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2025-07-30 13:19

EP216. 『ババヤガの夜』を読む。海外の評価ポイントとゲームのような没入感

今夜は先週に続き、この夏、ぜひ読んでもらいたい文庫をご紹介します。

今日の勝手に貸出カードは、王谷晶さんの『ババヤガの夜』です。先日、日本の作品で初めてダガー賞・翻訳部門を受賞(サム・ベット訳)。英国推理作家協会が評価したポイントや、暴力シーンの躍動感について読み解きます。


<勝手に貸出カード>

・王谷晶(おうたにあきら)さん『ババヤガの夜』(河出文庫)


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サマリー

ポッドキャストの第216回では、大谷明著の『ババヤガの夜』が詳しく紹介されています。この作品はダガー賞を受賞した日本のバイオレンス小説で、主人公の女性ボディーガードと暴力団の娘との絆を描いています。

『ババヤガの夜』の紹介
真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
第216夜を迎えました。今夜は先週に続き、この夏ぜひ読んでもらいたい文庫をご紹介します。
今日の勝手に貸し出しカードは大谷明さんのババヤガの夜にしました。
読んだんですよババヤガの夜を。私もつい最近文庫で読みました。
先日日本の作品で初のダガー賞を受賞したということで、今まさに書店さんの文庫本のコーナーに行くとドーンと目立つところに積んであるんじゃないかと思います。赤い表紙がね赤いイラストの表紙がかっこいいんですよ。
ダガー賞というのは英国推理作家協会が主催するミステリー犯罪小説を対象とした権威ある文学賞でして、
その翻訳部門をですねババヤガの夜が受賞したんですね。役者はサム・ベットさんです。英訳されたものを読んで受賞が決まったわけですから、サム・ベットさんの力が大きいんだろうなぁと思って調べてみたら、
サムさんは西尾維新さんとか川上美恵子さんの作品も翻訳をしてくださっているそうで、川上美恵子さんの方もね海外で非常に人気がありますから、英訳版を私は読めるわけじゃないけど、翻訳版は翻訳版の文章に人を引きつける魅力がきっとあるんだろうなぁと思って、
比べて読んだりする力があればきっと楽しいんだろうなぁと思ったりしました。さてさてババヤガの夜はどんなお話かと言いますと一言で言うとバイオレンス小説ですね。
私これまでノワール小説とかサイコな犯罪小説みたいな小説が結構好きなんですという話をしたかもしれないんですけど、バイオレンス小説っていうのは初めて紹介するかもしれないですね。バイオレンスも好きなんですよね。
ハカとかもバイオレンス小説でもあるかな。小説よりは漫画で好きですね。ヤクサモノ、ヤンキーモノ、喧嘩早い主人公と冷徹なボスみたいな、ちょっとしたラブストーリーもありみたいなのが結構好みのタイプではあります。
さてそんなババヤガの夜のあらすじは、暴力団の会長の一人娘を警備、ボディーガードすることになった、鎮棟より子という22歳の女性が主人公でして、彼女はめちゃくちゃ喧嘩が強いあらくれ者で、その腕を見込まれてボディーガードにスカウト、スカウトというか暴力で脅されて、
その一人娘のボディーガードをね、警備を引き受けることになるんですね。護衛をしてくれって言われて、そこからヤクザの世界に入っていくわけです。
そのお嬢さん、ナオコさんとより子の交流もあったりして、なんとも言えない二人の絆ですね。女バディ者でもあります。ものすごく面白くて疾走感があって、息もつかせぬ展開というやつで、あっという間に読んでしまいました。
作品のテーマと人物描写
なんか新しい、また新鮮な読書体験でしたね。これはすごいと思ったんですけど、さて、英国推理作家協会の人たちはですね、何を持っていいなって思ったんだろう、何が刺さったんだろうっていうのがすごく興味深いなと思いまして、
いわゆる日本のヤクザ映画のイメージみたいな、仁教義理と仁教みたいな、あんまりないんですよ、そういう要素が。いや全然ないから、サムライ魂的なとこはなくて、とにかくひたすらバイオレンスと言えるかもしれない。
調べてみた英国推理作家協会のこの作品の受賞理由を引用しますね。
まるで漫画のように日本のヤクザを描いたこの作品は、登場人物たちの深い人間性を際立たせるために、容赦のない暴力描写に備知している。無駄のない展開で独創的かつ奇妙ではあるものの見事なラブストーリーを紡ぎ出しているとあります。
なんと素晴らしい受賞理由の文章なんでしょう。なるほど漫画のようにか確かにと思ったんですよね。この作品の魅力はもう何と言っても映像が目に浮かぶよっていうところだと思うんですよ。
読みながらきっとこれはネットフリックスとか何かでどっかが映像権を取得してるんだろうなーって思っちゃいましたね。すぐにでも映画化連続ドラマになりそうな感じです。
ああそうか漫画っぽいっていう風に受け取るのかと思って面白いなと思いました。もちろん漫画も今欧米でも韓国でも映像系のクリエイター出社すごく注目をしていますからね。漫画っぽいっていうのは褒め言葉なんだと思うんです。
その映像を想起させる力、描写、動きがある感じ、強いキャラクターですね。しんどうよりことなおこは映像化された誰がやるといいんだろう。どんなペアが見たいですか。今ならのんさんと橋本愛さんみたいなね。今だと誰かな。喧嘩が強い方の役が難しいですね。
最近だとかわいいゆうみさんですかね。富田美穂さんとかもやってほしいなぁ。大輪ちゃんとかもいいかもしれない。大輪ちゃんは私非力にしているんで。タッパがある人、背が高い人がやるとアクションシーンが映えそうな物語でもあります。
ヤクザのお嬢は誰がいいですかね。マリエさんとかリクタエリカさんとかお嬢全都しつつ古風な格好をさせられているっていうのは似合う人がいいですね。あと柳っていうヤクザ側のところの人のキーパーソンが出てくるんですけど、これも誰にやってほしいかなぁ。
少し前ならつつみしんいちさんとかそんなイメージなんですけど、今だと誰だろう。杉野陽介さんとか磯村ハヤトさんとかかなぁ。考え出すとめっちゃ楽しいですね。ヤクザ側のメンバーを人生を考え出したら止まらない。この人は誰。この人は誰かなってキャスティングしながらぜひ読んでみてください。
そして受賞理由に見事なラブストーリーを紡ぎ出しているってあって、ああそうかそうなのかって思いました。クイアー文学のジャンルに入るんだと思うんですけど、分かりやすいラブライン、ロマンスはありません。
2人の関係は何とも言い難いですね。仲良しっていうことではないけど、相手を絶対に守る、死なせないみたいな意味では、友達より深い関係かもしれない。そもそもボディーガードと守られる側っていう関係性自体すごい萌えがありますよね。
それが男女である女同士である男同士であり、そこも漫画のようって評価されたポイントなのかなと思ったりしましたけど、途中から2人の逃避行みたいになるところがありまして、いつバレてく身に、暴力団に見つかって殺されるかとドキドキするんですけど、秘密を持った2人の共同生活には何というか甘い独特なワクワク感もあります。
書籍の描写とアクション
久々に高揚感がすごい高いアドレナリンが出る小説でした。さて今日はこのババヤガの夜から神フレーズをご紹介して終わります。
セダンはすぐ前を走るフォードを追走していた。磨き上げられた黒い車体が、点灯し始めた街灯やネオンを受けてヌラヌラ光る。強烈な夕焼けの日だった。新宿中のビルのガラス窓が、送信から血を流しているように真っ赤に染まる。
これはかなり冒頭のシーンなんですけれども、いきなりより主人公はすでに負傷しているっぽいんですね。流血している。その血のイメージと真っ赤な夕焼け、目に入る一面、夕日でビルが赤く染まるっていうところから物語の幕が開けるんですね。
ここを紹介したのは、大谷さんってなんでこんなに喧嘩のシーンを描くのが上手いんだろうって思って、後ろの解説にボクシングの話も出てくるんですけど、私もボクシングを今習っているので、すごいスピード感と体を動かした時の幽霊みたいなのがリアリティを持って描かれているなって思ったんですけど、
思いっきり攻撃した時というのは人の体っていうのは一回ちょっと隙ができるんですよね。全身の体重を拳に預けたり、キックの時に片方に体重が乗っかっちゃうので、やられた瞬間は逆に言うと相手攻撃してきた人に隙があるっていうところをよりついて、
体が大きい男性の蹴りとかパンチの後にものすご反撃をするみたいなシーンが結構出てきてすごい面白いなと思うんですけど、この喧嘩の動きのリアリティ、面の前に浮かんでくるようなシーンの描き方がすごいなって思って、この大谷さんという方に興味を持って調べたら、
その演出ですよね。描写の中に演出があるっていうところがすごいなぁと思いました。このやられた時の音とか骨にグッとくる生々しい感触とかですね、ちょっと痛い、痛そうっていうのが苦手な人には本当にお勧めしない小説なんですけど、
体っていうのはこういろんな音を出したりするんだなっていう、痛みつけ方にはいろんなバリエーションがあるんだなって思う小説でしたけれども、
今読んだ冒頭のシーンは黒い車、ピカピカに磨かれたね、組の車とかってピカピカなイメージですよね。磨かれた、ぬらぬらと光るような車がてんてんと走っているイメージと、その真っ赤な夕日でビルが一面赤く染まっていくっていうところから物語の幕が開ける。
それがなんかゲームのオープニングみたいだなぁって思ったんですよね。韓国ドラマとかもオープニング凝ってますけど、そういう1個の色でセピア色とか真っ赤な夕日の色みたいなので、染まるようなところから始まる物語です。
そういう視覚的なイメージ転換みたいな非常に上手に挟まれている小説なので、またそこもじっくり味わっていただけたらと思います。
はい、次週も何か文庫で面白かったやつを紹介したいなと思っています。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
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お届けしたのは講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
13:19

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