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2022-04-13 12:33

自分のいじわるさに気づいている人はいじわるじゃない?【第104夜】

「職場の同僚の女子のずうずうしいところやずるいところが目につくようになってしまって。彼女にイライラしたり、大人気ない排除やいじわるをしたくなってしまう自分にもまた落ち込む」というリスナーさんからのご相談に、今夜の勝手に貸出カードは、高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』にしました。料理が得意でリアクションの可愛いあざと系女子・芦川さんに一緒にイライラしていただけたらと思います!

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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、ナビゲーターの広断者ウェブマガジン、みもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるをテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第104夜をお届けします。
今夜のお便りをご紹介します。ペンネーム、電信柱のこっこさんからいただきました。
職場の人間関係のことで悩んでいます。2つ年下で、最近転職してきた同僚のことです。
その人と私以外は、女性社員が周りにいないことや、初めて年の近い職場仲間ができたこともあって、
初めはすごく仲良くしていたのですが、距離が近づくにつれて、彼女のズルズルしいところや、ずるいところが目につくようになってしまいました。
彼女にイライラしたり、大人げない排除や意地悪をしたくなってしまう自分にもまた落ち込みます。
何かスカッとして気持ちが明るくなるようなお仕事小説があれば教えてください。といただきました。
ありがとうございます。
なるほどね、ありますよね、そういうこと。
スカッとするお仕事小説というリクエストをいただいたんですが、
今日の勝手に貸し出しカードは、高瀬潤子さんのおいしいご飯が食べられますようにという小説にしました。
先にお伝えしますと、これスカッとする小説じゃないかもしれない。
お仕事小説でもないかもしれないですね。
職場がテーマにはなっているんですけれども、どういう仕事をして、その仕事で作説していくというようなタイプのお仕事小説ではないです。
でも何でこれにしようと思ったかというと、電信柱のコッコさんと状況が似ているかもしれないなという、
少しイラッとさせるような女性が出てくる小説なので、こちらにしました。
どんなお話か、何で今日これをお勧めしようと思ったのか、この後詳しくご説明したいと思います。
高瀬潤子さんのおいしいご飯が食べられますようにという小説の主な登場人物は3人ですね。
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男性の二谷さん、二谷君という、割といろんなことをそつなくこなすというか、そこそこ職場でうまくやっている、
極一般的な男性社員という感じの二谷さんと、女性のその同僚の押尾さん。
押尾さんは割と頑張り屋さんで、いろんなことを真面目に考えるタイプと言いましょうか。
もう一人その同僚の足川さんという女性の3人が出てきます。
二谷さん目線の視点で描かれる章と、押尾さん目線の章等に分かれていて、
2人から見た足川さんという感じの作りですかね。
誰が主人公っていうことでもないですね。
押尾さんだけに共感するっていう感じでもないし、
二谷さん男性から見た2人っていうだけでもないという、ちょっと面白い作りになっています。
この足川さんという女の人が、伝心柱のコッコさんがちょっとイラッとしてしまう、
ずるいところとかが目につくようになってしまうタイプの女の人かなって思ったんですけど、
あざとい、本人が自覚しているかどうかは別としてちょっとあざとい女子と言いますか、
料理が得意でね、お菓子とか焼いてきちゃうタイプの人ですよ。
すぐお腹が痛くなったり頭が痛くなったりするのと、
ごちそうしてくれた時も、割とオーバーリアクションでいっぱい食べてお腹が痛くなっちゃったりするようなタイプで、
分かるでしょ、ちょっとイラッとする感じ。
でも仕事はあんまりできないから、
頑張り屋さんの押尾さんにはいつもいろんなしわ寄せが言ってたりするわけなんですね。
ニータニーさんっていう男性に最初の方のシーンで、
押尾さんが、私足川さんは苦手なんですっていうのを見ながら告白するシーンがあって、
そこがこの話のすべてというか、とってもいいシーンなんですけど、
足川さんのこと苦手なんですよねって言った後のビールを飲むところがすごく好きなんですけど、
私は目を合わせたままビールを飲む。ゆっくり飲んだら嫌味っぽくなると思って、
わざとちょっと早くごくごくごくと一気に飲む。
言っちゃったって感じを出すためにであります。
いいでしょう、なんかこの、分かりますよね。
ゆっくり飲んだらなんていうか、ちくったっていうか、悪の共有みたいな感じだけど、
ちょっと飲んだついでに言っちゃったっていう、お茶らけ、お茶目さを演じているっていうことをわざわざ描写しているところがすごくいいなと思ったりしました。
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でもまあ、二谷さん、二谷さんの方が足川さんのそのあざとさだったり、
押尾さんから見てちょっと嫌だなって思っている感じにすごく共感しているのかどうかがわからないっていうところがね、
この小説の面白いところなんですよ。
直接害があるわけじゃないんでしょっていう言われ方をするんですけど、
足川さんが苦手ってもっと押尾さんに直接利害があるところで苦手なのかと思った。
なんか言われたとか、そうじゃなくて単にできないのがムカつく感じって、
二谷さんが押尾さんに聞くんですよね。
なんかそこすごいわかるなと思って、男の人って私あの人苦手なんだよねって言うと、
何かを解決してくれようとするところがあったりして、
じゃあどこを直してあげればいいのかなって、
何か直接的に利害、害があったから嫌だって思っているのかなって、
まず思うっていうところがね、いいなって思いました。
それに対して押尾さんが、っていうかできないことを周りが理解しているところがですかねって答えるんですね。
それもすごいわかりますね。害があるから嫌なんじゃなくて、
あの人はできないけどまあいいやってみんなが思っていることに対してムカつくみたいなことでしょうか。
この3人が二谷、足川、押尾ってごみおじで書かれていて、みんなさんづけって呼び合っているので、
ちょっとどの人が男性でどの人が女の人かわかんなくなるっていうか、
3人とも割とフラットな書かれ方をしているので、そこも含めてちょっと今っぽいなぁと思ったりしました。
さてこの小説ですね、実はこのあざと系女子の足川さんと二谷さんは付き合うんですよ。
何に惹かれてっていうのが、表紙、すごく可愛い表紙なんですけど鍋に何かがかかっている。
後ろにはケーキが置いてあって、ご飯をどう食べるかっていう話がキーになっていたりします。
今日はこの高瀬潤子さんの美味しいご飯が食べられますようにから紙フレーズをご紹介します。
他人に頑張れって言って励ますのってすごい簡単じゃないですか。自分を励ます方が絶対難しい。
今でもそう思っているのに、千谷の派遣会社に入るんだから不思議。
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だけど仕事だって決まっていた方が私は私を励ませると思うんです。
という言葉が最後の方ですね出てくるんですけど、これは押尾さん、頑張っている女子の方の押尾さんが男性の二谷に話すシーンなんですけど、
仕事だって決まってた方がやれるっていうことって励ます以外にもいろいろあるなぁって思って、
いい話だなぁって思ったんですけど、もしかしたらこの足川さんがケーキとか焼いてきたりして、それにわーって騒いで美味しそうすごいすごいとか言ったりすることだって、
仕事だって割り切ってやってる人ももしかしたらいるかもしれないっていうことを勝手に思いました。
多分押尾さんは割と自分に正直な人でそういうのにイラッとしたりしちゃうんでしょうけれども、
みんながみんな足川さんをすごい可愛いって思ってるわけじゃないかもしれないっていうのを、
伝心柱のコッコさんが思っている、気づいているその同僚の彼女さんの小ずるいところとか、
ちょっとズズしいことを言ってきたりすることに、他の人ももしかしたらちょっと気づいてるけど、
仕事上は割り切って付き合ってる人もいるかもしれないなぁなんてことを勝手に思ったりしました。
この本の大事なシーンでもあり、帯に出ているセリフに、
三谷さん私と一緒に足川さんに意地悪しませんかっていう押尾さんの言葉があるんですけど、
ちょっとそのイラッとする足川さんに悪巧みをしないかって誘うわけなんですよ。
けど意地悪しませんかって自分で言ってるってことは、自分が正しいわけじゃないってことに気づいているっていうことだから、
本当の意味で意地悪な人では押尾さんはないんじゃないかというようなことを考えたりしました。
電信柱のコッコさんにもこの小説楽しく読んでいただけると嬉しいです。
ラストはね、あ、そういうラストかっていう、ちょっとそこも含めて興味深い。
そして表紙の想定のすごい可愛い雰囲気とちょっとギャップがあるところもまた意味深で素敵な小説になっています。
一緒に足川さんにイライラ、何なんだよこいつ、またお腹痛いのかよ、頭痛いのかよ、研修も休み上がってとか思ったりしながら読んでください。
皆さんも最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
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真夜中の読書会おしゃべりな図書室は皆様からのお便りをもとにいろいろなテーマでお話したり本を紹介したりしております。
みもれのサイトからお便り募集していますのでぜひご投稿ください。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみー。
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