2021-09-01 16:40

#32 Siri

夏の特別企画第2弾ラジオトークとのコラボ企画「あなたの怪談、買取ます」の応募作の中から厳選した怪談をお送りします。コラボ企画のラストにお話してくださるのは、ファミリーラボラトリーという番組の練乳ラッテさんです。新しい道具が一般に普及すると、それに絡む怪異も増えてきます。今回のお話も、そんな一つかもしれません。
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怪談作家の宇都郎しかたろうです。
この番組では、私が行っている怪談売買所で買い取った、世にも奇妙な体験をされた方のお話をお届けします。
今週も、夏の特別企画第2弾としてお送りしている、ラジオトークとのコラボ企画、
あなたの怪談買い取ります!の応募の中から、厳選した怪談をお送りします。
コラボ企画のラストにお話ししてくださるのは、ファミリーラボラトリーという番組の練乳ラッテさんです。
携帯電話のiPhoneやタブレット端末のiPad等、Appleの製品に搭載されているSiriという機能をご存知でしょうか。
Siriとは、バーチャルアシスタントと呼ばれるもので、スピーチインターアプリテーション&レカグニションインターフェースの頭文字を取ったものです。
ホームボタンやサイドボタンを長押しするか、端末にHey Siriと呼びかけると起動し、
あとは言葉で質問したり指示することで、Siriが音声で答えてくれたり、作業を代行してくれたりします。
例えばSiriに、Hey Siri、タイマーを5分セットして、と言えば、Siriが音声で、
5分のタイマーを作成しました。カウントダウンを開始します。
と答え、実際に5分間のタイマーがセットされるといった具合です。
さて、新しい道具が一般に普及すると、それに絡む回位も増えてきます。
今回のお話もそんな一つかもしれません。
私がまだ実家に住んでいた時の話で、もう10年前ぐらいになるんですけど、
実家に和室がありまして、そこで休んでいたら、iPhoneが急に画面が真っ暗になって、
画面が見えなくなっちゃいまして、ホームボタンがついていて、そこをダブルタップすると、
Siriが起動するんですけど、Siriだけはまだ起動する状態で、画面は真っ暗みたいな状態で、
それと長くずっとホームボタンだけ連打して、Siri起動したり、Siri切ったりっていうような感じだったんですけど、
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私の和室の前っていうのが、小学生の通学路になってまして、
巣垂れがかかってるんで、外から中は見えない。私からは外見えるっていうような状態になってまして、
iPhoneをいじりながらそれと長く外を見てたら、ちょうど小学生の女の子が2人帰っていくような状態で、
そのうちの1人が急にうちの前で立ち止まって、くるっとうちの方を見たんですよ。
ゆっくり指を上げて、女の子がいるっていうふうに言うんですね。
その瞬間、ぞわぞわとしちゃったんですけど、私1人っ子で、もちろん女の子みたいな年頃の子はいないですし、
何かなーとかって思って考えてて、そのまま女の子はそれっきりでまた帰っていっちゃって、
なんだろうなーって思った時に、うちの駐車場に今女の子の使ってるような小物が落っこちてたりして、
それ指さして、女の子がいる、この家にはっていうような言い方だったのかなと思って、
iPhoneを持ちながらちょっと外出て、落ちてるかなーなんて周り見渡してたんですけど、
別にそんなものももちろんなくて、
特に私も喋ってないですし周りも人いなかったんですけど、急にSiriが
何と言ったか聞き取れませんでした。
みたいな音声をキャッチしたような反応をして、それもぞわっとして、
怖いなーって思いながら、その日は別にそれで終わっちゃったんですけど、
その日ぐらいから不思議なことがあるなーっていうのが続いて、
またちょっと数週間数ヶ月経ったぐらいだと思うんですけど、
うちの隣の家に新しい住人が引っ越してきて、
よく私学校通う時に朝、そこの奥さんなんかはおはようございますなんて挨拶しながら家出てたりしたんですけど、
ある日、家に帰ってきた時に、ちょうどお隣さんの旦那さんと娘さんが帰ってきてるところで、
初めてだったんで、おはようございますって声かけたら、
お父さん、ご主人らしい人がこっちを一別だけして、特に挨拶も返さず、
そのまま女の子の手を引きながら家の中に入っていっちゃったんですよ。
いやー、なんかちょっと相性ないなーなんて思いながら、
私も家帰って母親に、ちょっと今日初めて隣の旦那さんに会ったけど、
ちょっと挨拶したけど返事もなかったな、不愛想な感じしたなーなんて話を雑談カテラして、
女の子と手を繋いで帰ってたから、なんかちっちゃい女の子いるんだね、お隣さんはなんて話をしてて、
母親も、旦那さんは会ったことないなーなんて言ってたんですけど、
またそこから1、2週間したときに、今度は母親から、
今日初めて旦那に会ったよーって言われて、
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普通に挨拶とかしてくれたけどね、そんな不愛想な感じしなかったけどねーなんて言われて、
あ、そうなんだ。
その後、手を引いて家に帰ってったっていう話をしてたけど、
隣は中学生ぐらいの娘さんはいるけど、そんな手を繋いで帰るようなちっちゃい子供いないよって言われて、
えーっと思いながら、絶対に二つ結びのちっちゃい女の子、手を引きながら見たのは間違いなかったんで、
いやーでも絶対いたけどなーって言って、
母親もなんかちょっとホラー好きみたいなところもあったんで、冗談まがいに、
なんか幽霊だったんじゃないのーみたいな話もありながら、そうかなーなんて言って、
それはそれで別に何があるわけでもなく、
そこから数ヶ月ぐらい経ったときに、
これはまた2時3時ぐらいのちょうど薄水時ぐらいの時間だったんですけど、
私が布団の中でなかなか眠れなくて、
私実家にいたとき、部屋の数も少なくて、
ばあちゃんと一緒の部屋で寝てたんですけど、
ばあちゃんは壁際にベッドで寝てて、
私は窓際の方で布団敷いて寝てて、
夏だったんで窓開けながら寝てたんですけど、
結構住宅地なんで、夜泣き遠い家から、
赤ちゃんの泣き声がオギャオギャーって聞こえてきながら、
なかなか寝つけないなーなんて思って、
私もそのとき友人とLINEをしながら、
子供の泣き声が聞こえてきて眠れないわーみたいなことを雑談まがいに話してて、
そんなLINEをずっと繰り返してたら、
窓のすぐ底ぐらいで一回だけオギャーっていう声が、
結構なボリュームで聞こえてきたんですよ。
ずっと遠くで泣いてるぐらいだったのに。
その瞬間に、私の後ろの方でドンって音がして、
何だろうと思って振り返ったら、
ばあちゃんがベッドからちょうどそのタイミングで落っこちて、
ばあちゃんそんなことなかったんですけど、今まで。
ばあちゃん大丈夫?なんて言ってたら、
大丈夫、大丈夫って言いながらベッドで戻ってったんですけど、
LINEをしてた友人に、
私もちょうど赤ちゃんの夜泣きを録音して送ってたんですけど、
その返事が来て、
これボイスメッセージ聞いた?っていう風に友人から言われて、
私も取って送っただけだったんで、
聞いてないよって言ったんですけど、
ちょっと聞いてみてって言われて、
最後の方にうめき声みたいなのが入ってるって言われて、
私も改めて聞いたら、
確かに赤ちゃんの遠い方から夜泣きが聞こえてきて、
最後の方に女の人っぽい声でうめき声が入ってたんですよ。
そんなことが立て続けに女の子とか赤ちゃんの泣き声とか、
そんなのが絡むようなお話が続いてて、
ちょっとした時に私が昔の記憶をそれをきっかけに思い出しまして、
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私の母親が、まだ私が小学生ぐらいだった頃に、
占い付きのレストランみたいなところに、
ばあちゃんと母親と3人で行ったことがありまして、
母親が占ってもらって席の方に戻ってきた時に、
どんな話したの?なんて話聞いてて、
いろんな占いの結果とかも話しながら、
あと最後子供の影が見えるって言われたっていう風に母親が言ってたんですよね、当時。
その時も他の占い師にも言われたことがあるな、同じことを。
2人の占い師から子供の影が見えるっていうのを母親はずっと言われてたみたいなんですよ。
それをこのきっかけで思い出しまして、
子供の影があるのかな、なんてことを思ってて。
それから数年経って私が結婚して、実家を出るってなった時に、
母親と2人で話す機会がありまして、
これから結婚していろいろな大変なこともあるだろうけど、
子供ができたりとか大変なこともあると思うけどっていう話の中で、
これはばあちゃんとかにも言ってない話なんだけど、
実はお前は3人目の子供なんだと。
私も1人っ子なんですけど、どういうこと?って聞いたら、
母親父親がまだ若かったから、私の前2人妊娠してたけど、
ちょっとおろしてたと。
そんなことばあちゃんとかにも言えないから誰にも言ってないんだけど、
本当はお前は3人目の子なんだ。
でもそういうことがないようにしてねっていうようなことを最後言われて。
その時に全部点と点が線に繋がったと言いますか、
望まれずに生まれてこなかった子供たちの影っていうのが、
母親の周りに影として見えてたのかなっていうのを感じまして。
私もアパート引っ越してからはもうそういう経験はないので、
母親の周りにそういう出来事が立て続けに起こってたのかなっていうような話です。
今回の体験談ではさまざまな細かい回位が連なって
1つの物語を構成しているように見えます。
それらの回位1つ1つについて考えてみたいと思います。
まず発端はiPhoneの不調でした。
画面がつかなくなり、そして誰も話していないのにSiriが反応しました。
Siriは人工知能の技術が使われています。
その技術の中に音声認識というものがあり、
これは人の声を声として認識し、
そこで発せられた言葉の意味を理解するというものです。
これができて初めて正しい返答ができるのです。
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練乳ラッテさんの体験では、誰も話していないのにSiriが突然
何と言ったか聞き取れませんでしたと反応したと言います。
人工知能とはいえSiriはまだまだ発展途上の機能です。
そのため聞き間違いや意味の取り違いなどもありますし、
言ったことが全く理解できないこともあります。
今回の件もSiriの誤作動とも考えられます。
そもそもその時iPhoneは故障していたのですから。
とはいえそれが起きたタイミングが不気味です。
ちょうど家の前を通りかかった小学生が奇妙なことを言った直後に
Siriが反応したのです。
そのSiriが返した言葉もその場に見えない誰かがいたことを思わせます。
分かりませんや答えられませんではなく、
何と言ったか聞き取れませんでしたと言ったのです。
EVPと呼ばれる現象があるとされています。
エレクトロニックボイスフェノミノの頭文字を取った略語で、
日本語では電子音声現象と訳されます。
霊がいる部屋でそこにいる霊に呼びかけ続け、
その様子をICレコーダー等で録音しておきます。
後になって録音データを解析してみると、
かすかに得体の知れない声が録音されているという現象です。
その声は人の耳には聞き取れないほど小さなものなので、
録音装置を使用しないと捉えることができないとされています。
尻は録音装置ではありませんが、
人には知覚できないほどの微細な声に反応したのかもしれません。
それがどんな声だったのか、今となっては知るよしもありません。
次にお隣に引っ越してこられた方に関する回意です。
練乳ラッテさんはお父さんとその幼い娘を見るのですが、
その家にはそのような子供はいないということが後から判明します。
これについては判断が難しい。
たまたまその日は親戚や友人の子を預かっていたのかもしれませんし、
だからこそお父さんもまだ慣れぬその子の方に意識が行っていて、
結果的には練乳ラッテさんに対しては不愛想な対応になってしまったのかもしれません。
いずれにしても情報が足りないため、
その時に彼が見た子供がこの世のものではないと判断することはできないでしょう。
また、仮にその女の子が生きた人間ではなかったとしても、
この話が帰結するお母さんの過去の一見とは別物のように思えます。
そして3つ目。
これもEVPだと言えるのかもしれません。
録音しているときは気がつかず、
録音装置を通して初めて聞き取ることができる謎の音声、
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しかもそれが女のうめき声なのです。
後に機種変更した際にデータが消えてしまったとのことで、
現在聞くことができないのが残念です。
さて、練乳ラッテさんはお母さんが過去に2度子供を卸した事実を知るに至り、
これら一連の怪異との関連を疑うことになります。
この世に生まれ出ることなく亡くなった胎児は水子と呼ばれます。
水子にまつわる怪談は多く聞かれますが、練乳ラッテさんの体験については、
それぞれの怪異が水子に関係あるのかどうかは私には分かりません。
練乳ラッテさんの語りの中では触れられていませんが、
家の中で怪異を体験しているのは彼だけであり、
お母さんはそのような体験をしたことがないと後の質疑応答でおっしゃっていました。
もしもこの一連の怪異が練乳ラッテさんのまだ見ぬ兄や姉だったとしたら、
それはこの世で会うことが叶わなかった弟の様子を
彼らが見に来たということだったのかもしれません。
4週にわたりお送りしてきたラジオトークとのコラボ企画
あなたの怪談買い取ります。
今週が最後のお話でしたがいかがでしたでしょうか。
この番組ではあなたが体験した怪談をオンラインで買い取りしています。
詳細は概要欄のリンクよりお待ちしています。
それではまた次回お会いしましょう。
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