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2025-08-06 16:14

#29 身近な「光る」を化学の視点で学んでみよう!

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世の中に溢れる光るもの。蛍光灯、オーロラ、花火、蛍……これらの光る原理は様々です。今回は身近な現象を取り上げて化学の視点で解説します。科学系ポッドキャストの日のテーマ「色」について話しています。

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プラントライフは、化学プラントの技術者である私かねまるが、化学と工場に関するトピックを、分かりやすく紹介する番組です。 毎週水曜日の朝、定期配信! LISTENで公開後、各種Podcastアプリにも配信されます。

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サマリー

このエピソードでは、プラントライフが身近にある「光る」現象を化学的な視点から探求しており、蛍光現象や蛍光ペン、蛍光灯、さらにオーロラの仕組みを解説しています。また、蛍の発光や花火、栄養ドリンクの実験も紹介し、さまざまな発光のメカニズムに迫っています。

光る現象の解説
世の中にあふれる光るもの 身近な現象を取り上げて、化学の視点で解説します。
プラントライフは、化学プラントの技術者であるかねまるが、化学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
今回は、化学系ポッドキャストの日という企画に参加しています。
化学系ポッドキャスト番組が共通テーマに沿って語る企画です。
毎回、ホスト番組が決まっておりまして、今回は高橋クリスのFAラジオさんです。
そんな今回の共通テーマは、色。 皆さんの色の話を聞かせてください、とのこと。光の色って綺麗ですよね。
そんな光の色に関連して、様々な物質が光る現象について話をしてみます。
まず、なぜ光るのかという話からしてみます。 世の中の光るっていう現象は様々なんです。
今回は化学の視点で光るものを扱ってみようと思います。
例えば、ダイヤモンドがキラリと光るような原理というのは、光の屈折を利用している物理的な光り方です。
今回はそのような原理を扱わずに、化学的な原理の方を扱ってみようと思います。
まず、基本となる考え方をお伝えします。
単純に物質が光を出し続けたら、元気がなくなってくると思いませんか?
エネルギー保存の法則ってあったと思います。 ずっと光エネルギーを出し続けると、いつかなくなってしまいます。
多くの物質は外部からエネルギーをもらって、そのエネルギーを使って光っています。 簡単に光るまでの流れを紹介しましょう。
最初に物質がエネルギーを吸収します。 そうすると分子が冷気状態というものになります。
簡単に言うと、ハイテンションになるイメージですね。 ハイテンションになった分子は、一部は分子の振動という形で熱として放出されます。
残りのエネルギーは光として放出します。 外からエネルギーを受け取って、ハイテンションになって
少し熱として出して、残りは光として出して、落ち着く。 そんな流れですね。
では、エネルギーってどんなものがあるでしょうか? 身近なものだと、熱とか電気というものがありますね。
そして、化学物質が光る時によく例として出されるのが光です。 光エネルギーを吸収して光る現象というのは、蛍光と呼ばれます。
多くの物質は紫外線を吸収して、赤や緑や青に光ります。 蛍光といえば蛍光ペンや蛍光灯がありますね。
発光の化学的メカニズム
それぞれの原理を見てみましょう。 蛍光ペンのインクには蛍光を発する色素が含まれています。
紫外線や青色の光を吸収して、黄色やピンクの光を放ちます。
蛍光ペンで書いた部分が鮮やかに見えるのは、この発光のおかげです。 そもそも色が見えるというのはどういうことなんでしょうか?
多くの物質はその色を反射しています。
赤いものは赤以外の光を吸収して、赤い光を反射しています。 蛍光物質が含まれていると反射される光だけではなくて、蛍光で発色するのでより鮮明な色になります。
つまり目に届く色の量が増えているんですよね。 それもあって蛍光ペンの色というのは鮮やかに見えます。
もう一つの蛍光灯の原理を考えてみます。 蛍光灯のガラス管の内壁というのは蛍光物質が塗られています。
そしてガラス管の中は空気が抜かれた真空状態で、そこに少量の水銀の蒸気が入っています。
電気のスイッチを入れると電子が流れます。 放電という現象です。
流れた電子と水銀が衝突して最初に紫外線が放出されます。 この紫外線をガラス管内面の蛍光物質が吸収して光ります。
蛍光ペンも蛍光灯もどちらも光エネルギーを吸収して光を放っています。
では、同じ光の一つとしてLEDってどんな原理なんでしょうか。
もっと言うとUKELというのもありますよね。 実はUKELは英語ではオーガニックLEDと呼ばれています。
発光原理はLEDと同じで、使われている材料が無機材料と有機材料で異なります。
つまりUKELもLEDもどちらも同じ原理で光っています。 UKELのELというのはエレクトロルミネッセンスです。
電気を用いた発光という意味になります。 ですのでUKELもLEDも電気を用いた発光です。
ではどんなものに電気を流すんでしょうか。 それは先ほどから話が出ている蛍光物質に流しています。
結局のところ光が出る時の仕組みは同じなんですよね。 ただ光らせるきっかけが異なります。
UKELやLEDに電圧をかけると電子が蛍光物質に流れていきます。 その時にもう一つ電子の受け皿であるホールというものも流れます。
蛍光物質の部分で電子とホールが出会います。 そうすると霊気状態、先ほどを話したハイテンションの状態になります。
例えば蛍光ペンだとこういうハイテンションの状態を紫外線を当てて作っていました。 今回は電気で作っています。
霊気状態、つまりハイテンションの状態から戻るとき光が出てきます。 これは蛍光ペンも蛍光灯もLEDもUKELも同じです。
今度は自然に目を向けてみましょう。 オーロラです。
プラズマ発光という原理が使われています。 太陽から電子や陽子が飛び出しています。
それらが大気中に存在する酸素や窒素に衝突します。 衝突時に光が出てきます。
これは運動エネルギーが使われていますね。 太陽から飛び出してきた電子や陽子の運動エネルギー
これが酸素や窒素に与えられます。 そうすると霊気状態、ハイテンションになります。
その霊気状態から戻るときに発光が起きます。 酸素原子だと緑や赤の発光します。
窒素原子は青紫色の発光します。 原子やその原子の状態によって少し光る色が変わったりします。
太陽から来るエネルギーを使うということは、 オーロラはどこでも見えそうなイメージがあるんですけど、あまり日本では見ないですよね。
太陽から飛び出す電子や陽子が来やすいところでオーロラが見られます。 北極や南極で見られますよね。
地球そのものが北極をS極、南極をN極とする大きい磁石になっています。 その磁石に引き寄せられるように電子や陽子が飛んでいきます。
ですので北極や南極にオーロラを出すためのエネルギーの素が集まりやすいから オーロラがよく見えるということになっています。
そして実は蛍光灯の原理もオーロラと同じなんですよね。 先ほど話した蛍光灯の原理、覚えてますでしょうか。
最初に電子と水銀が衝突して紫外線が放出されるというお話をしました。 この現象は先ほど詳しく話してないですけど、オーロラと同じ原理です。
蛍光灯というのはプラズマ発光と蛍光、2種類の光り方が組み合わさってできています。 最初が電子と水銀が衝突して紫外線が放出されるプラズマ発光。
次が紫外線を吸収して光を出す蛍光。 身近なものですけどよくできてますよね。
そして自然のものといえばもう一つ、蛍ですね。 化学発光が行われています。
実験と日常の光の発見
蛍の発光には4種類の物質が関わっています。 一つ目が蛍のお尻のところにあるルシフェリンという物質です。
これが反応して光る物質に変わります。 もう一つが化学発光を推進するような役割のルシフェラーゼという酵素です。
そして残り2つ、蛍の体内にあるものですね。 蛍が生体内に蓄えたアデノシン酸リン酸と呼ばれるエネルギーの元になる物質。
これと酸素を使います。 蛍の中にある光る物質と
発光を促進する物質と エネルギーの元と酸素、これらが反応してオキシルシフェリンという物質が生成します。
生成したオキシルシフェリンはすでにエネルギーが高い ハイテンションの状態です。
だんだんわかってきたんじゃないでしょうか。 このハイテンションの状態から光を出して安定な状態に戻ります。
蛍の場合は化学反応によって発生した化学エネルギーが発光に使われます。 最後に夏ならではの話を2つして終わります。
一つ目が花火ですね。 金属化合物を高温で燃焼すると光を出します。
つまりは熱エネルギーを加えて発光させているということです。 これは炎色反応と言います。
聞いたことがあるかもしれませんね。 金属によって発光する色が異なります。
例えば銅が含まれると緑色、 ナトリウムが含まれると黄色です。
学生の時覚えたかもしれませんね。 この現象、身近なとこで見るかもしれません。
料理をしていて味噌汁をガスコンロにこぼすと黄色い炎になります。 味噌汁の塩分、
塩化ナトリウムのナトリウム部分が炎色反応で黄色に発光しています。 そしてもう一つ、夏ならではの話。
身近にできる実験を紹介して終わります。 栄養ドリンクにブラックライトを当ててみてください。
例えばオロナミンCとかリアルゴールドですね。 これらにはリボフラビンという物質が入っています。
またの名をビタミンB2ですね。 これは紫外線を吸収して黄緑色の光を出します。
グラスに栄養ドリンクを注いでブラックライトを当てると光ります。 電気を消してみるとすごく綺麗なのでぜひやってみてください。
その他にも身の回りのものというのはブラックライトで光るものがたくさんあります。 夏休みの実験の一つとして楽しんでみてください。
ただし、 絶対に目に当てないようにしてください。
失明につながる場合があります。 安全に気をつけてぜひ楽しんでみてください。
今回はここまでです。 プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので、 通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
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