる女性が年齢的には50歳を超えたぐらいの年齢なのかなと思うんですよね。
その女性は平家に向かっていくわけです。
平家に向かっていく中、パニック障害を起こして、高年期障害なのかもしれないですよね。
そうやって自分の中の女性としての機能が失われていく、平家していくということを、色を失うっていう表現をするんですよ。
ずっと赤と青の色がテーマのお話なのになぜここの4章では色を失うことがテーマになる。
で、そこで出会うのが白い猫なんですよね。
ただタイトルは赤鬼と青鬼なんですよ。
なので、それはどういうことを意味しているのかと思うと、
人は色を失ったとしても再び取り戻すことができるみたいな、誰か大切な人を失ったり、自分の大切なものが年齢とともになくなっていったとしても、
また新しい出会いだったり、新しい何かが必ず見つかって、色取りのある人生っていうのを取り戻すことができる。
そんな青山さんの優しいメッセージなのかなというふうに、ちょっと私は勘ぐってしまいました。
とにかくね、本当に爽快な気分になれるし、壮大な人生と愛について学べるというかね、体感できるような本だと思います。
最後の元カレーの愛、赤鬼と青鬼のあたりで、きっと読んでいる人には一人思い浮かぶ顔があると思うんですよね。
そしてその思い浮かんだ人をどうか大切にしてくださいというのが、この本の帯に書かれたメッセージになります。
きっとこの壮大な物語の果てにたどり着いた答え、結末みたいなことに誰もが感動するんではないかなと思います。
本当にみんなに読んでほしい本だなと思いました。
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ということで、今日は赤と青とエスキース、青山道子さんの本について話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。
ではでは。
18:24

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