00:04
スピーカー 2
アイテム番号 SCP-144-JP オブジェクトクラス ユークリッド
スピーカー 1
特別収容プロトコル SCP-144-JPは山中に設置されたサイト8155に収容されています。
その性質上、SCP-144-JPを任意の場所へ移動させることは困難です。
SCP-144-JPは宿泊客がいる場合、移動しないという習性があるため、
スピーカー 2
サイト8155職員はDクラス職員を用いて、SCP-144-JPが移動しないように常に誰かは宿泊させてください。
スピーカー 1
慈安144-3の発生以降、サイト8155を含む周辺10kmのイノシシの個体数及びSCP-144-JPの状態は常に把握することになっています。
イノシシの個体数が減少している場合、あるいはSCP-144-JP内に損傷が長期間存在する場合、
その程度次第によっては、サイト8155で養殖されたイノシシをSCP-144-JPに与えてください。
説明
SCP-144-JPは、1996年2月に兵庫県の山中で発見された旅館に擬態するイノシシの群れです。
原理は不明ですが、擬態は肉眼や撮影機器を問わず見分けることは困難です。
これまでいくつかの場所に移動していることが確認されており、そのすべてが人通りの少ない山中に出現しています。
擬態ではありますが、一般的な旅館と差異なく機能しており、また旅館内外ほぼすべてがSCP-144-JPで構成されています。
床や壁をはじめ、布団や畳、トイレットペーパー等の消耗品に至るそのすべてがSCP-144-JPの各個体です。
唯一の例外は浴槽だけです。
外観は一般的な旅館と変わらず、入館するとお上として30歳前後の着物の日本人女性に見えるSCP-144-JP1が出迎えてくれます。
SCP-144-JP1は常に同一の個体であり、どのような状況でも玄関口に現れ、入館者を部屋へと案内しようとします。
SCP-144-JP1は基本的には有効的ですが、下記のように特定の行動を取ることで非常に敵対的な存在になります。
03:00
スピーカー 1
宿泊の最中、他に宿泊客がいてもその宿泊客と出会うことはありません。
スピーカー 2
内装は高級旅館を思わせ、宿泊者は皆一様にして、今までで一番綺麗な旅館だ、館内全体に漂う自然の香りに癒される、等のように絶賛します。
以下は館内の精密な調査結果をまとめたものです。
スピーカー 1
館内全般、本来ならあるはずのイノシシの感触は一切感じられない。
違和感はなく、手入れの行き届いた状態が保たれているように感じるが、測量したところ水平な面が一切なかった。
心地よい香りが館内に充満しているが、SCP-144-JPから揮発性の麻薬成分が含まれるいくつかの物質を放出していることが判明。
中毒性は薄く健康を害するものではないが、擬態の補助と再来感させるための幻覚作用として放出しているものだと考えられる。
水道 館内の水は全てがイノシシの尿であり、館内で販売されている飲料や食事の際に出される飲料も全てイノシシの尿だった。
露天風呂 天然温泉を謳っており、肩こり、リウマチ、骨折に効くと看板が立てられているが、実際の成分はイノシシの尿。
浴槽を影響の出ない程度に削り、素材の鑑定をしたところ、ただの木であることが判明。
同様の調査を数度繰り返した結果、巨大な木製の桶状のものに自らの尿を入れている可能性が極めて高いと判断された。
スピーカー 2
なぜ浴槽だけ木を用いているかは不明。
スピーカー 1
料理 イノシシ料理に限定されるが、一般的な旅館に見劣りしない海石料理が出され、味も最高だと評判。
食したことによる身体的影響は見られない。
廊下 鮭を加える木彫りのイノシシやイノシシのブロンズ像、イノシシの肖像画などイノシシをモチーフにしたオブジェが50cm間隔で置かれている。
部屋 一般的な和室 扉や襖にはデフォルメされたイノシシの絵やイノシシの水木画が描かれている。
スピーカー 2
布団と枕は一般的なものに比べて一回り大きく重い。
スピーカー 1
館内の備品や施設を破壊した場合、SCP-144-JP-1が即座に出現し、常識的な謝罪と賠償を求めます。
これに従わなかった場合、SCP-144-JP-1がその対象に攻撃を加えます。
06:02
スピーカー 1
破壊された備品や施設は一般的なものと同様に破損状態を維持し、
同時に破損状態に対応したイノシシの死体もSCP-144-JPの周囲に出現します。
破損の修復や消耗品の補充として、この宿泊客に攻撃を加えた際に、対象を館内の床や壁へ押し付け取り込む行為、
スピーカー 2
あるいは新たなイノシシをSCP-144-JPに取り込むことが確認されています。
スピーカー 1
イノシシを取り込む場合は、イノシシが何かに寄せられるかのようにSCP-144-JPに近づき、触れることで完了します。
スピーカー 2
また、調理や清掃等勤務中の従業員であるSCP-144-JPを調査しようとした際も同様に彼らが攻撃的になりました。
スピーカー 1
事案144-JP-3 斎藤8155職員が宿泊を行おうとした際、
SCP-144-JP-1に学園野球部の予約が入って空き部屋がないという理由で宿泊拒否されることがあり、
即座に学園に確認をしたところ、そのような事実はないという回答をされました。
しかし2日後、合宿に向かう学園野球部が宿泊先の送迎バスごと失踪するという事案が起きました。
SCP-144-JP-1にこのことを問い詰めると、
学園の皆さんは当館がお気に召したようですね、と返答し、以後の質問に対して消極的な回答しかしなくなりました。
この1週間前にSCP-144-JP-1が、
最近ボイラー室の老朽化が激しいため、改装を考えていると証言していたのを斎藤8155職員が聞いており、
何らかの手段を持って外部から人間を取り込んだと推測されています。
梅田博士の報告、
斎藤8155に来てから半年間、週に2度は調査も含めて利用し、
SCP-144-JP-1とも何度も話した。
私が騙されているだけか、あるいは精神操作を受けているかもしれないので、ここからは話半分程度で聞いてもらいたいのだが、
結局のところ、彼らの目的はよくある昔話の息を出ないものだ。
ただ、人を驚かすではなく、人間に尽くす方の、だがね。
問題なのは彼らが所詮イノシシであり、キツネやタヌキのような知能がない、ということだ。
だからこんな雑で時代錯誤なことしかできない。
慈安144-JP-3に関しても、自分たちの状況と行動を全く理解していなかったからだ。
09:03
スピーカー 1
とはいえ、慈安144-JP-3は見過ごすわけにはいかない。
次に、あのようなことを起こすことがあれば、私が責任をもって終了させよう。
スピーカー 2
動物、変身、生命、知性のタグが付いています。
あれを思い出したのは、あの、注文の多い料理店とか、ジブリのポンポコとか。
でもイノシシだけじゃないんだな。
スピーカー 1
イノシシだけで構成されてるなら、イノシシが意思をもってそういうSCPになってると思うけど、
人間も材料になり得るんだったら、何か違う気がしますね。
スピーカー 2
イノシシはあくまで種材料っていうだけで、
イノシシを操って、旅館の形をさせて、
何のメリットがあるんだ?
ユークリットだもんな。収容できないからだな。
スピーカー 1
周辺10kmのイノシシの個体数。
サイト8155を含む周辺10km以内のイノシシの個体数。
あ、そうか。勝手に寄せるからイノシシ増やす。
スピーカー 2
増やすというか、ある程度は用意しておいた方が勝手に補充してくれるからいいよって話か。
身体的影響。イノシシ料理。
スピーカー 1
まぁイノシシの尿ではあるものの変化させた結果、
スピーカー 2
普通に飲み食いできるものになってるので問題ないよと。
スピーカー 1
別に普通…普通っていうのもあれだけど。
治安だけがちょっとやべぇけど。
野球部の送迎バスごと失踪。
最近ボイラー室の老朽化が激しいため改装を考えている。
スピーカー 2
ボイラー室1つの改装に
野球部の送迎バスごと5リットル。
スピーカー 1
30人40人ぐらいでしょ?
スピーカー 2
結構ですねぇ。
スピーカー 1
というSCPでした。
スピーカー 2
ではまた次回お疲れ様です。