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2024-08-30 16:50

【読書ラジオ】『BAR追分』伊吹有喜

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BAR追分 (ハルキ文庫 い 20-1) https://amzn.asia/d/eLDbR3J
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サマリー

このエピソードでは、伊吹有喜の小説『バール追分』について話されています。この作品は新宿三丁目の隠れ家的なバーを舞台に、人々の人生の分岐点や心の癒しを描いた連作短編です。『バール追分』では、ボンちゃんとキリカの関係を通じて、何かを捨てることで新たな道が開けることや、人それぞれの価値観について深く考察されています。物語は感情を揺さぶり、ドラマチックな展開を見せる連作短編として紹介されています。

バール追分の紹介
こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、バール追分、伊吹有喜さんの本について話してみようと思います。
新宿三丁目の交差点近く、かつて新宿追分と呼ばれた町の猫道横丁の奥に、その店はある。
そこには道が左右に分かれる。まさに追分だ。
バール追分。昼はバール追分でコーヒーやカレーなどの定食を。
夜はバー追分で本格的なカクテルやハンバーグサンドなど魅力的なおつまみを提供する。
人生の分岐点で人々が立ち止まる場所。昼は笑顔が可愛らしい女店主が。
夜は白髪のバーテンダーがもてなす新店。2つの名前と顔でいよいよオープンということで。
この本はですね、私が夏に新宿三丁目でとある講習を受けてきた帰りに立ち寄った棚菓子の本屋さんで、
自分のお気に入りの棚主さんの棚があるんですけれど、そこにパーンと真ん中に置いてあった本なんですね。
思わず手に取ってしまったということで。
思わず手に取ってしまった理由は、まず想定がすごく素敵なんですよね。
暗がりの中、真ん中に木のドアがあって、上からライトが一つだけドア全体を照らしている。
そのドアを開けている男性がいて、その奥には男性越しに店内が見えていて、
中もなんだか暖かそうな暖色系の明かりに照らされた店内。
カウンターらしき壁に向かってお客さんが何人も座っている様子が見える。
なんか入った瞬間にホッとするようなお店なんだろうなというのが想像できる。
そんなイラストですね。
その周りは暗がりなので影が落とされているんですけれども、
そのドアの横、外側には大きな樽、ワインダルなのかな?が置いてあって、
その樽の上には黒猫が一匹、すんとすまして座っているという、そんな想定なんですよ。
このイラストがすごく素敵でですね、もうこれ読むんきゃないと思って手に取ったんですね。
バール追い訳ということで、その追い訳、新宿三丁目が舞台でもあるということで、
今日私昼間ここいたじゃんって思ってですね、これはもう買うしかないと思って思わず買った本でしたね。
そんなちょっと小さな奇跡のような出会い方をした本でした。
これを書かれている江吹雪さんはですね、私はこの方ちょっとあまりよく知らなかったんですけれども、
ドラマや映画家にもなっている四十九日のレシピを書かれた方なんですね。
四十九日のレシピはそのドラマとか映画でちょっと気になってた部分もあって、
あ、あれを書いた人なんだなぁというのでちょっとつながりましたね。
このバール追い訳はですね、その隠れ家的なバーが舞台になっていて、
私はねそういう隠れ家カフェとか隠れ家バーのお話結構好きなんですよ。
マカンマランとかもそうですし、結構ねそういう小説をちょいちょい読んでるなぁと思っていて、
そういう小説って本当にこうしんみりする、ほっこりする、心が癒される。
季節の変わり目とかでね、体とか心がちょっと疲れててバランスが崩れてるなぁって時に、
こう読むとサプリのように聞いてくるみたいな感じがあって、
もう吸い寄せられる類の本だなぁと思うんですよね。
これもきっとそうだろうなぁと思って、私が好きな感じの小説なんだろうなぁと思って手に取ったんです。
読み進めていくと本当にその通りで、新宿三丁目の交差点付近、
古くは新宿追い訳と呼ばれた細い道に入って曲がった先の猫道横丁という路地の奥にあるお店ということで、
ブロローグが始まっていくんですよね。
物語の展開
追い訳っていうのは、そもそもこの地名の由来になっている、
道が右と左に分かれる場所のことを追い訳と言うんですよね。
それはまさに人生の分岐点のようでもある。
どちらに行こうと追われるのではなく、自分の意思で選びたいみたいなことが、
小説の中にブロローグでバル追い訳を訪れる人の言葉として書いてあってですね。
なんかそういう人生の分岐点に立っている時に、ふと立ち寄ってしまう。
そんなお店なのかなっていう雰囲気。
そんなブロローグが書かれていて、いやーこれはもう絶対好きに違いないと思って。
連作短編のようにね、あの登場人物が入れ替わりながら、いろんな人の視点で描かれていく小説です。
それはこの輪を運営する女性の視点だったり、
なぜかこの猫道横丁の管理人になってしまったシナリオライターの青年の視点だったり、
もうすぐ結婚する娘とその娘を男で一つで育て上げた父親の視点だったり、
このバーに通う常連の視点だったり。
やっぱり人それぞれ訪れる人の人生模様、それぞれの分岐点があって、
このバーでのふとした出来事だったり、お料理だったりお酒だったりに直面していることに思いを巡らしながら、
お酒お料理を楽しんで、ふと何かに気づきを得て、また自分の人生に戻っていく。
まるで自分もそういう場面に出くわしたら、こういうバーに出会いたいなと思うような、
自分が分岐点でどっちに行こうかな、右かな左かなって思っている時に、
ちょっと立ち止まって考えたいなっていう時に、さっと椅子を提供してくれて、
お料理とお酒を提供してくれて、食べながら飲みながら考えてみたらって言ってくれるような、
そんなバーのような存在なんだろうなと思うんですよね。
だから常連の人はずっとここに通って、お料理を堪能しているんだろうし、
初めてここに訪れる人たちはまさにその天気を、このバーで体と心を休めたおかげで一歩踏み出していくという、
きっかけになるようなお店だったりして。
本当に読んでてね、気持ちがいいんですね。
今、人生っていろいろあるじゃないですか、きっと誰もが。
だけど、こういうお店があって、ここに来る常連さんとのトークがあって、
マスターとのトークがあって、
で、なんかじゃあこうやってみようかなって、ちょっとだけ思えたとしたら、
なんかそれだけで、なんか重い気持ちが晴れるような気がするんですよね。
それは当事者じゃなくても、それを見てるだけで、聞いてるだけで、
なんかほっこりするというか、自分もなんか救われたような気になる。
隠れ家カフェとか隠れ家バーのお話って、そういういいところがあるんだろうなぁと思うんですよね。
で、ほっこりするなぁ、いいなぁと思いながら、
でもこれ私がよく知ってる、慣れてる類の小説だと思って見てたんですけどね。
最後の方にですね、ボンボンショコラの歌っていう第4話ですね。
もうドキッとするような一文があって、この後の展開で私はガツンとやられましたね。
電車で読んでたんですけど思わず泣きそうになりました。
ボンボンショコラの歌に出てくるボンちゃんっていう常連の男性ですね。
アフロヘアのモジャモジャの頭のフィギュア作家の男性なんですよ。
で、そのボンちゃんがここに通うホステスのママがいるんですね。
ボンちゃんの教え
に言った一言に私はガツンと来ました。
この人は、ボンちゃんは結婚してたんですけど、離婚してるんですよね。
その時の経緯を説明した中で、すごく傷ついたんですよ。離婚する時にね。
で、傷つけられたんだけど、傷ついたけどそのおかげで道が開けたっていうんですよね。
それはどういうことかというと、もう二度と自分を殺さない。
性格や趣味を強制しろなんて誰にも言わせない。その代わり一生一人でいいって覚悟した。
そしたら不思議だ。道が開けて今に至る。何かを捨てると何かを得るんだねって言ったんですよ。
何かを得たら何かを失う。でも失ったことでまた何かが得られるかも。
夜が来たら光を失うけど、光を失うから新しい朝が来るっていう風にね、ボンちゃんが言うんですよね。
で、それがなんか、すごく私に刺さってですね。
あの、多分私もそう思ってるからだと思うんですよね。
なんか全て欲しいとは思わないけど、自分が欲しいものは欲しいって言おうとか、欲しいって思おう。
でもその代わり、トレードオフで何かを失っても、それは受け入れよう。
逆に失ってからじゃないと、何かを得ることなんてできないんじゃないかと思ってると思うんですよね、私自身がね。
それをね、いきなりこのアフロヘアのフィギュア作家のボンちゃんに言われてすごくドキッとしたんですよね。
だから油断してたんですよ。
もう私が好きな感じの小説ね、ふんふんぐらいで読んでたら、いきなりガツンとやられてね。
いやー、まさかこのボンちゃんに鋭い一言言われるとは思わなかったなーと思って、なんだかすごくね、胸が熱くなったというかグッときましたね。
人の価値観だと思うんですよね。
何が大事で、どうやって大事にしていくかって、本当人それぞれで、誰かがそれに対してジャッジすることなんて絶対できないと思うんですよね。
でも全部大事ってしてると、結局欲しいものは手に入らないんだなって、なんか私思ったんですよね、昔ね。
それで、捨てたものっていうのがね、捨てたものっていうか失ったものっていうのがあって、大事なものの優先度をその時決めたなと、そういう経験があるのでグサッとくるんでしょうね。
このボンちゃんのセリフっていうのはですね、ホステスのすっごく綺麗なモデルさんのようなキリカさんっていう人との会話のお話なんですけど、その後ある出来事があって、キリカがですね、入院するんですね。
物語の展開
で、そこにあのボンちゃんが来るんですよ。
でもそのシーンがもう本当に泣きそうになっちゃって、私こういうのに弱いんだなぁと思いましたね。電車じゃなかったら絶対泣いてたと思いますね。
ボンちゃんに、ボンちゃんがこのキリカに何を言ったのか、そしてそのキリカが入院したのは何が起きていたのか、キリカの過去は過去に何があったのかっていうのはね、この後一気にこう明かされていくんですよ。
それはね、ぜひ読んでほしい。だからこの小説は前半と後半で一気に物語の曲調がガラッと変わるっていうかね、一気にドラマチックになっていく連作短編で、最初はさっきも言った通りほっこり、しみじみ、癒されるなぁっていうサプリみたいな感じなんですけど。
最後はなんか、本当なんていうの、ガツンとニンニク注射打たれたかな。ニンニク注射ってなんだよって感じですけど。そんな感じの小説でしたね。
いやーこれは本当にいい出会いだったなぁと思いますね。ぜひ読んでほしいですね。
こういう本は大好きだな。ぼんちゃんとキリカが良かったですね、とにかく。この二人が出てくることで本当にこのバールおいわけの話は一気にググッと深みのあるドラマチックな小説になったなぁと思います。
ということで今日はバールおいわけ、いぶきゆきさんの本について話してみました。この配信が気に入っていただけたら、いいねやコメント、フォローお願いします。励みになります。
今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。ではでは。
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