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2020-09-30 11:43

【第28夜】「半沢ロス」に。気軽に読めてスッキリする小説

半沢直樹ロスのあなたへ!あまり重くなくて、難しくなくて、気軽に読み始められて、すっと入り込め、最後は「正義は勝つ!」的なカタルシスのある小説が読みたいなと柚月裕子さんの短編集『合理的にありえない』をご紹介します。池井戸潤さんの作品と柚月裕子さんの作品の共通点とは……?


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みもれ真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。
おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになる、をテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
さて、第28夜をお届けします。
もう9月も今日で終わりですよね。びっくりしちゃいますね。
半沢直樹もついに最終回を迎えましたね。
前話を通じてリアルタイム視聴は日本全国で推計6658万8000ですって。すごいですよね。
国民の2人に1人かっていうね。
最高視聴率だったのは最終回の目次から遠取りこと、北尾寺金谷さんと半沢直樹が対峙するシーンだったそうですね。
今日ニュースでやっていました。
見ても見なくてもこんなにみんなが話題にするドラマも久しぶりですよね。
ソーシャルディスタンス時代のありえない近さの顔芸っていうか濃厚な顔芸に、ちょっと方針状態になった後はどんな小説も薄味に思えてしまいそうですが。
先日池井堂さんにインタビューさせていただいて見漏れにも掲載されているんですが、出たばかりの新刊半沢直樹あるるかんと同化しはドラマでやっていた半沢直樹より少し若い頃に戻る話なんですよ。
シリーズを重ねて半沢直樹も年齢を重ねて扱う額も相手にする企業もどんどん大きくなっていたわけなんですが、
もうちょっと若い時の個人商店とか小規模な貸し付けの物語に戻ると額の大きい話のダイナミズムもありますけれども、
額がそれほど大きくないけどその貸し付けがないと潰れちゃうみたいな世界の物語もあって、
今回は美術の世界がテーマなんですが、半沢直樹のこの人情味の部分が色濃く出ていて面白い作品でした。
ぜひこちらも読んでみてください。
そんなわけで今日ご紹介するのは半沢ロスの人にもそうじゃない人にも次は何を読んだらいいかなっていう話です。
今日はお便りじゃないんですけど、今あんまり重くなくて難しくなくて気軽に読み始められて、
ずっと入り込めて最後は正義は葛的なカタロシがある小説が読みたいなということで、
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今日の勝手に貸し出しカードはゆずきゆう子さんの短編集合理的にありえないをご紹介したいと思います。
ケイドジュンさんの作品がお好きな方にゆずきゆう子さんもお勧めしたいのは理由があって、
会社の組織だったりとか社会の不条理と戦う個人と組織の葛藤みたいなものを描いている作品だったり、
あとは男社会の特にマッチョな男社会における男の人のしんどさ苦悩とか、
そういう世界でちょっと生きづらい人たちの心理描写がとっても魅力的だなと思っています。
ゆずきゆう子さんといえば一番有名なのはコロの地ですかね、映画にもなりましたが、
広島の暴力団と警察の世界を描いた、いわゆるヤクザものですけれども、
それ以外にも元警察官の民安弁護士、
サカタサダトが活躍するサカタシリーズの刑事の崩壊などのシリーズも人気ですし、
あとは定年後の警察官は主人公の自由なんかも私はすごく好きですね。
ヤクザとか警察官とか、すごいどっぷりとした男社会を描いて円溜めに仕上げる女の作家さんで、
なかなかほかに似たタイプの人がいないんじゃないかなっていうぐらいですね。
今あまり女性作家とか女流作家とか言わないほうがいいのかな、女性監督とかね、
というと言わずに俳優で統一しようとか、そんな流れもありますけれども、
はいえ女性の作家さんで、こういったジャンルで割と唯一無二な人になりつつあるんじゃないかなと思っています。
単にハードボイルドっていうだけではなくて、
社会的弱者だったり、日頃なかなかスポットライトが当たりにくい人たちの生活を描いたハートウォーミングな作品もありますし、
あとはゆずきさんが描くおじさんが魅力的なんですよね。
おじさんキラーじゃなくて、なんて言うんだろうこういうの、おじさん好きキラーかな。
映像化されやすいのもそういうとこもあるんじゃないかなって思います。
前置きが長くなってしまいましたが、今日ご紹介するのは女性が主人公のスカッとしたタイプの小説です。
これもまたゆずきさんのもう一つのテイストとか違う魅力だと思っています。
元弁護士の上鶴良子が主人公の新シリーズ。
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新シリーズって言っちゃったけど、まだシリーズにはなっていないんですけど、きっとなると思っています。
合理的にあり得ないは2017年に刊行された短編集で、今年5月に文庫になったばかりなので、
多分今本屋さんの文庫のコーナーに結構いいところに並んでいるんじゃないでしょうか。
この作品の魅力について後半でまたご紹介したいと思います。
合理的にあり得ないは弁護士資格を剥奪されてしまった元弁護士の上鶴良子が運営する探偵エージェンシーを舞台に、
そこに持ち込まれるいろんな事件や厄介事を彼女が解決していくという話です。
事件の解決にあたって、その事件の背景だったり、人の嘘を見抜いたりとか、サスペンス的な要素もありながら、人情物っぽいところもあり、
テーマになっているのが野球賭博だったり、AI将棋の話なども入っていて、
読んでいてゆずきさんってなんて頭がいい人なんだろうなって思いますね。
池井戸さんも会社の経営者になれるのではって思うけれど、ゆずきさんも弁護士になれるのではって、
なりたいかどうかあれですけれども、思っちゃいますね。
この上鶴良子はすごく美人であるという設定になっていて、それもまた作品の良いアクセントというか良いデザートというかになっています。
女子を務めるクールな高山くんとのやりとりがまた見どころでもあります。
高山くんと上鶴さんが、距離が縮まるようで縮まらないというかね、本音が見えない感じとか、
今日の紙フレーズはそのちょっとした2人のツンデレシーンをご紹介したいと思います。
やっぱり朝はこれに限るわ。高山は入れ方が上手ね。
良子や事務所を訪れる客に飲み物を用意するのは高山の役目だった。茶葉がいいのです。誰が入れても同じです。
褒められても無表情なのは相変わらずだ。
こんな風に良子さんと高山のやりとりが本筋とは関係ないようなちょっと会話がね、ちょいちょい挟み込まれてきていて、
それがまたこの作品の魅力になっていると思うんですけど、
チャーロックホームズと助手のワトソンくんじゃないけど、ボスと助手のやりとり燃えてありますよね。
このドラマが、あ、ドラマじゃなくて小説がドラマになったら、
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いや、きっとなると思っているんですけど、神鶴良子は誰がいいかな。高山くんは誰かな。
ジャニーズだったら今だと誰かな。みたいにずっと考えてたんですけど、
いやこれ読んだ人絶対みんな考えたと思う。美人でクールで知的で多分低めの声でちょっと意地悪時々言ったりする。
誰がぴったりだろうって。竹内ゆう子さんしか思いつかないなって読みながら思ってたんですよね。
つい先週のお風呂の中で、そうやって一回思っちゃうと、
中のセリフが全部竹内さんの声で脳内再生されて、良子のセリフがね。
だからとってもびっくりしたし、ショックすぎて今も呆然としているんですけれども、
でもこの本が竹内さんのことを思い浮かべるというか、
勝手な想像だけど、セリフを言ってくれる時間を私に引き寄せてくれたんだなって思いました。
喋ってると泣いてしまいそうなぐらいだけど、ちょっとしんみりしてしまいましたが、
ぜひ皆さんもちょっと、もしかしたら想像しながら読んでみてもらいたいなって思いました。
小説自体はちょっと暗いものではなくて、すっきりするような気持ちが上がるような小説なので、
あとはちょっとした旅行とかにもね、ぴったりかなと思います。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室はこんな感じで、
皆さんからのお便りをもとにしながら、いろいろなテーマでお話ししたり、本を紹介したりしています。
ミモレのサイトからお便り募集しているので、ぜひご投稿ください。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
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