2024-03-19 24:25

17. ガチャガチャ:カプセルトイの歴史 / 子供だけでなく「大人女性」に大人気の理由

■話の流れ

ガチャガチャは2022年度の市場規模が610億円 / 10年で2倍以上に拡大 / ガチャガチャの発祥はアメリカ / 「シャラップトイ」とも呼ばれる / 日本に入ってきたのは1965年 / ⓪黎明期:ウルトラマンが人気な一方でパチモンも流通 / ①第一次ブーム:キンケシが累計1億8,000万個売れる / ②第二次ブーム:カプセルトイとマシーンに革命 / ③コップのふち子さんが人気 / ④専門メーカーが台頭 / ガチャガチャのプレイヤーは主に3種類


■参考書籍

ガチャガチャの経済学

https://amzn.to/3Tkg00v


■参考資料

【カプセルトイの大人需要実態調査】大人女性の2人に1人がカプセルトイの購入経験あり、30代男性は一度の購入金額1,000円以上が25%と高額な傾向

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001155.000031422.html


急拡大するガチャガチャ市場に学ぶ、ターゲット層の拡大と「遊び心」

https://newswitch.jp/p/39789


ガチャガチャ急成長の秘密 「大人女性」をターゲットに

https://bizgate.nikkei.com/article/DGXZQOKC154KZ015112023000000


■アンケートフォーム

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSecxrGlGRJEdeVL2klEei5L1kGzjImbEnRJBsvBf_OPX2wYFQ/viewform


■Twitter(現X)

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Audio Japan 〜あなたと一緒に日本を学ぶ〜。この番組は、日本の文化やトレンド、マニアックな情報などを掘り下げて楽しく学んでいく、そんな番組です。
英語で聞きたい方は、Audio Japan Learning Japan with you よりお聞きください。
Spotify、YouTube、Apple Podcast などで配信を行っています。
パーソナリティの教育デザイナー Arai Taiki です。よろしくお願いします。
さてさて、今回はですね、ガチャガチャについて話をしていきます。
そう、あのおもちゃのガチャガチャです。
これを聞いているあなたも、一度はお金を入れて、ふたを回して、出てきたおもちゃを開けた時に、
自分が欲しいおもちゃ、カプセルトイが出てくることもあれば、違ったものが出てきて、
あーなんだよーって思いながら、もう一回回したこともあると思います。
私も小学生の時にゲームコーナーで回した覚えがありますね。
そんなガチャガチャですが、一般社団法人日本玩具協会の発表によると、
2022年度のカプセルトイ市場は、前年度比35.6%増の610億円と、
2012年度で270億円程度だったので、10年で2倍以上に伸びています。
カプセルトイは、かつてはおもちゃ屋の軒先や商業施設の片隅などに置かれていて、
主に子供が購入するものでした。
しかし、昨今においては、カプセルトイを作るメーカー専門店も台頭してきていますので、
カプセルトイを購入する人は、大人向け、ファン向けなど、いろんな年代にわたっています。
前半部分では、カプセルトイの変遷と、カプセルトイが人気の理由について話をしていきます。
後半部分では、カプセルトイに参入しているプレイヤーについて触れていきます。
ガチャガチャは、日本発祥ではなく、アメリカが発祥とされています。
1880年代にアメリカ、ニューヨークでチューインガムやキャンディー、
あるいは鉛筆などが無人販売機で販売されていたのがルーツとなります。
当時は、カプセルに入っているわけではなく、むき出しの状態で出ていたみたいです。
その後、1940年代にマシンの中に今述べたようなものに加えて、
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おもちゃも混ぜて売るようになった時に、そのおもちゃを欲しさにガチャガチャを回す子供が増えてきたこともあり、
おもちゃだけ独立した形態が生まれました。
泣きじゃくる子供をなだめるのに便利であったため、当時はシャラップトイと呼ばれていたそうです。
当時そのおもちゃを作っていたのが日本の会社で、
東京の葛飾区や墨田区にある工場がおもちゃを作成してアメリカに輸出していました。
ガチャガチャが日本に入ってきたのは1965年になります。
アメリカの会社、ペニーキングの社長から依頼を受けた2人の男性が、
株式会社ペニー商会というものを立ち上げ、
アメリカから輸入したマシーンを主に駄菓子屋や文房具店の店先に置かせてもらい、
10円で世界のおもちゃを集めようというキャッチフレーズの通りにミニチュアトイを当時10円で販売していました。
かなり安いですね。
ちなみに今述べた株式会社ペニー商会は現在は宝富グループ企業となり、
株式会社ペニーとしてガチャガチャのオペレーターなどを行っています。
ここから日本でもガチャガチャが始まりまして、段階としては黎明期を含めると5段階あります。
まず初めに黎明期というところで、
1966年1月に朝日新聞社の雑誌朝日クラブでガチャガチャについて取り上げられた後、
全国からマシーンや商品の問い合わせが殺到しました。
当時カプセルの中に入っていたのは指輪、キーホルダー、人形などがあります。
何が出てくるかわからないドキドキ感と、
一回たったの10円でガチャガチャを回せる魅力が子供たちの心をつかんでいました。
中でも人気だったのはウルトラマンです。
テレビで見た好きなキャラクターがたったの10円で手に入れることができたので、
欲しいものを手に入れるために5回、10回、多い時だと20回回す人もいたそうです。
しかし当時のカプセル問いメーカーは権利元と契約を交わしていなかったので、
ウルトラマンが人気の時はウルトラマン風のガチャガチャが出てきたり、
ウォークマンが流行ればウォークマン風のガチャガチャなどパチモンもかなり出ていたそうです。
その代表格がコスモスという会社だそうです。
一時期は市場の約80%獲得していたのですが、
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ビックリマンチョコシールの偽物を大量にガチャガチャで行ったことが発覚し、
ロッテから訴えられたため、業界からいなくなりました。
コスモスが市場に参入した同時期に、今の大手企業バンダイも参画しました。
大手おもちゃメーカーが参入したことで、パチモンが減ってきて健全な市場となっていきました。
でも確かに、新しい市場が作られていくときに、
どうしても一定数偽物であったりパチモンが出てしまう、ある種例明期あるあるなのかなと思いました。
例明期を経て第一次ブーム、金消しが出てきます。
1979年に筋肉マンが少年ジャンプで連載が始まると、またまた子供たちの間で人気となり、数年後にアニメ化もスタートしていきます。
1983年にバンダイが筋肉マンに登場するキャラクターをモチーフにしたゴム型人間の消しゴム、通称金消しがガチャガチャで販売を開始すると、
瞬く間に売れまして、累計1億8千万個売れたそうです。
現時点の日本国内の人口よりも売れたってことですよね。
マシーンに商品が補充されると子供たちが群がってすぐにマシーンの中身が空っぽになるくらい人気でしたと。
ガチャガチャの近くで男の子同士で喧嘩してそうな風景が浮かびましたね。
また、バンダイはこの時、当時適正価格が10円から20円だったのに対して100円という価格で参入したこともあり、これ以降はガチャガチャ1回あたり100円が主流になりました。
まさにメインプレイヤーだからこそできることだなと思いますね。
そして1988年に友人、今の宝トミーがガチャガチャ市場に参入しまして、バンダイと同様にメインプレイヤーとして市場を作っていくことになります。
これが第一次ブームとなります。
続いて第二次ブームが来まして、1994年にバンダイがハイグレードシリーズウルトラマンを発売しました。
それまでの金消しはじめカプセルトイは単色だったのに対して、このハイグレードシリーズウルトラマンはフル彩色で造形もかなり改善され、子供たちだけではなくウルトラマンが好きなマニア層にも普及していきました。
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また宝トミーもバンダイに続いてディズニーキャラクターのフィギュアを展開していきまして、子供たちに加えて母親含む女性層にも対象を広げていきました。
どちらも人気商品になったことで、1996年以降は200円のガチャガチャも含まれるようになったり、テレビでもガチャガチャが特集されたりしたことで、子供だけではなく大人も楽しむ商品だと認知されていきます。
またカプセルマシーンにも大きな進化・革命が起きました。
それまでのマシーンは100円機と200円機が別々で、価格を変えることができなかったんですよね。
しかし宝トミーがスリムボーイというマシーンを開発したことで、商品に合わせて自由に価格を変更できるようにしたり、マシーン2台を上下に一体化させたので、売場面積が少しだけでもあれば連結して並べることができるようになりました。
そのため、駄菓子店や文房具店だけではなく、ファストフード店やコンビニなど、いろんなところでガチャガチャのマシーンが置かれるようになりました。
ちなみにこのスリムボーイは今も使われていて、バンダイもしくは宝トミーのマシーンの中に複数のメーカーが開発した商品が投入されています。
2010年代に入り、第三次ブームが来ます。
2012年に入ると、キタンクラブという製造メーカーと漫画家の田中克樹さんによって誕生したコップのフチコさんが発売されました。
この頃からですね、私もようやく、そういえば当時そうだったなと思い出すことができました。
当時通っていた編入予備校で一人、コップのフチコさんを全種類集めている同級生がいたんですよね。
どういう心境だったのかは彼女に聞いてみないとわからないのですが、ガチャガチャは完全に10代後半から20代女性でも全然購入するものになったり、
このキタンクラブの成功によって、色々なメーカーが大人の女性向けガチャガチャ商品を作るようになっていきました。
また、2012年はスマホ元年と言われていて、スマホの普及台数がガラケーを追い越した年になりまして、
スマホのタイトーによって、SNSにコップのフチコさんを撮った写真が投稿され、瞬く間に全国へと拡散されていきます。
そして第四次ブーム、令和に入りますと専門店が続々と開店していきまして、
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例えばガチャガチャの森やガシャポンのデパートなど専門店が続々と登場していき、女性がさらに購入しやすくなるようになりました。
中でもガチャガチャの森は店舗によっては置いてある商品の種類が800種類もあるみたいです。
軽く2,3時間くらい滞在できそうですし、ユーチューバーじゃないですが、1万円でガチャガチャ回せるだけ回してみたのような企画もできそうだなと思って、
ちょっと調べてみたら、もうすでに名だたるユーチューバーがやっていましたし、1万円どころか10万円、100万円でやってみたっていうコンテンツもあったのでびっくりしましたね。
また、この頃から1回2,000円から3,000円のガチャガチャも出てきたみたいで、それを知ったときに、
その値段であれば200から300ページの専門書1冊買えるやんと思わず思っちゃいましたね。
それと、2020年からはコロナが流行り、商業施設からテナントが撤退する一方で、ガチャガチャは人件費も電気代もかからないので、
その穴を埋める形でどんどん参入していきまして、価格帯もこの頃から300円が中心となっていきました。
ということは、もう10年以上ガチャガチャを回していない私なのですが、もし仮に今後どこかのガチャガチャ専門店に行ってみたときに、
100円で回せるガチャガチャは少なく、むしろ300円、400円、あるいはどうしても欲しい商品があったときに2,000円かかることもあるんだなと思うと、ちょっとゾッとしましたね。
どうしてガチャガチャは人気なのか掘り下げていくと、
玩具事業や映像音楽事業を手掛けている株式会社ハピネットが、2023年1月に発表したカプセル問いの大人需要実態調査というものによりますと、
男性はクオリティの高さに対して購入する傾向が高く、女性は何が出てくるかわからないドキドキ感に魅力を感じて購入することが多いそうです。
他には品揃えが豊富であったり、低価格で購入しやすいことも人気を博している要因となっています。
中でもガチャガチャの魅力、私としてはランダム性にあるのかなと思います。
その背景には日本古来の文化の一つであるおみくじ文化に行き着くのかなと感じていまして、
大吉や吉が出れば喜び、凶や大凶が出ると悲しむと。
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どちらに転んでも話のネタとして使うことができるなぁとそう思うんですよね。
また購入するきっかけのところには出てこなかったのですが、基本的にガチャガチャの再生産はないそうです。
後半部分でも軽く触れていくのですが、ガチャガチャは基本発売する3ヶ月前にどれくらい生産するか決めて、
その決められた生産量の中で販売するので、たまたま見かけて、
この商品いいなと思ってその場で購入しないと後から手に入れようと思っても、
場合によっては数日で売り切れてしまってガチャガチャを回すことができないこともざらにあるそうです。
加えて、XやインスタグラムなどのSNSとガチャガチャ相性もいいので、
ユニークな商品を手に入れたり、あるジャンルの商品を全部コンプリートした時に投稿できるというところもあるので、
単なるモノ消費ではなく、ある種コト消費として普及していることもあり、
ガチャガチャが今でも人気なのかなと感じましたね。
後半部分ではガチャガチャのプレイヤーについて話をしていきます。
主なプレイヤーとしてはメーカー、オペレーター、販売店の3つになります。
メーカーは商品の企画や製造を行う会社のことで、
日本においては2024年3月時点で約40社のメーカーがあります。
中でも今も派遣を取っているのはバンダイと宝トミーの2社で、市場の7割を握っています。
かなり占めていますね。
やはり大手企業だからこそ人気キャラクターなどのIPを多数抑えることができていたり、
マシーンもこの2社しか持っていないので、他社がどんなに良い商品を作成したとしても、
世の中に流通する際にはどちらかのメーカーのマシンに入れることになります。
でも最近においては先ほど述べたキタンクラブのように独自で製造している専門メーカーも増えてきているので、
自分なりの感性を生かして商品として打ち出したり、
あるいはプロデューサーとして魅力あるクリエイターとコラボして展開していくことも可能です。
オペレーターはメーカーが作った商品を仕入れて市場に供給したり、
ショッピングモールなどと交渉してマシーンを設置したりすることを指します。
マシーンで得た収益の一部をメーカーや販売店に還元していきます。
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主要会社はハピネットとペニーの2社で、
ハピネットはバンダイ、
ペニーはタカロトミーがグルーブ内の企業として抱えているので、
この2社で市場の7割を占めています。
大手だからこそ一貫してできるんだなと思いましたね。
オペレーターの大事なこととしては、
在庫の管理とガチャガチャが売れそうな場所を開拓することです。
在庫の管理に関してはメーカーが在庫分を負担するのではなく、
オペレーターが負担することになるので、
老若男女が集まりそうな場所、
どのような品揃えであればガチャガチャを回してくれるのか考えて設置・交渉していきます。
販売店はマシーンをお店に置いた後に消費者向けに販売を行っていきます。
販売店はショッピングモールやアミューズメント施設だけではなく、
駅や映画館、コンビニなどにも置かれていきます。
販売店の例としては、ガチャガチャの森というのがあるのですが、
2017年に1号店をオープンさせ、
2024年3月時点においては、
フランチャイズなども含めると95店舗まで拡大させています。
100店舗は今年中に行きそうだなと思いましたね。
ガチャガチャの森が人気となっているのは、
お店の設計に工夫を施しているところです。
白を基調とした清潔かつ明るい照明で、
大人の女性にも入りやすい店舗設計にしましたと。
さらに常駐の接客スタッフを置きまして、
お客様からの問い合わせにも応えられるようにしていったと。
ガチャガチャの森以外では、
ガシャポンのデパート、ガシャココ、シープラなどがあります。
もし今後プレイヤーとしてガチャガチャ市場に参入するのであれば、
企画、製造を手掛けるメーカーとして参入するのがおすすめです。
残りの2つはプレイヤーが飽和していたり、
参入障壁が高いからです。
プレイヤーの場合、前半部分で述べたキタンクラブのように、
この10年で約40社まで増えてきていますので、
中小企業ならではの小回りの良さを生かすことで、
斬新な企画、商品をヒットさせることもできます。
今回ガチャガチャの切り口で話をしてきたのですが、
ガチャガチャの経済学という本により詳しく書かれています。
著者の小能さんという方は、約30年間にわたってガチャガチャビジネスに携わり、
業界の歴史やビジネス事情に精通している方です。
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ガチャガチャが好きな人はもちろん、新しい企画を考えている人、
自社でカプセル問いを作って老若男女に届けたいと考えている人は、
ぜひ購入して読んでみてほしいなと思います。
概要欄に掲載していますので、手に取って読んでみてくださいね。
オーディオジャパン、あなたと一緒に日本を学ぶ、エンディングの時間となりました。
前回の内容と一部被るのですが、今回の放送を通じて私が学んだこととしては、
まずは小さく始めて、コア向け、マニアックになってくれる人、
ファンになってくれる人向けに作成して、それを拡大していきたい場合は商品のクオリティを上げる。
それでも行き詰まった場合は対象者を広げて工夫を施していくと。
中でも任天堂のWiiが最たる例だなと思いまして、
Wiiもゲームを主にしている人ではなく、
ゲームを嫌っているお母さんの味方になるために展開していました。
そんなところを学びましたね。
仙台にもガチャガチャの森やシープラなどガチャガチャ専門店があることを
今回の放送で調べていく中で知りましたので、近いうちに行ってみようかなと思います。
ただですね、行ってもガチャガチャを回すことなく帰りそうな予感がしているので、
果たして魅力ある商品があるのかどうか探っていきたいなと思います。
それとガチャガチャの第5次ブームが来るとすれば、
NFTや仮想通貨、ブロックチェーンが一般的になる頃かなと予想しています。
正直私もその分野は疎いので何とも言えないのですが、
肌感として多くの人に普及していく感覚がありまして、
それはチャットGPTなのですが、私が先日電車で移動しているときに、
女子高校生がチャットGPTを当たり前のように使用しているところを見て、
すごく驚いた覚えがありまして、それが約半年前になるので、
その頃にはだいぶ使っている人は使っているんだなと当時思いましたね。
その感覚を大事にしていきたいなと思ったところです。
オーディオジャパン、あなたと一緒に日本を学ぶ番組への感想は、
ハッシュタグオーディオジャパン、すべてカタカナでxqtwitterに投稿いただけると嬉しいです。
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24:03
私、新井大輝への質問や感想なども大歓迎です。
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最後まで聞いていただきありがとうございました。
お相手はパーソナリティの教育デザイナー、新井大輝でした。
24:25

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