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2025-05-28 11:57

#18 話題のPFASを少し詳しく学んでみませんか?

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今回のテーマはPFASです。ニュースで話題の有機フッ素化合物について、構造の基本的な話や規制の背景を丁寧に紐解きます。

〇参考資料
特定PFASとは(日本フルオロケミカルプロダクト協議会) https://cfcpj.jp/pfas.html
有機フッ素化合物とは?PFASの現状と未来 https://www.chemicaldaily.co.jp/blog/column_chem_08
POPs条約とは https://www.chemical-substance.com/pops/aboutpops.html
PFOS、PFOA に関するQ&A集https://www.env.go.jp/content/000242834.pdf

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プラントライフは、化学プラントの技術者である私かねまるが、化学と工場に関するトピックを、分かりやすく紹介する番組です。

プラント技術解説ブログ「ケムファク」
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MONOist連載記事「はじめての化学工学」
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/series/40825/

サマリー

このエピソードでは、PFASについての詳細を学び、その化学的特性や規制状況、人体への影響が詳しく解説されています。また、PFASフリー製品の重要性や今後の動向にも触れられています。

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どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、科学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
PFASの基本理解
ニュースでもPFASという言葉が話題ですね。 この言葉を説明できますか。
なんとなく体に悪いものというイメージがありませんか。 最近は報道やSNSでPFASすべてが悪いような印象を与えられているんですけれども、
本当にそうでしょうか。 今回は話題のPFASを少し詳しく学んでみませんか?
ということで、PFASについて話をしてみたいと思います。
まず、PFASとは何か。 これは有機フッ素化合物を意味しまして、その中でもペルフルオロアルキル化合物ですとか、
ポリフルオロアルキル化合物を意味します。カミソウですね。 分かりにくい言葉なので、ゆっくり解説していきます。
PFASというのは有機フッ素化合物です。 炭素原子が水素ではなくて、フッ素原子と結合しています。
PFASの名前の由来になっています。 ペルフルオロアルキルというのは、すべての炭素原子につながった水素がフッ素に置き換わっています。
もう一つ、ポリフルオロアルキルというのは、 水素がすべてフッ素に置き換わった炭素、これが一つ以上あるものを意味します。
言い換えますと、少なくとも一つの炭素原子に結合した水素が完全にフッ素化された部位を持つような物質ですね。
これを科学的に言うと、完全にフッ素化されたメチレン部位を一つ以上持つ物質と言えますね。
PFASは国や地域によって指定の範囲というのが異なりまして、環境書をベースにお伝えすると1万種類以上あると言われています。
地域差がありますけれど、だいたい5000から1万くらいと覚えておいたらいいと思います。
先ほどからフッ素という言葉をたくさん使っていますけれど、 フッ素といえば排砂酸ですね。
虫歯予防でよく使われますけれども、 こちらは有機フッ素化合物ではなくて無機フッ素化合物なので全く別物です。
例えば、フッカナトリウム、NAFのような構造式になっています。
ですので、排砂酸のホームページなど見ていただくとすでに公開されていますけれど、 安心してフッ素予防を受けてください。
ここから寄生対象になるPFASについてお話しします。
PFASの規制と影響
5000から1万と複数種類あるPFASのうち PFOS、PFOR、PF-S、この3種類に分類されるものが寄生対象となっています。
一応分類名をお伝えしますと、PFOSはペルフルオロオクタン酸、 PFORはペルフルオロオクタンスルホン酸、
PF-Sはペルフルオロヘキサンスルホン酸。 3つともベースはペルフルオロ系で、オクタン酸とオクタンスルホン酸とヘキサンスルホン酸の3種類ですね。
寄生対象となっている物質というのは、 毒性が高いだけではなくて、生物へ蓄積しやすかったり、
環境に残ったり、 あとは長距離移動して他国の環境汚染につながる恐れがあったりという特徴があります。
これらの物質はポップス条約という国際条約で規制されています。 正式名称は残留性有機汚染物質に関するストックフォルム条約といいます。
最近日本でもピーフォスやピーフォアという言葉を使わずにピーファスという言葉が使われていますね。
それもあって全てのピーファスが毒性があるような印象を与えてしまっています。 実際に寄生対象となっているのはピーファスの中でもごく一部です。
それでもすでに規制されている物質があるということで、 化学構造が似ているピーファスすべてに同様の懸念があるんじゃないかという考えで、
一部地域で規制する検討が進んでいます。 特にヨーロッパは因果関係がない状態でも予防として規制する傾向にあります。
日本に関して言いますと、現在はピーフォスとピーフォアが目標値を超えても水質改善は努力義務に今はなっています。
現在の目標値は1リットルあたり50ナノグラム以下に抑えることです。 これまでは努力義務になっていたところから
2026年度からは水道法上の水質基準に引き上げられる予定です。 これが何に変わるかと言いますと、
基準値を超えた場合に改善が法律で義務づけられます。 ただ、すでに規制が進んでいるような物質に対して、
今から何か目標値を決める理由はあるのでしょうか? 製造も輸入もされていないのであれば、基準値というのは超えないはずです。
それは過去に使われた物質が関係しています。 昔使われていた撥水加工の製品ですとか、
泡消化剤というのが土壌などに残留しています。 それもあって水道水や井戸水から検出されているというのが実情です。
これはもともとPFASというのが科学的に非常に安定な物質ですので、 土壌に溜まりやすいということになります。
こうした科学的に安定な点から 現在でもPFASの製品は様々な用途で使われています。
有機フッ素系の材料の特徴として、 撥水性、低摩擦性、耐熱性、耐薬品性など
材料として非常に優秀な機能を兼ね備えています。 例えば材料として非常に有名なのはフッ素樹脂PTFEですね。
こちらもPFASには分類されますけれども、人体に不活性で蓄積しなくて 毒性がないとされています。
食品医薬品局FDAによって安全性が認められている材料でもあります。 化学プラントではPTFEを使ったガスケットが使われています。
ガスケットと言いますと、配管やポンプなどの隙間から漏れないようにする パッキンのようなものだと考えてください。
PFASフリー製品の展望
その他に機器の撥水加工など、そういう用途で使われます。 これからどうなっていくかというのは、ヨーロッパでの予防的規則の考え方が焦点になってきます。
おそらくですけど、PTFEが急に規制されたら全国の技術者というのは頭を悩ませると思います。
すでに様々な議論がされていまして 特にパブリックコメントはこちら多いらしいです。
いくつか資料を読んでいますと すぐに規制の対象にならなくて、猶予期間を設けられているようなものもあるそうです。
一例を挙げますと、リスクから保護することを目的としたような保護具ですとか 医療器具ですね。
その他には代替品がなかったり、市場に出回っている量が少なかったり、 急になくなると社会的な影響が大きいもの。
こういったものは技術的ですとか経済的な要素を加味して猶予が与えられるそうです。
ここからクロージングです。 どうでしょうか?理解できましたか?
内容が複雑なので私もちょっと難しいなと思っています。 この点に関しては健康被害が明確でない状況だったり、
国や人の気持ちが含まれるものなので一層ややこしくなっています。 ただそれでも今お話しした知識を活用して今後の報道などに注目してみてください。
また今後はPFASフリーという言葉が増えてきます。 PFASは発水性ですとか低摩擦性、耐熱性、
耐薬品性など様々な機能を兼ね備えている材料です。 こういったものっていうのはほとんどありません。
敷いてあげるならシリコンが近い性能を持つかなと思います。 何かのきっかけでPFASフリーの製品に触れることがありましたら、
裏では研究者や技術者の努力が詰まっているということを思い出してみてください。 今回はここまでです。
プラントライフでは科学や工場に関するトピックを扱っています。 毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので、通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
番組へのお便りは概要欄にあるお便りフォームから投稿ください。 プラント技術に関する専門的な内容は
ケムファクというブログで解説しています。 最後にこのプラントライフがいいなと思っていただけたら、番組のフォローや各ポッドキャスターアプリから評価をお願いします。
そうしていただけると今後の励みになります。 それではお聞きいただきありがとうございました。
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