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こんばんは、邦訳アメコミ雨あられです。今回は、移植会です。
なんと、いつもと違う録音機材を使用することになりました。
収録場所は、いつもと同じ真っ白で、ふかふかの壁に囲まれた、この部屋の中なんですが、
音の聞かれ方もね、少しいつもと違うかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
いよいよこのラジオも、一人で100回以上延々とやっているわけなんですが、
何回やっても、一人で喋るってのは、きついですね。
誰もいない真っ白な部屋の中で、一人で話していると、
なんだかもう、世界は滅んでしまっていて、誰もいない
虚空に向かって、こう、電波を発信しているような、そんな気分にもなってきますね。
そもそも、私がこうして読んでいるアメコミも、他に読んでいる人、いるんですかね?
いやー、誰か一緒にアメコミ語れる人でもいたらいいんですけど、
まあ、なかなかそんな都合のいい人なんていないですよね。
それでは、やっていきましょう。
この番組は、毎週一冊の翻訳アメコミを取り上げて、その内容を紹介しています。
今日取り上げるのは、スーパーマン エンペラージョーカー
いやー、めちゃくちゃ名作でしたね。私、この作品大好きです。
今回もネタバレ注意でお願いします。
もし、まだ読んでいない方がいらっしゃったら、ぜひこちらのね、本買っていただいて、
読み終わってから、続きを聞いていただければと思います。
ゴッサムシティは、いつも通りの日常を繰り返す。
今日も、アーカムアサイラムから、世界一危険な犯罪者、スーパーマンが脱獄し、
いつものように、スーパーヒーロービザロが、彼をアーカムに送り返す。
そう、この世界は、神の力を得たジョーカーによって書き換えられた世界だったのだ。
誰もが元の世界の記憶を失い、スーパーヒーローすらその存在が許されない世界で、
スーパーマンは、狂気の皇帝、エンペラージョーカーに打ち勝つことはできるのか?
といったお話ですね。
ライターは、ジェフ・ローブ。
あとは、エド・マクギネス。
あとは、エド・マクギネスですね。
ジェフ・ローブは、多分皆さんご存知だと思います。
面白い奴だな、気に入った。殺すのは最後にしてやる。
で、有名な、アーノルド・シュラツベッカー主演の映画、コマンドーの脚本を書いた人ですね。
あと、バットマンハッシュとか、バットマンロングハロウィーンも担当しているそうです。
あと、エド・マクギネス。
アーティストのエド・マクギネスは、スパイダーマン・デッドプールのアートを担当している方ですね。
本屋のアメコミコーナーに行けば、ほぼ確実に目にするアーティストだと思います。
そういう有名なライターと有名なアーティストが組んだ作品なんですが、
ここで出てきた今回のエンペラージョーカーという作品は、かなり変化球的な作品だったと思います。
一番の特徴は、ジョーカーが作り出した歪んだ世界が舞台になっているので、
とにかく狂気に世界が溢れているんですね。
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秩序、生産性、科学的論理みたいなものを徹底的に否定して、
ニタスには魚になる世界と言ったらいいですかね。
ですから、町行く人々の顔とか、服装とか、建築、自動車、そういったものが全て歪んでいるというか、
ジョーカー的なデザインで描かれているんですね。
このアートがすごくいいんで、もし見たことない人いたら、この作品の絵ですね、アートぜひ見てほしいなと思います。
エドマクギネスのアートが見やすいだけに、その狂気の怖さというか、理屈の通じない感じっていうのがすごく印象的ですね。
この作品、エンペラージョーカーという方訳のタイトルを付けられているんですけど、
もともとはいくつかのスーパーマンシーのクロスオーバーとして始まった作品です。
もともと雑誌として連載発売されていたときは、スーパーマンアーカムという名前で、こういう狂った世界を生み出した黒幕が一体誰なのかわからなかったんですね。
そしてお話の内容としても、この世界が一体何なのかという説明はなかなかされないんですね。
いきなりスーパーマンは悪人として扱われるし、ジャスティスリーグのメンバーというのも登場するんですけど、その構成員は知らないキャラクターばっかり。
スーパーマンの同僚ジミン・オルセンも登場するんですが、彼はですね、服面を巻いた忍者タウトルっぽいでかい亀に噛まれてですね、巨大化してしまうとか、
聖なる炭酸水を使って除霊するエクソシストなんてのが登場したりして、かなり狂気の世界が描かれるんですね。
スーパーマンのパートナーであるロイス・レーンも、スーパーマンが悪人だって信じきってしまっているし、
かなり個性的なエピソードが前半はずっと続いていきます。
こうしてあらすじの説明もするのもすごく難しいところはあるんですね。
そもそもスーパーマンも自分が何者なのか分かってないんですね。
ただ、それでもそういう歪んだ世界の中でも、そこを少しでも良いものに変えていこうとするっていうのはすごくスーパーマン的だし、
こいつはいったいどんな状況になっても変わらないんだなっていうのを改めて考えさせられましたね。
みんなが記憶を失っている、キャラクター全員が記憶を失っているので、
読者だけがこの世界の異常性に気づいているっていう構成も個人的にはすごく面白かったですね。
いったい誰がこの世界をなぜ作ったのか、雑誌に掲載していたときなんかはミスセリーっぽくもっと楽しめたのかもしれないですね。
とはいえ、今これを読んでも驚きや謎解きがないわけでは全然ないです。
私はこれを読み始めたときは、バットマンの悪役であるジョーカーとスーパーマンがどう戦うのかなっていう視点で読んでたんですけど、
驚きの連続、こう来たかっていうね、驚き、謎解き、ドキドキを一時楽しむことができたんじゃないかなと思います。
好き嫌いももしかしたらあるかもしれないですね。
私も読んでいて全く理解できないエピソードとかもありました。
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ただそれが一つの結論というかオチに向かって集約されていくっていうのをやっぱり読んでて気持ちよかったですね。
やっぱりいつもと同じじゃつまらないですよ。
たまにはね、終わらない繰り返しを破壊するっていうのも大切だと思うんですよ。
そんなこんなでスーパーマンは少しずつこの世界の歪みに気づいていくんですね。
具体的にどうやってスーパーマンがその世界の歪みに気づくのかっていうと、
この世界は科学技術というものが基本的には否定されているので、
科学者とされる人間はほぼ全員強制収容施設に入れられてるんですね。
スーパーマンが収容されている施設にも科学者がいたんです。
その科学者から物理学の方程式っていうものの話を教えてもらうんですね。
そしてその物理学の方程式が実は自分の持っている知識と同じだったと。
そこでスーパーマンは考えるんですね。
もし自分と同じ妄想を共有しているのだとしたら、
物理学の方程式は妄想として考えられていたので、
それは歪んだ想像力が作り出したものではないんだと。
もし自分と誰かが同じ妄想を共有しているのであれば、
おかしいのはこの世界の方なんじゃないのか。
経験的な実証と科学的な知識っていうものを使って、
この世界の間違い、世界の歪みっていうものを理解していくんですね。
こういう人との交流で何かを学んでいくのっていうのもすごくスーパーマン的ですよね。
バットマンとかはこういうのできるんですかね。どうなんでしょうね。
そしてスーパーマンは宿敵でもある5次元の妖精ミクシーの力を借りながら、
自分と同じ妄想を共有しているのだとしたら、
スーパーマンは宿敵でもある5次元の妖精ミクシーの力を借りながら、
この世界が実はジョーカーが生み出した妄想だったんだ。
すべてジョーカーが作り出した世界だったんだっていうことを理解するんですね。
どうやらジョーカーはミクシーの力を奪って、
その力を使って世界を作り変えてしまっていたらしい。
ジョーカーが黒幕だと分かった後に、スーパーマンはかつての中身に助けを求めます。
登場するのはジャスティスリーグ。
ただ、世界が作り変えられてしまったので、
悪のジャスティスリーグ、そしてかつての世界の記憶を失ったジャスティスリーグでもあります。
このメンバーね、古ってるんですよ。
もちろんスーパーマンは世界最悪の悪人として知られているわけなんですけど、
他のメンバー、例えばアクアマン。
見た目は完全に魚です。
ただ、水中で呼吸ができない水恐怖症。
ワンダーウーマン。
男を恐れるように育てられた結果、
自分が女であるということに罪の意識を抱くようになって、
悪のメイドとしてケーキを焼き続けている。
火星人の生き残り、マーシャルマンハンター。
低身長がコンプレックス。
それを解消するために、変身能力を使っている。
プラスチックマン。
あらゆるクレジットカードやキャッシュカードに変身して、
他人の口座からお金を引き出す極悪人。
私が一番好きなのは、カイル・レイナーが変身する、
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イエローペーパーランタン。
魔法の蝶神の力を借りて、世界の破滅を目論んでいる、
彼もまた極悪人です。
デザインが良くてね、蝶神に手足が生えているだけなんですよ。
筋肉マンに出てくる悪魔超人みたいな、かなり活かしたデザインですね。
そういうヒーローチームと協力しながら、
スーパーマンはジョーカーとの戦いに臨むわけですね。
ただ、もちろん世界そのものは、ジョーカーが作り出したものだし、
ジャスティスリーグのメンバーも、かつての記憶を失っている。
だから、もしかしたら、ジョーカーに戦いを挑もうとする自分たちの方が、
狂ってるんじゃないのか、自分たちの方が間違ってるんじゃないのか、
っていう悩みを、当然、ジャスティスリーグのメンバーも抱えてるんですね。
でも、それに対してスーパーマンは言うわけですよ。
でも、もし、我々が正しかったら、どうするんだと。
こうやって、今、圧勝に苦しむ人々を見殺しにするのか。
ヒーローの価値は、能力の代償で決まるんじゃない。
与えられた能力を、どのように使うかで決まるんだ。
なんて、もう、名演説を一石ぶってくれるんですね。
やっぱり、こういうスーパーマン演説って、いいですよね。
なんか、こう、読んでるこっちの精神まで、こぶされる気がしますよね。
ただ、ジョーカーの力自体は、常に増し続けていて、
全宇宙、全時空を、全ての時間、全ての空間を、こうした歪んだ世界に変えようとしてるんですね。
世界を支配している五大存在、クインテッセンス。
最強の敵、ダークサイド。
復讐の精霊、スペクター。
なんていう、DCコミックスの世界での、神に匹敵するような強力なキャラクターたちも、
ジョーカーの狂気に次々と侵されていってしまう。
正気を失っていってしまう。
こんな絶対絶命のピンチに、じゃあバットマン何してるんだよって話じゃないですか。
もちろんバットマンネタ自体はですね、ジョーカーのギャグにいっぱい出てくるんですね。
例えばリドラーとかポイズンアイビーは、ジョーカーに協力するメンバーとしていますし、
あるいはロビンの死体を使ったジョークなんてね、いいのがあるんですよ。
ロビンの死体が並んでるんですけど、2代目のロビン、ジェイソン・トッドの首のところに、
なぜ誰も電話してくれなかったの?なんて札が掛けられてるんですね。
電話投票でジェイソンが殺されてしまったことに対するギャグですよね。
私ちょっとこれ見読んだ時笑っちゃいましたね。
とにかくバットマン何してるか。
この世界にももちろんバットマンはいます。死んでます。
この世界のバットマンは、スーパーマンの存在を記憶しているんですが、
彼はジョーカーによって何度も殺され、そしてその度に復活させられてまた殺される。
そんなことを何度も何度も繰り返されてるんですね。
そしてその誰よりも強い意志を持っているはずのバットマンも、
度重なるジョーカーの精神攻撃ですよね。
それによってもう諦めてしまいそうになってるんですね。
これもバットマンとジョーカーの関係性を考える時によくあるパターンかもしれないんですけど、
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ジョーカーとしてはやっぱりバットマンの精神を壊して、
バットマンにとってのこのオンリーワンの存在になろうとしてるんじゃないですかね。
そんなバットマンは絶対絶命のピンチに我らがスーパーマンが助けに来てくれるんですよ。
そして勇気づけるんです。
絶対に諦めるな。一緒に世界を再生しよう。
一緒に世界を再生しようですよ。
スーパーマンといえばやっぱり名演説でヒーローたちを鼓舞するわけじゃないですか。
ところがバットマンに対してはシンプルな言葉で彼を復活させるんですよね。
これがワールドファイネスとかと改めて思いましたね。
そして読者の方も、おやおやどうやら今回の話はバットマン、スーパーマン、ジョーカーの三角関係の話だったらしいぞっていうことにだんだん気づいてくるんですね。
スーパーマンとバットマン、二人でコンビを組んでジョーカーに戦いを挑むんだけれども、やっぱりジョーカーも強いんですよ。
またバットマンはジョーカーに殺されて、バットマンはジョーカーのペンダントとしてアクセサリーになってしまうんですね。
正しい歴史を思い出すジャスティフィーグのメンバーもジョーカーに戦いを挑むんですけど、これもわずか1ページで全滅をしてしまいます。
そしてジョーカーがどうやら世界の破壊を企んでいるんだということを知って、ジョーカー側に立っていたキャラクターたちもジョーカーの暗殺を企てるんですが、これもまた失敗します。
ジョーカーはこの作品では現実改変能力を持っているので、もう何でもできちゃうんですよ。
力で勝負を挑んでも勝てないんですね。
じゃあどうやってジョーカーに勝つのかっていう話じゃないですか。
5次元の妖精ミクシーはヒントを出してくれてるんですよ。
頭を使え、ルールを理解しろ。
何回かスーパーマンに教えてくれるんですね。
でもスーパーマンはわからないんです。
スーパーマンにとってジョーカーっていうのはルールを持たない存在なんですね。
無秩序な存在なんだって考えているので、ミクシーがルールって言った言葉が一体何を意味するのかわからないんですね。
ところが最終決戦。
スーパーマンはジョーカーと戦う中で、ペンダントになったバットマンと一瞬アイコンタクトを交わすんですよ。
そしてこう言うんです。
そうか、わかった。
このジョーカーの倒し方、これ本当に名シーンだと思いますね。
何度も言う通り、ジョーカーは現実改変能力を持っているから、自分最強なんですよ。
そしてジョーカーは自分自身が俺がルールを作る存在なんだって言ってるんですね。
でもスーパーマンはそれは違うって言うんです。
お前にどれほどの力があろうとも、お前はバットマンを必要としているんだ。
バットマンを忘れられないんだ。
バットマンがいなければお前は力を発揮することはできないんだ。
その最強のパワーもお前のものではなくてバットマンのものなんだ。
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バットマンのものなんだ。
ジョーカーに己の無力さというか、
所詮自分はバットマンの添え物に過ぎないっていうことを自覚させて勝利するわけですね。
ヘリクスですよ、正直。
でもこのヘリクスがアートワークで説得力が生み出されてるんですね。
バットマンの中に小さいジョーカーがいるっていう絵があるんですけど、
これすごくいいアートで私好きなページですね。
ジョーカーは自分よりもスーパーマンの方がバットマンをより深く理解しているんだ。
ということを知ってここで三角関係が終わるわけですね。
さて、こうしてジョーカーを打ち倒したスーパーマン。
復讐の精霊スペクターの力を借りて世界を再生するわけですね。
ところがバットマンであるブルース・ウェインの精神だけは元に戻すことができなかった。
ジョーカーに何度も殺される中で完全に壊れてしまっていたようですね。
そこでスペクターはスーパーマンに言うわけです。
彼を救うには彼が味わった記憶と痛みを誰かが背負うしかない。
スーパーマン、私が背負うよ。
世界が元に戻って、人々はジョーカーが改変した世界のことを夢の出来事として記憶しています。
一番最後、こんなシーンで終わります。
ワールドファイナスとの会話ですね。
バットマン、睡眠中に呼び出して何の用だ。
すまない。君も夢を。久しぶりにぐっすり寝たよ。
このセリフでこの作品終わりです。
バットマン最後のセリフいいですね。
そしてこの会話、習慣されたジョーカーに聞こえるように交わしているので、
やっぱりこれは三角関係の話のオチとしても完璧なんじゃないですかね。
なぜスーパーマンがジョーカーに勝てたのかという点に関してなんですが、
スーパーマンは常により良き世界を信じているんだ。
それが人々の心に変化をもたらすんだ。
不当不屈の信念が現実を変えていくんだなんて、
この作品ではジャスティティリーグのメンバーに言われていました。
確かにこの作品、最初にピザロと追いかけっこをしていた時から、
彼はジョーカーの生み出した世界の繰り返し、変わらなさ、反復を破壊していく、
変化させることでジョーカーの思惑から外れを外れようとしていったんですね。
世界をより良いものにしていくって、世界に変化をもたらすっていうことでもあると思うんでね。
ですから確かに変化球的な作品なのも間違いないです。
でもそうやって世界に変化を生み出す、変化球を投げていくっていうこと自体も、
やっぱりスーパーマンの大きな力だと思うんですよね。
そういう意味では一見色物っぽい作品です。
表紙のアートも含めてかなり変わっています。
でもスーパーマンらしさ、スーパーマンの変わらないものみたいなものを味わえる、
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そしてスーパーマン、バットマン、ジョーカーの三角関係のオチまで味わえる、
名作だと私は思いますね。
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それではまた次回。バイバイ。
あー、なんか今日はめっちゃ疲れたわ。
いつもより2倍くらい疲れた気がする。
あー、こんなん毎週できねえな。