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2025-06-04 13:42

#19 主食が進化!お米が燃料・化学品に変わる未来図(科学系ポッドキャストの日)

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今回は科学系ポッドキャストの日に参加しました。テーマは「米」です。身近な「お米」が、燃料やプラスチック、さらにはガラス原料になったり――そんな最前線のバイオマス活用を解説します。

〇参考資料
食用に適さない米で作るプラスチックhttps://biomassresin.official.ec
稲わらをバイオガスへhttps://www.kubota.co.jp/news/2024/management-20240530.html
紙を作る時のパルプを繋げる糊https://foodlosspaper.com/kome-kami
籾殻からシリカhttps://mit-corp.biz/rice-husk-ash/
もみ殻シリカのガラス製造論文https://www.jstage.jst.go.jp/article/rpsj/68/3/68_111/_pdf
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質問や相談、お便りを募集しています。
https://forms.gle/EDHYXorTnk35gu91A

毎週水曜日の朝、定期配信! Stand.fmで公開後、各種Podcastアプリにも配信されます。

プラントライフは、化学プラントの技術者である私かねまるが、化学と工場に関するトピックを、分かりやすく紹介する番組です。

プラント技術解説ブログ「ケムファク」
https://chem-fac.com/

MONOist連載記事「はじめての化学工学」
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/series/40825/

サマリー

今回のエピソードでは、米が化学製品や燃料に変わる未来について探求しています。バイオマスの概念や、米を利用したプラスチック、バイオガス、紙、ガラスの製造方法などの具体例を通じて、多様な活用が解説されています。

バイオマスの基礎
どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、
科学や工場に関するトピックを、
分かりやすく紹介する番組です。
今回は、「化学系ポッドキャストの日」という企画に参加しています。
毎月、化学系ポッドキャスト番組が、
共通テーマに沿って語る企画です。
毎回、ホスト番組が決まってまして、
今回のホスト番組は、
アメリカに留学されている生物学者の
アメリカンナイトゴールドという番組です。
そんな今回のテーマは、米。
アメリカの話やお米、農業の話など、
その他いろいろ広げてみてください、とのことです。
ストレートに今回は米の話をしてみます。
米が化学品になるような話。
日本人の主食である米から、燃料ですとか、
化学製品が作れる時代になっています。
まずは重要な言葉、バイオマスについてお話しします。
バイオマスというのは、
再生可能な生物由来の資源を表します。
大義語に近い言葉で言うと、石油資源になりますね。
バイオマスは動植物由来の資源になっておりまして、
大きく3種類に分かれます。
1つ目が食べ物です。
例えば、サトウキビや芋、大豆などです。
2つ目が林業や農業で使われないものです。
例えば、木材ですとか、麦の藁が該当します。
3つ目が廃棄物になるもの。
家畜の廃絶物ですとか、食料加工品の切れ端などが該当します。
バイオマスの特徴として、成長時に二酸化炭素を吸収します。
高合成ですね。
バイオマス原料を使い終わって燃焼する時に、CO2が出てきます。
燃焼時に排出するCO2の量というのは、成長に伴って吸収したCO2と相対して、
実質カーボンニュートラルになるという仕組みになっています。
ここから米にまつわるバイオマスについて話をします。
米の活用例
皆さんは米がどのような流れでできているかわかりますか?
白米、玄米、いろんな言葉がありますね。
最初は稲刈りです。
田んぼに実った稲を刈り取って手に入れます。
次は脱穀です。
稲から種の部分だけを取り出します。
この種はモミと呼ばれています。
稲の種ではない部分、茎の部分と言いますか、その辺りは稲藁として廃棄されます。
種であるモミから次はモミすりの工程に移ります。
モミには硬いモミ殻というもので覆われていまして、このモミ殻を取り除く作業です。
モミ殻を取り除くと玄米になります。
次は精米です。
皆さんの家でもやったことあるかもしれませんね。
私は子供の時に親に連れられて精米機に精米に行ってました。
精米工程は玄米の表面を削って白米にします。
この時に米ぬかが出てきます。
白米ができる過程で稲藁とモミ殻と米ぬか、この3つが手に入ります。
バイオマス材料として使える米は他にもありまして、使えなくなったお米。
例えば食料品では使えないけど工業用途ならOKというものもあります。
せんべいに加工する時に出てくる米のかけらなどが該当しますね。
他にも期限切れのお米ですとか、保管中に虫が湧いてしまったようなお米もありますね。
従来だとこういった米というのは廃棄されたり身の回りでの利用に留まっていました。
わかりやすいところで言うと馬や牛の寝床に稲藁を敷いたり、肥料に使ったり、
それでもダメだったらの焼きにして処分したり、そういった利用になっていました。
それでは現在、米がどのような活用されているか紹介していきます。
一つ目がライスレジンです。
食用に適さない米でプラスチックを作っています。
この商品名がライスレジンです。
ポリエチレンやポリプロピレンといった代表的な石油系プラスチックに最大70%混ぜられるそうです。
調べてみると吉野家の持ち帰りの袋にライスレジン製の袋が使われているそうです。
二つ目がバイオガスです。
稲藁をバイオガスに変化する、そんな取り組みが久保田で実証されています。
これはメタン発酵という操作が行われていまして、酸素がない兼規制条件という条件で微生物が有機物を分解します。
この分解作業によってバイオガスが生成します。
中身は主にメタンと二酸化炭素です。
発生したバイオガス、これは触媒を使ってさらに水素まで作ってしまいます。
他にもそのまま燃料として使ったり、バイオガス発電として電気を取り出したりもします。
実は稲藁というのはこれまで肥料として使われていました。
ただ、この稲藁を肥料として使うとメタンが発生します。
メタンというのは今話題の温室効果ガスである二酸化炭素よりも28倍温室効果があると言われています。
発生量から考えると二酸化炭素が注目されがちですけれども、
影響の大きさという点で考えると、メタンガス、他にもフロンの排出は注意していかなければなりません。
2022年度の日本の温室効果ガス排出量というデータが出ています。
日本の温室効果ガス排出量のうち、稲作由来のメタンガスというのがだいたい1.2%占めています。
これはメタンガスというよりはCO2で換算されていまして、
日本の1.2%が稲作由来というのはかなり大きい割合になっていますね。
これを原料、バイオマスとして使う取り組みになっています。
3つ目が紙を作る時のパルプをつなげる糊として米が使われています。
これは米紙という商品で販売されているんですけれども、
実は明治23年に創業したペーパルという紙屋さんが作っています。
まずパルプというのは草木から抽出した食物繊維です。
これが紙の原料になっています。
パルプを糊でつなげて破れにくくしたものが紙です。
この糊に米を採用しています。
米を水に溶かして加熱して練り続けると粘着性のある糊状のものができます。
これを糊として使っているそうです。
4つ目がモミガラからシリカを作る話です。
シリカというのは二酸化系素、SiO2という化学式で表現されます。
ガラスの主原料ですね。
株式会社MITが行っている取り組みで、
イナホの種の部分の外側、モミガラを使っています。
実はモミガラの20%がシリカでできています。
この20%のシリカが取り出せればガラスにも使えるということです。
実際にガラス原料として使った事例があります。
調べてみると、日本山村ガラスという会社の論文が出ていまして、
モミガラの中に鉄やマンガンのようなガラスを着色する元素が一部含まれているようで、
これによって若干色がついてしまったみたいですね。
ですけれども、実際にかなり透明度の高いガラスが手に入っているそうで、
微量に含まれる金属元素を除去すれば、より透明度の高いガラスが得られるだろうということです。
ここまで4つの活用事例を紹介しました。
物価と閉会の話
お米がプラスチックになったり、メタンガスになったり、紙になったり、ガラスになったり。
今や主食は化学品にも使えます。
バイオマスは米だけではありません。
トウモロコシ、大豆、木材、竹なんかもそうですね。
いろいろありますので、皆さんも調べてみてください。
ここからクロージングです。
最近米の値段高いですよね。
だんだん落ち着いてきましたけれども、やっぱり今でも私のところは高めになっています。
キャッシュレスでの支払いが増えてきて、食料品などもあまり値段を見ずに買うようになっちゃってまして、
それでもレジに行って1万円って言われた時はさすがに二度見しましたね。
物価高というのはしょうがないとは思いますけれども、それでも家計は厳しくなりますね。
物価の上昇に負けないぐらい稼いでいかないといけないかなと思います。
今回はここまでです。
プラントライフでは科学や工場に関するトピックを扱っています。
毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので、通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
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また、プラント技術に関する専門的な内容はけむファクというブログで解説しています。
最後にこのプラントライフがいいなと思っていただけたら、番組のフォローや各ポッドキャスターアプリから評価をお願いします。
そうしていただけると今後の励みになります。
それではお聞きいただきありがとうございました。
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