00:04
ミモレ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジン、ミモレ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて、明日が楽しみになるおテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第10夜となりました。
わぁ〜10回も続いたなんて、私と家族とあなたぐらいしか聞いてくれてないですが、いや、そんなことない。もうちょっと聞いてくださっています。
そんな、あなたのおかげでこうして、めでたく第10回を迎えることができました。パチパチありがとうございます。
さて、今日は、前々回の続きで、翻訳本のおすすめか、好きな翻訳者の方のご紹介をしようと思ってたんですけど、
この数日、ずっと私の頭の中を占領していることがあって、テラスハウスに出演されていた女性の方がね、自殺をしたという、
追い詰めたのはネットでの誹謗中傷だということがニュースになっていまして、それだけが原因だとは今の時点では断定できないんですけれども、
なんかこのニュースについて、ここ数日ずっと考えてしまって、そしてツイッターとかをつい見ちゃうんですけど、他のタレントさんとかアイドルの子たちも、
死ねとか、容姿に関するひどい暴言とか言われてきましたみたいな告白をしてたりとかして、でも今こうして私がやっていけているのはファンの皆さんの温かい言葉のおかげですみたいなことまで
つぶやいている子もいて、そういうことまで女の子に言わせる空気感とかに辛くなってしまって、じゃあツイッターとか見なきゃいいのにっていう感じなんですけど、
今在宅ワークが中心なので、ついSNSをチェックする時間が長くなっちゃって、少し前に検査庁法改定案に抗議しますっていうハッシュタグをつけたツイートが話題になってましたよね。
キャリーパミュさんとか、特に若い女性の著名人がツイートをしたことに対して、分かんないくせに口出すな的なまたひどい暴言というか、抽象がついてたりとかして、その話からまたこの話につながっていて、
03:01
著名人ある程度有名な人は批判を浴びるのは仕方ないとか、有名勢だとかっていう人もいるけれど、批判とバリ増言は全然違うと思いますし、今こうして誰でも世界に発信できる時代なので、誰もが前に出る可能性があって、前に出てるっちゃ出てるみたいなもんじゃないですか。
私だってこんな風にラジオで喋るとか、ちょっと信じられないけれど、前に出る人は何を言われてもしょうがないとは思っていないわけなんですよね。
そんな風に勝手に落ち込んだり、気取ったりとか気持ちが忙しかったこの数日に、まるで運命か予言の書のように読んだのが、松田青子さんの「持続可能な魂の利用」という本です。
今日はこちらの本をご紹介して、このモヤモヤする気持ちを皆さんと一緒に少し軽くできたらと思っています。
この持続可能な魂の利用は、松田青子さんにとって初の長編小説ということで、松田さんはデビュー作のスタッキング可能から、この人天才だわと思ってすっかりファンになってしまって、
翻訳家でもいらっしゃるので、翻訳ものもいくつか読ませていただいて、今日は好きな翻訳家の一人としてご紹介しようかなと思っていたんですよ。
持続可能な魂の利用は、奥づけを見ると5月25日発売ということなんで、本当に今週出たばかりの新刊でして、
私は松田さんファンだから予約してたんですけど、それ届いてすぐ読んで、これは今のこの状況を予言して書いたんじゃないかとびっくりしたということなんですね。
簡単にあらすじを言うと、慶子という30代の女性が主人公で、男社会にはめられてというか理不尽な処分によって無職になってしまうんですが、ある女性のアイドルグループにはまっていくんですね。
笑わないアイドルと言われて、カリスマ的なセンターがいてって、あのグループにあてがけしたのかなっていうぐらいリアルに書かれていて、
ライブもきっと本当に行ってみたんだろうなと思ったりして、坂道系の方を言っちゃいましたけど、読まれるとあのグループだなってすぐ皆さん思うと思います。
おじさんが作った社会に対してすごく憎しみがあるのに、おじさんが作ったアイドルの世界にはまっていくっていう矛盾が語られているんですね。
大人の女性で女性アイドルを追っかけている人は少なくないと思うんですけど、私もその一人でまさにそのグループを追っかけてるんですけど、
06:07
多くの人が感じたことがあるんじゃないかと思うんです。この男の人が作った、演出した世界を押すことで助長してしまうモヤモヤっていうか、
そんなになんかセクシーな動画とかあげなくていいになって思う自分もいるけど、いいね押しちゃう自分もいるっていうこととかね、
そういうモヤモヤをはっきりと小説にした人は初めてなんじゃないかなと思って驚きました。
10代のアイドルの女の子が不特定多数の匿名の無数の人から、デブとかブスとかアイドルとしての自覚が足りないとか、
そういうことを言われるような描写が出てくるんですけど、第2章は慶子のそういう社会に対するレジスタンスという革命活動が描かれていて、ちょっとファンタジーに飛ぶようなところがあるんですよ。
これが後頭無形かっていうと、今の日本を見るとそれくらいのことがあってもおかしくないと思えちゃいました。
今これを読めてすっきりしたって思う人は私だけじゃないんじゃないかなと思います。
今日はここから紙フレーズをご紹介します。
魂は減る。慶子がそう気づいたのはいつの頃だったか。魂は疲れるし魂は減る。魂は永遠にチャージされているものじゃない。
理不尽なことやうまくいかないことがあるたびに魂は減る。魂は生きていると減る。
だから私たちは魂を持続させて長持ちさせて生きていかなくてはいけない。そのために趣味や推しを作るのだ。
そうなんですよね。魂は減るんですよ。
このタイトルにつながる大事な箇所を勝手に読み上げちゃいましたけれども、本当にこの言葉にちょっと涙が出たっていうか、
嫌なことを言われたりするとまた魂のチャージが減るし、それは有名人だってそうじゃない人だって一緒なんじゃないかなと思って。
年とともに満タンが100%じゃなくなってくるのではなんてこともこの後に書いてあるんですけれども、すごくわかる気がしますね。
女子高生の頃の満タンにはもう私もどんなにチャージしても戻らないかなっていう気もしますし、
でもちょっとしたことでも10%とかチャージされるし、満タンに必要なエネルギーが年とともに省エネ化されていくのも悪くないなと思っています。
こういう面白い本も身漏れの記事の何かも、こんなラジオもちょっとした数%チャージの一つになっていたらいいなと思います。
09:11
今日は聞いてくださってありがとうございました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろんなテーマでお話ししたり、本をご紹介したり、緩やかにやっていきたいと思います。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
今日は最後までお付き合いいただきありがとうございました。
おやすみなさい。おやすみー。