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  2. #12 河川計画
2021-04-30 15:52

#12 河川計画

建設コンサルタントの分野をお話していくシリーズ。今回は河川の計画のお話。ぱっとみるとものすごくシンプルな「流量配分図」の裏に隠れた、膨大な苦労を専門外なりに説明していきます。
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建コンのアレこれの建コンのアレです。よろしくお願いします。
建コンの様々な分野の紹介をしていくシリーズです。
今回は河川計画。ついに道路から河川に来ましたね。
河川計画のお話をしていきます。
道路はみんなで使う公共スペースであるのに対して、河川は誰も使っちゃいけない公共スペースということで、
二大孤島のもう一方なわけですね。公共スペースの代表格の一角。道路に対して河川。この河川の計画の説明をしていきたいと思います。
誰も使っちゃいけないっていうのはですね、川で遊んでいいんですよ。いいんですけど、所有しちゃいけないっていう意味です。
所有しちゃいけないっていう意味で公共スペースですよと。そういうことです。
何で所有しちゃいけないかというと危ないからです。水が来て危ないからです。ちょっと語弊があったかもしれないんですけど、そういう意味として捉えてください。
道路の機能は現代で言えば自動車が十分に通ること。それが道路の機能ですね。そのために交通計画では交通量、自動車がどのくらい通るかを予測するのが非常に大事でした。
じゃあ河川はっていうと、河川の大切な機能は水を通すことです。雨水、特に危ない水が一番多い時っていうのは雨が降った時なんですね。だから雨水が通ることが河川の機能です。
河川計画も似てて、河川の計画をする時には水がどれくらい通るのかっていうのを予測するのが非常に大事なわけです。それが河川計画のメインと言ってもいいと思います。川にどのくらいの水が流れるのかっていうのを予測するわけです。
で、どうするかってことなんですけど、河川の川に流れる水の計画上の最大量を図で示したものを流量配分図って言います。流量ってのは流れる量、配分ってのは配る、分けるってことですね。流量配分図って言います。
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この流量配分図は気になる方はGoogleとかで調べてみてみてください。何これって思うかもしれないような非常にシンプルな図です。川が直線で描かれていて、大概は支線っていう合流があります。いくつかの川が合流しているような絵になっています。
で、絵によっては途中に台形が描いてあってダムが描かれている場合もあります。流量配分図。この流量配分図、超シンプルな流量配分図を作るのにものすごい苦労があるっていうのが河川計画の面白さなんですね。
簡単に、これまた正確じゃないかもしれないんですけど、私の理解でこの流量配分図を作るためのステップを説明しますと、まず雨を設定するところから始まります。
どんな雨でも溢れない川を作るか、どんな雨でも溢れない川を作るか、同じことに変えました。
どんな雨かって言った時に、伊勢湾台風並みとかって言うんですけど、降る場所と強さによっていろんなパターンがあるんですよね。
同じ強さの雨でもこっちの範囲に降った時より、あっちの範囲で降った時の方がこの川に対してはたくさん水が来ちゃいますってのがあるんですよ。
あと、こっちの範囲に降った時より、あっちの範囲に降った時の方が同じ強さでも水がいっぺんに集まってくるってのがあるんですよ。
楽な方の範囲に雨が降った時には、水が同じだけ来るんだけど時間差で来るっていうね。
そのステップの2個目が、雨が川にたどり着くタイムラグを計算するっていうステップがあるんです。
範囲とかパターンを設定したらね。
そのパターンを10パターン想定するんだったら、10パターン分全部タイムラグを計算するんです。
あとロスっていうのもあって、ロスっていう言い方をちょっとごめんなさい、知ってるかわからないですけど、意味としてはロスです。
地面に染み込んじゃう分は川にたどり着かない分として、例えば100雨が降ったけど川にたどり着くのは85とかね。
流出率って言うんだっけな。
っていうようにタイムラグとロスを計算するんですね。
そうすると、その分のタイミングのずれで、こんだけの川が川にたどり着きました。
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川にたどり着くんですけど、川って長いじゃないですか。
川のA地点にたどり着く水はこんぐらい、ちょっと下流のB地点にたどり着くのはこんぐらい、C地点、D地点つって、
それをどのくらいの細かさでやるかとか、いろんなシミュレーションの手法があるらしいんですけど、
この辺はシミュレーションの世界です。
川にズンズン集まってくるんですけど、それを積み重ねて川の流量っていうのを計算します。
川にこんだけの流量が流れますと、この流体とか水のイメージは物理の中でもちょっとニアックというか苦手な人はイメージしにくいかもしれないんですけども、
川に水が流れているじゃないですか。
この川っていうのは幅が広いほど水位は下がるんですよ。
水の深さは浅くなるんですね。
要は断面積に関係があるんですけど、幅が一緒でも川の勾配がきついほど、
これまた水の深さって浅くなるんですよ。
ひゅーんって水が行っちゃうと水って浅くなるんですよ。
これ過小勾配って言うんですけど、川の勾配ね。
勾配は道路でも出てきましたけど、川の勾配、過小勾配って言って。
とにかくこの河川の断面積と過小勾配によって流量から水位を計算すると、
初めて水がこの10パターンのそれぞれのパターンで、
このポイントではこの高さ、あのポイントではこの高さになります。
っていうような水の深さ、高さが計算できるんです。
わかりますかね。10パターンやって、ずっと上から下まで、
どのエリアをやるかってまた範囲決めたりするんですけど、
上から下まで水の高さを計算するのにすごいステップがあるのわかりましたよね。
それをしかも10パターンもやるんだったら大変だと思いますよね。
全部シミュレーションしたりして、やってみたけどちょっとああだなとかこうだなとか。
ここで一番きついのはこのパターンだなとか。
さらに視線が合流してくるんですね。
この合流は番外編の品野川、筑波川の回でも見ましたね。
あの品野川にいろんな視線が合流してましたよね。
そういった合流する場合の視線の流量っていうのにも
いろんなパターンがあったりする場合があると思います。
視線の流量は絞ってから本線やるのか、
いろんなやり方があるんだろうと思うんですけど、
ちょっとそこまで詳しくわかんないんですけど。
とにかくそんないろんなステップを経てですね、
河川の水位が決まったら、ここで対策を考えるんですね。
現在の定棒のこの高さだと、
このくらい足りませんとかなったりするわけですね。
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そこで何とかするためには、いろんな方法があるんです。
定棒をかさ上げしてもするとか、
引き手って言って定棒を広げるとかあるんですけど、
あと調整値を作るって言ってもあります。
これはもう定棒はいじらないんだけど、
水位を下げる方法として調整値を作ったり、
ダムっていうのも、
ダムって何なんだっていうのをまたいずれ、
ダムの分野の時に詳しく話しますけど、
ダムの大事な機能の一つは、
下流の河川の水位を下げるということなんですよね。
機能の一つがね。
雨の時にね、上がりすぎないようにするってことです。
そういうように定棒は触らないけど、
水位が上がりすぎないようにするっていう対策もあります。
それで、さっきの10パターンに、
雨のパターンは5パターンに絞ったりとか、
いろいろあり得ると思うんですけどね。
とにかくその雨のパターンに対して、
対策のパターンが掛け算で効いてくるんです。
雨のパターン①に対して、
ダム作った場合、調整値やった場合、
定棒をかさ上げした場合、
引き手した場合とか、
あと、河床掘削っていって、
川の底を掘ることで断面積を稼ぐとかね、
いろんな対策があるっていう話で、
っていうように、いろんなパターンを計算して、
それで、よし、この河川はこれで整備をしよう、
っていう風に決めるのが、
さっき最初に言った流量配分砂です。
もう説明を多分、
こんだけ一生懸命説明しても、
図ぜひ見てみてもらいたいんですけど、
できんのこれ?っていうぐらいね、
すっごいシンプルな図なんですけど、
その裏には非常に汗が滲む苦労があると、
いろんな人が協議して決めてるんですね。
っていうことです。
さらに、さっき言った対策に関わるのかな、
計画規模にも関わるんだけど、
流域治水っていう考え方が最近登場してですね、
これは雨のパターンを、
今までは100年に1回の雨とかね、
150年に1回の雨とかいう雨に対する河川を
整備してきたんですけど、
気候変動の影響が最近顕著だと、
確かにニュースでも聞きませんかね、
堤防から水が溢れちゃったようなことっていうのは、
皆さんの身近な川でも危ない目に遭っているようなのがね、
最近は河川のカメラの映像なんかも
インターネットで公開されてるんで、
もう溢れそうになってる映像見たことある人いると思うんですけど、
そういう状態なんで、
今までの考え方からさらに強い雨が降っても
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降った場合のことを考えましょうと。
降っても大丈夫なようにするかどうかも含めて、
大丈夫とか大丈夫じゃないの場合にまずそれを想定しましょうと。
来るかもしれないっていう話にまずしましょうっていうのが
流域治水っていう考え方で、
この流域治水の考え方はちょっとまた別の時に
切り出して取り上げて話をしたいと思います。
それと河川計画で話をしておきたいのはもう1つあって、
さっきの私が長々と説明した流量配分図の背景には
降った雨が無事に川にたどり着くっていう前提があるんですね。
降った雨が無事に川にたどり着いて
初めて今の流量配分図っていうのは成り立つんですけど、
実はですね、ゲリラ豪雨とかがあったりして
川にたどり着く前にマシンで溢れちゃうっていうか、
川から雨が…もう一回言います。
川から水が溢れてくるんじゃなくて、
町に降った雨が川に行く量よりも降ってくる量が多くて
どんどんどんどん水溜まっちゃうっていう、
町に水溜まっちゃうっていう、
川に行けずに溜まっちゃうっていう状況があって、
これを内水氾濫って言います。
こういった内水氾濫のシミュレーションとか解析とか
対策を検討するのも河川計画の一つです。
内水っていう言葉が出てきたところでですね、
これは豆知識的なことなんですけど、
皆さん電車に乗っててホームで電車待ってるときに
白線の内側に下がってお待ちくださいっていうアナウンス、
何度も聞いたことありますよね。
今はもう聞き慣れちゃったかもしれないけど、
小さい時って白線の内側って線路じゃんって思ったことありません?
白線の内側ってどっちよって。
あれは白線の白い線の安全な方のことを内側って言ってるんですよね。
とにかくパッと見たビジュアル的に
向こうにも線があって足元にも線があって
内側は線路じゃんって思うけど、
こういったときの白線の内側っていうのは
安全な方を内側って言うんです。
これで堤防も同じなんです。
堤防の外側って言ったら危ない方、つまり川がある方なんですよ。
堤防の内側って言ったら町がある方なんですよ。
これもね、パッと川を見たときに
堤防の内側に川があるイメージがあると思うんですけど、違うんです。
こういうときも危ない方を外側って呼びます。
内水氾濫っていうのは堤防の内側、
つまり町がある方、川じゃなくて町がある方で
水が川に届ききらなくてあふれることを内水氾濫って言うんですね。
っていう豆知識でした。
ということで、遠くに流量配分図にちょっとフォーカスをして
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河川計画についてお話ししていきました。
次はこの河川計画に基づいて
河川構造物の設計を行う話をしていきたいと思いますが、
河川構造物の話をする間に多分何回か番外編が挟まると思います。
これを聞く頃には多分ゴールデンウィーク入ってるんじゃないかと思うんですけれども、
皆さん、良いゴールデンウィークをお過ごしください。
って思ったけど、ポッドキャストだからいつ聞くかわからないんですよね。
この話は2021年のゴールデンウィーク前に収録しています。
では最後まで聞いていただきありがとうございました。
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