ナオナオさんの現状
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、第208夜を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。ペンネームナオナオさんから頂きました。
初めまして、ナオナオと申します。今、私は新卒で入った会社の2年目です。
第一志望ではなかったけれど、目指していた一つでもあったクリエイティブ業界の中の映像制作と広告プロモーションの会社で働いています。
出版社も受けましたが、狭き門すぎて残念ながらどこも通りませんでした。
最近はいろんなことを一人で任されるようになってきて、念願叶ったはずなのですが、
あまりに日々のことに暴殺されて、一体自分は何のためにこんなことをやっているのかと、時々訳もなく涙があふれそうになります。
職場と現場、編集チェックで家に帰ったら寝るだけの日々です。
怒られるだけだったらメイクをしたりオシャレしたりしても意味ないかと思って、
最近どんどん同じ格好で職場に行くようになってしまった自分も嫌です。
今の仕事を辞めたいわけじゃないけれど、どうなりたいかもよくわからなくなってしまいました。
バタヤンさんにもそんな時期があったでしょうか?
そんな私を励ましてくれるようなオススメの本があったら教えてください。
バタヤンさんは希望する会社に入ってキラキラと活躍されているイメージがあります。
もしアドバイスなどあれば合わせて教えてくださいといただきました。
バタヤンの経験
ありがとうございます。
いただいたメッセージ、去年だったので、もうもしかするとなおなおさん3年目になられたかもしれませんね。
どうですか?今も忙しいでしょうか?
3年目って忙しいですよね。
そっか、私にもそんな時期があったかって、そうですね。
私は一番しんどかったのは入社3年目ではなくて、最初営業に配属になって5年目かな。
編集部、女性子の編集部に移動になったんですけど、その編集部に移動してちょうど3年くらいの時が一番忙しかったですかね。
忙しいというか、時間的なコントロールが効かない時期でしたね。
それこそなおなおさんの言う通り、現場と家の往復で、仕事場と家の往復で、家に帰ったら寝るだけ、寝て着替えたら精一杯みたいな時期がありましたね。
その頃は新作コスメの担当をよくやってたんですけど、言うと華やかな仕事だなというふうに思われると思うんですが、
普通だったら楽しい仕事なんですけど、いろんな商品には品番があるじゃないですか。
コスメには色番っていうのがあって、色番号がありますよね。
あれが大事なわけですよ。ピンクのリップだったらPK252とかPK256とかってそれぞれの独特の番号が振ってあって、
オレンジだったらOR101、OR102とかって順番についてるんですね。
その色番号と撮影した商品の色が合ってるかどうかっていうのを確認する作業がありまして、
いろんなブランドの口紅とかグロスとかアイシャドウとかを何十何百と確認するんですね。
オンラインなら楽しい仕事だと思うんですよ。化粧品って綺麗でパッケージが可愛くて、見てるだけで幸せな気持ちになるものですから。
それを本当に3日間とか一瞬しか寝てないような状態でずっとひたすらやるんで、
ナオナオさんが書いてらっしゃったように、私今何やってるんだろうっていう気持ちになるんですね。
PK252もPK256もどっちがどっちでも良くないっていう気持ちになっちゃうの。
目で見たピンクの微妙な色の違いとかって、究極ずっと見てるとわからなくなってきてしまうというのもありましてね。
そういう何なんだろうこの作業みたいになっちゃうのって、寝てないからなんですよね。
今はよくわかります。精神状態がヤバいんじゃなくて、単純に睡眠時間が足りていないっていう月の合計睡眠時間が足りてないんでしょうね。
ある時ね、コスメのその山、商品のパッケージの間に小人が出てくるようになって、
何言ってんだって感じなんですけど、小人っていうか小さいおじさんなんですよ。シルバニアファミリーぐらいかな、よりちょっと大きいぐらいのおじさんがコスメの間を通り抜けていくっていう。
一緒に企画を、新色コスメの企画をやってた先輩に、また小人が走ってますとか言って、小さいおじさんがそこを通り抜けましたとか言ったら、
もう帰りなよって、朝の4時とかなんですよね。あとは私がやっとくから、綿ちゃん帰っていいよって言ってくれた。
でも嘘じゃないんですって、今はもうそう思ってるんですけど、あれは絶対に圧倒的な睡眠不足のせいだと思いますね。
最近出てこなくなったなぁ、小さいおじさん、シルバニアおじさんね。ちょっと寂しいなぁ、出てこなくて。
自分に優しくする方法
そんな話はいいとして、今日の勝手に貸し出しカードをお出しします。
今日の勝手に貸し出しカードは伊藤恵美さんの、自分に優しくする生き方にしました。
この本の帯にですね、私が買った時点での帯にですが、寝る前も仕事や勉強が気になってしまう。
休むと甘えているようで、ザヤ感を感じる。人に迷惑をかけるのが怖いといったのが書いてありまして。
尚更、もしかして今そんな状況なんじゃないかなと思って、この本を選びました。
でもですね、もし今もまだ思いがけず涙が出てきちゃうとか、眠れないとか、おしゃれする気が起きないとか、そういう状況が続いたりしているとしたら、
ぜひ専門的なサポート機関を予約されたり頼ってみて、調べてみるだけでもしてもらえたらなと思ってます。
心療内科とかメンタルクリニックっていうのにも抵抗があるとすれば、睡眠外来とかね、何とか相談室みたいなものでもいいかもしれないですし、
本ももちろん読んでもらっていいですけれども、読む時間があったら寝てほしいっていうくらい、
ご自身のケアを誰かに頼るっていうのも大事だと私も思っています。
今の時間は耳だけ貸してもらって、伊藤恵美さんの自分に優しくする生き方をご紹介したいと思います。
伊藤恵美さんの本はですね、この前読でももしかして何度か取り上げたかもしれないなと思いました。
伊藤さんは臨床心理師で、認知行動療法、特にスキーマ療法について書かれています。
スキーマ療法というのは、その認知行動療法の一種なんですけれども、パーソナリティのありざまありように注目してアプローチする手法なんですね。
うちなるチャイルドなんて言い方を聞いたことがあるかもしれないです。
この本にもそういったうちなるチャイルドと大人の自分、それをヘルシーさんっていう言い方をしたりしてますが、
ヘルシーさんとチャイルドの2つに分けて考えるみたいなメソッドが出てきます。
そのあたりを今日はあまり詳しく説明しません。
興味ある方はぜひ読まれてみてください。
最初ちょっとなんか不散臭いなとか、自分のうちなるチャイルドとか自分に声をかけるなんて、こそばゆいなって感じるかもしれないですね。
言われた通りにやってみるかやらないかは別として、そういう捉え方もあるんだなって思うことは結構いいなと思いましたし、
それがまず第1段階で、その後騙されたと思ってちょっとやってみようと。
すっごいハマって、効果的面みたいになるかどうかわからないですが、
今自分があんまり自分とうまく付き合えてないなとか、自分を好きになれてないとしたら、
そのままでいるよりは1回試しにやってみようくらいの、そんな感じで今日も聞いてもらえたらと思います。
メソッドはちょっと全部は紹介しませんが、もちろん私がすごく効果あるなと思った、
まず最初のステップを解説したいと思います。
1番、ストレッサーに気づくとあります。
ストレッサーとはストレスの原因のことで、ストレッサーってなんか人をイメージしちゃいますけれども、
もちろん人の場合もあると思うんですけど、もっともっと小さい単位で思い返してみるんですね。
急に冷たい雨が降ってきたとか、そのせいでズボンの裾が濡れているとか、誰かに列を割り込まれたとか、
最近ちょっと3キロ5キロくらい太ってしまったとかもストレッサーですね。
服をしまわなきゃと思ったまま家に放置してあるとか、
あの人のメールはいつも感じが悪いなとか、
曲げれば綺麗がなくて、言葉にするのも不快ですけどね。
とりあえず書き出してみるっていう、改めて思い出して書いてみたりするっていうのを外在化するというらしいんですけれども、
自分の中にもやもやしているんじゃなくて、それを外に出してみるってことですかね。
出しておいてみるって感じですね。
しばらくこれやってなかったんですけど、ストレッサー、これは私の最近のことなんですけど、
家の植木が枯れているってことがストレッサーだったんですよ。
そのことに自分で気づくことができて、
家に帰ったら丸坊主というか、葉っぱがなくなっている、
棒切れみたいになってしまった植木があるっていうことがとてもストレスで、
なぜなら私は子供はいなくて、猫とか犬とかペットも飼っていないから、
家にある生き物は観葉植物だけなんですね。
それすら枯れているっていうのが、私は何にも育てられないというか、
ストレッサーの認識
グリーンでさえダメになってしまうっていうのは、すごく自分を小さく傷つけるっていう感じですかね。
仕事はちゃんとできているように見えるかもしれないけど、
家に帰ると何もできない、何ひとつ育てられないっていう。
帰ってくると、その枯れている植木を見ると、
そういうことを意識していなかったけど、思った以上に凹む原因になっていたのかなと思って。
なんで気づいたかというと、先輩が家をリフォームする間、植木は預かってくれないかって言われて、
大預かりしたんですよ。大きなグリーンを。
先輩のその植木はファッサーとすごく育っていて、育ちが良くて、
その植木鉢を見たら、土がなんかちょっと全然違う感じだったんで、
うちの植木も土を変えてみようって急に思って、土を入れ替えてみたんですね。
そしたら、新しい葉っぱがみるみると出てきまして、
その先輩からお預かりしている木の影響を受けたのか、
いくつもあるんですけど、うちの植木。
みんなが活気が出て、わさーって緑が出てきたんですよ。
そしたら、自分もすごい元気になって、家に帰って、見ると気分がいいっていうんですかね。
今までが、家に帰りたくないってほどの強いあれはなかったんですけど、
帰るとあれが枯れてるなっていうのを見たくないっていうのが、
たぶん小さなストレッサーだったんでしょうね。
ストレッサーに気づく、そしてちょっと土を入れ替えるのは思い切った行動ですけれども、
対処してみるっていうのは超大事ってことが分かりました。
という感じで、全然話が本からそれちゃったんですけど、
ストレッサーを見つけて、さあどうするっていう話はぜひ本に書いてありますので、
ご興味ある方はぜひ見てみてください。
でも、このストレッサーを自分の中で発見するっていうだけでも、
すごい大きいことだなと思います。
自分に優しくするスキル
思い切って植木は捨てちゃうとかって選択肢ももしかしたらあるかもしれないとさえ私は思いましたね。
さて、この自分に優しくする生き方から、今日は紙フレーズをご紹介して終わります。
ここで重要なのは、第3部のタイトルが、
自分に優しくするスキルを身につけるとなっていることです。
自分に優しくするというと、一見そういう価値観や信念、
つまり自分に優しくしなければならない、自分に優しくするべき、
といった深い思いを持たなければならないと思われるかもしれませんが、
そうではありません。
そういう価値観や信念が、今皆さんの中にあってもなくても構いません。
あったとしても窮屈ですし、
ねばならないべきという思いを持つのは窮屈ではありませんか。
なかったとしても、ではまずそういう価値観や信念を持ちましょう、
という気は私には全くありません。
それよりも自分に優しくすることは、
一種のスキル、すなわち技術であると気軽に考えてもらいたいのです。
とあります。
さて、この本の本当に一番目から鱗だったというのは、
ここの部分なんですね、私が。
そうか、スキルなのかと。
自転車に乗るみたいな、自転車に乗るべきとか、
自転車に乗れなくてはならないとは思わなくていいけど、
思ってもいいけど思わなくてもできるようにはなると。
スキルは練習すれば身につくようになるからっていう。
自分に優しくするスキルがこの後、この本にはいろいろ出てくるわけなんですけど、
一番はですね、やっぱり生活リズムを整えるということなんだなと思いましたね。
寝るっていうことを繰り返しになっちゃいますが、
いろいろあるんですけど、体のケアが先なんですね、とにかく。
心のケアより体のケアが先にあると。
震災とかなんかの時もそうだと思うんですけど、
寝る、食べる、挨拶するっていうのが整ってから、次が心のケアなんですね。
若い時って特に仕事が忙しかったり、ストレスが溜まったり、
怒られるとか嫌なことがあったりする時ほど、
体を痛める方向に発散をつい持っていってしまうところがあると思うんです。
私もそうだったんですけど、無茶に飲むとか、
甘いものを馬鹿食いするとか、カラオケに行ったりするとまた2時、3時までカラオケに行ってしまうとかね。
今だとスマホゲームをしたりとか、YouTubeを見るとか、ついつい課金をしてしまうとかっていう風に。
それって逆に自分の体を痛めつけてしまうわけなんですけれども、
そうじゃなくて、温かいお風呂に入る、気持ちのいい寝巻きで寝る、
美味しいものを自分で作って食べるか、ちょっと高いお金を払っても食べるとか、
ぬいぐるみをなでなでするとかね。
そういう体にとって快感、快か不快かで言うと快っていうことをちゃんとするっていうのが先なんだなっていうのを最近よく思います。
なおなあさんお便りいただいた頃より今の方がちょっとは楽になっているといいですけどね。
自分に優しくしてあげたらいいんじゃないかなと思います。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
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おやすみなさい。
おやすみ。