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2020-09-23 10:03

【第27夜】好きではない人と暮らし続けていても、今日もご飯は美味しくて

「読むとお腹が空いてしまう小説を教えて」というリクエストにお答えする第二弾!「おなすき本」の名人と勝手に崇拝している井上荒野さんの新刊『そこにはいない男たちについて』をご紹介します。料理教室というある種特殊で濃密な空間で熟成される、女たちの本音とは……?

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みもれ真夜中の読書会おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第27夜をお届けします。
シルバーウィークが明けて、編集部に行きましたら、この真夜中の読書会でリクエストをご紹介した方からお便りが届いていました。
本当の紙のお便りが届いてたんですよ。本にいつもお手紙を付けてお送りするんですけど、それに対して本読みましたっていうお便り書いてくださって、
ポッドキャストっていう新しいことっていうかね、テクノロジーは新しくなってるけど、それを通じて文通みたいな古風なやり取りが始まる感じがして、
嬉しかったし、面白いな、なんかすごくいいなと思いました。ありがとうございます。
あ、みんなそうしてっていうことじゃないですから。
はい、今日は以前にいただいたリクエストで、読むとお腹が空いてしまう小説を教えてっていうのがありました。
その時は安丸さんのまだ暖かい鍋を抱いてお休みをご紹介しましたが、今日はその第2弾としてお腹が空いちゃう本、名付けておなすき本の
勝手に紹介しちゃいますデーを開催したいと思います。なんか若い子がね、おなす、かが空いたっていうのをおなすいってつぶやいてるのを見て、可愛いなと思って、
仕事終わったは四合和、学校が終わったは学校和っていうのね、そんなおなすき本の名手と言ったら私にとっては井上アレノさんなんです。
井上アレノさんの小説に出てくる料理がすごく美味しそうだなっていつも思っていて、
井上さんのインスタもフォローしてるんですけど、そこに出てくる料理もいつもめっちゃ美味しそうなんですよ。
アットアレレノかな?A-R-E-R-E-N-Oです。今ちょっと見てみてください。
はい、大支給お腹が空きますからこの時間でも。はい、帰ってきてくれましたか?ありがとうございます。
そんな井上さんの新刊、そこにはいない男たちについてをご紹介します。
あ、そこにはいない男たちについてまでが、
書籍のタイトルです。これはですね、最愛の夫に先立たれた料理家の美加子と、
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夫のことが大嫌いなマリという2人の女性が主人公の物語で、マリは美加子の料理教室に通い始めて、
2人は交流が始まり、美加子とマリの話がパラレルで進んでいきます。
見どころは私の中ではこのパラレルで言うとマリの方のストーリーが楽しみで、
マリが夫のどこが嫌いかっていうのをね、まあ主催に主催に描写していくんですね。
まず2週間に1回床屋でつまんない髪っていうか、面白みのない髪にカットしてくることとか、
生発量をつけずに水で髪を直すところが嫌いだとか、
電気の話をしてくるとこが嫌だとか、めっちゃわかるっていうところと、そこまで嫌だって言っちゃうとかわいそうだなっていう、
なんくせに近いよなと思うところもあって、でもおかれすくなかれパートナーとか同居する家族とか同居人に対して、
こういう嫌なところを炙り出してって数え上げて、ああまたっちっていう風に思うことは皆さん経験があるんじゃないかなと思いました。
でもマリはマリでね、マッチングアプリで出会った星野という男と会ってたりするんですよ。
その彼と進展するのかどうかっていうのも見どころではあります。
もう一つはやっぱり料理教室のシーンですね。これはちょっと後半にお話ししたいと思います。
この本の奥づけに、取材協力稲葉幸恵とクレジットを入ってまして、
実はこの料理家の稲葉幸恵さん、私は以前から仲良くしていただいていて、料理教室にも伺ったことがあるんですよ。
この本の料理教室のリアルさは取材に基づいてたんだなっていうことと、
私が経験したことがあった料理教室だったからだっていう二重に納得がいきましたね。
知らずに読んだんですけどすごいびっくりしました。
料理教室ってなんか他の習い事にはない独特な親密さがあると思っていて、
それは先生と生徒もだし、生徒同士も空気の湿度があるというか、
いわゆる花嫁修行的な大手のクッキングスクールがやっている、ABCクッキングみたいなね、
スタジオナイズされたクッキングスクールはまた別だと思うんですけど、もっと空っとしてるかもしれないですが、
先生のご自宅だったりプライベートスタジオみたいなところで開催される料理教室、
そして大人が通う料理教室って自己開示の度合いが高いなって思うんですよ。
花嫁修行的なことじゃなくて、料理が割と好きでどっちかっていうと上手だったりして、
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グルメツーで通っている人が多いから、
食材とかスパイスについて、これはどこで食べたことがあるとか、誰とどんな時に食べたとか、
海外旅行の経験だったりとか、あるいは住んでたことがあるとかね、そんな話を作りながら食べながらするわけですね。
これが大人のピアノ教室とかバレーレッスンとかだったら、そこまでそんなプライベートな話をしないだろうなぁと思ったりして、
夫婦関係はうまくいってるのかっていう、夫は好きかだったかな、ちょっと忘れてしまいましたが、
それを美加子先生がマリーに尋ねるシーンが出てくるんですけど、割と最初の方に。
ピアノ教室とかだったら、ラブソングを習ってたとしても、そんなことは急に聞かないよなぁと思ったりして、
その辺が面白いですよね。
今日美加子先生変じゃなかったとかって、生徒たちが帰りがけに喋るシーンもあって、
そうやって先生の心の状態に立ち入ったり、生徒の心の状態に立ち入ったりするのも、ちょっと両立教室ならではかなと思いました。
そこにはいない男たちについてというタイトル通り、女サイドの見解だけで話はどんどん進んでいくわけなんですが、
果たして男性側はどう思って蓄積した、彼は彼で蓄積した何かはどうなるのかっていうところは、
読んでのお楽しみにしていただけたらと思います。
今日はここから紙フレーズをご紹介して終わります。
この家の中で夫の次に嫌いなのが、このアイランドキッチンだった。
これは割と冒頭のところに出てくるんですけど、
この家を決める決め手になったのがこのアイランドキッチンだったと、
その前、直前に言ってるのに、
夫への不満が積もり積もっていく過程で大嫌いになったと告白する冒頭のシーンなんですね。
この小説自体が割と料理を作るシーンがめっちゃ大事なモチーフとして出てくるのに、
その最初にこのキッチンが大嫌いだっていう宣言から始まるっていうところがすごくないですかね。
いや、痺れますわ。やっぱりこう、さすがおなすき大先生と思った冒頭でした。
この後も結構紙フレーズが痺れるセリフがたくさん出てくるので、
女の人はきっといろんなところに付箋を貼りたくなるんじゃないかなと思います。
はい、今日は最後までお聞きいただきありがとうございました。
井上アレノさんの「迷婚もおなすき本」としておすすめなので、ぜひ未読の方はこちらも読んでみてください。
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さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、
いろんなテーマでお話ししたり、本をご紹介したり、緩やかにやっていきたいと思います。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
今日は最後までお付き合いいただきありがとうございました。
おやすみなさい。おやすみー。
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