00:05
スピーカー 2
アイテム番号 SCP-1562
オブジェクトクラス セーフ 特別収容プロトコル
SCP-1562は現在、サイト24の試験施設 46Vに隔離されています。
スピーカー 1
施設の扉は常時施錠された状態とします。 試験は現在停止されており、
スピーカー 2
カーバー博士から特定クリアランスを与えられない限り、使用許可はおりません。
スピーカー 1
説明 SCP-1562は高さ2.2m、長さ3.4mの金属製滑り台です。
スピーカー 2
SCP-1562は、の郊外にある灰公園から、当地域にて複数人の子供が失踪した後に回収されました。
スピーカー 1
当物体の異常効果は、人が頭を下にして両腕を脇に折りたたみ、腹ばいになって滑り降りた時にのみ発生し、
スピーカー 2
体や手足の向きを変えて滑った場合、その効果は現れず、また人間だけが影響を受けます。
スピーカー 1
禅術の体制でSCP-1562を滑り降りた際、その人物は滑り台の端から約15cm手前で瞬間的かつ完全に消失します。
スピーカー 2
これまでのところ、SCP-1562をこのように使用し、消失した者は一人も回収されていません。
被験者に命綱を繋ぎ引き戻す試みは、被験者が消失する瞬間に綱が切れたために失敗に終わっています。
被験者との通信は消失後も引き続き可能であり、その詳細を以下の記録に記します。
音声記録 1562-A-1
スピーカー 2
これなんて読むんだっけ?序盤の序。
スピーカー 1
実験の観察を行う研究員との無線通信用にD-2445にはイヤホンマイクが与えられました。
スピーカー 2
当通信はD-2445のSCP-1562からの消失後、間もなく開始されました。
記録開始
ダリツ博士 D-2445聞こえるか?
D-2445 ああ博士聞こえる
スピーカー 1
今どこにいる? わからない。なんかすごい小さいトンネルの中だ。
スピーカー 2
すごく窮屈だ。すぐ引き出してくれるか? こちらにその場所を説明してもらえるか?
03:02
スピーカー 2
ダメだ。暗すぎる。何も見えないし、詰まってる。 詰まった?どんな?
スピーカー 1
俺は頭が下で腹ばいのまま傾いたままだ。 それでなんか小さいトンネルの中で詰まってる。周りはどこも岩と泥だ。
スピーカー 2
頭を上げるにも腕を動かすにもゆとりがないし、前にも動けない。 ほんと早くここから出してほしい。
やってみてはいる。何か見えないか? 何か他には?
スピーカー 1
いや、何も見えないって言ったろ? 今ちょっとビビってんだけどよ。別に弊所恐怖症ってわけじゃないけど、ここはなんかすっげえ嫌なんだよ。
引っ張り出してくれ。 不幸なことに君の命綱は君が消え失せた際に切れてしまっている。
スピーカー 2
だから引き戻せない。 回収のために他の方法を模索してみよう。今はただ落ち着いて私と話し続けてくれ。
いやいやいやいや、早く出してくれよ。これ以上ここにいるとか無理だって。 頼むから落ち着いてくれ。できるだけ早くそこから出せるようにしよう。
スピーカー 1
分かったよ。 ほんのちょっとだけ前に張ってけたんだけどさ。
スピーカー 2
頭に何か当たるんだ。 何が当たった?
靴だと思う。小さな。 クソったれ。
どうした? ここから出してくれ、博士。すぐにここから出してくれ。
スピーカー 1
落ち着いてくれ。できるだけ早くそうしよう。 嫌だ、今すぐにここから出してくれ。
スピーカー 2
靴だ。小っちゃい靴。 記録終了。
研究員たちが可能な回収方法について議論している間、 D-2445との通信は切断されました。
スピーカー 1
別のDクラスに命綱をつけ、また映像および音声記録装置、GPS追跡機、ヘッドランプを身につけさせた上で新たに送り込むことで意見がまとまりました。
スピーカー 2
この計画をD-2445に知らせるために通信が再度接続されました。
音声記録1562A-2
記録開始。 まだそこにいるか?D-2445。
頼むよ。お願いだからここにはもういたくないんだよ。
君を引き出すために別のものを送るつもりだ。 喋り始めたんだ。
何が喋り始めた? 小さな男の子だよ。だけどちっとも話にならねえ。
彼が何を言ったか教えてくれ。 そいつは自分がどこにいるのか聞き続けてきて。
06:08
スピーカー 1
そんで俺は分からないって言ったんだ。 でも俺は奴が本当に俺に喋りかけてきたとは思えないんだよ。
スピーカー 2
俺の声には答えなかったし。それに俺がしっかり落ち着いている時に奴はもう泣き止んでって言ってきたんだ。
他には? まさか彼はその間を動いていたのか?
スピーカー 1
そうは思わないな。奴が叫び始めたんで黙れって言っても叫び続けて。 奴は泣きながらそいつのママのことを聞いてきたんだ。
スピーカー 2
それであんたが俺に通信をまた始めてすぐに奴の声が止まったんだ。 もうここから出してくれよ。
分かった。別のものを送ろう。 背後で物音が聞こえたり何か感じたりしても慌てないように。
早くしてくれよ。もう腰が… 記録終了
この後すぐにD-8600が前述の装備とともに SCP-1562へ送り込まれました。
スピーカー 1
D-8600は低い身長と細身の体型から D-2445よりも動きやすいだろうという理由で選ばれました。
D-8600を繋ぎ止めるためのロープはD-8600が SCP-1562から消えたと同時に切断され、
スピーカー 2
GPS追跡機の信号は追跡できなくなりました。 以下の音声がD-8600との通信が確立した後に記録されました。
スピーカー 1
音声記録1562 B 記録開始
ダリツ博士 D-8600聞こえるか?
スピーカー 2
D-8600 ああ聞こえるよ博士
スピーカー 1
そちらの状況はどうなっている? 映像が全く得られない。
洞窟かトンネルみたいなところにいる。 本当に小さくて暗い。
スピーカー 2
ヘッドランプはここに入ったと同時に使えなくなった。 どうにかして動くことはできそうか?
スピーカー 1
両腕を前に回すことはできなそうだけど、前ににじり寄ることはできる。 待ってくれ?何だこりゃ?
スピーカー 2
おい、あんた大丈夫か? D-8600?
ちょうど誰かの靴にぶつかった。全く動いてない。 おい、下にいるあんた大丈夫か?
それはD-2445だろう。 デイビス、D-2445の無線に合わせてみてくれ。
スピーカー 1
無線が聞こえたと思う。そっちのデイビスの声が聞こえる。
09:02
スピーカー 2
D-2445が反応しないな。 それに我々の側では彼の無線越しのデイビスの声が拾えない。
そうか、博士。俺は聞こえるぞ。 D-2445の声が少しくぐもっていたが、D-8600の無線越しに聞こえ続ける。
デイビス、無線を切れ。 D-8600の無線から彼の声が聞こえる。
スピーカー 1
えお、旦那。あえて嬉しい。 D-2445。
スピーカー 2
わからない。なんかすごい小さいトンネルの中だ。 すごく窮屈だ。すぐ引き出してくれるか?
D-2445、聞いてくれ。 D-8600が君の後ろにいて、そこから出る手助けをしてくれる。
ダメだ。暗すぎる。 何も見えないし、詰まってる。
おい、旦那。大丈夫だ。 詰まってるのも知ってるし、一緒にここから出ようじゃないか。
スピーカー 1
俺は頭が下で腹ばいのまま傾いたまんまだ。 それでなんか小さいトンネルの中で詰まってる。
周りはどこも岩と泥だ。 頭を上げるにも腕を動かすにもゆとりがないし前にも動けない。
ほんと早くここから出してほしい。 わかってるよ、旦那。大丈夫だって。
スピーカー 2
両腕を頭の上の方に回せるかやってみて、あんたのすねを掴んでやるよ。 そうしたら向こうの奴らがここから引っ張り出せるって。
スピーカー 1
いや、何も見えないって言ったろ。 今ちょっとビビってんだけどよ。
スピーカー 2
別に弊所恐怖症ってわけじゃないけど、ここはなんかすっげー嫌なんだよ。 引っ張り出してくれ。
スピーカー 1
それを今やってんだよ。まだなんか。 D-8600、話すのをやめてくれ。何かおかしい。
スピーカー 2
D-2445は最初に無線通信を行った際に言ったことをすべて繰り返しているだけだ。
スピーカー 1
いやいやいやいや、早く出してくれよ。これ以上ここにいるとか無理だって。 大丈夫だって、ちょっと落ち着いてくれよ。
スピーカー 2
博士、彼は今怖がってるんだよ。俺の腕は両腕をもうほとんど前に出せてる。 わかったよ。
ほんのちょっとだけ前に張ってけたんだけどさ。 頭に何か当たるんだ。
いや、彼は通信時に彼が言ったことをそのまま逐一繰り返している。
スピーカー 1
実際彼は彼が言ったようにどうにか動いているか? そうは思わないけどなぁ。
わかった。ちょっと気味が悪くなってきたな。 でも彼のスネを掴んだぞ。
スピーカー 2
すぐ引っ張り出せるなら確かめてみてくれよ。
12:02
スピーカー 2
靴だと思う。小さな。 クソったれ。
博士、こいつ何言ってるんだ。ここから俺たちを引っ張り出せるか? ここから出してくれ、博士。すぐにここから出してくれ。
スピーカー 1
引っ張り出せない。すまない。 嫌だ。今すぐにここから出してくれ。
スピーカー 2
靴だ。ちっちゃい靴。
スピーカー 1
だから何言ってんだ、てめえは。 俺たちを引っ張り出してくれよ。こいつのよう小っちゃい靴って何なんだ。
スピーカー 2
一体何が起きてんだ、博士。 頼むよ。お願いだから。ここにはもういたくないんだよ。
スピーカー 1
D-8600 不幸にも君を繋いでいたロープは君が消えてすぐに切れた。
スピーカー 2
こうなる理由はわからない。 喋り始めたんだ。
くそか。わかったよ。後ろにちょっとずつ行けるか試してみる。 さすがにこいつを運んでいくのは無理だろうけどな。
小さな男の子だよ。だけどちっとも話にならねえ。 幻灯を祈るよ、D-8600。その間ずっと通信を繋いだままにしておこう。
スピーカー 1
そいつは自分がどこにいるのか聞き続けてきて、 そんで俺はわからないって言ったんだ。
スピーカー 2
でも俺は奴が本当に俺に喋りかけてきたとは思えないんだよ。 俺の声には答えなかったし、それに俺がしっかり落ち着いてる時に奴はもう泣き止んでって言ってきたんだ。
スピーカー 1
こいつがさっさと黙り上がればもっと楽なんだろうけどな。 そうは思わないな。
奴が叫び始めたんで黙れって言っても叫び続けて、 奴は泣きながらそいつのママのことを聞いてきたんだ。
スピーカー 2
それであんたが俺に通信をまた始めてすぐに奴の声が止まったんだ。 もうここから出してくれよ。
黙れっつってんだろうが、気味悪いんだよバカ。 早くしてくれよ。もう腰が本当痛み始めてるんだ。
スピーカー 1
そちらは進めているか?D-8600 少しはな。簡単じゃないがやってるよ。ここの空気は淀んだ匂いがしてやがる。
スピーカー 2
俺が戻っている間に空気が十分にあればいいんだけどな。 おい、あいつやっと黙ったのか?
あれから彼の発言はこちら側では聞こえていない。 そいつは神に感謝だな。こっちはもう、だなって。
何をだ?もうなんだって? D-8600?聞こえているか?何が起きた?
スピーカー 1
記録終了。 これ以降、D-8600からの応答が途絶えたことが記録されました。
15:01
スピーカー 2
D-8600およびD-2445への無線通信を復旧する試みは失敗しました。 試験は無期限に停止されています。
スピーカー 1
ポータル、ループ、構造、おもちゃ、異次元のタグが付いています。 リクエストでいただきました。ありがとうございます。
滑り台に特定の条件下で滑った場合、異次元の狭いトンネルのようなところに送り込まれてしまう。
スピーカー 2
送り込まれた人間は一定周期でループする。 というようなオブジェクトですかね。
水木しげるの作品に似たようなものが…似たようなものと言ったらあれだけど、伊藤順治だったかな?
光の方へと進んでいったらどんどん狭くなっていって、最終的に詰まって動けなくなっちゃうみたいな。
短編のホラー漫画のようなものがあったような気がしますが、あれをちょっと彷彿とさせますね。
シンプルに救いようがないというか、救出しようがない
オブジェクトですね。 ただこんな滑り方することはまずないので、
人が頭を下にして両腕を脇に折り畳み、腹ばいになって滑り出した。気をつけの姿勢でうつ伏せになって滑り台を降りる。
基本ないですよね。 頭を下にして滑るにしても前に手をやって、受け身を取れるようにするので。
スピーカー 1
これがだから、 子供が一番最初に何人か
やったんですね。 で、
行方不明になってしまって、多分見つかってってことでしょうね。 どっかに書いてるっけ?
スピーカー 2
これね、当地域にて複数人の子供が失踪した後に回収されました。 子供やるかなぁ、こんな滑り方。危ないと思うけどなぁ。
スピーカー 1
というオブジェクトでした。 もし皆さんにお子さんがいる場合は、このような危ない滑り方はさせないよう注意していただければと思います。
スピーカー 2
ではまた次回。お疲れ様です。