1. イラストレーター原あいみの話
  2. #183「べらぼう」を見てディレ..
2025-06-12 10:37

#183「べらぼう」を見てディレクター時代の緊張感を思い出す

大河ドラマ「べらぼう」を楽しんでみています。先々週の放送で、錦絵を刷る際の「指図」が売れ行きに大きく左右すると言うお話が面白く、自分のディレクター時代の緊張感と同じだ!と共鳴したのでお話してみました。

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#282 ディレクターのお仕事はお作法ばかりだった[今のキャリアを選択した理由]
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サマリー

ポッドキャストでは、タイ画ドラマ『べらぼう』を通じて、印刷業界でのディレクター時代の緊張感や指示の重要性を振り返ります。特に、作品の仕上がりに影響を与える微妙な指示の伝達過程が語られ、クリエイターとしての経験が際立ちます。

べらぼうと印刷業界
今日はですね、珍しくタイ画ドラマのベラぼうの話をしようかなと思います。
みなさんタイ画ご覧になられてますか?私はベラぼうを結構楽しく見ております。
ツタジューこと、ツタヤ・ジュー・ザ・ブローが主人公なんですけど、まあいわゆるコンテンツクリエーター?
クリエーターじゃないな、プロデューサーですよね。編集者とも言えるのかもしれないです。
吉原を舞台に新しい流行を生み出していくみたいな、そんな様がですね、とても面白くて、自分の仕事にもちょっと通ずるところがあり、そんなところを楽しく見ております。
で、何を話したくなったかと言いますと、前々回なんですけれども、
ツタジューと宇多丸が組んでね、新しい錦絵を出すっていうシーンで、すごく素晴らしい絵ができたはずなのに、ライバルの西村屋だったかな、西村屋に全然勝てなくて、もうボロ負けだったっていうシーンがあったんですね。
そこで何が違うんだろうっていうふうに調べていったら、その西村屋さんの錦絵は色の鮮やかさが違うと。
それは職人さんへの指図っていうらしいんですけど、指図がうまくいっていないっていうことだったんですよね。
この指図っていうのがまさに、私は前職アートディレクターをやっていたんですけど、印刷会社さんへのいわゆるディレクションなんですよね。
もう本当に今も全くそうなので、うわー面白いなーってそれを見てね、昔からやっぱりそうなんだっていうふうに、そこにすごく痛く感動してしまったんです。
どんなに素晴らしい中身を絵を描いても、素晴らしい職人さんにちゃんと版木を彫ってもらったとしても、最後の擦りがうまくいってなかったら台無しになってしまうんですよね。
その擦りをうまくさせるための指図、指示、ディレクションがいかに大事かっていうのがね、描かれていてめちゃくちゃ面白かったんです。
私もディレクターだった時は、この印刷会社さんの指示っていうのはね、本当に気を使って、あと緊張してやってたんですよね。それを思い出しました。
指示の重要性
私は今イラストレーターなんですけど、前職はアートディレクターとイラストレーターの二足のわらじでお仕事をずっとしていました。
デザイン会社に勤めていた時は、チームになっていろんな印刷物を作っていたんですけど、ウェブデザイナーではなくグラフィックデザイナーで紙物が得意な会社だったので、最終的にはだいたい印刷が擦り上がってきて完成ということが多いんです。
サッシだったり、あとポスターとかね、そういった店頭に作るポップだったりとか、そういったものがね、主に制作物としてやっておりました。
もちろんね、最初に入校って印刷会社さんにデータを渡す時に、美しく出るようにデータを作るっていうのはもちろんなんですけど、やっぱりプリント、印刷してみないと結局わからないんですね。
印刷会社さんの機械によっても多少癖が違ったりとか、どっち系に色が転ぶとかそういうのはね、やっぱり出してみないとわからないので、最初に必ず色構成っていうのを出すんですよ。
色構成っていうのはテストプリントみたいなものですね。
これも本番の機械で出す本機構成っていうのと、簡易的にほぼほぼ近い色味で確認ができますよという簡易構成とね、あるんですが、
これも予算とかスケジュールとかによって変わってくるんですね。
で、その印刷の色構成が出てきたものに対して赤字を入れていくんですよ。
ここはこうする、ここはこうしましょうとかね、濁りをとるとかなんかいろいろ書くんですけど、その指示の出し方一つで最後の仕上がりがね、変わってくるんですよ。
最初のデザイナーになった頃は先輩がね、そこになんかかっこよく赤字を書いていく姿がすごい素敵に見えて、
私もこんな風にこなれた感じで印刷会社さんに指示が出せるようになりたいなぁなんてね、思って見ておりました。
でもいろいろね、お仕事やってきましたが、結局のところ、私がディレクターで印刷会社さんに赤字を書いて指示を出したとしても、
印刷会社さんの営業担当者さんがだいたいそれを受け取ってくれるんですよね。
その指示を営業の担当者さんが理解し、職人さんに現場の人に伝えるんですよ。
現場の人ももちろん私が書いた赤字は一緒に見てくれるとは思うんですけど、この微妙なニュアンスを伝えるのはやっぱり人から人のこの伝言ゲームというかね、になるんですよね。
そうなってくると、この私の話していることを直接聞いてくれる印刷会社さんの担当者さんとどのくらい共通認識が持てて、どのくらい私の思いを正確に現場の人に伝えてくれるかというのがめちゃくちゃ大事になってくるんですよ。
なので私は印刷会社さん、いろいろいろんなところを使うんですけど、だいたいね、ディレクターみんな自分の好みの印刷会社さんとか、ご非益の印刷会社さん、営業担当者さんとかがあったりするんですけど、そういう方をすごく大事にしてました。
初めてお取引が始まるときに、例えばクライアントさんがもうここの印刷会社を使っているので、こことやるようにしてくださいみたいなそういう決まり事がある場合もあるんですよね。
で、そうなってくると、自分がずっと使ってたところではない新たな印刷会社さんと連携を組んでいかなくてはいけないので、もう私はですね、必ずできることならですけど、印刷会社さんに足を運んで、どういう環境でどういうメンバーの感じでお仕事をなさっているのかっていうのをこの目で見て、
で、その印刷会社さんの懐に入り込んで、原さんがここまでこだわってこう言うんだったら、よっしゃ僕もね、人肌脱いでちゃんと現場に直接行って、僕から口で伝えますよみたいな、なんかそういう関係が築けるようになるっていうのがね、自分的には常に気をつけて目標にしてました。
なので、人によっては結構印刷会社さんを業者さん的な扱いをする人もいなくはないんですよ。でもそれは私は違うなってずっと思っていたので、とにかく仕上がりが命なので、どんなにこちらが素晴らしいデザインをかっこいいデザインをいい写真を撮っても、最終的に完璧にいいもので紙に擦ってもらわなきゃ、私たちのこの努力は報われないわけですからね。
お客さんも思っている思いが最終の仕上がりに乗らないわけですから、ここはね絶対にもうパートナーとなって、完璧に私たちの思いを実現してくれるようにきめ細やかに丁寧にやってくれる担当者さんじゃないと、むしろね、そういう人じゃないと使わないっていう感じにはしてたような気がしますね。
そう、ベラボーのその指図によってこんなに売れ行きが変わるっていうシーンを見て、そんなことを思い出しました。
いろんなものを印刷してきましたけど、やっぱりね、人物の肌とかの指示、ディレクションはね、本当に緊張しましたね。
雑誌とかブランドとかで、もううちのブランドはこういうトーンでやるみたいなのがもう伝統として決まっているみたいな場合だとね、もう先輩からのそういう指示の出し方を受け継いでいけばいいんでしょうけど、そういう仕事を私はやったことがなく、もう単発単発でそれが私が考えて指示しなきゃいけないみたいなものばっかりやってきたので、本当に緊張しましたね。
せっかくいい写真家さんに写真撮ってもらっても、この最後の私の指示で仕上がりがどう転ぶかっていうのがもう責任重大すぎて、なんかやりすぎるとツルッツルになっちゃって、なんかえーってもうロボットみたいに綺麗になりすぎちゃって嘘みたいになるとか、でもやらなすぎるとなんかちょっとこうシミとかそういうね、人の感じが残りすぎちゃってなんかくすんで見えるとかね、そういう人の肌っていうのは本当に難しかったです。
伝達の難しさ
あと難しかったのは、それ自体が商品になるときですね。文房具の仕事とかも結構長くしていたんですが、紙に印刷してね、例えばファイルボックスを作るとか布に印刷してペンケースを作るとか、もうそれ自体が売り物になるときですね。
これはもう本当にその色味で売れ行き、商品力がちゃんと上がるかどうかっていうのがそこで決まるので、これもめちゃくちゃ緊張してその大量にする前に印刷会社に行って立ち会ってみたりとかね、そういうことも経験しました。
あとは紙じゃないのに印刷するですね。パッケージとかでビニールとかOPPとかそういったものにするときの出る具合が全然違うとか、この色全然乗らないとか、そういうのもすごい大変だったなーっていうのを思い出しますね。
なんかそんなことをベラボーを見ていて色々と思い出しました。
まあ何はなくともあれですよね、人から人に伝えるっていうのは、いくらAIが発達してもこういうところの微妙なニュアンスっていうのは残っていくんじゃないかなという気がしますね。
そういった時にはやっぱりその先々に指示が行くね、伝言ゲームのなんて言うんでしょう、想像力?想像力が一番なくてはならない力のような気がいたします。
はい、ということで今日はベラボーを見て自分の印刷の指示についての思い出をお話ししてみました。
イラストレーターの原江美でした。また話します。
10:37

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